マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  •   [No.530] 第2話 600族至上主義のトレーナー 投稿者:マコ   投稿日:2011/06/14(Tue) 14:20:21     65clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    ※人間の消失場面がありますので、見る方は注意することをお勧めします。






    テレポートでトウキョウに飛んだ2人。そこには、もう既にトウキョウに来ていた他の友人の姿も見えた。
    「みんな、どうしてここに?」
    「劇場のテレビでさっきの映像を見て、トウキョウに行かなアカンって話になってん」
    「で、一度6人で来たんやけど、マイコもきっと来るやろうなあ、って結論が出たんよ」
    「やから、俺が迎えに行った。これで大体分かったか?」
    「……うん」
    マイコも物分かりはすんなりと行く方なので、説明を聞いて状況を理解した。
    と、ここでマイコが口を開く。
    「……ところでさ、ここにいる人数、多くない?」
    「ざーっと見て、100人以上は居りそうやな」
    実際、マイコ達7人がいるこの場所には、100人以上のトレーナーと思しき人達がいた。そして、マイコはその内の1人から声をかけられた。
    「君は何という名前?」
    「私ですか?……サカモト マイコと言います。あなたは?」
    「僕はイチノセと言うんです。君のポケモンの手持ち、教えてくれません?」
    正直、マイコは戸惑った。会って数分も経っていない状態で、ここまでがっついて話をされると、怪しいとしか思えないからだ。
    しかし、しばらく悩んだ挙句に、教えた。そして、それを聞いたイチノセから、トレーナーとして失格とも思える発言が飛び出してしまうのである。
    「私は……そうですね……エンブオーと、ウォーグルと、ムシャーナと、フシギバナと、ラグラージと、ライボルトを持っていますね」
    それに対してのイチノセの返答はこうだった。
    「ふーん、合計の種族値が1匹も600にいってないね。特に、ライボルトなんて、種族値475……クズだ、クズ!話にならない」

    マイコはそれを聞き、脳の血管が数本ブチブチッと切れるくらい憤った!!


    「冗談じゃないわよ!!あんた最低!!!あたしのポケモンをクズ呼ばわりすんじゃねえよ!!!!」
    彼女の腰についていたボールも、6個ともガタガタ揺れていた。みんな同じ思いのようだ。
    「種族値だけで話を進めないでよ!あたしのポケモン達は、みんな信頼というものを持ってるの。さっき出会ったばかりのあんたに何が分かるのよ!!」
    「フッ、僕はあいにく、600族のポケモン以外は認めない主義なんだ。それ以外はクズなんだよ、分かるかい?」
    「……種族値とか600族とかさっぱり分からんけど……マイコちゃんがブチ切れてるのと、イチノセさんが偏見を持っていて、間違っているのだけは分かるで。マイコちゃんに謝れ」
    こうキザキが言うと、イチノセは言った。
    「種族値も600族も分からないなんて君も落ちこぼれだね」
    (こいつ全体的に人をナメとるな。マイコちゃんが激怒するのも分かるし、実際俺も怒りたいわ)
    イチノセはそれを説明していく。
    「種族値っていうのは、ポケモンが種族として、どのくらい強いのかっていう数値で、HP、攻撃力、防御力、特殊攻撃力、特殊防御力、素早さのステータスごとに決まっている。同じ種類のポケモンなら、全員一緒だ。そして、その合計が600に達しているポケモンが、600族だ。もちろん、伝説ポケモンは除いての話だ。それを満たすのが、カイリュー、バンギラス、ボーマンダ、メタグロス、ガブリアス、サザンドラの6匹。僕はそれを全部持っているんだ。君のポケモンはどうなんだ?」
    「……ダイケンキと、フライゴンと、ジバコイルと、マニューラと、ムウマージにクロバット。イチノセさんが言うポケモンは1匹もいませんが文句はあります?」
    こう言ったキザキだったが、もう若干ケンカ腰である。
    「……やっぱりいないんだね。クズの友達はやっぱりクズか」
    「「ふざっけんなああああっ!!!!」」
    ブチ切れている人が2人に増えた。クズと言われると腹が立つのはみんな一緒のようだ。
    「やっぱりクズはクズ……ん?」
    変わらずイチノセが2人をバカにしていると、空気が一変した。
    そして、次の瞬間、熱風やら水流やらがガンガン吹いてきたのだ!!
    「な……どういうことだあっ!?」


    ざわざわ、ざわざわ
    「何か向こうが騒がしいで」
    「まさか、揉め事起こしてるんちゃうやろうな?」
    オオバヤシの予想は的中していた。残りのみんなが行ってみると、

    マイコとキザキの手持ちのポケモン12匹が、今にもイチノセを襲わんとしていたのだ!ちなみにボールは、彼らの足元に12個全部落ちていた。
    「!!!」
    寸前まで来たポケモン達に、イチノセは、さっきまでの他人を小馬鹿にした口調はどこへやら、すっかり参ってしまっていた。
    「あ、あ、やめて……もう、君達のこと、バカにしないから、」
    このように、最初は2人に謝罪をしていたイチノセだったが、その数秒後には、
    「……ねえ、600族を持っているトレーナーの人!あの人達が明らかに悪いでしょう!?」
    反省のかけらもない一言を発していた。
    「……あんた、まだそういうこと言うんだ。全部の責任をあたし達に押し付けようとするのね」
    「きっかけを作ったのはイチノセ、お前やんか。お前が謝らなアカンやろ?」
    こんなのでは、2人の怒りも収まらない。とそこに、ようやく事の次第を理解したみんなが2人の隣に来た。
    「俺は、サザンドラを持ってんねんけど……正直、イチノセ、あんたが悪いで。何差別してくれとんねん」
    「俺もイチノセの方が悪いと思うで。こっちはガブリアス持っとるけど、ただ単に他人をバカにしたいだけやん」
    それぞれ600族である三つ首の悪竜と、青い鮫のような砂竜を持つオオバヤシとトキまでもマイコとキザキの肩を持ったため、もうイチノセに勝ち目はなくなった。
    「うう、すみません、でした……」
    イチノセが土下座を深々と行ったことで、問題は解決したのだった。


    そして、ポケモン達をボールに収め、無事に解決し終えた、その時だった。
    マイコ達7人以外の、100人以上のトレーナーがみんな消滅してしまったのだ!もちろん、さっきまで大揉めしていたイチノセも、だ。
    「え……!?」
    「100人以上は居ったはずやのに……」
    すると、どこからともなく声がした。
    「わっはっはっは!!これで邪魔者はお前達だけだ!」
    「あんたらは……」
    「プラズマ団だ!我々の科学力に恐れ入っただろう!」
    どうやら、さっきのトレーナーの消滅も、彼らの仕業らしい。
    「たくさんの人をどこにやったの!?」
    「ポケモン世界に送り届けてやったのさ!もう自力じゃあ帰れねえだろうよ!」
    「……ひどい……」
    プラズマ団のしていることは、もはや、クーデターを超えてジェノサイドだと言える。
    「お前達7人には、ゲーチス様と七賢人様が待っていらっしゃるから、あの方々からじっくりいたぶってもらうことにするぜ!はっはっはっは……」
    どうしても、最悪最低のプラズマ団を許すことはできない。
    みんなで、国会議事堂の場所にある、プラズマ団の城に入っていくことにした。


    次に続く……。


    マコです。
    イチノセさんの見方は大分いけないと思われます。自分で書いていて腹が立ってきました。
    そりゃあ、マイコちゃんもキザキくんも怒るでしょう。
    そして、ポケモンBWで行う悪事より数倍パワーアップしている気がするプラズマ団の悪事。
    これ以上の悲劇が起こる前に、何としてでも止めなければなりません!!


      [No.529] 今回のストーリー設定 投稿者:マコ   投稿日:2011/06/14(Tue) 14:16:22     44clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    今回は、ストーリーの設定について書きたいと思います。

    まず、舞台は、オオサカを離れ、日本の首都・トウキョウです。
    そのトウキョウに、史上最悪な悪の集団・プラズマ団が来て、中にいた600人余りの議員や記者ごと国会議事堂を消滅させ、代わりにプラズマ団の城を出現させるのです。
    ポケモンBWを最後までプレイした方なら分かるでしょう、アレです。
    もう次元的におかしくなっていますが、気にしないでほしいと思います。

    そして、マイコ達はその城に乗り込み、プラズマ団を倒しに行くという話です。

    プラズマ団と言いながら、Nは放浪したまま出てきませんが、なんと七賢人が勝負するのです!
    どんなポケモンを使用するかは本編でのお楽しみ。


      [No.528] 第1話 異邦人の侵略 投稿者:マコ   投稿日:2011/06/14(Tue) 14:08:33     53clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    ライト少年とゲーチスとの戦いから2年経った、現在のリアル世界。国内の政治は、政治にあまり興味のないマイコ達にも分かるくらい、荒れていた。
    「本日もナガタ町は、与野党の対立が激しく……」
    うんざりするくらい、政治家達は茶番劇とも言える罵り合いを繰り返す。マイコを含め、一般庶民はみな、彼らを信じてはいなかった。
    ついていたテレビを切った後、彼女は、特に見る番組もないので、手持ちのポケモンと一緒にコミュニケーションでも取ろうか、とした、その時だった。
    急に、国会中継にテレビが切り替わり、スイッチも独りでについたのだ!!
    「えっ!?みんな、つけた?」
    マイコが6匹のポケモン……エンブオー、ウォーグル、ムシャーナ、フシギバナ、ラグラージ、ライボルトに聞くも、みな首を横に振るだけだった。
    「おかしいなあ、さっき切ったはずなのに……」
    すると、再び画面に異変が起こった。国会中継の画面が急に真っ暗になり、アナウンサーが焦った表情で緊急原稿を読み始めたのだ!
    「お伝えします。緊急ニュースです。先程トウキョウ都のナガタ町にある国会議事堂が、」
    次の瞬間、誰もが耳を疑う、信じられない言葉が流れた。


    「国会議事堂が、消滅、しました……。」


    全くもって信じられなかった。ブラックホールに呑まれたという可能性は考えられない。サマヨールやマルノームが呑み込める大きさだって限られている。サーナイトもブラックホールは作れる、とそのポケモンを持つオオバヤシからは聞いているが、作ることなんて滅多にない。ましてや、大きさも建物を呑み込むほどではないし、作ったらサーナイトの命が尽きる。じゃあ、ダークライのダークホールか?それもない。ダークホールは相手を眠らせる技だ。建造物を消滅させる性能はない。
    ポケモンに関する知識を総動員しても、マイコには理屈が掴めない。
    そうこうしているうちに、テレビが再び切り替わった。

    そこには、ゲーチスの姿があったのだ……!!


    「こんにちは。ワタクシが、プラズマ団の総帥・ゲーチスです」
    「ゲーチス……まさか、あの……!?」
    マイコ自身も、ポケモンホワイトをプレイしていたため、ゲーチスと聞いてピンと来るのは早かった。しかし、なぜ、ゲーチスが?
    「ワタクシ達、プラズマ団の手によって、日本の政治の中枢は消滅したのです!喜びなさい、国民達よ!」
    彼女はそれを聞き、腹から湧き出る怒りを抑えきれずに手が自然と握られていた。


    先程消滅させたなら、国会議員が大量にいたはずだ。更に、今日は衆参同時審議の日だと聞いていた。全員消滅……となると、600人以上も犠牲になったと考えられる。明らかに、ロケット団以上の悪さをしているし、ハッキリ言うとこれはクーデターなのだ。
    「これによって、日本は不幸から解放されたのです!そして、次は、ポケモン達の解放です!国民がポケモンを持っていても、ポケモン達が不幸になるだけです!さあ、今こそ国民達よ!ポケモンをトレーナーから解放しなさい!」
    「こんなの……おかしい……。私は、絶対、そんなことしない」
    6匹の仲間達もこくん、と頷く。彼女にとって、ポケモン達は色々と思い出を共にしてきた仲間なのだ。ポカブが送られてきた日から始まったそれは、気づけばフルメンバーが揃い、最終進化までいっていた。何かが起こる度、絆も確かになっていく。最高の信頼で結ばれた1人と6匹は、そう簡単に切り離されるものではない。
    「そのことに文句がある者は、トウキョウに来て下さい。ワタクシ達がお相手します」
    ゲーチスがそう言い、画面はブチリ、と切れて真っ暗になった。
    「あいつ……本当に心がない……。やっぱり外道だ……」
    その時、携帯電話がブルッと震えた。着信だ。

    着信 オオバヤシ ケンジ

    マイコはすかさず受話器ボタンを押した。
    「もしもし!?」
    『マイコか。さっきのテレビは見たん?』
    「見たよ。いきなりスイッチがつくし、聞いてて腹が立って……」
    『俺も我慢できへんかった。……まあ、それはそうと、お前に聞きたいことがあんねん』
    「何?」
    『トウキョウに行こうかって思ってんねんけど……マイコも行くか?』
    「行きたいけど……ばーやん、交通手段とか大丈夫なの?」
    『テレポートで行くから、大丈夫。準備できたら連絡せえよ。迎えに行くから』
    「……分かった」
    マイコは急いで身支度を済ませ、ポケモンの準備も整えた。そして、もう一度、連絡を入れた。
    「準備完了です」
    『分かった。すぐ向かうからな』


    5分もしないうちにオオバヤシが来た。
    「あいつ……ゲーチスに会いに行く気?」
    「決まっとるやろ。あんな不条理なこと受け入れられへん。あいつだけはめっちゃムカつくからな」
    そう言いながら、戸締りをし、テレポートで現地に飛んだ……。


    次に続く……。


    マコです。
    ようやく、リアル世界のお話に入りました。
    物凄いことになってます。
    ……誤解の無いように言っておきますが、決して私自身はこうなってほしいとか思ってはいません。
    ただ、何してんのかな、こんな時に、とは思うことはありますが。


      [No.527] 第0話 始まり〜少年と黒幕の戦い〜 投稿者:マコ   投稿日:2011/06/14(Tue) 14:03:42     69clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    今から、ちょうど2年前。ポケモン世界の、イッシュ地方。そこに突如として、大きな城が現れた。
    「全てのトレーナーよ、ポケモンを今こそ、解放するのです!!」
    人々に対し、そのように語った、プラズマ団という組織がこの城を作り、そして、号令を発した。
    それは、全て上手くいくかのように思えた。しかし、そのようなことをする者には、必ず、天罰が下る。彼らも例外ではなかった。
    「な、なんだ、こいつ!」
    「強すぎる!!」
    「プラーズマー!我々は退散しなければ……」
    ライト、そう呼ばれる16歳の少年が次々とそいつらを蹴散らしていった。


    彼は黒い雷撃竜・ゼクロムを従え、白い火炎竜・レシラムに選ばれた青年・Nと戦い、そして勝った。そして、ライトは今、このプラズマ団の黒幕・ゲーチスと対峙している。
    「アナタみたいな人がゼクロムに選ばれるとはねえ、完全に予想外でした。まさか、ワタクシの邪魔をするような人が来るとは!」
    「……」
    「ワタクシは、アナタの絶望する瞬間の顔が見たいのだ!!」
    「おい、てめえ、言いたいことは、それだけか?」
    「……フッ、随分と生意気な口を聞くみたいですね。まあいい、邪魔するものは抹消してあげましょう!」


    勝負自体は、かなり白熱したものとなった。ゲーチスの初手はデスカーン。ライトはそれに対し、ゼクロムを。金色の棺桶はどくどくを放ち、更に守りに入ることで持久戦に持ち込もうとしたが、猛烈な物理的雷(クロスサンダー)に呑み込まれ、黒く焼け焦げた。

    次に黒幕が出したのは、猛牛・バッフロン。ダメージの積算されたゼクロムでは勝機が薄い、そう判断した少年は、勇猛ポケモン・ウォーグルを出した。猛牛の雷を纏った突進、ワイルドボルトを空中に飛翔することで軽やかに躱した大鷲は、そのままの勢いで自分からぶつかっていった。
    「いった……か?」
    「甘いぞ、そのまま、ワイルドボルト!」
    「ウォーグル!!」
    倒されたかに思えた猛牛は、しかし、しぶとく耐え、逆に大鷲の苦手なタイプの、先ほどは躱された技を決めた。
    「……まだ、まだ終わっちゃいない!!」
    しかし大鷲も耐えて、もう一度、飛翔し、空を飛ぶ攻撃を繰り出す。今度こそ、猛牛は地に臥した。

    3体目に出てきたのはキリキザン。
    「こいつは一撃で倒してやりたい!エンブオー、頼む!瓦割り!」
    承知した、と言わんばかりに、相性的にとても良い技がとうじんポケモンに直撃し、こいつはとうとう大火豚に一撃も与えられずに倒された。

    4体目、イボガエルのようなポケモン、ガマゲロゲが出てきたのを確認し、ライトは草猿・ヤナッキーを出した。彼自身、ガマゲロゲは手持ちにいる。そのためか、何を当てればよいかは熟知していたようだ。
    「一撃で決めるぜ!ヤナッキー、タネ爆弾だ!」
    草猿の口から3発もの非常に硬いタネが吹き出し、それは的確に振動ポケモンに直撃した。こいつも結果的に、一撃で倒されたのだった。

    「こうも余裕を見せられる、とはね。アナタを見くびっていたようですね。しかし、ワタクシも負けてはいられません!行きなさい、サザンドラ!!」
    ライトも見たことがない、三つ首の悪竜。ライトは、進化前と思しきポケモンなら見たことはあったためか、ドラゴン相手に強い氷のポケモン、フリージオを次のポケモンとして出した。
    このフリージオも、まあ素早い部類ではあったのだが、サザンドラはその上を行く速さで、大文字をぶつけてきたのだ!
    「フリージオ!!大丈夫か!?」
    しかし、何とか耐えしのいだ氷は、追撃の冷凍ビームを発射する。冷たさに悶える悪竜だったが、フルパワーの大技、気合玉を放つ。無情にも、氷に直撃し、フリージオは倒れた。
    「ゆっくり休んでくれ。でも、ドラゴンだけのタイプじゃねえから、何とかいける!」
    彼は、もう一度、大火豚を出し、格闘の技を放った。しかし、倒したはいいが、弱点の技、波乗りを食らったのは、ライトとしては誤算だったらしい。

    ゲーチスの残りは、1体。彼が最後に出したのは、「弱点のないポケモン」シビルドンだった。
    こいつは、パワーも守りも申し分ないが、速さに難があった。エンブオーの方が速いほどである。少年の一番のパートナーは挨拶代わりに火炎放射を放つが、相手の守りは堅かった。半分程度も相手は体力を残してしまっている。弱点の技、アクロバットをもろに受け、大火豚は倒されてしまった。
    「エンブオー、休んでくれ。よく頑張った。……ゲーチス、お前だけは絶対に、倒す!ガマゲロゲ、行って来い!」
    少年の出したポケモンは、先程はゲーチスが出していたガマゲロゲ。素早い青蛙は出てきてすぐに、波乗りをぶつける。本当なら、相手は電気タイプのため、マッドショットで弱点を突きたかったが、厄介なことにシビルドンの特性は「浮遊」なのだ。
    それでも、もう大部分の体力は削り取った。アクロバットを食らうものの、まだ体力も十分。そして、ライトは、勝負を決定づける一撃を指示した。
    「食らえーーーっ!!!波乗り!!!」
    大きく押し流されたシビルドンは水流の中で体力を残らず削られ、ライトは勝ったのだ。


    「ハア、ハア……終、わっ、た……」
    息をつくライト。一方、ゲーチスは、少年の幼馴染・チェレンと、ポケモンリーグの最高の役職・チャンピオンであるアデクに連れられ、悔しそうに城を去った。
    この時に、敗れた悪の総帥はこう言い残した。
    「覚えていなさい!アナタの前にはもう現れることはないですが、他の場所に標的を移せばまた、ポケモンの解放と邪魔者の抹消はできるのです!!」
    ゲーチスは不敵に微笑んでいた。そして、まさか、この2年後に、この世界でなく、別の世界で、あんな悲劇が起こることになろうとは、まだ、誰も知らない。


    次に続く……


    マコです。
    今回は、いつものメンバーが出てこず、ポケモン世界での話になりました。
    ……ほぼ、自分のポケモンホワイトでのゲーチス戦の話でした。なんかすみません。
    ポケモン世界ではゲーチスは倒されたのですが、彼は、標的を別の方向に向けていたのです……。


      [No.526] ポケリア+(プラス)! 投稿者:マコ   投稿日:2011/06/14(Tue) 13:59:31     52clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    こんにちは、マコです。
    ポケリアの第2部となるこのお話。
    これまでは愉快なお話もちょくちょくありましたが、今回は全般的に暗いです。
    あと、実際起こったら国が転覆してしまいそうな場面が多いので、読む際は本当に気を付けていただきたいと思います。


    全編、【書いてもいいのよ】タグをつけておきます。

    【書いてもいいのよ】


      [No.525] 第22話「深緑ティータイム」 投稿者:あつあつおでん   《URL》   投稿日:2011/06/13(Mon) 21:11:57     72clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    「さて、ここらで一休みするか」

    「賛成ー!わかってんじゃねえかおっちゃん」

     ポケモンリーグを目指すダルマとその一行は、ヒワダタウンを発ち、ウバメの森を歩いていた。緑豊かなジョウト地方で森と呼ばれるだけあり、ウバメの森は木々と水とポケモンで溢れかえっている。例えば、木漏れ日を追ってナゾノクサがまめに動く光景は、この森特有のものである。こうした風景が、旅人の感性をくすぐってきたのだ。

     そうした森の途中のやや開けた場所で、彼らは一息ついた。サトウキビは風呂敷を広げ、湯を沸かし、お茶をいれた。

    「ほらよ、飲みな。今流行のナゾノ茶だ」

    「な、ナゾノ茶?」

     ダルマは思わず、サトウキビから渡された湯飲みを落としそうになった。

    「そうだ。ナゾノクサの葉っぱをむした代物だが、中々いけるぜ」

    「……あの、おじさま?何だか、色が葉っぱに見えないですよ」

     ユミが湯飲みのナゾノ茶に目を向けた。通常ナゾノクサの葉っぱは緑色である。しかし、このお茶は明らかに落ち葉の色だ。

    「なあに、むした茶にはよくあることだ。男は度胸、何でも試してみるもんだぜ」

     サトウキビは湯飲みを手に取ると、ナゾノ茶を喉を鳴らして飲んだ。飲み終わった彼は、頬を震えさせながらも笑っていた。

    「こ、これは『ナゾノカブ茶』じゃねえか。どうりで苦いはずだぜ。誰だこんなもの入れた奴は」

    「……どう考えてもサトウキビさんしかいないでしょう、自分のことは自分でやってますし」

     ダルマはため息をつき、自分の肩を軽く揉んだ。旅の荷物は見た目以上に重いので、長時間歩くと肩に痛みが出てくる。だからこうして肩をほぐすのは至って普通である。

    「まあそうだがな。ところで、ちょっと聞いていいか?」

    「なんですか?」

     突然、サトウキビがじっとダルマ達に注目した。サトウキビはナゾノカブ茶を飲み干すと、こう切り出した。

    「お前さん達とはキキョウシティからヒワダタウンへの道のりで出会ったわけだが、何かあったのか?」

    「へ?何かあったとは?」

     ダルマは少し拍子抜けしたような表情をとった。サトウキビは続ける。

    「キキョウからなら、コガネかエンジュにも行ける。昔は道をふさぐポケモンがいたようだが、今はそういったこともない。なのになぜヒワダのような田舎に行こうと考えたのか、気になってな」

    「なるほど。そういえばどうしてヒワダに行こうって話になったっけ?」

     ダルマはゴロウとユミに尋ねた。ゴロウは話を聞いてなかったのか、ナゾノカブ茶に手を出したようである。一方ユミは木漏れ日を浴びながら体を伸ばしている。ダルマはその光景に息を漏らした。

    「確か、『色々な地域を回って見聞を深める』はずですわ」

    「いや、『ジム線のために後から行くのが面倒だから先に行く』というはずだぞ?」

     ユミとゴロウはそれぞれ答えた。しかし、お互いの答えは全く異なっていた。

    「なんだ、何となくこっちに来ただけか?」

    「まあ、そういうことになりますね」

    「そうか。まあいい、若いうちはそのくらい無謀でなくてはな。俺もお前さん達くらいの頃は……」

     サトウキビは徐々に舌が回ってきた。こころなしか、サングラス越しの目が輝いているように見える。

    「へえ、サトウキビのおっさんにもやんちゃな時があったのか?」

    「おい、俺はおっさんではないぞ坊主」

    「そうですよゴロウ様。サトウキビ様はおじさまですよ」

    「……フォローになってねえよ、お嬢ちゃん」

     このやり取りにより、森中に笑いがこだましたのは想像に難くない。彼らの旅は、まだまだ続く。


    ・次回予告

     門をくぐるとそこは、別の世界だった――。たどり着いた街は、ジョウト地方最大の規模を誇るコガネシティ。そこで見るもの聞くものは、全てダルマ達の常識を覆すものであった。しかし彼らが最も驚嘆した事実、それは……。次回、第23話「栄華の街、コガネシティ」。ダルマの明日はどっちだ!?


    ・あつあ通信vol.3

    今回はメインキャラであるゴロウについて話します。
    まず、彼がどうしてこの名前になったかについてです。覚えている方がいるかわかりませんが、GBCのクリスタルバージョンの30番道路に、「コラッタだけで最強になる!」と豪語する短パン小僧がいました。彼の名前がゴロウだったので、そのまま採用しました。現在ゴロウはコラッタ以外のポケモンを持ってません。とても意識しているわけです。

    では、なぜたかだかモブ1人に愛着を持つのか。それは単純に「コラッタだけで最強になる」という心意気に感動したからです。ゆえに、「せっかくだから活躍させよう」とメインキャラとして使うのです。

    ところで、前回の話では生まれたばかりのカモネギとストライクがバトルをしました。ゲーム的にはカモネギがレベル1、ストライクはレベル17です。本当に勝てるのか?と思った方もいるはずですが、何とかなります。まずコクーンの糸を吐くで負けん気発動、カモネギはコクーンを倒します。これでレベル10まで上がり、タスキ消費からのアクロバットとフェイントを叩き込みます。両方最大ダメージならばギリギリ撃破。ちなみに、経験値の計算はBWの式を使用しております。

    それではこの辺で失礼します。ありがとうございました。


    あつあ通信vol.3、編者あつあつおでん


      [No.524] 第7話 お嬢様は逃亡中 前編 投稿者:魁炎   投稿日:2011/06/13(Mon) 18:14:52     43clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    シママをゲットしたアレンは、ダルクと案内の元、302番道路を越え、『リンガシティ』に到着した。

    「この街にはポケモンジムもある。バッジを8個集めれば無条件でポケモンリーグに出場できるから、挑戦する価値ありだ。」

    「へぇ〜。」

    「しかしジムリーダーは強い。油断しない方がいいぞ。」

    「そっかー・・・。ねぇダルク、どこかその辺にポケモンを鍛えられそうな場所ってない?」

    「そうだな・・・。あそこにある『緑の横穴』とかはどうだ?」

    そう言ってダルクは、街はずれにある洞窟を指差した。

    「へぇ〜、なかなか良さそうなところだ。早速行こう!」

    「ああ。」

    その時、こちらに一人の少女が走ってきた。そして、アレンと正面衝突してしまった。

    「うわっ!」

    「きゃあっ!」

    ぶつかった二人は、ほぼ同時に尻もちをついた。

    「だ、大丈夫か!」

    「あ、うん。僕は何とか・・・。そっちの女の子は大丈夫かな?」

    「いたた・・・。」

    「・・・どうやら、大丈夫そうだな。」

    「・・・ご、ごめんなさい!私、急いでいたものですので・・・。」

    「いや・・・いいよ別に。ところで、何をそんなに急いで・・・」

    「いけない!もう追手が来てしまいます!お二人とも、失礼します!」

    そう言って少女はその場を去った。

    「何なんだ・・・?あの娘。追手がどうとか言っていたが・・・。」

    「うーん・・・。」

    アレンとダルクが考え込んでいると、突然黒服の男たちが走ってきた。

    「くそっ・・・!見失ったか!」

    「早く連れ戻さないと、旦那様に叱られてしまう!」

    「あの・・・皆さん、どうかしたんですか?」

    「ああ。実は、お嬢様がポケモントレーナーになると言って家出をしてしまったんだ。」

    「旦那様はお嬢様を箱入り娘のごとく大切にしていたからな・・・。連れ戻すのに失敗したら、どんなに叱られることか・・・。」

    「・・・で、そのお嬢様の外見特徴は何だ?」

    「あ、ああ。黒に白縁のリボンを頭につけて、ゴスロリを着た・・・君と同じくらいの年の娘だ。」

    黒服の男の一人は、そう言ってアレンを指差した。

    「それって・・・さっきの子かな?」

    「ああ、おそらくな。」

    「君達・・・お嬢様を知ってるのか!?」

    「あ、はい。さっき僕とぶつかったので・・・。」

    「それでお嬢様はどちらに?」

    「えっと・・・確かあっちの方です。」

    「ありがとう!」

    黒服の男のリーダー格の男はアレンたちにお礼を言い、その場を去った。

    *         *         *

    「はっ・・・はっ・・・。」

    少女は走っている。しかし、ずっと走り続けてきたためか、息も絶え絶えだ。

    「・・・っ!このままじゃ、追いつかれてしまいます・・・!」

    「いたぞ!お嬢様だ!」

    「・・・っ!」

    少女は、ついに黒服の男達に追い付かれてしまった。

    「お嬢様、いくらポケモントレーナーになることを反対されたからといって、家出などとは!」

    「旦那様もすごく心配してます。どうかお屋敷にお戻りになってください!」

    「残念ですが・・・そのお願いは聞けません。」

    「くっ・・・ならば、力づくで連れ戻させていただきます!」

    黒服の男のリーダー格の男は、ヤンヤンマ、サイホーン、グラエナを繰り出した。

    「・・・私のポケモンが3匹であることを知っていて、3匹出したのですか?フェアプレイのおつもりですか?」

    「いえ・・・しかし、ポケモントレーナーになりたがるお嬢様のことでしょう。卑怯なことを嫌うと思いましてね。ここはトリプルバトルで行かせてもらおうかと。」

    「・・・いいでしょう。その勝負、乗らせていただきます!」


      [No.523] 半耳イーブイ探険隊! 〜第1,5話〜 昔話、そして……(半仮) 投稿者:ふにょん   投稿日:2011/06/13(Mon) 00:02:30     57clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     ふぅ……昨日は緊張したなぁ……
     ギルド生活一日目。朝からいきなり寝坊した。
     おこしてくれたっていいじゃない。仮入門だからかな?
     今さっき、ペラップが思い出したようにやってきて、おこしてくれた。
     相変わらずギルドには他の弟子がほとんどいない。
     一体どうなっているのだろうか。何かあったのかな?

     ともだちリボンをバッグにしまい、頭から体にかける。
     ギルド入門(仮だけど)を済ませて一安心。
     済ませたことには済ませたが、どうやら初心者はチームを組まないといけない(組んだほうがいい)ということらしい。
     と、言う訳でとりあえず誰か一緒にやってくれるポケモンを探しに行こう。
     とはいっても……どうやって探せばいいのだろうか?
     とりあえず、外に出てみようかな。
     プクリンの部屋の前を通り、梯子に前足をかける。
     相変わらずこの梯子、怖い。毎回慎重に登らないといけない。
     はぁ。やっとのことで真ん中のフロアについた。
     ん? 向こうから声が聞こえる。あの調子に乗ったような軽い口調は、ペラップかな?
     紙の張り付けてある壁の前でうろうろしながら大声で独り言を喋っている。

    「どういうことなんだい! せっかく捕まえたのに逃げられるだなんて! ぶつぶつ……ん? はっ!」

     私の視線にペラップが気づいたようだ。 
     ここまで熱中して独り言を言えるポケモンを、初めて見た気がする。
     まぁ、独り言を言うポケモン自体、あまり会ったことがなかったが。
     
    「い、いつからそこにいたんだい? バサバサ! おっと、なんでもないよ! この後ろには何もないんだからね! さぁ、あっちへ行った言った!」

     露骨に何かを隠そうとしている。
     ペラップってもしかしたら……結構わかりやすいキャラなのかもしれない。
     でも、何を隠しているのかがとっても気になる。
     じろじろと見ていると、ペラップがまたしても大声でしゃべりだした。

    「こ、これはだな、おたずねもの掲示板と言ってだな……全国のおたずねものが貼り出されているんだ。さぁ、わかったら行った行った!」

     聞いてもないことをペラペラと喋るペラップ。
     そこまでして隠したい物とは何なのだろうか。
     余計見てみたくなっちゃう。
     だけど、ペラップがどんどん顔を赤くしていくのが見えたので、ひとまず退散することにした。
     一番上部に上ると、既に鉄格子が上がっているのが見える。
     いつ開けたのだろうか……?
       ずどどどどどどど
     とかいう音がすればわかるはずなんだけどなぁ…………まぁいいか。
     ん〜! 朝日(昼だけど)が気持ちいい。
     初夏の日差しは温かいような、熱いような、乾いた感じだった。
     前足をまっすぐのばし、体を後ろに引いて伸びをする。
     体をぶるぶるとふって、準備完了! ……とはいっても、毎朝やってるんだけど。
     で。どこに行こうか?

    ――――――――――――
     〜一方その頃、とある場所〜

    「んじゃ〜、行ってらっしゃい。久々のもふもふ活動、がんばってくだしゃいな。」
    「任せておけ。全世界を狐ともふもふにしてやるのじゃ!」
    「よいしょ〜。はい、テレポート!」
       ぶい〜ん

    「あ、失敗したかも……変な所に飛んでないといいけど……」


       ぶい〜ん
     バキバキバキ! どしゃ!

     いたたたたた……
     ここはどこじゃ? 全く……あやつめ、また変な所に送りよったな。
     もっとまともなところに送れ、と毎回言っておるじゃろうに。
     帰ったらもふもふの刑じゃな……うむ。
     確か、テレポートの効力は一日じゃったかのう。明日を覚えておれ。
     ……さて、このあたりで適当にもふもふ同志を増やすとしようかのぅ。
     ふむ。ここは海岸のようじゃの。ここなら他の奴にはあまり見られないじゃろう。
     なんとかして誘いこんでもふもふじゃ!

     ―――――――――
      
     うん。とりあえず、海岸に来てみたけど。
     誰もいない。
     海岸なんだからクラブくらいいたっていいと思う。
     でも、トレジャータウンには今日はもう行きたくない。
     みんなの視線が右耳に集まっちゃって……なんか恥ずかしかった。
     特にMADとか言うチーム……思いっきり睨んできた。はっきり言ってあれは怖い。
     はぁ……誰もいない場所にいても誰もチームなんて組んでくれない……どうしようか。
     海岸に座りこみ、またしてもボーっとタイムが始まった。
     
     ――――――――――

     ぬぅ……いつになったら来るのじゃ……やっぱり自分から動かないとだめかのぅ?
     ……お? 
     ようやく誰か来たようじゃな。朝から待ったかいがあったというものじゃ!
     よいこらしょっと。
     ふふふ……まずは声をかけることからかの!

    「そこのイーブイ、ちょっといいかのぅ?」

     ――――――――――

    「そこのイーブイ、ちょっといいかのぅ?」

     ん……?
     誰かに話しかけられた気がするなぁ……
     多分、気のせいだろう……やけにはっきりしてた気もするけど……
     最近なんだかおかしいなぁ……

    「そこのイーブイ! 聞いておるか?」

     はっ……やっぱり気のせいじゃない?
     後ろに振り向くと、大きな金色をした、尻尾が九本ある……狐さん?
     さっきまで誰もいなかったのに……

    「ふふ……可愛いイーブイじゃ。じゅるり。」

     なんだかさっきから口をじゅるじゅると鳴らしている。
     おいしそうなものが目の前にある時にならすあれだ。
     おいしそうな……もの……?

    「安心せい、食べたりはせん。じゅるる。ん? お主、右耳が半分しかないようじゃが、何かあったのかのぅ? 」
     
     半分しかない私の右耳を不思議そうに見つめている。
     やっぱり……普通じゃないのかな?
     私はそんなに……どうとも思ってないんだけどな……
     それと、口をじゅるじゅるならしながら『食べたりはせん』って、説得力なさすぎるよ……

    「はっ! こんなことしている暇はなかったんじゃった。いきなりじゃが、どうじゃ? もふもふされてみんか?」

     もふもふ? 何のことだろうか……?
     ああ、寝る前に自分の尻尾を抱いて顔を埋めるあれかな?
     尻尾が大きいと毎晩できるもんね。今は別にしてもらわなくても……いいや。
     って言うか、してもらうものなんだろうか……?
     首を横に振って、またぼーっとタイムに入る。
     これであきらめてくれるといいんだけど……
      
    「ぬぅ……嫌と言われてもしてやりたいところじゃったが……どうかしたのか? やけに元気がないように見えるぞ? まぁ、いつものお主は知らぬから、素で元気がないかどうかはよくわからんがのぅ。」
     
     夕日がきれいだな……
     明日は友達できるかな……
     波が足に当たって冷たいな……
     それに、金色のふかふかしたものが……
     ……ん? 金色のふかふかしたもの?
     ぁ……よく見ると、さっきの金色の狐さんが隣に座っている。いつの間に。  
     
    「うむ。元気のない奴にしたところでつまらぬからの。さぁ、どうして元気がないのか話してもらうとしよう。相談になら乗るぞ? まぁ、嫌なら無理にとは言わぬが。」

     是非相談してくれと言わんばかりに目をキラキラさせてこっちを見つめてくる。
     この状況……言わないわけにはいかないよなぁ……

    「どうした? 何か言えないわけでもあるのかの? もしかしてお主、相当の恥ずかしがり屋なのか?」

     ……仕方がない。
     
     ……これまでの経緯を、手短に話す。
     右耳が半分になってしまったわけ、ギルドに入門したこと。
     一緒に探検隊をやってくれるパートナー(すなわち友達)を探している、ということ。
     それが全く見つからない事、そして今に至ること―――

    「ほぅ……ふむふむ。それは大変じゃったのぅ。それで元気がないのじゃな……ふむ。」
     
     こくこくこく、と何かを理解したように金色の狐さんは首を縦に振り、頷いている。
     しかしこの狐さん、どこからともなく現われて話しかけてくるなんて、怪しいよなぁ……
     油断させておいてパクッ……とかならないよね……?
     
    「よし。それじゃあ、わしが一つ昔の話をしてやるとするかのぅ。あれは――――」

     頼んでもいないのにいきなり話しだす、金色の狐さん。
     なんでこうなるんだろう?
     変なポケモンもいるもんだなぁ……
     まぁ、話を聞くだけだったらいいけどさ……
     変なポケモンだとは思いつつも、話に耳を傾けることにした。

     ―――――――――――――――――――――――――――――

     あれはのぅ……かなり昔の出来事じゃった。
     昔はわしはの、お主のように……その……恥ずかしがり屋のところがあったのじゃ。
     他者と接することに苦手意識があってな、とあるポケモンと出会うまで、ずっと一匹でいることが多かったのじゃ。
     わしは、いつものように川辺で化ける練習をしておったのじゃ。
     ふと、誰かの視線を感じたわしは、化ける練習を中断し、辺りを見回したのじゃ。
     するとのぅ、一匹のポケモンが、のぞき見をしていたのじゃ。
     もちろん見られたわしは驚いて、近くの茂みに隠れたのじゃが……
     あやつは電光石火でわしの近くまで飛んできたのじゃよ……それは鳥肌物じゃったぞ。全身の毛が逆立ちそうになったからの。ほっほ。
     それでのぅ? あやつは何をしたと思う? 話しかけてきたのじゃ。
    『キミ、すごいね! 化けることができるなんて!』と。それは楽しそうに尻尾を揺らしながらのぅ。
     あまりいもいきなりの出来事じゃったから、わしは一歩後ずさりをしたのじゃ。すると、あやつは一歩こっちに歩み寄ってくるのじゃ。
     わしが一歩退く、あやつが一歩前に出る。それを繰り返しているうちに、わしは後ろの川に落ちてしまってのぅ。
     幸い、流れはゆるやかで、浅かったからの、溺れることはなかったのじゃが……あの時はまだ水に耐性がなくてのぅ……
     わしは混乱してしまってのぅ……まぁ、最終的にはあやつに助けてもらったのじゃが。
     恥ずかしくなって逃げ出したくなったのじゃが……助けてもらったし、逃げるに逃げられなくなってしまったのじゃ。
     そして、緊張と寒さでぶるぶる震えていたら……あやつがとある木の実を差し出したのじゃ。
     真っ赤で、トゲトゲのついたような木の実――――マトマ。
     食べると体の内側からあったまってくるようでの、今でもあの味は忘れる事ができん。
     そしてのぅ? あやつは言ったのじゃ。
    『キミはいろいろな物に化けることができてすごいなぁ……』
     わしは顔に何か熱いものが昇ってくるのを感じておったのを、マトマのせいにして、とりあえず頷いておいた。
     そして、何を思ったのか、その場で化けてみたのじゃ。不思議じゃろう? 先ほどまであんなにびびっておったのに、初めて他者の前で化けたのじゃ。
     あやつの驚いた顔……鮮明に覚えておる……ぷぷっ……今思い出しても笑えるのぅ。
     それでの? 得意になってわしはいろいろな物に化けて、あやつを驚かせたり、楽しませたりしたのじゃ。
     気がつくと、わしも一緒に笑っておった。
    『えへへ、やっと笑ったね。』
     おそらく、わしが変わった瞬間じゃったろうな。
     その日の翌日から、わしらは毎日といっていいほど一緒に遊ぶようになったのじゃ……
     あやつに化かしを見せることによって、化けることにも自信が持てるようになっていったのじゃ。
     その頃から、人間に化けて人間の町に出かけたりもしたのぅ……
     あやつと一緒に、散歩したり、葉っぱを化かして作ったお金で団子を掠め取ったり……
     あの時は楽しかったものじゃ。毎日が幸せだったからのぅ。
     気がつけば、わしは笑うことが増えていたのじゃ……
     じゃが、楽しい時はあっという間に過ぎ去るものでな……
     わしはこう見えても、結構長生きができるのじゃ。だがのぅ……だれしもがそんなに長生きができるわけじゃないのじゃ……
     あやつも、そうじゃった……まぁ、あやつに限らず、友になった者は皆そうだったのじゃがのぅ……
     まぁ、仕方ないのじゃ。これもまた、わしがキュウコンとして生まれた運命だったのじゃろうな。
     おっと、話がそれてしまったの……さて、そろそろ元の話にもどすとするかの…… 
     そうじゃ、あやつは最後まで笑っておった。そしてこう言ったのじゃ。
    『キミと友達になれて本当によかったよ……こんなにきれいな美狐さんと友達だなんて、ぼくは世界一ラッキーだったよ……』
     ふん……最期の最期までマイペースじゃったよ。
     ……全く。変わるきっかけをもらったわしのほうがよっぽど運がよくて幸せ者なのにのぅ……
     あやつは本当にいい奴だったのぅ……長らく生きてきておるが、心の底から親友と呼ぶのにふさわしいいのは、あやつのほかには数えるほどしかおらんしのぅ。
     つまり、わしが言いたいことはのぅ……
    『どんなに恥ずかしがり屋だろうと、内気だろうと、変わっていようと、心を通わせることのできる友は必ずできる』ということじゃ。
     現に、わしが体験しておるのじゃから、まちがいないぞ。
     きっとお主にも、近いうちに友ができるときが必ず来る。わしのことを見てくれていた、あやつのように、お主のことを見てくれる奴がきっといるはずじゃ。
     お主は結構ヘビーな体験をしておるが、その現実から逃げずに、ここまで来たのじゃろう?
     逃げずにやって来たのなら、きっとその分、縁がめぐってくるじゃろうて。
     それと、もう一つ。
     もし、友と出会えたなら――――その時間を、思い出を、大切にすることじゃ。
     お互い支えあって、強く生きるのじゃぞ。
     ほっほっほ。わしはお主が気にいった!
     どれ、ここで会ったのも何かの縁じゃ。お主が良い友に出会えるよう、おまじないをかけてやろう。
     皆には、秘密じゃぞ?
     それ、もふもふもふ…… 
     ふふ……かわいいのぅ……大丈夫じゃ、お主にはこの後すぐに――――――

     ――――――――――――――――――――――――――――――――

    「ねぇ、ここで寝られると困るんだけど。サッサとどいてくれない?」

     体を左右にゆすられて、目が覚めた。
     どうやら眠っていたようだ。
     いつから眠ってたんだろうか……?
     確か……金色の……何かに……にもふもふされてから意識が無くなって……って、あれ?
     
    「変わったポケモン……そう言えば、見かけない顔ね。あなた、この辺のポケモンじゃないでしょ? それくらいお見通しよ。」

     よっこらせ、と体を起こす。
     改めて、声のするほうに向きなおるとそこには、薄緑の体と、頭に大きな葉っぱを持ったポケモンが座っていた。
     声の調子からしてとても気が強そうだ…… 
     
    「なんて言う名前なの? 私は、チコリータ。まぁ、見てのとおりよ。あなたは?」

     チコリータと名乗った薄緑のポケモンに、今度はそっちが自己紹介するばんでしょ、的な目で見られたので、仕方がなく自己紹介をする。
     出身地、歳、名前、ここに来た理由を、簡単に説明する。
     相手は名前しか言っていないのに、なぜこっちはこんなに言わされないといけないのだろうか……
     
    「ふぅん……イーブイって言うんだ。で、探検隊をやりたいけど、チームを組むポケモンがいなくて困ってると……ふーん。こんなのが探検隊を、ねぇ。」

     こんなの……
     こんなのって言われた……
     確かに私は内気だし、積極性もないけど、こんなのって言われると、ちょっと悲しい。
     
    「そうねぇ……私が、一緒にやってあげようか?」

     ……え? 
     今、なんて?
     私には、「一緒にやってあげようか?」って聞こえたような気がするんだけど。
     な、なんで?

    「聞こえてる? 一緒にやってあげようか? って聞いてるの。」
      
     ――――――――――――――――――――――――――――

     じゃあ、今日はとりあえず荷物まとめてくるから、明日プクリンのギルドの前にいてくれ。
     ということで、チコリータは去って行った。
     なんだかとっても気が強そうだけど、とにかくギルドに正式加入できそうでよかった。
     それにしても……あの金色の……えーっと、誰だっけ……まぁいいや。
     不思議なポケモンだったなぁ……
    『心を通わせることのできる友が、近いうちに必ずできる』っていってたよぅな……
     まぁ、そのうちできるってことだよね!
     
                     
                            2話につづく

     ――――――――――――――――――――――――――――――

     〜あとがき的物体(?)〜

     チャットの副産物、長老の昔話より。
     2話へのつなぎ+長老とのコラボレーション(?)
     しかしこれは(仮)ver.ですので、いろいろと直すべき場所はあると思います。
     長老が話してるところとか話してるところとか話してるところとか。
     途中で主人公が喋らなくなるのは……寝ちゃtt(ry
     と、言う訳で、1,5話(仮)完です。 
     ありがとうございました〜
             

    【何をしてもいいですとも】
    【長老への……なのよ】


      [No.522] その17 大きさパニック! 投稿者:マコ   投稿日:2011/06/10(Fri) 14:22:34     44clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    ある日のことです。オオサカ中に、「パートナーのポケモンの大きさがおかしくなる」煙がばらまかれました。
    そして、例外なく、マイコ達のパートナーもその被害に遭ってしまったのです……。

    ※(1)〜(7)まではパートナー目線で、最後の(8)のみは全員集合の形でお送りします。


    (1)エンブオーの場合
    ボクの朝はマスターの悲鳴から始まった。
    「どーしたのっエンブオー!!!大きすぎるよ!!」
    ……ボクの本当の大きさは、そこにいるマスター……マイコさんよりも少し低いくらいなんだ。だけど、今は、何故か、ボクの方が、やたらと大きい。
    マスターが小さく見える。
    仕方がないから、ボクはマスターを腕でなでてあげた。
    「エンブオー!?」
    なかなかできないよこんなこと。普通はマスターからなでられる方が多いから。
    「そういえば、私、エンブオーに、こうされたことってない、なあ」
    そういえば、マスターの家に来てから、ボクはマスターにかわいがられてきた、って思えるようになったんだ。仲間もいっぱい増えたし。マスターは優しくていい人。
    ……でも、大きさだけは、戻りたいなあ。
    これじゃあ落ち着けないよ。


    (2)デンチュラの場合
    ある朝、ボクが起きてみると、何か周りのものが大きく見えた。
    ボクが進化する前、うん、ちょうどバチュルの頃の目線くらいかな。っていっても、ボク達デンチュラは人間の大人の半分もいかない大きさにしかならないけれど。
    ……あ、ケンジさんの手だ。たくましくて、おっきいなあ。そういえば、進化する前は乗っていたんだよね。この手に、よく。懐かしいなあ。
    「何か、えらいちっさくなったなあ、デンチュラ……」
    あれあれ、ケンジさん、呆れちゃってるなあ。
    だから、ボクは、自分が乗っている手に、足先をトントン、と打ち付けて、大丈夫だよ、って伝えたんだ。
    「……大丈夫、ってことか、お前が言うんなら、そうやなあ、……分かった。俺も、あんまり、心配せえへんようにしとくわ」
    良かった、伝わった。たぶん、大丈夫だよ。きっと戻るはずだから。


    (3)エルフーンの場合
    もこもこ、もこもこ。
    おいらの体は、たっぷりの綿で覆われてるんだ。
    もこもこ、ふわふわ。これは相手をジャマすることもできるし、攻撃を防ぐクッションにもなるんだ!
    「……うーん……」
    あ、リュウイチが起きたみたいだ。おはよう、リュウイチ!
    「……エルフーン……、……!?」
    どうしたの、そんなジロジロ見て、おいら、何かおかしいところでもあるのか?
    「お前、そんなでかかったか?」
    え!?そうだったのか!?おいら気づかなかった……。
    「やってそうや。お前は確か、俺よりずいぶんとちっさかったはずやで。今、俺と目線変わらへんもん」
    あ、本当だ。今気づいたけど、周りが白いなあ。……ってことは……、
    「部屋にいっぱい綿が散らばってる……。こりゃあ掃除せなアカンなあ」
    そう言うリュウイチだけど、顔がちょっとにやついてた。悪くはないよ。こういうことも。


    (4)シャンデラの場合
    「うっわー……、シャンデラ、お前、デカなったなあ……」
    マスター……つまり、トキさんがボクに闇の石を使って、ボクが進化したちょうど、次の日。
    ものすごく大きくなった。
    本当は、マスターの大きさの、半分強ってところなんだけど、何があったんだろう?
    今のボクの大きさといえば、マスターの倍の大きさだ。だけど、マスターだって小さくないから、かなり大きくなっていることが分かると思う。
    でも、マスターはこういうところには、意外と呑気って感じだからねえ。そこまで頭を抱えてうーん、うーん、ってくよくよしてはいないんだ。
    だってさ、さっきも、ボクに、
    「ここまでデカかったら、俺を乗せて飛べるんちゃう?」
    とか言っていたからね。
    ちょっと子供っぽいけど、ボクはそんなマスター、嫌いじゃないよ。


    (5)ドレディアの場合
    あわわ、わたし、どうすればいいのでしょうか?
    夕べ、マスターと一緒に寝て、起きてみると、何だか周りが大きく見えているんです。マスターの家のものがみんな、わたしより大きくて。
    チュリネのころよりも、更に小さくなって……
    どうしましょう……。
    「ああっ、ドレディア!泣かんとってや!」
    ああ、わたし、マスターを困らせてしまいました……。マスターにまで心配をかけるわたしって、どうしようもなくて、情けなくて……。
    でも、そんなわたしを見て、マスター……カワニシさんは、こう言いました。
    「ドレディア、俺の手の上に乗ってや」
    わたしは言われるままに、彼の手の上に乗りました。
    「俺も正直、何でこうなったんやろってビックリしてる。けど、ドレディアが泣くことなんてないから、大丈夫」
    彼はそう言うと、わたしの頭をなでてくれました。
    わたしの目からは、さっきまでとは違う意味の、雫がこぼれていました。


    (6)ジャローダの場合
    ワタシを見て、マスターはキョトンとしています。
    目を数度、瞬きさせ、こう言いました。
    「これって……夢なんか?ジャローダ……めっちゃデカいねんけど」
    元々、ワタシみたいなジャローダという種族は、人間よりももっと大きくなるポケモンなのです。ですが、今、ワタシの体は、マスターであるアキヤマさんを遥かに超えるほど大きくなってしまいました。
    これでは、マスターに触れ合うこともできません。もし、ワタシがマスターを潰してしまったら、っていうことも十分、考えられます。
    でも、その心配は、杞憂のようでした。マスターから近寄ってきたからです。
    「ジャローダ、頭を向けて」
    言われた通りに頭だけ向けると、マスターがなでてくれました。
    「そっちが近寄れへんのなら、俺が近づけばええってことやんか。心配することなんてないで」
    マスターの言葉には、説得力があって、ワタシの方が何だか励まされました。


    (7)ダイケンキの場合
    わたくし達は、主人のために、忠義を尽くしていかなければならないのです。そのために、主人のそばにいて、お守りしなければならないのです、が……。
    「ダイケンキ!?お前ちっさいで!!」
    主人であるキザキ様が慌てるほどに、わたくしは今、かなり切迫した状況におかれている次第なのであります。
    何しろ、人形とも呼べるほどに小さくなっているのですから、慌てないはずがないのです。本来ならば、主人よりもわたくしの方が大きいのですから。
    そんな中で、主人はわたくしのところに手を伸ばし、わたくしを手のひらに乗せました。恐れ多くて、主人のお顔を見ることができないのですが、主人はこう言って下さいました。
    「ダイケンキ、僕の顔を見てほしい。……僕やって、正直、ちょっとどころやなくパニクッてんねんけど、……、上手く言葉が出えへんけど……、とにかく、大丈夫やから!」
    言葉が多少拙くしか出てこなくても、わたくしにとっては大事な、一生をかけてお守り通さねばならない主人なのです。そう言って下さるだけで、わたくしにとってはありがたいのです。


    (8)みんな集まって。
    7人全員が連絡を取り合い、近くの空き地に集まった。
    「完全に、最初に届いたポケモンだけが大きさがおかしいってことなんだね」
    被害状況は、ポケモンを見れば一目瞭然、って言う訳で、全員がパートナーをそれぞれ、繰り出した。
    「私のエンブオーは見ての通り、大きいの」
    「デンチュラはここにおるで。小さくなっとる」
    「エルフーンはこっちに。デカいで」
    「シャンデラは頭上におる。こっちもデカいねん」
    「ドレディアはここに。手のひらに乗ってるで」
    「ジャローダはここ。デカなってるから」
    「ダイケンキは手の上におりますから、小さいです」
    メチャクチャな状態であるのを確認したところに、1人の白衣を着た男が来た。
    「すみませんでしたーっ!!!」
    彼は膝から滑り込むように土下座をしていた。
    「あの、顔を上げて下さい。あなたは……」
    マイコが聞くと、男はブルブル震えながら答えた。
    「ぼ、ぼ、僕は……、けん、きゅう、い、ん、を、して、おり、まして……、実は、昨晩に、煙、を、ばらまいて、しまったん、です」
    「せめて落ち着いて喋ろうや」
    「です、から……それ、を、解決、する、薬、を、持って、来ました……」
    その大瓶には、「オオキサナオール〜肥大も矮小もこれでバッチリ標準に!〜」とあった。
    全員が心の中でこう思った。
    (うっわー、胡散臭い……)
    しかし、これしか頼れそうな方法はなかった。そのため、ポケモン達に与えた。


    すると、みんな元の大きさに戻った。
    「それじゃあこれでさよな……」
    『待って』
    研究員はとんずらを仕掛けようとしたが、7人とも止めた。
    「逃げようっていう虫のよい考えをしないでほしいんだ」
    そうマイコが言うと、
    「じゃあ僕のことを全力で攻撃していいよ。なんてったって僕、すっごくマゾだから」
    そのとんでもない告白に全員顔面蒼白だった。
    「こいつ、ある意味潔いな……」
    「自分でドMって言われへんで」
    「じゃあさ、やる?攻撃……」
    あまり気は乗らないが、全力で攻撃を行うことにした。
    「デンチュラ!雷!!」
    「エルフーン!エナジーボール!!」
    「ドレディア!花びらの舞!!」
    「シャンデラ!オーバーヒート!!」
    「ジャローダ!ハードプラント!!」
    「ダイケンキ!ハイドロカノン!!」
    「エンブオー!ブラストバーン!!」
    7種の攻撃(そのうち3種は究極技)を受け、研究員は吹っ飛んでいった……。
    とりあえず、1日だけで、猛烈な疲労感に襲われた7人であった。


    おしまい


    マコです。
    ポケリア第1部は一応、ここでおしまいということにします。
    第2部「ポケリア+(プラス)!」をこれから、作成しようかな、と思っています。
    今度は、全編シリアスチックになりそうです。今回出てきた7人が、新たな悪に立ち向かう、そんなストーリーにしようかな、と思っています。
    楽しみに待っていて下さい!
    【書いてもいいのよ】
    【描いてもいいのよ】


      [No.521] 夏の風物詩 三色バニラ 投稿者:   投稿日:2011/06/10(Fri) 01:26:58     78clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     暑い。テッカニンがぶんぶんいってる。隣んちのガーディも鳴いてる。ポッポなんてもう鳴いてすらねえよ。
     縁側に寝そべって涼しいかって、いやまあ、もちろんそんなことはない。
     庭には池がある。アメタマが沈んでる。
     木もある。ミノムッチが暑さで地面まで垂れてる。
     ポケモンが暑がってるんだから人間のおれなんか溶けちまう。人間のおれが溶けるんだから、氷タイプのポケモンは間違いなく溶ける。
     
     そこで俺はがばっと起き上がった。汗が飛んだ。
    「……溶ける」
     思わず口から漏れた呟きは溶けかけていた。
     暑さにもかかわらず、俺は縁側から庭に飛び出した。つっかけなんて履かないで、身体が覚えていた走り幅跳びを自然とやってしまう。池の横に着地。飛び込みたい衝動を抑えて蔵まで走る。
     つっかけがなきゃ涼しいかって、いやまあ、そんなことないんだってば。
     地面は熱い。この辺は昔、海だったから砂が海のものだ。柔らかいし細かいし、でもすぐに熱くなっちまう。俺はこの炎天下で足を思いっきり上下させて走る。
     蔵の裏まで来ると、マメパトが倒れていた。きっと屋根裏に巣くっていたやつが暑さで落ちたのだろう。そいつをまたいで扉の前にまわってみると、今度はスピアーがいっぱい落ちている。よっぽど熱いらしい。軒下に見える巣にしがみついているスピアーまでいる。あ、落ちた。
     重い扉を押して、蔵の中に入る。
     さすがにちょっとは涼しかった。今日一日ここで過ごしたいくらいだ。でも俺にはやることがある。
     トラクターが並ぶのを避けて、精米器の横を通って、野菜が入ったダンボールの林を抜ける。そこには冷凍庫があった。
     業務用の大きな冷凍庫だ。蓋を持ち上げて開けるタイプの。さあ、開けよう。夏はこれで攻略できる!
     俺は両手を使って冷凍庫を思いっきり開け放った。
    「ばにりっちいいいいいいい!!」
     中にいたバニリッチに汗が垂れた。びっくりしている。汗がついてちょっと嫌な顔もした。
    「さあ来い!」
     意外とでかいこいつを両手で抱え込んで蔵を飛び出す。
     少しだけ周囲が涼しくなった。地面に倒れていたスピアーがむくりと起き上がる。前方でも後方でもスピアーが復活し、なんと俺は囲まれた。
     やつらはバニリッチを見て目を輝かせている。
    「こ、こいつは渡さねぇぞ……!」
     スピアーが一斉に飛んだ。
    「バニリッチ、こごえるかぜ!」
     俺は走りながら指示を出して、前方にいるスピアーたちを一掃する。ついでにすずしいいいいい!
     蔵の裏側に回ると倒れているマメパトはいつの間にか増えていた。バニリッチを見たマメパトが次々と起き始めて、たった今横を通った俺を追いかけてくる。バニリッチは渡さない!
     池だ。池からはアメタマが恐ろしい形相で浮かび上がってこようとするのを、れいとうビームでなんとか阻止した。これでやつも夏を乗り切れるだろう。
     さあ縁側に突入、しかし、そう簡単にはいかないようだ。
     隣の家のガーディが塀を跳び越えて、俺の前に立ちはだかった。舌をべろんと出して、目をどろんとさせて、ほとんど地面を抱くような形で、俺が腕に抱えたものを凝視している。こいつ、らりってやがる。
     作戦変更。裏口から台所に入ってやる。
     後ろからはマメパトとガーディが追いかけてきている。いつの間にか横にはテッカニンが併走していた。いきなり高速移動を開始するし、今度こそ俺はだめかもしれないと思ったが、バニリッチを手にした俺には死角なんてものが存在しない。
    「ふぶきだ!」
     テッカニンアイスが庭に転がった。
     家の角を曲がってもうすぐ裏口だ。暑さのせいで追いかけてくるポケモンたちはそんなに速くない。これならいける!
     そう思って振り返ってみると遙か後方からもの凄い勢いで走ってくるやつがいる。
     砂埃を上げて異常な速さで足を動かしている。
     やつはミスターちどりあし! あまりの暑さに朝七時の鳴き声をサボったやつだ! よだれを垂らしたポッポ! やつは速い!
     俺は口を開けたままほんの一秒ほど固まった。
     やつは白目を剥いているんだ。よだれをだらだら垂らして、あほみたいに羽をばたつかせて、それなのにめっちゃちょこちょこ足が動いているんだ。その姿を見たら誰だって一秒は止まる。
    「バニリッチ、れいとうビーム!」
     ……。
     バニリッチがポッポを見て怯んでいる!
    「おいばか、吐け!」
     思いっきり頭を叩いた。手がぶにゅっとめりこんだ。ひんやり気持ちいい。
     仕方なく走り出す。大丈夫だ、裏口まではもう少し。既に開いていた戸口にダイブ。そして閉める。
    「ふー、巻いたか……」
     床に腰を下ろして、靴を思いっきり脱ぎ捨てる。
     台所を這って進み、居間に出た。

     なんか、みんないた。

     追っかけてたポケモンたちがみんな居間で待っていやがった。さすがにテッカニンとアメタマはいない。スピアーも代表が一匹いるだけだ。こいつらそんなにバニリッチをごにょごにょごにょたいのか。仕方のないやつらだ。
    「んじゃあ、まずは何味にするか決めようぜ」
     俺は台所から三色のシロップを取り出した。バニリッチが哀しそうに首を横に振っている。周りのポケモンたちは目を輝かせていた。
    「はい、じゃあ、多数決を取る。イチゴがいいやつ」
     ガーディが跳ね回った。バニリッチの首の動きが早まった。
    「一票ね。じゃあ次、レモン」
     これには俺も手を上げて、スピアーとマメパトが続いた。バニリッチは目を思いっきり見開いて、抗議をするばかりだ。
    「じゃ、最後。ブルーハワイ」
     ミノムッチが畳を転がり、ちどりあしのぽっぽが忙しなく畳をむしる。
     これなら三票入ったレモンに決定――そう思ってバニリッチの方を見ると、やつはとろけるような笑顔で頷いていた。
    「てめっ、ミーハーか!」
     その意味の分からないネーミングと、化学が生み出した不思議な味に惚れ込む者は少なくない。そんなブルーハワイを頼むのは小学生か中学生と相場は決まっているのだ。高校生以上は黙ってレモン。イチゴなんてもってのほかであるはずだった。イチゴは論外としてもバニリッチがブルーハワイ!
     バニラにブルーハワイをかけるなんて、ヒトカゲをサーフィンに連れて行くようなものだ。
     あ、俺は呟く。
    「三色全部かければいいんじゃね?」
     これは妙案だった。バニリッチの首の動きが止まって、それなら悪くないかな、というまなざしを向けている。
     シロップの瓶を三つ持って、バニリッチと向かい合う。
     いただきます。俺が頭を下げると、周りのポケモンたちも頭を下げた。バニリッチがにこにこと、ここにきていやらしい笑みを浮かべている。
    「バニリッチ、俺はお前のことが好きだった」
     イチゴシロップをかける。
    「そのソフトクリームなフォルム。夏に喧嘩を売る体温」
     レモンシロップをかける。
    「んで、美味しそうな見た目」
     ブルーハワイをかけた。
     青い液体が頭から垂れて、目のあたりを通り過ぎる。水色になって残った線が、涙の跡に見えた。
    「あぁ、バニリッチ!」
     ガーディがバニリッチの顔に食らいつく。
    「俺はお前をわすれな――って、ガーディてめえ先に食うなばかやろう!」
     堰を切ったようにポケモンたちがバニリッチに群がる。バニリッチが飛び散って、俺の顔にかけらがついた。手で取ってなめてみるとブルーハワイの味がした。
     舌打ちをする。ポケモンたちに埋もれて見えなくなったバニリッチを眺めて、ため息をつく。
     はぁ。
     俺の好きなソフトクリームは、レモンバニリッチなんだよ。



     ○ ○ ○

    こんな感じで一話完結っぽくだらだらいきますばにら


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