マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.224] その5後編 バトル・イン・ザ・博物館〜起死回生の太陽の力〜 投稿者:マコ   投稿日:2011/03/13(Sun) 17:35:04   62clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

博物館の中では、男の子を人質に取られてどうにもうまく動けないマイコ達を尻目に、ロケット団員が高らかに笑い声をあげた。
「ハーッハッハッハッ!お前らがやっと手出しできなくなった!」
「くそっ……どうすりゃええねん……。」
ハマイエの言葉にも、マイコとカワニシはただうつむくばかりだ。
そんな3人を見て、ロケット団は調子に乗ったのかこう言った。
「俺らに負けた土産としてこれをかけてやる。」
そう言うなり、特大の太陽の石をアームで少し削り、マイコ達にかけてきたのだ。

「い……石!?」
「危なっ!」
「かけらやから当たったらケガするで!」
人間のみならず、石はポケモン達にも降りかかった。しかし、チャオブーはスピードも上昇したからか、器用に避けていた。一方、こちらは……、
「モンメン、危ないから避けろや!」
「チュリネも避けんと、ケガするで!」
ハマイエとカワニシが必死に逃げるよう言うが、綿玉ポケモンと根っこポケモンは降りかかる石のかけらを避ける様子がなかった。
そして、石が2匹に触れた瞬間、


光が辺りに広がった!


「!?」
びっくりしたロケット団員は、アームから男の子を落としてしまったのだ!

アームから降ってきた男の子を助けたのは、元は綿玉ポケモンの、風隠れポケモンだった。自分の体の綿をコットンガードで大きくしてクッションのようにしたのだ!
焦った悪党は男の子のところに向かおうとしたが、先程まで根っこポケモンだった、花飾りポケモンの繰り出した奇妙な葉っぱによる攻撃を食らった。葉っぱを避けようとするも、それは徒労に終わる。何故ならそれは追尾の葉っぱ、マジカルリーフだからだ!

悪党が足止めされている間に、3人は男の子の元に向かった。
「大丈夫!?」
とマイコが聞くと、
「うん。」
と男の子は言ったが、やっぱり怖かったのだろうか、
「うわーん、怖かったよぉぉ!」
泣き出してしまった。

男の子が泣き止むのを待って、マイコ達は聞いた。
「名前は何て言うん?」
「アカミネ タケル。」
「いくつ?」
「4さい。」
しかし、手はパーだった。
「4歳でも5歳でもあれは怖いやろ。」
ハマイエは言う。
「人質に取られて、しかも落下したからなぁ。」
カワニシはこう返す。
「お兄ちゃんとお姉ちゃん、名前なんて言うの?」
タケルが聞いたので、マイコは答えた。
「私はマイコ。私の隣にいるのがハマイエ君、その隣にいるのがカワニシさん。」
「マイコお姉ちゃん、ハマイエお兄ちゃん、カワニシお兄ちゃん、ありがとう。」
「いやいや、感謝されることしてへんよ。」
「マイコ、タケル君を安全なところに移動させようか。」
「チャオブーが一緒についていくから多分大丈夫だけど……できる限り急ぐよ。」


「速報です!男の子が立てこもり事件の起こっているニシニホン博物館から出てきました!」
記者が声を張り上げた向こう側には、タケル君が両親と再会している様子が映った。
ただ、タケル君はマイコ達のことを話さなかった。
それには、こういう理由がある。

「マイコお姉ちゃん達ってつよいの?」
「少なくとも、機械に乗った、悪い奴らより強いよ。」
「お姉ちゃん達ってヒーローみたい!」
「ヒーローじゃないよ。悪い奴らを見て、嫌な予感がしただけだよ。けど、私達がアイツらを絶対倒すから。」
「すごい!」
「タケル君、」
「なあに、マイコお姉ちゃん。」
「私達のことを秘密にしてくれるかな。」
「なんで?」
「ヒーローは、いつだって、正体を明かさないの。私達がやったって堂々とは言いたくないし。」
「……、わかった。」

つまり、口止めだ。こういう訳で、無事にタケル君を脱出させた。

「くそぉぉぉ!よくも!」
ロケット団は怒り、マイコ達に襲いかかろうとしたが、勝負では焦りを感じる者が負けるのが普通だ。
イタズラ心の特性が発動した風隠れポケモン・エルフーンの痺れ粉で、ロケット団側の動きは鈍った。チャオブーが攻撃の構えを取ったところで、ロケット団員は言った。
「炎だ!炎をくれ!」
「あげる訳ないじゃん!1回した失敗はまたしないでしょ!」
マイコがそう言って、チャオブーに指示した技は、瓦割りだった。
瓦割りでボロボロになった機械に、次いで襲いかかったのは、風隠れポケモンの繰り出した沢山の荒れ狂う風、暴風だった。
そして、フィニッシュブローとして行われた技は、蝶の舞を踊った後に出された花びらの舞で、使ったのはドレディアだ。
機械が風と花びらで破壊され尽くし、ロケット団はうなだれた。
「バカな……我々の計画は完璧だったはず……どこで狂ったんだ!」
「石のかけらを降らせたところからですよ。」
マイコは落ち着き払っていた。
「しかも太陽の石やったからなぁ。」
「俺らも焦ったけど、起死回生ってヤツやね。調子こいたらアカンねん。」
ハマイエと、カワニシはそう言い放った。
「くそっ、くそぉぉぉ!こうなったら……最後の手だ!」
そう言って、ロケット団は何かのボタンを押して逃げた。
「逃げるなや!」
「待てぇっ!」
「卑怯者!」
3人は追いかけようとしたが、


ガラガラガラ……


建物が崩れる音がした。
そして、屋根だった大きな部品が3人に降りかかる寸前のその時!


3人は、奇妙な浮揚感を感じ、周りの風景が変わるのを見た。
そして、たどり着いた場所は、みんなでよくたむろする劇場の建物の前だった。
送り届けた人は老人だった。傍らにはケーシィがいる。
「あ……あの!おじいさん、あっ、ありがとう……ございます。」
マイコが代表してお礼を言うと、
「おい、チャオブーを使っていた女!ボクは老人じゃないよ!」
と言った。
「あんた、見た目完璧じいさんやんか!」
と、ハマイエが言うと、
「ボク自身の姿をバラしたくないからこういう姿をしているだけ。分かるかい、エルフーンを使っていた青年。」
何か事情があるらしい。
「じゃあ、名前だけ教えてくれへん?」
カワニシは尋ねた。
「うーん、本当の名前は言えない……って言うか、忘れちゃったよ。ドレディアを使っていた青年さん。長い間使ってないからだね。だからさ、通り名だけ言うよ。」
その名は……、


「『サイキック・キャリヤー』。念力の運び屋さん、さ。」
男はそう言い、更に付け加えた。
「君たちが助かったことはレスキューの人に言ったよ。行方不明じゃみんな困るから。」
そう言って立ち去った。

「立てこもり事件ですが、室内にいた人は無事救出され、犯人は逃走したようです。以上、建物の倒壊が起こったニシニホン博物館前からお伝えしました。」
こうして、事件は幕を下ろした。
しかし、マイコ、ハマイエ、カワニシの3人及びポケモン達は、自分達を助けた謎の男、サイキック・キャリヤーの存在の方が気になってしょうがない。


「貴方の命が危ない時には、貴方にとって最も安全な場所に運んであげます。無償でね。貴方がたに損はさせません。その代わり、別の場所から巻き上げますよ。フッフッフ。」



おしまい



マコです。
事件は無事に解決したようですが、謎の男、サイキック・キャリヤーに助けられた3人。
不思議で、掴み所がない男。
勇敢な心を持つ人の前にしか来ないらしい。
マイコ達じゃなくても、気になるかもしれないです。
【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】
【サイキック・キャリヤー気になるのよ】


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