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  [No.280] その11前編 ある2人の男の悲劇〜彼らの裏切り〜 投稿者:マコ   投稿日:2011/04/15(Fri) 12:03:14   48clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

それは、秋の夕暮れ時の話だ。
テレビクルーである、モリシマとカザマ、この2人の男に連れられ、3人の男性と1人の女性は、オオサカ郊外の田舎道にいた。唯一の女性、マイコは、「オオサカにもこんな田舎道があるなんて!」 と、ポケモン達とともにはしゃいでいた。無理もない。彼女はキュウシュウのミヤザキという場所からオオサカに来て、しかも都会の方しか見てきたことがなかったから。
そんな様子を見たオオバヤシ、ハマイエ、トキは揃ってこう思った。
(((こいつホンマに20歳なんか?子供みたいにはしゃぎよるやん!)))
でも、この日の目的ははしゃぐことでも、それを見ることでもない。この田舎に建てられたという、悪事をオオサカの至る所で働いている、悪党のアジトに潜入することなのだ。


この企画の発案者はモリシマだ。旧知の仲というカザマを引き連れ、偶然劇場にいたマイコ以外の3人に声をかけたのだ。そこにマイコが話を聞きつけ乱入した、という次第である。当然3人は猛烈に反対し、あと一歩で3対1のバトルに発展するほどの険悪ムードになったが、モリシマとカザマがマイコの参加を認め、4人は無事に仲直りしたわけだ。その企画説明の前に、モリシマが独自に取材したメモによると、今回入るアジトの所有はロケット団。そいつらは初心者トレーナーでも、簡単に倒せる悪党らしい。
しかし、4人ともその怖さを見ているので、モリシマ達が去ったあと、話になった。
「あのメモって、ちょっと信憑性に欠けるよ。ヤバい奴はゴロゴロいるじゃん」
マイコが率直に言うと、みんな納得して自分達の経験談を話し始めた。
「俺は博物館で奴らと戦ったで。マイコもおったやろ」
「うん、そうそう。怖かったからね」
「モンメンがエルフーンに進化せえへんかったらヤバかったで。人質も取られるし……」
ハマイエの経験談はその5の前後編に入っている。太陽の石によって、ピンチを救われた。
「人質、と言うたら、お前らみんなが人質の状態で、俺はあいつらと戦ったで。みんなヤバいってなったときにバチュルがデンチュラに進化したから良かったけど、おらんかったら……」
オオバヤシの経験談はその7に入っている。一番背負ったものが大きかったバトルでもある。
「俺は最近、マイコと一緒に戦ったで。そいつら、エリートズって言うてて、他の奴らとはちょっと別格やったわ。ランプラーがおらんかったらって思うと……」
「あれは本当にピリピリしたよ。頭の中に、負けがちらついたからね……」
トキの体験談はその9前後編である。大ピンチから逆転したのは、運も少しあったはずである。
どれも修羅場としか言いようのない激戦だった。
「あの人らって、いざ戦いってなっても大丈夫やろうか?」
オオバヤシが言うと、3人とも疑問を浮かべていた。
「「「うーん……」」」


そんなこんなで、ロケット団のアジトが見渡せる場所に着いた。とても田舎にあるとは思えないくらい、近代的な建物である。ここでカザマから1つの提案が出された。
「ここで二手に分かれましょう。僕とモリシマ君とで。そっちは2人づつに」
「じゃあ、グーとパーで分かれようか」
マイコの掛け声とともに、4人は右手を出した。
「「「「グーとパーで分かれましょ!!」」」」


結果、モリシマの方では……
「オオバヤシさん、こっちの方に見張りの奴が多くおるんちゃいます?」
「トキ、それは多分錯覚やわ。どっちも同じくらいちゃう?」
タッグはオオバヤシと、トキである。
つまり、カザマの方では……
「ハマイエ君、なんか多くない?警備の人達……」
「気のせいやろ、マイコ!大丈夫やって!」
こちらはマイコとハマイエがタッグを組んでいる。
「なんか来やがった!」
「早く戦いましょう!」
二手に分かれたはずなのに、まるで計ったように同刻に悪党どもが襲いかかってきた!
「ウォーグル、燕返し!フシギソウ、タネ爆弾!」
「モウカザル、炎のパンチ!ハスブレロ、バブル光線!」
「ルクシオ、電撃波!ガバイト、ドラゴンクロー!」
「ホイーガ、ベノムショック!コマタナ、騙し討ち!」
4人それぞれが複数ポケモンを出し、懸命に戦っていた。やはり、いくつもバトルを重ねるうちに力をつけていったのだろう、警備の下っ端どもとの差は歴然としていた。
と、ここで……モリシマが逃げる素振りを見せていた。
「モリシマさん!あんたどこ行こうとしとんねん!まさか、逃げ……!」
「オオバヤシ、逃げるわけねえだろうが!少し離れるだけだ、行け、ミノムッチ!」
テレビクルーから繰り出されたポケモンは、環境によってミノを変える変わったポケモン。桃色のゴミのミノを身にまとっていた。
「目覚めるパワー!!」
蓑虫ポケモンから出されたのは、ポケモンによってタイプの変わる特殊な技だった。今回は氷の力がほとばしってダメージを与えていた。
「意外と、強いんですね……」
「うわ、凄い……」
「オオバヤシ、トキ、ちょっとは俺を見直したか?」
「「はい、ちょっと……」」
一方のカザマ側は……
「ブイゼル、スピードスター!!」
小さな海イタチポケモンから繰り出された星形の光線が、的確に敵を貫いていた。
「カザマさんのポケモンって、この1体だけなのかな?」
「多分ちゃうと思うで。でも、エース級やろうとは思うけどな」
「ハマイエ、マイコちゃん、どう?」
「「凄いと思います……」」


下っ端を撃退したところで、2人のテレビクルーは行動を起こした。それは、マイコ達4人にとって、裏切りとも呼べる行為であった。
まず、モリシマ側では何が起こっていたかというと……
「ガーメイル、サイコキネシス!」
「モリシマさん!あんた何してんねん!」
「味方に何してんすか!?」
オオバヤシとトキを抵抗できない状態にするため、ミノガポケモンに強い念力を放たせた。ミノムッチが進化する2種類のポケモン、ミノマダム(メスが進化)とガーメイル(オスが進化)。念力系の攻撃も得意なのだ。さらに、
「ミノマダム、草結び!」

グルグルグルッ!!!

「離せっ!離せっ!!」
「どこで裏切ってん!!俺らを奴らに突き出すん!?」
草木のミノに覆われたミノマダムが出した草によって2人は身動きがとれなくなってしまった。
それを確認し、モリシマは駆け出した……。
一方、カザマ側では……
「パラス!キノココ!タマゲタケ!みんな揃ってキノコの胞子!!」

パラパラパラ……

「ふわぁー、何だか眠く……ZZZ……」
「マイコ、お前、寝るなぁー……ZZZ……」
確実に眠りに落とされる胞子をキノコを持つポケモン達から食らい、こちらの2人は眠った。
カザマもそれを確認し、駆け出した……。


後編へ続く


マコです。不穏な空気をため込んで後編へ行きます。
次回は、マイコ、オオバヤシ、ハマイエ、トキの4人を裏切ったと言えるモリシマ、カザマにある悲劇が降りかかります。
そして、それは、救いようがない結末へと進んでしまうのです……。
【書いてもいいのよ】
【次は泣いてもいいのよ】


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