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  [No.277] その9後編 マイコの大事なオルゴール〜奇跡の霊の猛火〜 投稿者:マコ   投稿日:2011/04/12(Tue) 10:17:33   48clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

容赦なく、こちらに向かってくる攻撃に、トキは目をつぶった。
(こんなん、もうアカンやん。俺はこのまま……)
しかし、彼に攻撃が降りかかってくることはなかった。たくさんの技が降りかかろうとしたその瞬間、大きくて分厚い炎の壁が彼を守り、攻撃を押し留めていたのだ。しかもその壁は、炎の弱点である水や岩、地面の攻撃ですら無力化してしまうほどであった。
さらに、炎はだんだんエリートズの方向に近寄り……、

勝率 5%、

勝率 23%、

勝率 42%……

「馬鹿な、0%から勝率が上昇するなんてこと……迫ってくるぞぉぉぉっ!!!」
「そんなことあるはずが……うわあっ、何だこの炎は!!!」
彼らを一気に燃やしたのだ。それと同時に金縛りは解けた。
「マイコがやったん?あの炎は?」
「私、動けなかったから関わってないよ。ん?……あれじゃない?」
トキは疑問をぶつけたが、どうも、マイコはそれとは無関係らしい。しかし、彼女は、上空にふよふよ浮かぶ、黒いランプのような形をしたポケモンを見つけた。
(あれ、さっきまで抱いてたはずのヒトモシがおらんようなってる……?)
そのポケモンはふよふよと降りてきて、トキにすり寄ってきた。ポケモンのほうは、なんだか嬉しそうである。主人の戸惑いを、尻目に。
「え、こいつは……?」
「ランプラー。ヒトモシの進化したポケモンだよ。つまり……さっきの炎の壁は、きっとランプラーが作ったものね。」
マイコは携帯電話の「ポケモン図鑑アプリ」のページの一つ「ランプラー」を見ながら言った。


勝率 70%

「く、くそう、勝率が回復するとは、どういうことだ……。」
ロケット団エリートズのうちの一人が言った。戦況はすっかりひっくり返っている。
先ほどの炎はプライドまで傷つけたのだろう。
「ここから戦いを立て直せ!エリートに敗北の二文字は似合わない!許されないのだ!」
悪党どもはだいぶ切羽詰まっている。それを見つつ、青年は冷静に指示をした。
「つまらんプライドで動くやつにはお仕置きやな。ランプラー、煉獄の炎で焼いてくれ」
トキのこの指示をロケット団は嘲笑った。
「ハッハッハ、煉獄は確かに強いが、命中のしにくい技だ!そんなもの当たるはずが」
「当たるわよ!!!」
マイコが口をはさんだ。言葉を遮られた形となったロケット団は怒った。
「なんだと小娘、あの生意気な男の命令した技は当たんねえんだ」
「コンボの勉強が足りないわねエリートさん!ムンナ、テレキネシス!!」
桃色の夢喰いポケモンが放った、これまた桃色の念波はエリートズを浮かせて、そして……

勝率 88%

「隊長!勝率が最高値を更新しております!」
「そんなことはもういい!ひどい炎が当たる!当たるぞぉぉっ!!!」
そのまま、先ほどの炎よりもっと猛烈な炎が悪人たちを飲み込んだ。
テレキネシスを喰らった側は、しばらくの間、地面技以外が当たり放題となってしまう。(相手を浮かせるという技の性質上、地面技は逆に効果がなくなるため)
確かにエリートズの言うとおり、煉獄の命中率自体は半分といったところで、大変ギャンブル的な技だが、テレキネシスで必中となり、デメリットがなくなった。


勝率 98%

「しょ、勝率が100%近い、です……」
エリートズは丸焦げで、息も絶え絶えである。落伍者という表現が似合いすぎる。
「ま、まだだ……クリスタルオルゴールさえ、あれば……」
「あのさ、クリスタルオルゴールって、これのこと?」
「!!!いつの間にっ」
マイコはきっちりオルゴールを奪還していたのだ。
「ムンナのサイコキネシスと、フシギダネの蔓のムチで取り返させていただきましたよ。って言うかさ、自分たちの所持品面してるけど、私のだからね!」
マイコはそう言い放ち、そして、エリートズに忠告した。
「今の私も十分怖いだろうけど、もう一人、私より怖ーい人、いるんだ。多分、あんたらをふっとばすことくらい、簡単にしちゃいそうだからね。……そうだよね、トキ君?」
「そういうこと。……よお聞け、エリートとかいう奴!」
実際、マイコよりトキの方が怖いオーラを出しまくっていた。もともと180センチのすらっとした青年だが、オーラのせいか、エリートズにとっては何メートルもあるように見えた。
「俺は高校もまともに行ってへんかったから、お前らみたいな頭はない。けどな、マイコがめっちゃ大事にしとったオルゴールを奪って攻撃して、挙句の果てには俺らを殺そうとした。そんなお前らを俺は許さへん!!!」

勝率 100%

「や、やめてくれ、お前らのことちゃんと許すから」
「絶っ対許さへん!!ランプラー、シャドーボールや!とびっきりでっかいの、頼む!」
トキの指示を受け、進化したてのランプポケモンは頭上に影の塊を集めだした。その大きさは通常サイズをはるかに超えて、黒い太陽とも呼べるくらいのシロモノになっていた。

勝率 測定不能 ツヨスギマス コワレマス

勝率を測っていたゴーグルも壊れた。エリートもそのヤバさにパニックを起こしかけている。
「こんなことはいやだ!エリートは絶対勝つ……」
「お前もう諦めろや!往生際が悪いねん!!」
そして、もう影の球が大きくならないところ、つまり限界点で、トキは叫んだ。
「ランプラー、一気に投げつけろぉぉっ!!!」

ドドドドドドッ!!!!!

巨大なシャドーボールがエリートズを巻き込んでいった。
「覚えてろぉぉぉっ!!!!」
その言葉とともに、ロケット団エリートズは空の彼方へと飛ばされていった……。


「やっと……勝った……」
「なんとか……エリートズを……吹き飛ばしたね……」
マイコもトキも疲労困憊である。総力戦だった上に、一度は敗北まで覚悟したくらいだ。最悪の事態から勝利まで持って行ったのは、底力と運が両方関わっていると言える。
「あのさ……」
「どないした?」
「最後のシャドーボール、……ちょっと、やりすぎたんじゃない?」
「……ハハハ、でも、あんぐらいやらな、気が済まんかったからなあ」
シャドーボールの軌道の跡は、アスファルトがえぐれるほど。
とりあえず、あまりにもすごいバトルだったので、早く家に戻って、休息をとる必要があった。


マイコの家にて。とりあえず、オルゴールの具合を確かめることにした。もちろん、ポケモンを全員出した状態で。
「あれ、何も傷がついてへん。あんだけ激しく攻撃を受けたはずやのに」
「硬度が地球上でも最高クラスで、衝撃にも強いって本当なんだ」
クリスタルオルゴールはポケモンの攻撃にかなり強い。二人はただただ驚いていた。
そして、マイコはオルゴールのゼンマイを回した。
そこから流れてきたのは、ポケモンも人間も癒される、素晴らしい音色だった。
そんな優しい音色が奏でられる中で、忙しかった一日は更けていくのであった。


おしまい


マコです。このランプラーの特殊技の威力に、ただただ書いている中でおびえました。もともとヒトモシ系統は特殊攻撃が高いことで有名ですが。
トキ「別に怯える必要ないねんで。敵に回したら怖いなあ思ってるだけやろ」
ランプラー「ふゆー、ふよーん」(くるくる回っている)
この子がシャンデラに進化したら……彼に早く闇の石を持ってきてください……。
とりあえず、無事にハッピーエンドまで持っていきました。
次は10回目。(本当は10じゃなくて、何回か前後編に分けていますが)
ちょっと、いや、かなりギャグチックな話を書く予定です。
【書いてもいいのよ】
【ヒトモシ系の特殊攻撃力いかついのよ】


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