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  [No.226] その6 不良の襲撃、そして、進化 投稿者:マコ   投稿日:2011/03/13(Sun) 17:39:28   51clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

※この話は、その5より、時間軸的に前の話です。



それは、何てことない普通の日の夕方の話。
大学の講義がようやく終わり、家路についていたマイコ。ポカブは腰に着けたボールの中にいた。
「はぁ、今日もきつかったー、……ん?」
ガーガー、ガーガー!
近所から何か鳴き声がする。
……何かがおかしい。
マイコはそう確信し、鳴き声の聞こえた方向に向かった。


「ガーガー、ガーガー!」
「ピィ、ピィ……」
「ようし、ヤミカラス、もっとつつけ。」
「「「やっちまえ、ワシボン1匹くらい朝飯前だろ!」」」
行った先にいたのは、沢山のヤミカラスに攻撃される1匹のワシボン、そして、ヤミカラスのトレーナーらしきチンピラ達だった。
「やめなさい、ワシボンが可哀想でしょ!」
マイコは真面目に注意するが、
「はぁ?テメェの言うことなんて聞けねぇよ!」
「「「ただのバカじゃんおめぇよぉ!」」」
チンピラは聞く耳を持たない。


プチン!!


マイコの中で何かが切れた音がした。
「うるっさいんだよ、モブ野郎!大人数で1匹虐めて何が楽しいのよ?後、バカはあんたらだ!」
そう言って、マイコはボールを投げてポカブを場に出した。
「……ポカブ、ヤミカラスに火炎放射。ワシボンを傷つけずに。」
火豚ポケモンの鼻から放出された炎は凄まじかった。黒いカラス型のポケモンは高く上がった火柱に1匹残らず巻かれ、黒焦げになって墜落した。
「うわぁ、ヤミカラスが!」
「「「ひぃぃっ!」」」
「お前、ウチのアニキに言いつけてやるからなぁ!……ここは逃げてやる!」
「「「痛い目遭っても知らねぇぞー!」」」
チンピラ共は一旦退却した。しかし、完全敗北宣言はまだなので、再び来そうな予感は大きい。


「うわぁ、酷いケガ……すぐに治してあげるからね。」
マイコは持っていた傷薬を雛鷲ポケモンに塗った。
「ピィ、ピィ!」
ワシボンのキズは大分治り、元気が戻ってきた。
その時である。
「あっ、ここに居ったんやな、マイコ!」
「何か巻き込まれてたって思ったで。」
2人の青年が来た。彼らは不良の仲間ではなく、マイコの友人だ。
「あっ、アッキーにタロウちゃん!」
「お前にちょっと言いたいことがあんねん。さっき、騒ぎを起こしそうなくらいの炎が上がっとったで。俺らの口から言いたくはないけど……、やったのはマイコやろ?」
アキヤマがそう言うと、マイコは観念した様子で、
「アキヤマさん、キザキくん、本当に申し訳ありませんでした。」
土下座した。
「あ、あの……マイコちゃん、ホンマに土下座せんといて……。」
キザキが大分困惑していたので、マイコは土下座をやめ、すっくと立ち上がった。
その時だった。
ポカブは光に包まれた。3人はじっとそれを見つめる。誰も言葉を発する者はなかった。
光が消えた時に目の前にいたのは、二足歩行で、卵形の体をした火豚ポケモン。
「チャオブーだ……!」
「え、どういうことなん?」
「初めて目の前でポケモンが進化するのを見た!何だろう、凄く嬉しい!」
「何かようわからへんけど、マイコちゃんの喜びを見るといいことって感じはする。」
ポカブから進化したチャオブーをボールに戻し、話はワシボンに移る。
「このモフモフの鳥はどないしたん?」
「さっき襲われているのを見つけて、助けたの。」
「やからさっき、炎がめっちゃ上がってたんやね。」3人の話が盛り上がっていると、何やら声がした。
「お前かぁ、俺様の子分を可愛がってくれたのは……!」
「マイコ、」
「(親分来やがった……!)どうしたの?」
「あの男の気に障ることしたんか?」
「ひょっとして、ヤミカラスのこと?」
「さっきの炎で焼いた奴等の話やね。」
「まぁいい、仲間を呼びやがったなら、3人まとめて叩き潰す!」
((いやいや、俺らは呼ばれたわけやないのに!))
(今サラッとまとめてって言ってた……!)
3人にとっては不本意ながら変則マッチは始まった。途端に1本ヅノポケモンが出てきた。アニキのポケモンらしい。
「コイツは僕が相手したります!」
「行くの?タロウちゃん!?」
「キザキ、お前大丈夫か?」
「僕は勝ちますんで、アキヤマさんもマイコちゃんも僕を信じてほしいです。」
そう言って場に出したのは、頬にそばかすがあり、お腹に貝、つまりホタチを持つラッコポケモン。
「ヘラクロス、メガホーンで突き刺せ!」
「ミジュマル、かわして背中に乗ってくれ!」
猛烈な角の一撃は虚しく空を切るのみだった。そして、背中は、ヘラクロスの死角でもある。背中から攻撃する術のない側と、死角を握った側とでは、差は歴然としている。
「何か悪いかもしれへんけど……、ミジュマル、シェルブレードで角を攻撃してくれ。」
ミジュマルは腹のホタチを掴んだ。貝からは水の刃が出ている。

ザシュッ

ヘラクロスの角は見事に分断され、一気に戦意喪失に追い込まれた。
ミジュマルは何か得意気だ。キザキはほっとしていた。
「よかった、勝てた!」
「ヘラクロス使えねぇなぁ!次出してやる!」
新たに場に出たのは、毛が長く獰猛な噛み付きポケモン。
「今度は、俺が相手したるわ。」
「アッキー、私が最後で大丈夫なの?」
「お前が一番やってくれるはずやから。」
アキヤマが出したのは、体の多くが緑色で、葉っぱのような大きい尾と小さい手を持つ草蛇ポケモン。
「ツタージャ、動き回って、リーフブレードで切りつけてくれ。」
小回りの利くツタージャがスピードで上回るため、グラエナは的を絞れない。
「キュウウ」というツタージャの鳴き声と共に切られていくグラエナ。
気がつくと、自慢の長い毛を文字通り全てバッサリ切られたグラエナは蹲り、ツタージャは無傷という、差が凄い状態になっていた。
「よかった、勝ったで!」
「キュウウウ!」
「くそ、最後のポケモン出してやる!」
アニキがそう言って出したポケモンは、天狗みたいな邪ポケモン。
(ダーテングなら、チャオブーで何とかいけるかも……!)
マイコはチャオブーを場に出した。
「チャオブー、火炎放射……!」
しかし、マイコの指示が通る前に、邪ポケモンがマイコを羽交い締めにした。
「痛い、痛い!」
「これなら、豚も攻撃できねぇなぁ!」
「卑怯やぞお前!!」
「マイコちゃんを放せや悪党!」
アキヤマとキザキはポケモンと共にアニキに立ち向かおうとしたが、子分達に包囲された。
「アニキの邪魔はさせねぇぞ!」
「アニキの顔に泥塗りやがったお前らは通れねぇなぁ!」
子分に包囲された状況を打開する方法を二人は必死に考え、出した結論はこうだった。
「草の誓い!」
「水の誓い!」
パートナーとの絆が大事なコンビネーション技だ。
マイコもその言葉を聞き、指示を飛ばした。
「炎の誓い!」
3個の誓いは混ざり合い、3匹には虹の光を与え、子分達には動きを鈍らせる湿地効果や、火の海効果が襲いかかった。
「あちぃ!」
「沈む、沈む!」
子分の手が出なくなったのはいいが、ダーテングはマイコもろとも火の海に飛び込もうとした。
「女も消せる!」
アニキが過信した、その時だった。

ビュオッ、ズバッ!

雛鷲ポケモンが凄い速さで必中の燕返しを繰り出してきた!
ダーテングは余りの勢いに、マイコを放し、火の海に転げながら突っ込んでいった。
「はぁ、はぁ……。」
「大丈夫か?」
「何とか……。」
ダーテングが火だるまになってからアニキはボールに戻し、こう言った。
「ま、ま、ママー!」
そして逃げた。
「「「「アニキー!!」」」」
子分達も逃げた。


「アイツ、マザコンなんやな。」
「あんな厳ついのに、ママって言うんすね。」
「もうこれに懲りて襲って来ないはずだよ。」
3人が話していると、ツタージャとミジュマルは光に包まれた。
光の中から出てきたのは、ツタージャより体が長くなった草蛇ポケモンのジャノビーと、ミジュマルより体が大きくてホタチを2つ持つ修行ポケモンのフタチマルだった。
「これが、進化なんやな……!」
「今まで以上に愛情を与えなアカンって思いますね。」
「強く、正しく育つんですね。」
そして、マイコの側にはもう1匹。
「ワシボン、付いて行きたい?」
「ピィ、ピピピィ!」
了承の意を示したので、マイコの手持ちが増えることになった。

進化と新たな仲間は、マイコ達を内面的に強くする。
喜びに満ちた日が待っているはずだ。



おしまい



マコです。
進化の話は一度は書いておきたかったんです。
真っ直ぐ育ってほしいです。マイコ達には。
【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】


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