マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.508] その16 2人の男を救い出せ! 投稿者:マコ   投稿日:2011/06/07(Tue) 18:58:56   44clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

ここは、破れた世界。この世とは正反対の場所にある、ということで、別称は「反転世界」となっている。
そして、本来、ここに住んでいるのは、霊竜ギラティナだけのはずだ。なのに、
「いってえなあ、ここは一体どこなんだ」
「何か、地面が天にあるようで、いろいろと分からない場所みたいだね」
男が2人、迷い込んでいた。


彼らはマイコ達とともに、田舎にあるロケット団のアジトに潜入しようとした、テレビクルーのモリシマとカザマだ。アジトの映像を撮るために、ロケット団を次々蹴散らすマイコ、オオバヤシ、トキ、ハマイエの4人を見捨て、2人だけで先に進んだところ、トライ・バリア・キャノンの罠にかかり、肉体を失ってしまった。(その11前後編参照)
アジトでの戦いで活躍したポケモン達は、今はもう、手元にいない。楽園にでも行ってしまったのだろうか。
そして、彼らは今、どちらかと言うとあの世側の場所にいる。そんな彼らの前に、
《どうしたのだ、2人の男よ》
ギラティナが姿を現した。


「ギ、ギラティナ……」
「生で見るのは初めてですね」
「ちくしょう、カメラさえあれば……」
伝説と謳われるポケモンが目の前にいる。しかし、それを写真に収められないのが悔しくてしょうがない2人。その様子を見た霊竜は、こうボソリ、と呟いた。
《我なんかを写して、得はないだろうに、なぜ彼らはこうも拘る?》
そして、ギラティナはこう言った。
《お前達はなぜ、ここに来たのか?》
それに対し、2人は答えた。
「ロケット団とかいう奴に、訳の分かんねえ機械で飛ばされたんだよ!」
「同行した人達の助けを断ってしまったことで、僕達はここに飛ばされました。助けようとした彼らはひょっとしたら、僕達を助けられなかったことを後悔してしまっているかもしれません……」
このことを聞き、反骨ポケモンは言った。
《では、その彼らに会いに行かせてあげようではないか。》
「「本当ですか!?」」
《但し、条件がある。お前達はもう、現実の世で生きるための体を持たない。そして、我にはこの破れた世界に迷い込んだ人間の一時的な蘇りをサポートする役目を持つが……、体がないのは痛い。そこで、だ。ポケモンの姿を貸してあげようではないか。》
ギラティナとしても、本当は人間の姿で帰してあげたかったのだが、仮の体を与えるしか方法はなかったのだ。もっとも、そのタイムリミットが来た暁には、彼らを死者の楽園、つまり、天国に成仏させるという約束はしてある。
そして、2人は眩しい光に包まれ、この世に行ったのだ……。


同じ頃、オオサカのある劇場の一室。
2人の青年、オオバヤシとトキが部屋に入ると、そこには手招きポケモン・サマヨールが1匹、もの言わずそこにいた。このポケモン、先程まではいなかったのだが、気がつくと存在していたのだ。それを見て、戸惑う2人。
「さっきまで……おらんかったはず、ですよね?」
「どっかから入ってきた?こいつはゴーストタイプやし、壁をすり抜けるとか平気でやりかねんからな……」
そう話しこんでいると、

ゴオオオオッ!!!

「体が浮いてるっ!?」
「アカン、あいつに、吸われるっ!!!」
手招きポケモンが口と思われる場所を開け、とんでもない吸引力をもって2人を吸い込んだのだ!!!
「「うわあああああっ!!!!」」


「おい、トキ、お前、大丈夫か?」
「お、オオバヤシ、さん……?」
「良かった……。意識はあるみたいやな。それにしても、周りが真っ暗で自分の周りぐらいしか分からへん」
サマヨールの中の空間は、ただただ真っ黒い世界になっていた。しかし、幸い、2人とも近くに倒れていたために、お互いを認識するのに時間はかからなかった。
どこに続くかも分からない空間に、しかし、明かりのようなものが2人の目に入った。それは、人間の形をしていた。しかも、2人の知り合いの人。
「モリシマさんに、カザマさん?」
「やとしても、うまく出来すぎていて怪しいで。あんまり触るな……」
オオバヤシが注意した、その時だった。

ズボズボッ

「言うた傍から引っこ抜くな!!!」
何か抜けた音がして、オオバヤシが音の方向を向くと、トキがその人型の明かりを両方とも引っこ抜いていた。当然ながら、オオバヤシは怒り、無意識のうちに叫んでいた。
2人は知らなかったのだが、このサマヨールこそ、モリシマとカザマがギラティナから与えられたポケモンなのだ。彼ら2人を一緒にして1匹のゴーストポケモンにした、というのがギラティナのしたことなのである。


明かりは人の形(それでも足がないのだが)をとり、オオバヤシとトキの周りをぐるぐる、浮遊しながら回っていた。
「お前ら、よく気付いたな!」
「ただの偶然だったんですけど、ね」
「オオバヤシが『引っこ抜くな』って言ったのを聞いて、むしろ引っこ抜いた方がいいのに、とか言いたかったけれど」
「……俺の判断ミスってことやな。無駄に怒ってもうたなあ」
「いや、いいんですよ。俺の方が実際、アカンことしてもうてるから」
話し込んでいると、カザマがあることに気付いた。
「オオバヤシ、トキ、いいかな?」
「はい」
「何でしょう?」
「どうやって出るのかな?僕らはともかく、2人はここにいちゃいけないんじゃないかな?」
「「……」」
全くそのことについては考えていなかった。しばらくの間考えた結果、オオバヤシが出した案はこうだ。
「……サマヨールが傷つくことを承知するなら、尖った物質……例えば、ストーンエッジとか……をぶつけて、穴を広げて出る、というのは?」
それを聞き、モリシマが言った。
「いいぜ」
「モリシマ君!?正気か、キミは!!」
あまりにも潔い快諾ぶりに、カザマは驚き、詰め寄った。
「何故だよ」
「僕達がいられなくなるということだ!分かって言っているのかい!?」
「未来あるこいつらをここで潰すより、もう既に死んでいる俺らが潰れる方がまだマシなんじゃあねえのか?」
「……仕方ないね。2人のために、ここは僕達が引こうか」
そして、オオバヤシとトキは、作戦実行のためのポケモンを出した。


「……トキ、野暮なこと聞いてええか?」
「何か文句があるんなら聞きますよ」
「コジョフーはサマヨールを突破できそうな技を持ってるんか?」
ストーンエッジで突破しようということになってそれぞれが繰り出したのは、アーケンとコジョフー。岩技を覚えそうになさそうなコジョフーを見て、オオバヤシは思わず、トキにこう聞いていた。
「大丈夫です。格闘のポケモンは、大体岩タイプの技を使えるんです。こいつも例外ちゃいますから」
「……分かった」
そして、作戦は実行された。
「アーケン!」
「コジョフー!」
「「ストーンエッジ!!」」
最古鳥と子オコジョから出てきた鋭い石のかけらが飛んでいき、穴を穿っていった。しかし、穴の開く面積が小さい。
「思ったより開いてない……」
「このままじゃ、2匹の方がへばってまう……どうすれば……」
と、その時だった。アーケンとコジョフーが光り出したのだ!
「進化するんやな!」
「タイミングがぴったりや。これなら、威力も上がるかも、な」
それによって、最古鳥のアーケンが、飛行能力を得たアーケオスに、子オコジョのコジョフーが、紫色の毛皮のオコジョ、コジョンドへと進化したのだ!!
「じゃあ、改めて!アーケオス!」
「コジョンド!!」
「「ストーンエッジ!!!」」
進化のパワーはやはり絶大で、穴が猛スピードで開いていった。そして、男性2人が通れるくらい開いたところで、2人はポケモンを戻し、走った。
「モリシマさんも、カザマさんも、ついて来て下さい!」
「いいんだ!俺らは」
「俺らの我が儘かもしれませんけど……とにかく!来て下さい!出ましょう!」
2人は走り、しばらく振りの元の世界に出た。



……が。
「ちょっと、どーしたの、2人ともっ!?……きゃあああっ!!!」
穴の開く先までは調節できなかったようだ。マイコに降ってくる形となった。

ドッスーーーン!!!

「いててて……」
「ああ、やってもうた……」
「あ、あの、さ……重い」
マイコがオオバヤシとトキの下敷きになっている状態だ。本当はマイコもムシャーナを出して何とかギリギリで止めようとか思っていたが、若干間に合わずにこうなってしまった。


「分かった。2人とも何か大変だったのはこっちも理解したから。……頭上に降ってくるのはどうにかしてほしいなあ」
「「ごめん」」
そんな3人を見て、モリシマとカザマは言った。
「こいつら、吹っ切れているみたいだな」
「安心して成仏できるよ。サマヨールも元の場所に帰って行ったし」
彼らには、どうやらもう、心配すべき部分は、モリシマとカザマが見る分にはないらしい。ただ、これから起こる、ある大きな戦いのことだけが不安だった。


ロケット団は下火になったが、日本の政治の中枢地が、プラズマ団という巨悪に蝕まれつつあること、そして、近いうちに、ここにいる彼らがその巨悪と戦わなければならないということを……。


おしまい


マコです。
何とか事態を収めることに成功したオオバヤシさんとトキくん。
マイコちゃんの頭上に降ってきたことだけは予定外だったらしいですが。
最後の文は、近いうちに書くであろうポケリア第2部(仮)の予告です。
ということは、トウキョウで……?
【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】


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