マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
このフォームからは投稿できません。
name
e-mail
url
subject
comment

[新規順タイトル表示] [ツリー表示] [新着順記事] [留意事項] [ワード検索] [過去ログ] [管理用]

  [No.263] その7 ムンナの予知夢と雷の鉄槌 投稿者:マコ   投稿日:2011/04/02(Sat) 11:42:09   50clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

深夜、1人暮らしをしているマイコの元に、突然の訪問者が来た。
しかし、そいつは人ではなかった。体全体はピンク色、所々に花の模様。そう、夢喰いポケモンのムンナだ。ご丁寧に窓のカギと窓自体をサイコキネシスで開けていた。
「どうして、ムンナがここに飛んできたのかな……?」
眠い目をこすりつつ、ムンナの訪問によって起こされたマイコは、眠気によってうまく働かない頭でこう思った。
見た感じ、トレーナーのものじゃなさそうなので、自分の手持ちに加えることにして寝た。


その夜、マイコは不思議な夢を見た。
自分を含めたみんなが、劇場の大部屋にて、牢屋に閉じ込められている。さらに悪いことに、鼻息の荒いケンタロスやバッフロンが牢に迫ってくる!!
(やばい、死ぬっ……!)
しかし、猛牛たちは強力な雷によって黒焦げとなった。その雷を放ったポケモンは、
(デンチュラ……?)
自分の周りにデンチュラを持つ人はいないが、マイコはあることを思い出した。
(デンチュラはいないけど、進化前のバチュルなら、確かばーやんが持ってた……!)
そして、牢から脱出できたが、オオバヤシが倒れてしまう……。
「ばーやん!!?え、ちょっ……!」
「オオバヤシさん!しっかりして下さい!!」
(これって「予知夢」……?あっ、ひょっとして、ムンナが見せているのかな?)
マイコの予想通りである。このムンナの特性は「予知夢」だ。バトルだと、相手の技が1つ判明するものだが、ヒトを相手にすると少し先の未来を予知した夢を見せるものになる。
これと同じことが起こることになるとは、マイコも考えていなかった。


4月5日、講義が午前中で終わったマイコは、いつものように劇場にむかった。いつもと違うのは、常に腰につけている2つのボール(チャオブーとワシボンが中にいる)以外に、もう1つボールがあるということ。
「こんにちはー!」
「おお、マイコちゃん!」
「マイコ、来てくれたんやね!」
友人たちは皆、快く歓迎してくれた。
「あれ、腰についてるボール、1個多ない?」
「俺も思っててん。マイコちょっと違うな、って」
気づかれるのが早い、というよりみんな意外と目ざとい。他人の変化に敏感なのか。
「気づかないって思ってたけど早いね、気づくの。まあいいや。出てきて、ムンナ!」
マイコはボールから夢喰いポケモンを出した。ふわふわと中空に浮いている。
「結構かわいいな」
「俺も欲しいわー」
口々に言うみんなだが、
「ごめん、もう、私がボールに入れたから私のなんだ、というか、ひょっとしたら私の言うことしか聞かないかもよ。」
「えー」
「アカンのかー」
「欲しかってんけどなー」
マイコがムンナの所有権(親権)は自分にある、ということを告げると、みんな諦めた。
そして、マイコがムンナをボールに戻した瞬間、上から鉄の牢が降ってきた。
「えっ!!?」
「どっから降ってん!?」
みんなが慌てていると、集団の男の声がした。
「うまく引っ掛かってくれたなー、ヒャッヒャッヒャ」
「ロケット団……!」
「「えっ、何やねん、そいつら!」」
「簡単に言っちゃえば悪い奴、……!」

ビュオオォーッ!!!

突然、強風が吹き、〈ポケモンの入った〉ボールがどんどん吸われていった。
「ハッハッハ、これで邪魔できねえな、ザマーミロってやつだ!!」
ロケット団が嘲笑った。

ちょうど、その時だった。

「誰が、ザマーミロ、やと……!」
オオバヤシがちょうど来たのだ。部屋に入って一目で状況を理解し、ロケット団のうちの一人を一発叩いていた。
「くっそー、こうなりゃこうだ!」
先程も起こった風を再度起こしたロケット団!
「やばい、ポケモンが吸われる!」
「ばーやん、ボールからバチュルを出して!!早く!」
オオバヤシは言われた通りに、ロケット団から見えないようにバチュルを出した。そして風が吹き止んだ。
「もうコイツも太刀打ちできねえなあ……。」
その時、雷の糸が機械の操作スイッチを弾き、
「ぐぎゃあああ」
団員の一人は倒れた。バチュルが出したエレキネットでやられたことをロケット団は知らない。
「な、コイツ、電気ポケモンの技が使えるのか……?」
「アホ言え、俺は人間じゃ。その機械、ボールに入っているポケモンにしか効かへんみたいやな。教えてもらってん。」
バチュルをポケットから出して、オオバヤシは言った。
「ちくしょう、こうなったら……」
ロケット団は4方向から、牢を囲むようにケンタロスとバッフロンを出した。
「牢の中の人間を串刺しにしてやるっ!!!」
猛然と突進を始めるケンタロスとバッフロン。
「殺される!」
「く、来んな!!」
「いやあああっっ!!」
至る所から悲鳴が聞こえ始めた。
(やばい、このままじゃみんなが殺される、それだけは、それだけは、それだけは……!)
「やめろおおおおっっっ!!!」
オオバヤシが叫んだとき、極太の雷がきらめき、猛牛たちを真っ黒焦げにしてすべて倒した。
「……!?」
手乗りサイズの電気蜘蛛は、大きな雷とともに大きな電気蜘蛛へと進化を果たしたのである。
(予知夢の通りだ……!)
マイコは昨晩見た夢の内容を思い返していた。

「くそーっ!おい、お前、逃げろ!」
ロケット団員は、ボールのたんまり入った袋(マイコたちの手持ちの入ったもの)を持った団員に逃げるよう言った。しかし、そんな奴を見逃すわけもない。
「高速移動からエレキネットを放て、デンチュラ!」
オオバヤシの的確な命令により、ボール入りの袋は奪還された。
「わ、わかったよ、そこのイケメン、カ、カギは返すから大人しく、み、見逃してくれねえかな」
あまりの強さに、さっきまでの威張りはどこへやら、すっかりビビりあがってしまったロケット団は、カギを返すことで事態を収拾しようとした。
しかし、やってしまったことの罪は大きい。どす黒いオーラがオオバヤシから出ているように感じられた。彼は静かに言う。
「お前らは、俺を怒らせすぎた。そんなお前らには、やっぱり天罰が相応しいと思うねん。」
「お、おい、やめてくれ、死にたくな……」
「言い訳は聞かへん!デンチュラ、……雷」
フルパワーの雷がロケット団を直撃し、黒焦げとなった彼らはヨロヨロと逃亡していった。

カギが開かれ、全員無事に救出された。もちろん、ボールも返された。
「「オオバヤシさん、ホンマありがとうございます!!」」
「俺は感謝されるようなことしてへんで」
口々にみんなから感謝されるオオバヤシ。
「ばーやんがいなかったら、私たちみんな死んでたよ。」
「あんまり、褒められるのには慣れてへん、か、ら、な……」
その時だった。

バタッ……

オオバヤシが倒れてしまった。
「ちょっ……ばーやん!どうしたの!?」
「オオバヤシさん、しっかりして下さい!」
「は、早く医務室へ!!」

実は、ケンタロスやバッフロンが出てきた時に、「全員の命を自分一人が背負っている」というプレッシャーが起こってしまい、オオバヤシの精神力はギリギリの状態になっていたのだ。バチュルがデンチュラに進化したことで少しばかりは良い方向に転がったものの、全員が解放されたときに、張りつめていた緊張が切れて、倒れてしまったというわけだ。


4月6日。実に半日も眠っていたオオバヤシは医務室で目を覚ました。
みんながほっとした様子で彼を見ている。
「オオバヤシさん、今日何月何日か分かります?」
「4月……5日やろ?」
「6日ですよ。12時間も寝てたんすよ。めっちゃボロボロやったんですね……。」
「12時間……」
昨日のことはまるで夢のようであるが、おぼろげには覚えている。
(俺がみんなを背負ってたからな……。そんくらい寝とっても悪ないか)
「そういえば、ばーやん、4月6日ってことは……?」
マイコが唐突に質問してきた。
「4月6日……!お前、それ、俺に言うか普通」
「病床の上で申し訳ないですけど、ハッピーバースデー!!」
クラッカーの音がたくさん鳴り響く。みんながプレゼントをくれた。
マイコからもプレゼントをもらった。開けようとした、が……、
「ストップ!明日、私と一緒にある場所に行くから、その時まで開けない、で!」
プレゼントの中身は明日わかる。それまでは、みんなが開いてくれるパーティーにでも興じよう。
平和になった劇場内で、オオバヤシはそう思うのだった。


おしまい


マコです。久し振りのポケリア。
オオバヤシさんがみんなのピンチを救ってくれました。かっこいいですね。
次回のポケリアで、マイコちゃんがくれたプレゼントが何だったかわかります。
ヒントは……イッシュの化石ポケモン!
あと、ちょっと早いですが、オオバヤシさんの27歳のバースデーを祝ってやってください!
【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】
【オオバヤシさんのバースデーは4月6日なのよ】
【ちなみにマイコちゃんは七夕生まれなのよ】


- 関連一覧ツリー (★ をクリックするとツリー全体を一括表示します)

- 以下のフォームから自分の投稿記事を修正・削除することができます -
処理 記事No 削除キー