マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.427] その14 マリオネット・トリプルバトル 投稿者:マコ   投稿日:2011/05/11(Wed) 14:36:52   49clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

ある時、マイコが街中を1人で歩いていた。その道中、不思議な店を見つけたのだ。
看板にはこうあった。

《Mr.MARIONETTE》

店先にはマリオネット、つまり操り人形がたくさん並べられていた。そのどれもが、今にも動き出しそうな感じで、命があるように思えた。
しばらくじっと見ていたら、
「おや、この人形達に興味があるのかい」
店主に話しかけられた。見たところ、30代後半の男性のようだ。
「いえ、ちょっとふらりと足を止めただけで」
マイコはあまり長話をするのが好きではないので、話もそこそこに出ようとしたら、
「まあ、ちょっと来なさい」
いきなり連れ込まれた。1人の時に限って厄介な人と会ってしまうものである。


「この店には、人形……つまりマリオネットが並んでいることは知っているね」
「あ……はい」
マイコは逃げたいと思っていた。しかし、どうにも体が動かない。ポケモン達も繰り出せない。
「そのマリオネット達はね、」
「……」
「人間だったんだよ!!それを私が作った薬でマリオネットにしたんだ!!凄いだろう、凄いだろう!!」
店主はそう言ったが、マイコは、
「そのマリオネット……つまり、人間達を解放して下さいよ。それはあまりにも人道的じゃないです。警察を呼んでも、」
いいでしょうか、と言い終わる前に、その男は件の薬をマイコに飲ませたのだ……!


その頃、1匹のほうようポケモンが異変を感じ取った。
「サーナイト!?どないしたん!?」
オオバヤシの持っていたサーナイトだった。彼女はテレパシーでオオバヤシに異変の内容を伝えた。
『マスター、Mr.MARIONETTEというお店で、マイコさんが大変な目に遭っています。早く行かないと、もっと大事になってしまいます』
「どこらへんにその店はあるん?」
『視覚情報として、伝えますので大丈夫です』
次の瞬間、道に1本の赤いラインが見えた。それと同時に彼の目の色も赤くなった。つまり、オオバヤシとサーナイトは、視界を〈シンクロ〉したのだ。
『そのラインに沿って行けば、店に着きます。最短ルートをとってますので、早く辿り着けるのではないでしょうか』
「ありがとう、サーナイト!」
彼は走り出した。急がなければ、マイコが危機的状況を脱せない。


300メートルは走っただろうか、目的の店は見つかった。目の色もいつも通りの黒目にすっかり戻っている。
しかし、マイコは見つからない。
「どこにおんねん、マイコ!!分かったら返事せえ!!」
すると、待ち構えていたように店主が姿を見せた。
「お望みのマイコさん、とやらはここにいますがね」
彼が抱いていたのは、

マイコそっくりの、マリオネットだった。

「お前……マイコに何したん!?」
「彼女に薬を飲ませた。この私、ミナヅキお手製のマリオネットになる薬をね」
オオバヤシは狂気のミナヅキという名の店主からマイコとおぼしきマリオネットを救い出すと、そのまま1発殴った。
「汚い手でマイコに触んな!!あと、マイコを元に戻したれや!!」
「いいでしょう、但し、条件があります」
「どう考えてもお前が悪いのに、条件とかふざけんのも大概にせえや!!!」
「トリプルバトルであなたが勝てば彼女を戻してあげましょう。但し、あなたが負けた場合はあなたもコレクションのうちの1体にしてあげましょう」
「ふざけたことをぬかすな!!」
「おや、あなたが応じなければ、彼女は一生そのままですよ?それでいいんですか、あなたは?」
相手のペースに乗せられたのはだいぶ不満であるが、冷静な判断力がなければ勝てない。
さらに、あの口振りからするに、相当の実力者だろう。オオバヤシはバトルの申し出を受け入れるしかなかった。


「まずはこちらからですね。行きなさい!」
ミナヅキの繰り出した3匹はドサイドン、マタドガス、ハガネールだった。
「こっちはこの3匹に任せた!」
オオバヤシの繰り出したポケモンはハスブレロ、ジヘッド、モウカザル。
「ほう、まだ進化を完全に遂げていないポケモンで私に挑もうとはいい度胸ですね。もう負けるのを分かっていて勝負しにきたようなものです」
「うっさいねん!勝負はやってみんと分からんやろ!?勝手に負けると仮定すんな!!」
先に動いたのはモウカザルだった。一番破壊力の強そうなドサイドンに向かって目の前で手を叩いて攻撃した。猫騙しだ。
「そんな蚊の鳴くような攻撃をしたって無駄です!ドサイドン、岩石砲……何で動かない!?」
ミナヅキはどうやら猫騙しの付随効果、怯みを知らなかったようだ。
「驚きすぎて攻撃もできんようになったな」
「なっ!?貴様、卑怯なことを」
「実際に技として存在するものを放った。それのどこが卑怯なん?勝手に他人を人形にするあなたの方が数倍卑怯やと俺は思いますけどね」
攻撃態勢に移れないドリルポケモンに向かって、陽気ポケモンが熱湯を吹きかけた。しかも、尋常じゃない量を。
「やっぱり無駄なことを!こいつの特性はハードロック、弱点技を軽減するから、水の一撃じゃ倒れませ……ん!?」

ドッスーーーン!!!

盛大な音を立ててドリルポケモンは目を回していた。ノックアウトだ。
「その特性が意味を成さないくらい強い技を放てば、全く関係ないんちゃいます?」
まずは1匹倒した。しかし、ミナヅキはこれで終わるような男ではない。
すぐ毒の大波がオオバヤシ側の3匹とミナヅキの鉄蛇を飲み込んだ。
「ヘドロウェーブ、か……」
しかし、実際のところ、鉄蛇ポケモンはダメージを喰らっていない。毒は鋼に効果を示すことがないのだから。
「貴様がドサイドンを先に倒したところでこっちはこいつを使いやすくなりました!!愚かな判断に泣き喚きなさい!!」
二つ首の悪竜と橙色のヤンチャポケモンの毒、陽気ポケモンの傷を治療しつつ、オオバヤシは考えた。
(毒を治療するのもいいが、このままじゃキリがない。それに、ハスブレロは元々毒に弱い。逆転のカギは……どこにある?)

と、その時だった。オオバヤシの頭に声が聞こえた。
〈今が石の使い時なんじゃないの?あのさあ、ばーやん、くよくよしないで、しゃんとしないと、あんな奴に勝てないよ!〉
(マイコ……!?)
まるで、直接マイコが語りかけているような声だった。
(マリオネットの中で見とるんかもな。……俺は1人で戦ってるわけやない。ここはさっきのアドバイス通り、やってみるか!!)


「ハスブレロ、受け取ってくれ!!」
オオバヤシはボールを投げるかの如く、水の石を陽気ポケモンに投げた。
「させるかあっ!!」
マタドガスとハガネールがそれを邪魔しようとしたものの、悪の波動と火炎放射によって両者ともに遮られた。それを横目にハスブレロは水の石をキャッチし、光に包まれ、ルンパッパへと最終進化を遂げた。
「バブル光線!!」
能天気ポケモンから吐き出された泡は、確実にミナヅキのポケモンを圧倒できる威力にまで強化されていた。そして、ここで、さらに嬉しい誤算が起こった。
なんと、モウカザルとジヘッドも同時に光に包まれ、それぞれゴウカザルとサザンドラに最終進化したのだ!!
火の大猿の放った、炎を纏った拳と至近距離から放った火炎放射の連続スピードプレーで鉄蛇もノックアウトされ、残すは大きな毒ガス1匹。
「そ、そんなに強いとは……」
「とどめや!サザンドラ、流星群!!」
橙色の眩い光が三つ首の悪竜のそれぞれの口に集まり、中央の首が吐き出した大きな光球に遅れることわずか、左右の首から吐き出された二回りは小さい光球が先の光球に当たり、弾け、毒ガスに尋常じゃない量の光が降りかかった。それはもう、とんでもない威力の流星群であった。これで、オオバヤシの勝利が決定したのだ。
星の光は勝利を祝うのに相応しい位に輝いていた。


「約束やったな。ミナヅキ」
「うう……」
「マイコを元に戻してくれ」
「ワタシソンナコトイッテマセン」

バシバシバシッ!!!

往復ビンタがオオバヤシの手から放たれた。
「ふざけた口調はアカンやろうが!!!あと、勝手なことをぬかしてんちゃうぞお前!だいたいお前が」
「すみませんでした、きちんと元に戻しますので怒らないでください」
元に戻せる薬をマリオネットの口元に注ぐと、

光が眩く輝き、マイコは元の人間に戻った。

「あれ、ばーやん、何でここに?」
「お前が危なくなったから助けに来た、文句あるか?」
「ない、です……。後、そこの店主さんは?」
「すみませんでした。多分、そこの店に飾ってある商品が全て元の人間に戻るはずです」
ほどなくして商品たちはマイコ同様、人間に戻り、ミナヅキは警察に捕まった。
こうして無事に事件は解決したのだが、しばらくはマイコが1人で街を歩けなさそうだ。周りがストップさせそうだから。


おしまい


マコです。マイコちゃんにとって最大のピンチのお話でした。
最終パーティーにどんどん近づいています。
相手もなかなかのやり手でしたが、見事に粉砕しましたね。
次はお化け達を題材にした話を書こうかと考えています。
【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】


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