マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.279] その10 お粗末誘拐犯 投稿者:マコ   投稿日:2011/04/13(Wed) 13:46:57   46clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

マイコは劇場の友人に会いに行くとき、「今から行く」というメールを送り、ポケモン達と共に向かうということを習慣にしている。
その日も、いつものようにメールを送った。しかし、何時間経っても来なかった。
1時間後ぐらいでは、みんな、
「たぶん、気が変わって、今日は行かんでええやろ、って思ったんやろ」
と、楽天的な見方であった。
しかし、2時間が経ってくると、さすがに心配し始めた。
「何か厄介事にでも巻き込まれてんちゃう?」
「確かにポケモンをたくさん持っとるし、強いけど、もっと強いやつに打ちのめされたんちゃう?」
そして3時間経とうとしたとき、1通の手紙が来た。
差出人は不明である。代表してオオバヤシが封を破ることにした。
中には手紙が1枚。文字は新聞の見出しを切ったような、サスペンスでよく出るものである。
「女の子は預かった。返してほしければオオサカのキンリン公園に来い。」
とりあえず、大人数で行くとまずいので、3人で向かった。


公園に来たが、それらしき人物はいない。でも、不意打ちされると困るので、ポケモンは出した。
デンチュラ、エルフーン、ドレディア。
誘拐犯の来訪を待つ間、自然と会話になった。
「何で誘拐犯が、何もこっちに要求してへんのやろう?おかしないですか?」
カワニシが若干疑問視していたことを言うと、二人とも少し考えて言った。
「確かに。身代金とか言うてへんかったよなあ」
ハマイエが言ったが、オオバヤシはちょっと違う見方をした。
「俺は何か裏があると思うわ。マイコのこと処分してもうたで、とか」
そんな話をしていると、怪しそうな人が現れた。
「あ、こ、こんにちは……」
いやに低姿勢である。その人は長い髪、でかい眼鏡、チェックのシャツ、(しかもパンツにインしてる)すらっとしたを超えてヒョロッとしたもやし体型、そして大きなリュック。
それだけ言われればすぐわかるだろう。
(((オタクや……何か気持ち悪い……)))
3人同時に寒気を感じた。
と、ここで、オタクはリュックから何かを出した。

3体の、ぬいぐるみである。全部ピカチュウの。

正直、攻撃すべきか迷った。「身代わり」という技なら、ダメージを与える技を放って本体を引きずり出すべきである。状態異常を起こす技は無意味だからだ。しかし、本当のぬいぐるみで、中に爆弾が仕込んであったら?ポケモンも人間も危険だ。
結局、攻撃することを選ぶ3人。

背中に大きな綿をもつ風隠れポケモンが飛行タイプ最強クラスの大技、暴風でぬいぐるみを打ち上げたところに、電気蜘蛛ポケモンが虹色の、混乱を引き起こせる光線、シグナルビームを放つ。さらに、頭に赤い花を持つ花飾りポケモンが、必中の特殊な葉っぱ、マジカルリーフを繰り出す。

結果、ぬいぐるみは手足がもげて所々から綿がこぼれるというめちゃくちゃな状態になった。
「うわあああん!!ピカチュウちゅわあん!痛いでしょう、痛いでしょう」
オタクはすぐ寄ってぬいぐるみと一人芝居をしていた。
そのあまりのイタさに、3人と3匹はただ呆然としていた。
「あのー、芝居中すみません。マイコちゃんは今どこに……」
カワニシが丁寧にそのオタクに聞いたところ、案外素直に白状した。
「エルミーハウスの305号室。縄で縛っておいたけど、縛り方が分からなくて緩い結びになったから、多分今はもう脱出してるよ」
「「「はぁ!!?」」」
とりあえずツッコみたい気分である。
「縛り方が分からんって」
「縄を用意したまではいいけど、女の子を見るだけで鼻血が出まくって」
「「「中学生かっお前は!!!」」」
「だって本当に分からなかったんだもん」
「もんって言わんといてや!!」
「ブリッコかっキショイッ」
「もう脱出したって……監視どんだけ緩いねん」
3人ともあまりの酷さにただ呆れている。
「あ、あのー、僕のぬいぐるみへの愛、聞きます?」
オタクがそう聞いてきたので、同時に言い返した。
「「「遠慮します」」」
しかし、それを知ってか知らずか、
「まずピカチュウちゃんだね。ずんぐりとして、何よりこの愛らしい顔!」
喋りだした。相手の反応なんて無視して。


30分後……、熱弁は止まらない。
「綿でしかできてないけど、中に時計を内蔵したものがあったりとか」
オオバヤシも、ハマイエも、カワニシも、顔に青筋が立ちそうである。
さらに30分後……
「軽いものから重いものまでいろいろと……大丈夫ですかみなさん?」
全員倒れていた。聞きたくもない話を1時間聞かされるのは、バトルとは違う意味で精神的に削られる。
「すみませーん……三途の川が見えてきました……」
カワニシの目には、確実に幻覚が見えているはずである。ボロボロになっている。
「え、ホンマ!?それアカンって、ケンちゃん!」
そんな彼を介抱しようとしているのはハマイエ。比較的意識はハッキリしているようだ。
「ハマイエ、カワニシ、お前ら何しとんねん……おええっ」
一番ボロボロなのはオオバヤシだろう。ストレスを感じすぎて嘔吐している。
そして、そんなときである。上空から一人、降りてきた。
「あれ、ばーやんにハマイエ君にカワニシさんじゃん。何してんのそんなとこで」
ワシボンが進化した勇猛ポケモン、ウォーグルに乗って、マイコが降りてきた。
「マイコや!!」
「えっ、マイコ!?」
「マイコちゃん!?」
本当に脱出していたのだ。これには驚きを隠せない3人。
「ケガないか?何か精神的にやられたとか」
「特にないよ。内面も外面も大丈夫」
「縄はすぐほどけたん?」
「というか、私を縛るサイズじゃないくらいでかすぎる輪っかだったから。全然平気だった」
「「「……」」」
いろいろ凄い告発を聞いた後に犯人に待っているのは、とりあえず、お仕置きである。
「さあさ、僕のことを早く警察に突き出しなよ、さあ!」
オタクはそう言って両腕を突き出したが、オオバヤシは言った。
「断る。マイコもケガないし、何も取られてへんし」
「えー……」
「ただ、1個だけ、やっとこうと思う。」
そう言うと、デンチュラに、犯人の片手の甲を寄せて、指示した。
「デンチュラ、2,3滴の胃液を頼むわ」
電気蜘蛛の口から、酸が出てきた。

ジュウ、ジュウッ

タンパク質が溶けてる音がした。

「ギャアアアアッ」
断末魔の叫びが聞こえてきた。(※よい子のみんなはマネしないでね。)
そして泣きながら、逃げ帰った。
「あれ大丈夫なんすかね?」
「表皮だけにかけたから。1,2日で跡形なく消えるから問題ないで」
そこはだいぶ問題である。
しかしながら、マイコが無傷で帰ってくるだけありがたいとみんな思うのだった。


おしまい


マコです。

なんかすみませんでしたあああ!!!ギャグって私が書くと、ついアホなだけの話に……!
普通、こんなおマヌケもいいとこな誘拐犯、いませんよね!?
ポケモンがいるから、余裕で対応できてる3人。でも、興味のない話にはポケモンで牽制できないから、その人の気の持ちようしか対処法はないです。
あと、最後にオオバヤシさんがやった方法は、絶対危ないのでやってはいけません。きっと傷跡がしばらく残ります。
次の話は、今回の話とはちょっと違い、シリアスになります。
私の話では初めて、バッドエンドなものだと思います。
【書いてもいいのよ】
【誘拐とオタクには要注意なのよ】


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