マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.30] 第7話「ぶつかって、連れ去られて」 投稿者:あつあつおでん   《URL》   投稿日:2010/08/21(Sat) 20:55:24   78clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

「ダルマ、着いたぞ!キキョウシティだ!」

ゴロウの呼び掛けに、ダルマが上を向いた。昼間にもかかわらずくまができている。もっとも、炎天下の中ノンストップで進んだせいだが。

「やっと着いたか……ポケモンセンター行こう」

ダルマは少し右に視線を向けた。その先には、旅のお供であるポケモンセンターが見える。街の入り口に配置されている親切設計だ。






「あ゛あ、うまい!」

ダルマはポケモンセンターに入り込むと、すぐにポケモンを預け水飲み場へと走った。それからこの調子である。

「おいおい、やっぱオヤジみたいな口調じゃねえかよ」

ゴロウは遠くからダルマを見て、こうこぼした。おやつの時間のせいか客は少ないが、ほとんどはダルマに反応していた。

「おいダルマ、これからどうするんだ?」

近づいてきたゴロウの言葉を聞き、ダルマは一息入れた。

「うーん、夜まで結構時間あるしな。確かこの街にはジムと何かの塔があるんだよな?」

「マダツボミの塔だな。ダルマは少し修業してくれば?俺は先にジム行ってくる」

「何を言ってるんだお前は、俺に決まってるだろ」

ここでしばらく沈黙が続いた。わずか10秒程度だが、とても長い。

「じゃあ、じゃんけんで決めるか」

ふと、ゴロウが口にした。ダルマもその気なのか、相手の手を読むポーズを取っている。

「よしいくぞ、じゃんけんぽん!」





「じゃあ俺はジムに行ってくる。ダルマは修業頑張れよー」

こう言い残すゴロウを、ダルマはポケモンセンターで見送った。その後、ダルマも大きな荷物は預けて北へと向かった。

「ええと、マダツボミの塔はこの道をまっすぐに行けば良いのかな?」

ダルマは手持ちのタウンマップを開きながら進む。その姿は、旅慣れない旅行客そのものである。

「お、あの高い建物か。よし行くか」

目的地の確認すると、マップを収めて走りだした。その矢先、彼の額と誰かの額が激突した。

「きゃあっ!」

「うおっ!?」

条件が良かったのか、お互いしりもちだけで済んだ。ダルマは腰をさすりながら立ち上がり、ぶつかった相手に声をかけた。

「すいません、大丈……夫?」

ダルマは絶句した。もちろんみずからの行いを悔いたわけではない。普段良い加減の彼が真顔で相手を見ている。怪我をしているわけではない、非常に綺麗なのだ。

相手は女の子だ。まず目につくのは少しクセのある首までのセミショートの髪。色は濃いめの紅茶色といったところか。そこから、アクアグリーンの瞳にオレンジのパーカー、白いミニスカートに、か細い手足を際立たせるブラックのスパッツと続く。

その女の子は、すぐさま立ち上がると、素早く頭を下げた。

「す、すみません!急いでいたので……ごめんなさい!」

女の子はダルマに謝ると、走って東の方向に向かっていった。その姿を、ダルマはしばし呆然と眺めていた。

「何だったんだ?何だかむなしさだけが残るな……」

ダルマはどこか釈然としない顔だったが、再びマダツボミの塔目指して歩きだした。その時である。

「はーいそこの君ー、ちょっと良いですかー?」

「な、何ですか?」

ダルマの目の前に1人の男が現れた。腰周りがやけに太っており、背広を着ている。

「あなたトレーナーですね?ジムリーダーには勝てましたかー?」

「え、いやまだですけど」

「それはいけませんねー!勝てるように私の塾で勉強するでーす」

「待った!俺はまだ決めてな……ぐお、やめろー!」

ダルマは怪しげな男に腕を掴まれ、マダツボミの塔とは別の方角へと連れて行かれた。男は高速で回転しながら移動するので、ダルマは旗のように振り回されていた。


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