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  [No.758] 第78話「ポケモンリーグ5回戦第1試合中編」 投稿者:あつあつおでん   《URL》   投稿日:2011/10/01(Sat) 11:39:01   56clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


「まずは態勢を整えねばな、身代わりだ」

「ならばこちらはわるだくみ!」

 バトルに新たな流れが生まれつつあった。キュウコンは不敵な笑みを浮かべながら辺りに熱を撒き散らす。一方ラッキーは身代わり人形を作り、タマゴを入れる袋の中に入れた。互いににらみ合いを続け、攻め手に欠く。

「試合は緊迫した展開が続きます。しかし両者決定打を欠きます」

「ほれほれダルマ、そっちが来ないならこっちから行くぞ。ラッキー、どくどくだ」

「くっ、ひとまず身代わりだ!」

 ここでラッキーが動いた。タマゴの袋の中から毒々しい塊を投げつけてきた。キュウコンは身代わり人形でそれを受けとめる。人形には傷1つできず、互いの人形が残る形となった。

「うむ、避けられてしまったか。このままではすこぶる不利、これはあやつの出番だな。ゆくのだニョロトノ!」

「今だ、わるだくみ!」

 ドーゲンはラッキーを引っ込めると、別のポケモンを繰り出した。腹部に渦巻きがあるポケモンである。キュウコンはすかさずわるだくみで特攻を上げた。

「ドーゲン選手、ラッキーからニョロトノに交代です。そしてスタジアムはいきなり土砂降りになったぁ!」

「そ、そんな馬鹿な、出てきただけで雨が降るなんて……」

 天気がめまぐるしく変わる中、ダルマは図鑑を開いた。ニョロトノはニョロゾの進化形で、全体的に平均的な能力を持つ。ほろびのうたやアンコールといった補助技を備え、相手をかき回しながら攻撃をする。また、ごくまれに天気を変える特性を持つ個体もいる。

「ぬはは、ニョロトノの特性はあめふらし。晴れてなければキュウコンなど怖くないわ、ハイドロポンプ!」

「くそ、身代わりでしのぐんだ!」

 先手はニョロトノだ。キュウコンを上回る速さで水柱を発射する。キュウコンは身代わり人形でそれをしのぎ、再び人形を盾にした。

「こりゃまずいな……って、あれ? ニョロトノってそんなに速くないはずだぞ。もしや……」

 ふと、ダルマは首を捻った。そしてニョロトノを凝視する。頭、腕、足……あちこちチェックした末、ダルマは思わず唸る。しかしその間にもニョロトノの攻撃は止まらない。

「どんどんゆくぞ、ハイドロポンプ!」

「させるか、かなしばりで止めろ!」

 ニョロトノはもう1度キュウコンの身代わり人形を破壊した。その隙に、キュウコンはニョロトノをにらみつける。すると、ニョロトノは上手く動けなくなってしまったではないか。

「ぐう、しまった。戻れニョロトノ、ゲンガー!」

「隙あり、大文字!」

 慌てたドーゲンはニョロトノを戻し、5匹目のゲンガーを投入。キュウコンは雨を蒸気にする程熱い大の字の炎を撃った。出てきたゲンガーはこの炎をまともに受け、何もせず倒れてしまった。

「ゲンガー戦闘不能、キュウコンの勝ち!」

「い、一体何が起こったのでしょうか。有利なはずのニョロトノを交代。そして雨にもかかわらず大文字1発で倒れてしまいました」

「……父さん、ニョロトノの持ち物はこだわりスカーフなんでしょ。でなければ、キュウコンより速く動けるはずがない。どこに隠したのかは分からないけど」

「やはり読まれたか。さすが俺の息子だ。実は背中に貼りつけておいたのさ。ではもう1度、ニョロトノ!」

 ドーゲンはカラクリをばらした上で、ニョロトノを再度送り出した。天気は相変わらず雨、ダルマは3匹目のボールを握り締める。

「ここは引くべきと見た。戻れキュウコン、オーダイル!」

「そうはいかん、ハイドロポンプ」

 ダルマは手早くキュウコンとオーダイルを入れ替えた。オーダイルは出てきて早々ハイドロポンプを浴びる。だがニョロトノの攻撃はまだまだ終わらない。

「続けるのだニョロトノ!」

「負けるか、つるぎのまい!」

 ニョロトノは何回も水の槍を刺してきた。オーダイルはオボンの実をほおばりながら、負けじと戦いの舞いを披露する。反撃の準備は整った。

「そこから地震攻撃!」

 オーダイルは地面を踏みならし、波でニョロトノを攻めた。ニョロトノは浮き足だっていたのか、転んで背中を打った。

「よし、とどめのアクアジェットだ!」

 このタイミングで、オーダイルは水をまといニョロトノに襲いかかった。雨、つるぎのまい、特性の激流……まさに水を得た魚、ニョロトノを完膚なきまで叩きのめした。

「ニョロトノ戦闘不能、オーダイルの勝ち!」

「オーダイル、交代から強引にニョロトノを沈めました。今は普段と違い雨の恩恵があります。果たしてどこまで戦えるのでしょうか」

 実況の解説と並行して、観客席もざわついてきた。モニターに映し出される残りポケモンは、ダルマが6匹に対し、ドーゲンは3匹。もっとも、ドーゲン自身は意に介さない様子で笑い飛ばしている。

「……がはははは、これで勝ったつもりか? まだ俺は3匹も残しておる。出でよ、エアームド!」

「ふん、今更出ても遅い。アクアテール!」

 ドーゲンは先程のエアームドを場に呼んだ。一気に勝負を決めようとしたオーダイルは自慢の尻尾でエアームドを打ちのめす。だが、エアームドはなんとか堪えた。

「甘いわ、頑丈からのドリルくちばし」

 エアームドはオーダイルを逃がさない。その鋼鉄のくちばしで突きまくる。虫の息だったオーダイルはたまらず気絶した。

「オーダイル戦闘不能、エアームドの勝ち!」

「ふっ、やっぱ頑丈は便利だな、不測の事態に柔軟な対応ができる」

 ドーゲンは胸を張ってダルマを威圧した。ダルマは一瞬たじろぐものの、モニターを見て深呼吸をした。少し落ち着いた模様だ。

「……よく考えたら、俺にはまだ5匹も残っているじゃないか。何故不利なはずの父さんがあんなハッタリをするのか掴めないな。けど、いくら厄介な戦いをされても、最後は必ず勝ち抜いてみせる!」



・次回予告

親子対決も佳境に入った。数で押すダルマと戦略で戦うドーゲン。勝負の行方は如何に。次回、第79話「ポケモンリーグ5回戦第1試合後編」。ダルマの明日はどっちだっ。



・あつあ通信vol.59

今考えたら、キュウコンの攻撃技が文字しかない。あと、パパさんの使うポケモンが贅沢すぎる。そういえば、パパさんの6匹目は何かわかりますか? 少しバトルの組み合わせを勉強していればすぐわかるはずですよ。

ダメージ計算は、ニョロトノ@こだわりスカーフ臆病特攻素早振り、ゲンガー@命の珠臆病特攻素早振り、オーダイル@オボン意地っ張りHP攻撃振り、エアームドわんぱくHP防御振り。悪巧み2回積んだら雨でも大文字でゲンガーを確定1発。オーダイルはステルスロックとニョロトノの雨ハイドロポンプ3回をオボン込みで乱数で耐え、剣の舞からの地震と激流アクアジェットで倒せます。雨剣の舞激流アクアテールでエアームドの頑丈を発動させます。


あつあ通信vol.59、編者あつあつおでん


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