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  [No.648] 第39話「戦場ティータイム」 投稿者:あつあつおでん   《URL》   投稿日:2011/08/18(Thu) 10:13:48   77clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

「拘りメガネで特攻は何倍になる?」

「1.5倍になります」

「じゃあ狙いのまとの効果は?」

「確か、『持たせたポケモンに効果のないタイプの技が効くようになる』でしたよね?」

「……すごいな、全部あってる。ユミは努力家なんだね」

 満天の星空の下、ダルマとユミは来るべき戦いに備えて知識を蓄えていた。セキエイ高原からフスベシティに向けて出発し早3日。今晩はやや開けた、山の中腹でキャンプを張り、各自翌日を待っている。ワタルは地図とにらめっこ、ボルトとジョバンニは何やら話し込む。そしてダルマとユミは先程の通りである。たき火の炎が2人の顔を赤く染める。

「そんな、私なんてまだまだです」

「そうかなあ。俺は道具職人の息子だけど、狙いのまとなんて最近まで名前しか知らなかったよ」

「あら、ドーゲン様は道具職人なのですか?」

「うん。せんせいの爪から命の珠まで幅広く扱ってるよ。ヒワダジム戦でカモネギに気合いのタスキを持たせたんだけど、あれは俺が作ったんだ。まあ、俺のはまだまだ売れるものじゃないけどさ」

 ダルマはドーゲンの寝ているテントに目を遣った。そこから、周囲にダメージを与えかねない大いびきが耳に入ったのですぐに目線を逸らす。

 ダルマは側にあるヤカンから麦茶をコップに注ぎ、一口飲んだ。そしてユミにこう尋ねた。

「ところでさ、ボルトさんとジョバンニさんは何やってるの? フスベシティまで一緒だけど、妙に急いでるみたいだし」

「そうですね、多分出発前の事件の調査かと思われます」

 ダルマは険しい表情をした。コップに残った麦茶を飲み干すと、こう口を開いた。

「がらん堂のサバカンか。現場には何も残ってなかったし、もしかして交換システムが怪しまれたのかな? だとしたら、ボルトさんはともかくジョバンニさんが機械に詳しいなんて意外だなあ」

「……先生は10年前まで科学者と技術者をやってたそうですよ。ダルマ様の憧れるトウサ様も科学者だったそうですね」

「へえ、あの人科学者だったのか。確かにトウサさんの特集でやってたような気がするなあ。ある時を境に、両方とも突如として第一線から姿を消したらしいけど、何か聞いてる?」

「そこまでは……。ですが、先生は当時活躍していたそうですし、単に引退したというわけではなさそうですね」

 ユミは読んでいた本を閉じ、熱々の麦茶で喉を潤した。山の夜は静かだ。中腹にたまった水からできる霧がそよ風に乗り山道を隠す。植物は霧に負けまいと成長するが、どうしても霧の流れる高さを越えられない。数世紀にかけて続く山の自然は、今も変わることなく動いているのだ。

「落ち着きますね……」

「まったくだよ。早くこの戦いを片付けてゆっくりしたいな」

「ふふっ、まだ始まってもないですよ」

「そういえばそうだな」

 ダルマとユミから思わず笑みがこぼれた。少しの間が空き、ユミが真面目な面持ちでダルマを見つめる。

「ダルマ様、1つ頼みを聞き入れてもらえませんか?」

「た、頼み? 俺でできることなら手伝うよ、言ってみて」

「は、はい。ダルマ様に、私の……」

「私の?」

 ダルマは不意に唾を呑んだ。ユミは紅葉のごとく紅潮しながらも、最後の言葉を絞りだした。

「私の……ライバルになってください!」

「……ら、ライバル?」

「はい。とある事情でライバルを持った方が良いというアドバイスを頂きました。一緒に旅をしているダルマ様にライバルになってもらえれば、私はもっと成長できると思うのです」

「な、なるほど。それくらいなら構わないよ」

「ほ、本当ですか? ありがとうございます! ふつつかものですが、よろしくお願いします!」

「ふつつかものって、結婚するわけじゃないんだから。まあいいか、改めてよろしく、ユミ」

 ダルマは右手を差し出した。ユミもそれに応じて固い握手を交わすのだった。


・次回予告

フスベシティに乗り込んだダルマ達は、総力をあげて発電所に攻め上がる。ところが、がらん堂の援軍が大量にやってきて、ダルマ達は完全に囲まれた。この危機を突破することはできるのか。次回、第40話「誘い込み作戦」。ダルマの明日はどっちだっ。




・あつあ通信vol.20

前回ハッサムがカイリューを追い詰めてましたが、いじっぱり攻撃全振りテクニシャンハッサム@拘り鉢巻きのバレットパンチでHP全振りカイリューが乱数2発となります。マルチスケイルなら確定3発。結構な決定力ですが、鋼タイプは半減されやすいのが難点。また、ハッサムはメジャータイプに等倍ダメージを受けるので、繰り出しが微妙に難しい気がします。強いポケモンなのは確かですが、色々惜しいですね。


あつあ通信vol.20、編者あつあつおでん


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