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  [No.657] 第44話「フスベジム後編、空飛ぶ砲台」 投稿者:あつあつおでん   《URL》   投稿日:2011/08/24(Wed) 11:45:08   71clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

「出番よギャラドス、実力を見せつけなさい」

 イブキが投てきした2個目のボールから出てきたのは、ハクリューと似たような体型のポケモンである。ただし、太さ長さは段違い。鋭い目つきでイーブイを威嚇している。

「2匹目はギャラドスか。さすがにこいつは知ってるぞ」

 こう呟きながらもダルマは図鑑に目を通す。ギャラドスは、有名なコイキングの進化形である。威嚇により物理攻撃に強いため耐久型もできるが、メジャーなのは竜の舞いを使ったエース型だ。また、豊富な技を活かして特殊型に育てる者もいる。様々な戦い方ができるので見極めが重要だ。

「イーブイはちょっとキツいか。よし、電光石火で削れ!」

 勝負の第2幕はイーブイの急加速から始まった。イーブイはみるみるうちに距離を縮め、ギャラドスにぶつかる。しかし、ぶつかったイーブイの方が空中に投げ出されてしまった。

「甘いわ、たきのぼりよ」

 この隙を逃すイブキではない。ギャラドスはイーブイに頭でどついた。イーブイはダルマの手元まで吹き飛ばされ、ダルマは慌ててキャッチする。

「ありゃりゃ、さすがにやられたか。しかしかなり硬いな、あのギャラドス」

「フン、当然ね。フスベジムは完璧をもってよしとする。このくらいの攻撃ではびくともしないわ」

「なるほど。じゃあ俺の2番手はこいつだ!」

 ダルマは次のボールを投げた。出てきたのはスピアーである。今日も両腕の針は輝いている。

「スピアーとは、私も舐められたものね。ギャラドス、竜の舞い」

「ならばこっちはにほんばれだ。たいよおっ!」

 先に動いたのはギャラドスだ。ギャラドスは激しい戦いの踊りを始めた。一方、スピアーは両腕を天に伸ばして唸り声をあげる。すると、大空を隠す雲という雲がどこかへ消えてしまった。フスベジムには屋根がないので、直射日光がさんさんと降り注ぐ。端から見れば何かの儀式と思われそうだ。

「にほんばれですって……。仕方ないわね、じしんで沈めなさい!」

 ギャラドスは自らの胴を地面に叩きつけた。その直後、大地の咆哮がスピアーに襲いかかる。なんとかしのいだスピアーは背中の羽をはばたかせた。

「危ない危ない、よく耐えた。よし、逆転の切り札、追い風を吹かせろ!」

 スピアーは紅の瞳から閃光を放つ。その瞬間、スピアーの背後から台風を彷彿とさせる風が流れてきた。スピアーはすぐさま追い風に乗る。

「くらえ、がむしゃら攻撃!」

「くっ、速い……!」

 スピアーはギャラドスにしがみつくと、反撃を受ける前にあちこちを針で刺したおした。ギャラドスは苦痛に表情が歪むものの、辛うじて返しのたきのぼりをヒットさせる。スピアーは崩れ落ちた。

「スピアー戦闘不能、ギャラドスの勝ち!」

「……他愛ないわね」

 ダルマはスピアーをボールに回収した。そして最後のボールを手に取る。

「それはどうですかね。スピアーが整えた場で、俺の切り札が火を吹きますよ。ヒマナッツ!」

 ダルマは切り札の入ったボールを送り出した。中から出てきた切り札は、今日が初陣のヒマナッツである。ヒマナッツは何か妙な眼鏡をかけており、体中から煙が上がっている。

「あら、これが切り札かしら? ……ギャラドス、たきのぼ……」

「ソーラービーム!」

 ヒマナッツは機先を制した。頭の双葉から大量の光を集め、その口から集約した光線を発射した。光線はギャラドスを飲み込み、丸焼きにしてしまった。

「……はっ、ギャラドス戦闘不能、ヒマナッツの勝ち!」

「な、なんなの今のパワーは……」

 イブキは床を蹴りながらギャラドスをボールに収めた。ダルマは不適な笑みを浮かべる。

「これがサンパワーの力か。勉強の甲斐はあったみたいだな」

「……ここまで追い詰められたのはいつ以来かしら。これで全てを決めるわ、キングドラ!」

 イブキは3匹目のボールを場に出した。登場するのは口の長いポケモンである。

「どれどれ、キングドラか」

 ダルマは図鑑のキングドラのページをチェックした。キングドラはシードラの進化形で、ドラゴンタイプでありながら氷タイプを弱点としない。特性のすいすいを活用して雨を戦術に取り込む者もいるという。

「キングドラ、格の違いを教えてあげるわよ。竜星群!」

 イブキの号令の下、キングドラは身震いした。すると、なんということだ。上空から燃え上がる岩石が無数に飛んできたではないか。イブキは勝利を確信したのか、ガッツポーズをとる。

「……俺達は負けない。ヒマナッツ、飛び上がれ!」

 ここでヒマナッツは、双葉を上下に動かした。追い風の効果もあり、ヒマナッツ徐々に舞い上がっていく。しまいには太陽に重なってしまった。

「そのままソーラービーム発射!」

 ヒマナッツは今一度、極太のビームを撃った。地上での攻撃とは異なり、空中での攻撃において反動が如実に現れる。ヒマナッツは顔面を振り回された。

「あらあら、そんなに狙いが逸れていては……」

「いや、これこそが作戦だ!」

 ダルマは胸を張って答えた。ヒマナッツのソーラービームは四方八方乱射されているが、それにより流星群が次々に塵と化していく。キングドラも良く避けていたのだが、不運にも流れ弾が直撃。たちまち光に包まれ、そのまま壁に激突した。

「……キングドラ戦闘不能、ヒマナッツの勝ち! よって勝者はダルマだ!」

「そ……そんな! この私が、こんな素人に!」

 ワタルのジャッジが下った瞬間、イブキは身動きが取れなかった。それを横目にダルマはヒマナッツのもとに駆け寄る。

「すごいぞヒマナッツ、あそこまで強烈だとは思わなかったよ」

 ダルマはヒマナッツの頭を撫でた。ヒマナッツは気持ちよさそうに喉を鳴らす。

「いやあ、見事な作戦勝ちだったよダルマ君」

「ワタルさん、本当ですか?」

「ああ。スピアーのサポートからヒマナッツの火力を引き出す……ポケモンバトルが1匹だけのものじゃないことを改めて実感したよ。さて……」

 ワタルはイブキの方を向き、満足げな顔で再び頼み込んだ。

「イブキ、これでわかったかな。約束だから訓練手伝ってくれよ。それと、バッジもね」

「うるさい、わかってるわよ」

 イブキはダルマに歩み寄った。途中でワタルの足を全力で踏みつけたのは内緒である。

「これがフスベジム勝利の証、ライジングバッジよ。さっさと受け取りなさい」

「ありがとうございます。よーし、ライジングバッジゲットだぜ!」

 イブキからバッジを受け取ったダルマは、それを天に掲げるのであった。


・次回予告

がらん堂との戦いに備え、1人鍛練をするダルマ。そこに父が現れ、2人で話を始めたのだが……。次回、第45話「技の継承」。ダルマの明日はどっちだっ。




・あつあ通信vol.25

かなりカオスな勝負になりましたが、ようやくダルマの戦い方が提示できたと思います。ちなみに、全員6Vレベル40前提ですが、ダメージ計算はなんとか辻褄が合います。意地っ張り全振りハクリューの逆鱗でイーブイ乱数1発。返しの適応力じたばたで確定1発。無振りギャラドスの竜舞地震をHP全振りスピアーは高乱数で耐え、追い風で抜けます。ひかえめ素早全振りヒマナッツは無振り竜舞ギャラと無補正全振りキングドラを抜き去り、サンパワー眼鏡ソーラービームで無振りうっかりやキングドラを乱数1発で葬れます。うっかりやだと特防が下がるとはいえ、種族値オール30のヒマナッツがキングドラを一撃にできるとは……太陽神となる時が楽しみです。


あつあ通信vol.25、編者あつあつおでん


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