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  [No.704] 第57話「3度目の正直後編」 投稿者:あつあつおでん   《URL》   投稿日:2011/09/08(Thu) 17:30:35   68clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

「ゆけ、リザードン!」

 ワタルは3匹目のポケモンを繰り出した。両肩から生える翼に尻尾の炎がトレードマークのポケモン、リザードンである。サバカンは腰にあるボールに手をつけた。

「……いい加減学習したらどうだ、チャンピオンよ。戻れハッサム、出番だマンタイン!」

「身代わりだ!」

 サバカンはハッサムを戻し、新たなポケモンを投入した。扁平な体型で非常に大きな胸びれを持つ。また、テッポウオがくっついている。カイトポケモンのマンタインだ。一方リザードンは人形を作り出し、左手に持った。サバカンは思わず目を丸くする。

「身代わりとは、慣れないことはしないことだ。身を滅ぼすのみよ」

「それはどうかな? リザードン、かみなりパンチ!」

「なんと!」

 リザードンとマンタイン、先手はリザードンだ。リザードンは右腕を帯電させ、マンタインの顔面を殴りつけた。電気はマンタインの体に流れ込み、みるみるうちにダメージを蓄積させる。そうして、マンタインは力なく倒れた。

「よし、まずは1匹だ」

「……これは驚いた。かくのごとき懐刀を持っていたとは」

「どうだい、僕の腕は」

「ふん、自惚れるな。出でよデンリュウ」

 サバカンはマンタインを回収すると、再びデンリュウを場に送り出した。ワタルは不適な笑みを浮かべ、リザードンに指示を出す。

「……今こそチャンスだ。リザードン、集中しろ!」

 突然、リザードンの周囲が揺らぎだした。尻尾の炎はリザードンの頭に届くほど強くなり、辺りを熱気で包み込む。

「何をする気かは知らぬが、そうはいかん。デンリュウ、10万ボルトだ」

 デンリュウは充電をすると、まばゆい電撃を放った。電撃は空気を押し退けリザードン目がけて迫る。

「甘い、ガードするんだ!」

 ここで、リザードンは左手の身代わり人形を前方に突き出した。10万ボルトは人形に命中し、人形は消えてしまった。だがリザードンには何の被害もない。

「きあいパンチ!」

 リザードンはそのまま、隙だらけのデンリュウに接近。唸る拳を腹に叩きつけた。先程の地震によるダメージもあったため、攻撃を受けたデンリュウは立つので精一杯だった。だが、しまいには地響きとともに崩れ落ちた。サバカンの頬に脂汗が滴る。

「ぐ、デンリュウ!」

「……さあサバカン、君の手持ちはもうハッサムだけだ。……あくまでも抵抗するつもりかい?」

 ワタルはサバカンの意志を確認した。サバカンは静かに首を縦に振り、こう口を開いた。

「愚問だな。某は誇り高きがらん堂の一員、命に替えても師に背くような真似はしない」

「そうか。ならばもう何も言うことはない、決着をつけよう」

「……ハッサム、頼むぞ」

 サバカンはデンリュウをボールにしまうと、最後の1匹ハッサムに全てを託した。彼は一縷の望みを持って怒号をあげる。

「バレットパンチ!」

「これで終わりだ、リザードン フレアドライブ」

 ハッサムはハチマキを棚引かせながら加速、リザードンにハサミをねじりこんだ。リザードンはそれを悠々と受け止め、全身に火炎をまとう。それからハッサムに突進した。リザードンは歩を止めることなく前進し、サバカンもろとも業火にさらした。

「う、うぐおぉぉぉぉぉぉおおおお!」











「……これがチャンピオンの実力だ。わかってもらえたかな?」

 数分後、決着がついていた。ワタルはサバカンに近寄り声をかけた。サバカンは仰向けで虫の息となっている。

「……ああ、確かに我が身をもって思い知らされた。貴殿は強いな」

「ありがとう。……ところで1つ聞いていいかい。何故君達がらん堂の人達はそこまでサトウキビに忠実なんだ? 離反しようとは思わないのか?」

 ワタルの問いかけに、サバカンは胸を張って答えた。その眼は子供のように光り輝く。

「そのようなこと、考えるはずなどない。……師は、向上心はあるが事情により学ぶことができない若者を養い、好きなだけ勉強させる。某も師に救われた1人だ。当然、我等は師の恩義に報いるために様々なことをした。貴殿等を迎えうつのもそういった活動の1つに過ぎない」

「……そうだったのか。だとしたら尚更わからないな、彼は何故急にこのような暴挙に出たのか」

「ふん、気になるなら師に直接会うことだ。まあ、生きては帰れぬだろうがな」

「お、忠告ありがとう。じゃあ僕はそろそろ行くよ、がらん堂にね」

 ワタルはそう言い残すと、1人がらん堂へと移動するのであった。夜はまだまだ長い。



・次回予告

ユミの前に現れたのは、がらん堂のパウルであった。サトウキビに匹敵する力を持つ彼のバトルは、実に厄介なものであった。次回、第58話「避けられぬ戦い前編」。ユミの明日はどっちだっ。


・あつあ通信vol.38

私が出す女の子キャラは、大体自分好みに設定している気がします。例えばユミはおしとやかだったり清楚な点ですね。ただ真面目なのも好きですが、立ち居振る舞い1つ1つに現れる優美な感覚を重視していると思います。あとは眼鏡っ子等も好みです。次回作では必ず……おっと、危ない危ない。

ちなみに、ダメージ計算はリザードン陽気攻撃素早振り、マンタイン穏やかHP特防振り。リザードンのきあいパンチとギャラドスの地震でデンリュウが乱数で落ちます。雷パンチはマンタインを確定1発。フレアドライブでサバカンもろともハッサムを一撃。

あつあ通信vol.38、編者あつあつおでん


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