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  [No.760] 第79話「ポケモンリーグ5回戦第1試合後編」 投稿者:あつあつおでん   《URL》   投稿日:2011/10/02(Sun) 11:21:59   49clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


「ここからが本番だ、カモネギ!」

「ダルマ選手、次のポケモンはカモネギ。現状ではダルマ選手がかなり有利ですが、まだまだ油断なりません」

 ダルマはオーダイルを引っ込め、カモネギを繰り出した。カモネギには出て早々岩が食い込む。ドーゲンは腰に装備するボールを眺めながら戦況を読む。

「ふむ、カモネギか。真意は計りかねるが、交代しても得策とは言えんな。よし、ドリルくちばしだ」

「させるか、アクロバット!」

 エアームドより先にカモネギが動いた。カモネギは懐から何かの石を取り出し、それを砕いた。そして軽やかにエアームドを攻撃。予想外の1発にエアームドはたまらずダウンした。

「エアームド戦闘不能、カモネギの勝ち!」

「よし、あと2匹だ」

「見る限り、あれは飛行のジュエルか。中々良い出来だ。……久々に熱くなってきたぞ。実に良い気分だ。そろそろこいつを出すのも悪くない、出でよ我が秘密兵器!」

 ドーゲンは興奮した様子で新たなポケモンを場に出した。出てきたのは、ハサミと数珠が連なったような尻尾が特徴的なポケモンである。

「ドーゲン選手の6匹目はグライオンです。これで全てのポケモンが出揃いました。あとはこのポケモンとラッキーを残すのみです」

「グライオンか……でかいな」

 ダルマは図鑑を開いた。グライオンはグライガーの進化形で、非常に高い防御を持つ。そのタイプと能力から、耐久型で大概の格闘タイプを手玉に取れる程の実力者。また、格闘タイプを起点につるぎのまいを使い、ジュエルとアクロバットで攻める物理型も侮れない。ダルマは図鑑を閉じると、慎重に指示を飛ばした。

「まずはアクロバットで様子を伺うんだ!」

「グライオン、守る!」

 カモネギは手始めに茎でグライオンを切り付けた。しかしグライオンにガードされてしまい、軽く弾かれてしまった。その直後、グライオンから大量の毒が吹き出してきた。ダルマは思わず身構える。

「おっと、グライオンは猛毒を食らってしまった! あれはどくどくだまでしょうか?」

「ま、また何か企んでるのか? けど今は攻めるしかない。カモネギ、とにかく攻撃し続けるんだ、アクロバット!」

「そんな半端な攻撃効かん、つばめがえしで返り討ちだ」

 ここからチャンバラが展開された。カモネギは茎、グライオンはハサミでお互いを殴りあう。だがステルスロックのダメージとそもそもの能力差により、2回攻撃したところでカモネギは倒されてしまった。

「カモネギ戦闘不能、グライオンの勝ち!」

「くっそー、硬いなさすがに。……ん、ちょっと待てよ。もしかしてグライオンの体力、回復してるのか?」

 ダルマはグライオンを凝視した。本来、猛毒状態ならダメージを受けるはずである。しかしグライオンはダメージはおろか、カモネギの攻撃により傷すら余裕といった感じだ。ドーゲンは不敵な笑みを浮かべながら説明する。

「ほう、よく気付いたな。俺のグライオンの特性はポイズンヒール、毒状態で体力を回復できるのだ。この耐久に回復が合わされば、どんなポケモンでも倒せるというカラクリよ」

「……なるほどね、そういうことか。なら一撃で仕留めないと、キュウコン!」

 ダルマはカモネギを戻し、キュウコンを呼び出した。またしても岩が刺さり、いきなり肩で息をする状態だ。

「ダルマ選手、再びキュウコンの登場です。それと同時にスタジアムは急に晴れあがりました。まるでダルマ選手に天気が味方しているようです」

「一気に決めるぞ、大文字!」

「なんの、地震で終わりだ!」

 キュウコンはグライオンよりも速く大文字を放った。グライオンは地震を起こすことができずに直撃、そのまま落ち葉のように地面に舞い落ちた。

「グライオン戦闘不能、キュウコンの勝ち!」

「なんと、幾度もの逆転をしてきた俺が追い詰められたとは……。しかし、これで勝ったと思うなよダルマ! 俺には最後の砦たるラッキーがいるのだ!」

 ドーゲンはグライオンを回収し、ラッキーを送り出した。驚くことに、ラッキーは耳をはばたかせて宙に浮いたではないか。しばらくして落下したが、スタジアムの度肝を抜いたのは間違いない。

「ドーゲン選手、最後のラッキーを場に出しました。晴れ大文字を軽々耐えるその硬さで、どこまで抵抗できるでしょうか」

「こちらは4匹、あっちはラッキーのみ。なのにあの自信はどこから湧いてくるんだ? いやそれより、体力的に身代わりはできないな。仕方ない、大文字だ!」

「そうはいかん、ちきゅうなげ!」

 最後の勝負が始まった。キュウコンは白みがかった大の字の炎を撃った。一方ラッキーはキュウコン目がけて前進。あろうことか大文字をも蹴散らしキュウコンを掴み、バックドロップを決めた。まさかの攻撃にキュウコンは気絶した。

「キュウコン戦闘不能、ラッキーの勝ち!」

「そ、そんな馬鹿な! 大文字を突き破るなんて……」

「ふっ、ラッキーを舐めてもらっては困る。名前通りの幸運な勝利、必ず手にしてみせる。さあ、どこからでもかかってこい!」

「……こうなったら、頼むぞブースター」

 ダルマはキュウコンを収め、ブースターに交代。晴れているせいか、ブースターは口から火を漏らしている。

「はん、性懲りもなく特殊アタッカーで来たか。ダルマ、敗れたり!」

「それはどうかな。馬鹿力で決めろ!」

 ブースターは急加速してラッキーに接近した。それからラッキーの頭上にジャンプ。そして4本の足でラッキーを蹴りつける。攻撃を終えたブースターはダルマの元へ撤収した。ラッキーは気丈に振る舞おうとしたが、万事休す。目を渦巻きにして仰向けで倒れた。

「ラッキー戦闘不能、ブースターの勝ち! よって勝者、ダルマ選手!」

 審判が決着のジャッジを下した。ダルマは飛び上がって叫んだ。他方、ドーゲンはその場にしゃがみこむ。

「よし、5回戦突破!」

「ぬ、ぬうう……俺のポケモンリーグもここまでか。30年越しの悲願には届かずじまい。まあ、ある意味俺らしいな、ははははは!」

 ドーゲンは腹の底から笑った。それに共鳴するかのように、スタジアム中から万雷の拍手が鳴り響いてきた。

「これは、観客席からスタンディングオベーションの嵐が巻き起こりました! スタジアムが親子の健闘を称えています。私も、不覚にも目から汗が……」

 実況は徐々に鼻声になり、実況にならなくなった。鳴り止まない拍手の中、ダルマはドーゲンに近寄った。

「父さんお疲れ。まさかここまで強いとは思わなかったよ」

「お前もな。よもやこの短期間で俺を超えていくとは、あっぱれだ。……俺はお前が旅に出ると決めた時、『野心が途中でなくなる』とからかった。だがお前はあらゆる困難に打ち勝ち、遂にポケモンリーグの頂点を目指せる位置にまでいる。大したものよ」

「父さん……」

 ダルマは息を呑んだ。ドーゲンは立ち上がりダルマの瞳を注視する。

「ここまで来たら、俺に言えるのはただ1つ。戦えダルマ。戦って戦って戦いぬいて、その先に何が待っていようと、決して諦めるな! 諦めないその心が、最大の武器になるのだからな。……以上、俺は家に帰るぞ。仕事が入ったからな。優勝したら一緒に飯でも食おう」

 ドーゲンはそう言い残すと、ダルマの返事も聞かずにスタジアムを後にした。父を見送ったダルマに、陽光と拍手がいつまでも降り注ぐのであった。



・次回予告

ポケモンリーグに残るトレーナーは、あと8人。その中にダルマもいる。5回戦を勝ち抜いてきた彼に立ちはだかるのは、予想だにしない人物であった。次回、第80話「ポケモンリーグ6回戦第1試合前編」。ダルマの明日はどっちだっ。



・あつあ通信vol.60

非常に今更ではありますが、当連載のおすすめの見かたを紹介。それは、BGMを流しながら読むことです。今なら話の流れ上、熱い戦闘曲をニコニコ辺りで再生しながら読めば、臨場感は3割増し(当社比)に。是非ご活用ください。

今回ドーゲンさんが使ったラッキー、グライオン、エアームドの組み合わせを俗にラキグライムドと呼びます。早い話が、受けループに持ち込みステルスロックや毒々でダメージを稼ぐのが狙いです。スイクンやクレセリアがいればより安定しそうですが、伝説ポケモンを出すのはあれなのでこのように。対策はパルシェンやゴウカザル、マジックミラーやマジックガードくらいでしょうか。

ダメージ計算はレベル50、6V、カモネギ@飛行ジュエル陽気攻撃素早振り、グライオン@どくどくだまわんぱくHP防御振り、ブースター意地っ張り攻撃素早振り。カモネギのジュエルアクロバットでとどめ。カモネギはステルスロック込みでグライオンの燕返しが確定2発。キュウコンの大文字とカモネギの与えたダメージでグライオンは乱数。ブースターの馬鹿力で大文字2発受けたラッキーを確実に倒します。

しかし、そろそろポケモンリーグも終盤。ダルマの相手を予想できるのもあと3回。次回は誰と勝負するのかしら。

あつあ通信vol.60、編者あつあつおでん


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