「終わっちゃったなあ……」
「どうだダルマ、俺の強さがわかったろ? 初めて戦ったあの時のリベンジ、遂に果たしたぜ!」
「わかったわかった、頼むから何回も言わないでくれ」
決勝戦が終わった直後から、ダルマ達はセキエイのポケモンセンターで旅の打ち上げをしていた。もっとも、既に寝呆け眼ながら太陽が仕事を始めた様子である。皆、バトル以上に疲れきった表情をしている。その中でも、ゴロウは自分の活躍を語るのに忙しいのか、まだまだはつらつとしている。
「ふふ、2人とも兄弟みたいですね」
「それは」
「ないぞ!」
ユミの軽い突っ込みに、ダルマとゴロウは即座に否定した。この茶番を眺め、カラシがため息をつく。
「ふん、最後までこのざまか。こんな奴に負けたと思うと、どうしても納得いかないな」
「ははは、そりゃきついなあ。まあ良いじゃないか」
ダルマは手元にあったサイコソーダで喉を鳴らした。それから、感慨に浸りつつ旅を振り返る。
「この旅で色んな人に出会ったけど、誰もかれも凄い奴ばかりだったよ。ゴロウ、カラシ、ユミ……他にもいっぱいいるけど、これでお別れとなるのは寂しい限りだ」
「確かになー。なんだかんだで長い付き合いになったし、これでおしまいなのはもったいねえ」
「で、でしたらまた旅に出るのはどうですか?」
ここで、ユミが皆に提案を出した。ダルマは彼女の方を向き、大事な点を尋ねる。
「またって、どこかあてがあるの?」
「ええ。私の家がアサギシティにあるのですが、そこを中心にジョウトの西部なんてどうでしょう。私達、コガネシティまでしか行ってませんから丁度良いと思いますよ」
「お、そりゃ面白そうだな! じゃあ俺は行くぜ、ダルマも当然行くだろ?」
ゴロウは挙手で意思表示をした。彼はダルマに目を遣る。ダルマは頷きながら答えた。
「ああ、しばらくやることもないしな。カラシはどうする?」
「ふん、俺は遠慮させてもらうぜ、これから忙しくなるからな。……それじゃ、そろそろ失礼する。いいかダルマ、次は俺が勝つことを忘れるな」
カラシはそうとだけ言い残すと、荷物を手に取りその場を後にするのだった。この無愛想にはダルマもお手上げである。
「行っちまったか、かわいげのない奴。ま、あの調子ならまた会えるだろうし、大丈夫か」
「そうですね。では、私達も出発しましょう。まずはワカバタウンですかね」
「そうだな。……おや、こんな時間に誰だ? もしもし」
突然、ダルマの図鑑、もといポケギアの着信音が辺りに響いた。彼はポケギアを耳に押し当て受け答える。相手は、聞き慣れない声で話した。
「あ、ダルマさんですか? 私作家をやっている者です、突然のお電話失礼しました。ご迷惑でしたでしょうか?」
「いえ、俺もさっき起きたばかりですから。それで作家さん、こんな時間にご用件ななんでしょう?」
ダルマがこう問ったところ、作家を名乗る者の声が一段と大きくなった。
「おお、よくぞ聞いてくれました。実は私、ノンフィクションの題材を探していたのですが、なんとも凄い体験をしたトレーナーがいると聞きましてね。そこで、あなたの旅を小説にしたいので、許可を頂こうと連絡をした次第です。どうですか、了承してもらえますか?」
「それは構いませんが……」
ダルマは気の抜けた返事をした。作家はいよいよご機嫌な調子で喋る。ダルマはもちろん、端から見ているゴロウとユミも、漏れてくる声に戸惑い気味だ。
「そうですか、ありがとうございます! では後に取材をさせてもらいますね。そうそう、タイトルはもう決まっているんですよ。こっそり教えておきますね」
ここで、作家は受話器越しに深呼吸をして間を置いた。そして、澄ました声でこう叫ぶのであった。
「『大長編ポケットモンスター「逆転編」』!」
大長編ポケットモンスター「逆転編」
・キャスト
・ポケモントレーナーのダルマ
・ポケモンリーグ優勝者のゴロウ
・探検家志望のユミ
・道具職人のドーゲン
・ポケモン博士のウツギ
・ポケモントレーナーのカラシ
・ポケモン塾のジョバンニ
・キキョウジムリーダーのハヤト
・がらん堂幹部のパウル
・がらん堂塾長のサトウキビ
・ボール職人のガンテツ
・???のミツバ
・ヒワダジムリーダーのツクシ
・コガネ市長のカネナルキ
・市議のイブセ
・技術者のボルト
・コガネジムリーダーのアカネ
・国際警察のハンサム
・チャンピオンのワタル
・四天王のキョウ
・がらん堂幹部のサバカン
・フスベジムリーダーのイブキ
・がらん堂幹部のリノム
・科学者のナズナ
・他端役多数
・出演ポケモン73種類63匹
・スタッフ
・元作品:ポケットモンスターシリーズ
・原作:ゲームフリーク様
・執筆:あつあつおでん
・ストーリー:あつあつおでん
・バトルプラン:あつあつおでん
・設定:あつあつおでん
・デバッグ:読者の皆様
・スペシャルサンクス(敬称略)
・もんじろう
・モバイル色見本 原色大辞典
・文体診断ロゴーン
・小説形態素解析CGI(β)
・トレーナー天国i
・ポケモン ブラック・ホワイト攻略ガイド
・ネタポケまとめwiki
・ポケモン第五世代・対戦考察まとめwiki
・Weblio類語辞典
・ライトノベル作法研究所
・マサラのポケモン図書館
・Google先生
・Yahoo!辞書
・後日談
・逆転の代名詞 ダルマ
ポケモンリーグでの戦いぶりから、良くも悪くも逆転の代名詞として名を馳せる。パーティ全員で1つの戦略を成し遂げる姿は、初心者トレーナーの手本となった。現在はジョウトの西部を旅しているらしい。
・不器用な優勝者 ゴロウ
たった1匹でポケモンリーグを制したこだわりと強さから、後々まで語り継がれていく。やがて、彼は全てのポケモントレーナーの目標になる。
・二面性の探検家 ユミ
故郷に戻り、ダルマと共に探検家の訓練をしている。また、時々ジョバンニの下でポケモンバトルを教えている。彼女の授業は恐れと敬意を持って親しまれているともっぱらの噂らしい。
・真摯な虎 カラシ
その実力を高く評価され、四天王の1人となる。家族をセキエイに呼んで生活しているらしい。世間から忘れられたはらだいこを使いこなしたことで、評論家からは高い評価を受けた。もっとも、彼は周りを気にせず修練に励むばかりである。
・稀代の道具職人 ドーゲン
大会で使った量産型しんかのきせきを売りさばき、財産を築く。彼が作った道具はどれもポケモンバトルを変革し、常に時代を作り続けた。しかし、彼自身はバトルをしなかったようだ。
・片割れの科学者 ジョバンニ
がらん堂が崩壊したことで、閑古鳥が鳴いていたポケモン塾に人が戻ってきた。彼の昔話は様々な人を引き付け、それにより友人トウサが見直されることとなる。
・技術者の鑑 ボルト
コガネの海に沈んだレプリカボールを作り直し、1代にして巨万の富を得る。しかし物作りへの情熱はとどまるところを知らず、数々の発明品を世に送り出すのだが、それはまた別の話である。
・立ち向かう警察 ハンサム
最近は暇になり、スロットで時間を潰すこともしばしば。だが割に上手く、コインで手に入れた道具でバトルの腕を磨いていったらしい。
・忘れられた科学者 トウサ
あれから捜索が続くが、一向に見つからない。果たして彼は生きているのか、それとも……。その答えは神のみぞ知る。
THE END