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  [No.752] 第77話「ポケモンリーグ5回戦第1試合前編」 投稿者:あつあつおでん   《URL》   投稿日:2011/09/29(Thu) 17:24:30   56clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


「ポケモンリーグは10日目に入りました。今日から2日にかけて5回戦を実施します。現在残るのは16人ですが、誰もが優勝を狙える位置にいます。また、5回戦から最大6匹のフルバトルになるので、本当の実力が試されます。では5回戦第1試合、選手入場!」

「次は誰が相手になるんだろ」

 セキエイ高原のスタジアムに、ダルマは今日も入っていた。ポケモンリーグ本選もいよいよ後半戦とあり、彼の顔は自然と引き締まる。その一方で、場慣れした穏やかな表情も見受けられる。

「ダルマじゃないか、まだ負けてなかったのか」

「げえっ、父さん! まさか5回戦まで進んでくるとは思わなかった」

 そんなダルマの落ち着きは、今日の対戦相手によって吹き飛ばされた。ダルマはトーナメント表を確認する。ダルマの今日の相手は父、ドーゲンだ。ドーゲンはぐふぐふ笑いながら胸を張る。

「ふふふ、俺を甘く見てはいけないぞ。今、俺は人生で最も充実している。当然よ、諦めたはずのポケモンリーグが、この年になってチャンスを得たんだからな。そんな俺の前では、例え四天王が相手でも負けん。勢いが違うわ」

「……要は、興奮して暴走気味ってことだよね?」

「そうとも言う。しかし今の俺は最強だ、息子と言えど容赦せんぞ」

「別に手加減してもらう必要はないよ、俺は実力で勝ってみせる!」

「さあさあ、試合前から火花が飛び散っております。ドーゲン選手とダルマ選手は親子のようで、実に数年ぶりの親子対決となります」

 実況の一言で、にわかに外野が騒がしくなった。スタジアムは徐々に熱気に包まれる。ダルマとドーゲンはボールを手に取った。それを確認した審判は試合開始を宣言する。

「これより、ポケモンリーグ本選5回戦第1試合を始めます。対戦者はダルマ、ドーゲン。使用ポケモンは最大6匹。以上、始め!」

「ゆけ、キマワリ!」

「ゆくのだカメックス!」

 必然の対決、開幕。ダルマとドーゲンは、ほぼ同時にボールを投げた。フォームが2人共よく似ている。

「親子対決、遂に火蓋を切りました。ダルマ選手はキマワリ、ドーゲン選手はカメックスが先発となります。今日のキマワリはこだわりメガネを装備していませんね」

「カメックスか、何故か印象に残らないんだよな」

 ダルマは図鑑を開いた。カメックスはカメールの進化形で、バランスの良い能力を持つ。だがどれも突出しているとは言い難く、火力も耐久も微妙に半端。逆に言えば火力も耐久もそれなりにあるので、様々な立ち回りを同時にこなせる。

「ふふふ、カメックスは水タイプだからキマワリは有利……そう思っているだろ? 馬鹿め、カメックスを舐めるな! 冷凍……」

「まずはリーフストームだ!」

 先手はキマワリだ。キマワリは嵐を巻き起こし、それに尖った葉っぱを乗せてカメックスに飛ばした。カメックスは紙のように切り刻まれ、試合開始30秒も経たないうちにノックアウトしてしまった。

「カメックス戦闘不能、キマワリの勝ち!」

「おっと、キマワリがいきなりカメックスを倒しました! ダルマ選手、1歩リードです」

「むう、やってくれるわ。しかしカメックスは俺の手持ちでは最弱、まだ5匹残っているぞ」

「ならさっさと出してよ」

 ダルマは素っ気なく促した。ドーゲンはため息をつきながら2匹目の準備をする。

「……つれない息子め。出番だ、エアームド!」

 ドーゲンは力強く次のポケモンを繰り出した。出てきたのは、薄い羽に鋼の体を持った鳥ポケモンである。

「エアームドか、フスベの周辺にいたような気が」

 ダルマは図鑑を覗き込んだ。エアームドは鋼、飛行の組み合わせで、非常に物理耐久が高い。耐性も優秀で、一昔前は必須と言われる程のポケモンだった。近年は炎タイプの台頭で使用率が下がっているものの、とある組み合わせの発見で再評価されつつある。ダルマはエアームドに目を向けると、ボールを握り締めた。

「相性は良くないな。戻れキマワリ、いくぞキュウコン!」

「隙あり、ステルスロック」

 ダルマはキマワリを引っ込めてキュウコンを投入。対するエアームドは辺りに切れ味鋭い岩石を浮かべた。キュウコンの周りを岩が衛星のように回転する。

「ダルマ選手、キマワリをキュウコンに交代。しかし、周りに尖った岩が漂いだしました。」

「うむ、これは厄介だな。晴れがキュウコンの力の源、これを封じるのも悪くないが……戻れエアームド、仕事だラッキー!」

「逃がすな、大文字!」

 ドーゲンは手早くエアームドを回収し、3匹目のポケモンを送り出した。現れたのは、腹部にタマゴを抱える白いポケモンである。また、薄紫の石が首からぶら下がる。丁度キュウコンの大文字が直撃するも、そのポケモンは何食わぬ顔でタマゴをさすった。

「ドーゲン選手、エアームドからラッキーに交代です。その際キュウコンの大文字を受けましたが、驚くことにぴんぴんしています!」

「な、なんだあれは! キュウコンの晴れ大文字をああもたやすく耐えるなんて」

 ダルマは図鑑を食い入るようにチェックした。ラッキーはピンプクの進化形で、全ポケモン中トップクラスの体力を誇る。特防にも定評があり、進化途中にもかかわらずかなりの特殊型が止まる。ただし決定力は皆無に等しく、防御も恐ろしく低い。もっとも、防御を伸ばせば体力があるので、物理耐久は高くなる。

「見たかダルマ。これが俺の最高傑作、量産型しんかのきせきの力だ」

「しんかのきせき? 何それ」

「なんだ、知らんのか。しんかのきせきは『進化できるけど進化していないポケモンに持たせたら防御と特防が上がる』という効果を持つ。便利だが希少性が高く、値段が高騰していたのだ。そこで、俺は1個買って同じものを作ったのさ。観客席の皆さん、これさえあればかなりの数のポケモンがバトルで活躍できます。興味のある方は是非ワカバ工房までお電話ください!」

 ドーゲンは観客席とテレビカメラに向けて惜し気もなく新製品を紹介した。その直後、彼の懐からバイブレータの音が止まらなくなった。そんな父親に、ダルマは唸りながらも頭を抱えるのであった。

「く、くっそー。宣伝なんて余裕かましやがって。けど、どうすれば良いんだ?」



・次回予告

父、ドーゲンは、お手製の道具とポケモンの組み合わせでダルマを悩ませる。ダルマはこの強敵を打ち破ることができるのか。次回、第78話「ポケモンリーグ5回戦第1試合中編」。ダルマの明日はどっちだっ。



・あつあ通信vol.58

親子対決がやってきました。ドーゲンは一応フスベジムまで到達しているのでそれなりに強いです。道具職人だけあり、アイテムが彼の強さを支えています。

ダメージ計算は、レベル50、6V、カメックス@オボン冷静HP特攻振り、キマワリ臆病特攻素早振り、エアームド@食べ残しわんぱくHP防御振り、キュウコン臆病特攻素早振り、ラッキー@進化の輝石図太い防御素早振り。キマワリの手ぶらリーフストームで確定1発。キュウコンの晴れ大文字はラッキーに乱数4発。ラッキーぇ……。


あつあ通信vol.58、編者あつあつおでん


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