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みなさん、夏ですね。いや、冬でしょうか?
冬でも夏でも、あなたのそばにはポケモンがいます。
ポケモンがいれば楽しい話もある。楽しい話があれば悲しい話もある。
悲しい話には・・・・怖さが”憑き物”ですよね?
悲しくなくてもいい。怖くなくてもいい。
電子の世界に広がる未知領域。それが「電子携獣奇譚草子」です。
さぁ、あなたが垣間見た未知の世界・・・・どんなものでしたか?
期間は8/15まで。皆さんのお話は一冊にまとめ、おくりびやまに奉納する予定です。
皆様のご参加、お待ちしております・・・・
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要するに創作ポケモン怖い話を集めようってことです。はい。
ですが、ただ怖いだけじゃ味がないのでルールを一つ決めさせて頂きます。
ズバリ、「ポケモンがした、人間の知り得ない現象」を書くこと。
ポケモンなんてまだまだ分からないことだらけ。私たちの知らないチカラで、知らないトコロで何をしていてもおかしくないですよね?
純粋ホラーもよし。じんわりくる温かい話でもよし。ちょっと気持ち悪くてもよし。
ただし過度のグロ表現はご遠慮ください。あくまで「ポケットモンスター」の範疇でお願いします。
こんにちは。神風紀成と申します。
巷で噂の『DQNネーム』まさかポケモンに持ってくるとは考えなかったなあ……
なんででしょうね。違和感があまり感じられないんですよね。
多分カタカナか平仮名じゃないと付けられないからなんだろうな(ゲームに限るけど)
以前テレビで見たポケモンバトルで、ポケモンの名前を顔文字で設定していた子がいてびっくりした覚えがあります。
さてさて、リアルの方ですね。
友人は以前イーブイ進化系でパーティを組んでいた時に、グレイシアに『ツンデーレ』サンダースに『カーネル』と付けていました。
「なんでツンデーレ?」と聞いたら「だってグレさんツンデレじゃん」という訳の分からない答えが返ってきて頭を抱えました。
ちなみに私は彼らの水・炎・電気に『サイダー』『レモン』『オレンジ』と付けました。今でも健在です。
今ではあまり考えませんが、中二の時にイタリア語にやたらとハマりまして。
捕まえるポケモンをほとんどそれに関した単語で付けていました。いや、ブラックのパーティもそうだったんですけど。
ツンベアーに『ギアッチョ』と付けたのはやりすぎだったかな……と今更ながら思います。ちなみに『氷』です。
>> 個体登録の際に、そのポケモンの将来を考えてみてはどうだろうか。
彼らを使う人間の名前もそうなる時代が来るんでしょうね、きっと……
> 暑いですね、暑いとカキゴーリとでも名付けたオニゴーリを触りまくりたくなります。「ねぇ、カキゴーリ。かき氷食べる?」とか言ってカキゴーリ(オニゴーリ)をあたふたさせてやりたくなります。
ユキカブリに『キントキ』とか?『ウジキン』だと何か卑語に思えてならない。
長文失礼いたしました。では!
「おとうとの かたきを とるのです!」
「いやだね やったね たぶんね へんだね」
上記の文章はすべて、実際につけられたポケモンのニックネームである。
近年、ポケモンに珍名をつけることが流行っている。俗に言うキラキラネームである。ユニーク過ぎる名付けに一部ではDQN(ドキュン)ネームとも揶揄されている。
全国トレーナー協会の定めでは公式戦に他種族名をつけたポケモン、同一ニックネームのついたポケモンを使用することが認められていない。また、卑猥な単語、他人を貶める単語をニックネームとしてつけられたポケモンがグローバルトレードシステム上に預けられるということが多発したため、トレーナー協会は2010年より新規個体登録の際に禁止単語をもうけることにした。
イッシュ地方から広まったバトル形式、トリプルバトルも珍名を助長しているのではという愛護団体もいる。いままでのシングルバトル、ダブルバトル形式ではみられなかった文章を表現する珍名だ。ネット上では、そういった文章ネームとでも呼ぶものを投稿するサイトまでできている。
ニックネームはポケモンとのきずなを深めるものだ。おや登録されたトレーナー以外は変えることができず、リリースされたあとに別のトレーナーに捕獲されてもニックネームを変えることはできない。 捕獲したポケモンがおや登録がされているリリース個体であり、ニックネームが不愉快だったためリリースではなく、ボールに入れられたまま数年間放置されてしまったという事件も起きている。
個体登録の際に、そのポケモンの将来を考えてみてはどうだろうか。
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暑いですね、暑いとカキゴーリとでも名付けたオニゴーリを触りまくりたくなります。「ねぇ、カキゴーリ。かき氷食べる?」とか言ってカキゴーリ(オニゴーリ)をあたふたさせてやりたくなります。
初めまして……ですね。神風紀成と申します。
まず一言。
可愛い!可愛すぎるぞマロンくん!
もうバトルうんぬんとか使えないとか使えるとかの問題じゃない!
これがギャップ萌えというやつなのか……(
ちなみにクリムガンは私も好きです。ビビットカラーが眩しい。
最初見た時『!?』と思ったものです。
カラーだけならお菓子やジャージに使えると思います。汚れが目立たなくていい。
お菓子は以前書いた話にキャンディーとして出したことがあります。アメリカンっぽくて。
とりあえず頑張ってマロンくん!
では。
――あら? お客様なんて珍しいわね。こんにちはお嬢ちゃん。どこから来たの?
「あっち。あっちの隙間から入ってきたの」
――まあ、あんなに狭いところを潜ってきたの。中は真っ暗なのに、勇敢な子ね。
「大丈夫、全然怖くなかったよ。クーちゃんが一緒だもん」
――可愛いぬいぐるみね。ミミロル……だったかしら?
「うん、そうだよ。お姉さんすごいねえ、こんなに暗いのにちゃんと見えるんだ!」
――長い間ここにいるから、目が慣れちゃったのよ。元々、夜目は利く方だけれどね。
「ふぅん、そうなんだ。長い間って、どれくらい?」
――うーん、どれくらいかしらねえ。長すぎて忘れちゃったわ。
「ずっと一人でここにいたの? ……寂しくなかった? 怖くなかった?」
――いいえ、他にもたくさんいるから、寂しくも怖くもなかったわ。今は私以外、みんな眠っているけれどね。心配してくれるの? 優しい子ね。
「……ううん、優しくないもん。今日またお母さんに怒られちゃったし」
――あら、どうして?
「あたしがリカを叩いたから。だってリカがあたしのクーちゃん勝手に持ってっちゃうんだもん、ケンカになって叩いちゃった。
そしたらお母さんが『乱暴にしちゃダメ! リカはまだ赤ちゃんなのよ、ケガしたらどうするの!』って。あと、『ミカはお姉ちゃんなんだから、おもちゃくらい貸してあげなさい』って。リカの事ばっかり味方するんだよ、ひどいよ!」
――あらあら。色々大変そうね。
「あっ、笑ってるでしょ! 見えなくても分かるよ、声が震えてるもん!」
――ごめんなさいね。楽しそうで、つい。
「えー、全然楽しくないよ! お母さんもお父さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも、みんなみーんなリカの事ばっかり可愛がってあたしはほったらかしなんだもん。せっかくシンオウに遊びに来てるのに、つまんないよこんなの!」
――あなたシンオウの子じゃないのね。家族で旅行に来たのかしら?
「うん。でも夏休みだから、どこへ行っても人がいっぱいで凄いの。だから人の少なそうな、このナントカイセキにみんなで来たんだ。……でもね、ケンカしちゃったからここに逃げてきたの」
――そうなの。確かに、ここにいたら見つかることはないでしょうね。いつまでだって隠れていられるわ。
「あーあ、あ母さん怒ってるだろうなあ……。帰ったらまた、お説教されるのかな。……イヤだなあ、しばらく隠れておこうかな」
――それがいいわ、私が話し相手になってあげる。きっと退屈しないわよ。
「ホント? ありがとう! えーっとね、何からお話しする?」
――ふふ、焦らなくていいのよ。時間はたくさんあるんだから。
そうね、私は色々な話を聞きたいわ。外の世界についてや、あなたや家族の事とか、色々、ね……。
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …
「……でね、その時には……ふわぁ」
――あら、大丈夫? 眠くなってきたの?
「ん、ちょっぴりだけ。ずうっとお話してたから、疲れてきちゃった」
――無理しないでね。ちょっと休憩しましょうか。床が硬いかもしれないけど、横になるといいわ。
「わあ、ひんやりして気持ちいいね。なんだか寝ちゃいそう」
――眠ってもいいのよ。眠って嫌なことを忘れてしまえば、きっと楽になるわ。
「イヤな事、かぁ。怒られることとか、夏休みの宿題とか、リカの事とか……? あと、野菜食べなさいって言われること!」
――私には、少し羨ましいくらいだけれどね。
「えー、こんなのがー? 面倒くさいだけじゃない。あーあ、なんでこんなにイヤな事って多いんだろう……。あたし、人間じゃなくてポケモンなら良かったのになー……」
――ポケモン、好き? ポケモンになってみたいって、思う?
「うん、だーいすき! ポケモンになったら、もう宿題とか色々しなくていいよね! 毎日好きな事たくさんできて楽しそう!」
――ふふふ。そうね、大抵のポケモンは自由だものね。
「いいなぁ……。なってみたいなぁ……」
――……夢なら見られるんじゃないかしら。夢の中でなら、どんなポケモンにだってなれるわよ? あなたの望みのままに、好きなだけ。
さあ、目を閉じてごらんなさい。頭の中で、なりたいポケモンを思い浮かべてみて……?
「うーん……そんなに簡単に見られるかなあ……。確かに眠くなってきた、けど……」
――大丈夫、大丈夫。私を信じて……。
「…………う……ん……。…………夢の中で、おともだちいっぱい……できるかな……?」
――ええ、きっと。たくさんのお友達が出来るわ。私が保証してあげる。
――いい子ね……ゆっくりお休みなさい。目が覚めた時には、きっと……あなたの望みが叶っているから。
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …
行方不明の少女が見つかったのは、彼女が迷子になった遺跡群から遠く離れた場所でした。
茫洋とした瞳で彷徨う少女を保護した警察は、要領を得ない話の中からなんとか名前を聞き出して、家族の元へと送り届けることができました。
黙ったまま涙ぐむ父親と人目もはばからずに号泣する母親の姿、彼らにしっかりと抱きしめられる少女の姿は、職務上見慣れたものであっても警官たちの心を揺さぶりました。
今後はご両親から離れて独り歩きしないように。運よく出会わなかったけれども、本来野生のポケモンは怖い生き物なんだよ。一人の時に出会うと命に関わるからね。
警官がそう言い聞かせると、少女は真面目な顔で頷きました。
お巡りさん、連れて帰ってくれてありがとう。
愛らしい少女のお礼の言葉を胸に、警官たちは暖かな気持ちで帰路につきました。
シンオウを出る前日の事です。
出立の準備やお土産の確認などに大わらわの母親がふと気づくと、娘二人の姿が見えません。慌てて探せば、彼女たちはホテルの庭で仲良く寄り添っていました。
うっとりと青い空を見つめる姉の隣で、幼い妹がミミロルのぬいぐるみを振り回して歓声を上げています。
あれはお気に入りのクーちゃんのはず。大切なぬいぐるみをあっさり手放した娘に驚いて、母親は理由を尋ねました。
彼女の答えはこうでした。
「いいの、あのぬいぐるみはリカちゃんにあげる。だって私はもう、大切なものを取り換えて貰ったんだもの。今あるものだけで十分幸せよ」
迷子になった一件以来、どことなく大人びた娘を不思議に思いつつ……きっと、妹を持ったことで姉としての自覚がようやく出てきたのだろうと考えて、母親は嬉しくなりました。
いい子ね、と褒めると、娘は無邪気に笑います。
母親が機嫌よく立ち去ると、少女は再び空を見上げて物思いに耽ります。
青い空のむこう、朽ち果てた遺跡群――その地下に封じられた、要石を想って。
彼女の望みはすべて叶いました。
自由に動かせる体を、どこまでも広がる世界を、迎え入れてくれる家族を、新しい人生を、すべて手に入れました。
“彼女”の望みも叶ったはずです。
もう怒られることも宿題の心配をすることもなく、うるさい妹に邪魔されることも、野菜を食べるよう強制されることもありません。望み通りポケモンとなり、友達と仲良く暮らすことができるでしょう。“彼女”はきっと歓迎されたはずです。
忘却の地に封じられたミカルゲの、百八番目の魂として。
私は今、すごく幸せよ。あなたは、どう?
小さく呟いて、少女は薄い笑みを浮かべるのでした。
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眠れぬ夜に一気書き。背筋をぞわっとさせるお話が増えるといいな、に諸手を挙げて賛成中。しかし、自分の話では涼をとれないという言葉にも残念ながら賛成中。読んで下さった方の背筋をぞわぞわさせることに成功したのかどうか不安です。もしならなかった場合、誰かに頼んで背中を人差し指でつつつっと縦になぞってもらってください。ほーら、ぞわっとしてきた筈…………え、違う?
個人的に、入れ替わりネタは怖いものの一つです。ちなみに自分で書いておいて何ですが、彼女たちの口調が赤チェリム姉さんと女の子に諸被りな気がしますが、書き分けができていないだけで別人です。あちらは(一応)人間です。
タイトル【トリック】は技名より。本来は「相手のどうぐと自分のどうぐを入れ替える。相手も自分もどうぐを持っていない場合は失敗する」ものですが、今回は道具の代わりに魂を取り換える、として使っています。【すりかえ】も候補だったのですが、こちらだといきなり内容がバレそうだったので却下。
まだまだ長い夏の夜、もっとたくさんの「ぞわっと話」が読めますようにと願いを込めて。
読了いただき、ありがとうございました!
【ホラーいいよねホラー】
【なにをしてもいいのよ】
「顔面クリムガンなんて言わないで」
よわよわしい声で訴えかけるのは、全身クリムガンなマロンくん。
マロンという可愛らしい名前はギャップ萌えという言葉ですらフォローしきれないほどに不釣り合い。
しかし内面は温厚、それどころか母性愛をくすぐるような愛おしいものなのに、そのワイルドな頭を撫でたいという人はいません。
抱きつくなんてもってのほか、全身ゴツゴツメットなマロンくんにはスキンシップすらままなりません。
「どうしてこんな身体なんだろう」
しょんぼりと頭を項垂れて歩きだします。重い足取りは、地面に無数の傷をつけました。
「ようマロンwwww元気そうだなwww」
「あ、オノノクスくん……」
通りに差し掛かると、とても嫌なポケモンに出会ってしまいました。
マロンくんは龍単体という優秀なタイプ、それに加えてそれなりに高い攻撃力からの逆鱗が打てます。不意打ちだって覚えるんです。
にも関わらず対戦でお見かけできないのはこのポケモンがいるからなのです。
マロンくんはオノノクスくんの劣化とすら蔑まれています。
マロンくんが苦手に思うのも無理はないでしょう。
「おい聞けよマロンww俺この前対戦で龍の舞積みまくって3タテ決めてやったんだぜww
いや〜スカっとするぜ?wwお前も今度使ってみろよww
って、お前龍の舞出来ねえんだったかwwwwwテラワロスwww」
「うう……」
何も言い返せないマロンくん。
蛇睨みというオノノクスくんの習得しない技を覚えていますが、それすら放つ気にはなれません。
「それじゃ、ご主人が待ってくるからなwww
じゃーな顔面クリムガンwwww」
型破りならぬ常識破りなまでの高らかな笑い声をあげて、オノノクスくんがいなくなりました。
散々好き勝手言われて、マロンくんの目には涙がたまっています。
「ボクのことを必要としてくれる人なんていないんだ……」
そんな言葉と涙がこぼれます。
目をぬぐいますが、その肌は自分すら傷つけていきます。
心も体も、傷だらけ。
全身クリムガンな、マロンくん。
そんなマロンくんの所に、数少ない友達がやってきました。
「あ、マロンじゃないか。どうしたんだよ、泣いてるのか?」
「フライゴンくん……」
フライゴンくんはランダム対戦で猛威をふるっているガブリアスの完全劣化という評価を受けている、マロンくんと同じ境遇の龍ポケモン。やはりどこか通じ合う所があります。
「また対戦で使ってもらえなくて落ち込んでるのか〜?
もう諦めようぜ〜どうせ俺達は、あいつらの劣化なんだからよ〜」
そんな風にフライゴンくんは、必死に作った笑みを浮かべて言います。
でもマロンくんは。
「対戦で使ってもらえなくてもいいんだ……。
対戦で使ってもらえなくても、ボクのことを好きって言ってくれる人がいるなら……。
でもね、みんなボクのことを見て顔面クリムガンだって言うんだ……」
マロンくんは対戦で使ってもらえなくても、誰かに好きになってもらえたらそれで良いと言います。
「顔面クリムガンなんて、言わないで……」
どんどん、涙が流れていきます。
そんなマロンくんをみてフライゴンくんは考えます。
そして閃きました。
「そうだ、ならもっとインパクトのある言葉をつくればいいんじゃないか?」
「ど、どういうこと……?」
「だから、顔面クリムガンなんて言葉よりももっと流行るような言葉をつくればいいんだよ。
そうだ、『クリム頑張る』なんていうのはどうかな?
傷だらけになっても、あきらめず頑張るって意味だ!良い意味だろ?」
「クリム……頑張る……。
うん、良いねそれ。ボク、クリム頑張るよ!」
俯いていた顔をあげ、マロンくんは笑います。もう誰にも顔面クリムガンなんて言わせません。
新たに習得できるようになったステルスロックをもって、走り出します。
クリム頑張れ、マロンくん!
書いてみていいのよ
描いてみていいのよ
使ってみていいのよ
────
最近ランダム対戦に潜るようになって色々と戦術を練っているのですが、クリムガンというポケモンの不遇っぷり、そして活躍の予感を感じまして育ててみたのですが、なかなかの立ち回りをしてくれます。
皆さんも一度育成してみてはどうでしょうか。
マロンくんと対戦したいかたはコメントしてください(対戦したいだけです笑)
どっかの県の、とある施設が大爆発して、ある物質が空気に乗って世界中に拡散してからはや数ヶ月。
あの名作ゲーム、『ポケットモンスター』シリーズに出てくるポケモンが世界各地に出現していた。
どこかのエライ学者(研究者?よく分からん)が『ばらまかれた物質が既存の生物に進化を促して云々』と声高に主張し、クラスでは「俺ボーマンダ欲しい!」だの「いやジュカインだろ!」だの「私ピカチュウ!」だの「ホエルオーほしー」だのと言っていた。ところでホエルオーほしーとか言ってたやつに問うがどこで飼うつもりなんだ。どうでもいいけど。
そんな感じで世界中で空前のポケモンブームが巻きおこっていた。
そりゃあ俺だってポケモンは好きだが、野生のポケモンが人間に簡単に懐くとは想像し難い。そもそもモンスターボールも開発されてないからどうやっても捕まえられない気がするし。
よって俺の人生目標である『平和に過ごす』は、ポケモンに阻害されることもなく無事達成し続けられた……のだが。
福岡県在住の高校生の俺は朝七時半から午後一時まであった前期夏課外(うちの県では夏休みが始まってから約十日程課外授業があるのさコンチクショウ!)を何とか終え、自宅で昼はまったりと過ごし夕方はゲームで暇を潰していた。
夜。
コンビニでテキトーに選んだ弁当をマイクロ波を照射し、極性をもつ水分子を繋ぐ振動子がマイクロ波を吸収して振動・回転し、温度を上げて食品などを加熱調理する装置、すなわち電子レンジであっためていた俺は欠伸しつつボケーっとそれを眺め
バウンッ
!
!? 窓からなんか謎でミステリーで奇妙で摩訶不思議サウンドが聞こえてきた。…別にビックリしたりなんかしてませんけど。
バウンッ
?再び変な音。今度はパニクらずにどんな音かを思案できた。
えーと…布が強めにぶち当たるような音?
バウンッ
一体誰がこんなイタズラをしているのかを調べるため、そーっと窓に近づきカーテンをゆっくりと開けてみた。
「…………」
…えーっと…何だろうこれは。
音を出していたそいつは、黒いてるてる坊主に小さな角が一本生えたような体をした、ポケモンだった。
「…………」
…確か……
カゲボウズ…だっけ?いや、最後にポケモンしたの五年くらい前だからあってんのか分からんが。
そいつは俺を数秒間みつめたと思うと、目を閉じてその体のヒラヒラをはためかせながらゆっくりと落ちていく。
「うおっ!?」
おれ の てだすけ !
カゲボウズ(仮) は おちずにすんだ !
俺は咄嗟に窓を開けて手で助けた。フッ、まさに『てだすけ』。……バッカジャネーノ。
「…どうしよ」
手の平で倒れてるカゲボウズ(仮)は目をつぶっている。つーか寝てんのかこいつ。
この俺様の手の平で寝るつもりならば一時間につき五千円を徴収するぞ!
「冗談だけど」
うーん、ひとまずこいつは寝かしておこう。
電子レンジからも、バウンッ とかゆー爆発音聞こえてきたしな。
どこか乾いている弁当を霧吹きで湿らせてから電子レンジで温め(これで結構もとに戻る)、飯を食っている間に調べたのだがやはりこいつはカゲボウズのようだ。良かったな、お前。これで(仮)なんて付けられずに済むぞ。そう呼んでいたのは主に俺だが。
件のカゲボウズはいま俺がタオルで作ったミニ布団で寝ている。
…そもそもこいつ、何で俺の家に来たんだろう。不思議で仕方が無い。
俺が負の感情を出してたとか?まあ確かに腹減ったなーとか思ってたけど。
……あ、起きた。
カゲボウズは状況が分かっていないのか、辺りをキョロキョロしている。
そして最後に俺を数秒みつめて唐突に目を細め、
「危ねええぇぇえぇっ!!」
コイツいきなりシャドーボール撃ってきやがった!!超危ないんですケド!
「ま、待て、落ち着け…な?な?」
俺、かつてない程ビビってます。腰を抜かして小便ちびりそうなレベルで。
…おい、誰だ今笑ったやつ。シャドーボールのかすった脇腹んとこ服が消滅してるからね?ちなみに俺の脇腹を掠めていったシャドーボールは昼過ぎに食った後そのままだった食器にぶち当たり食器を粉々にした。今度替えの食器買わなきゃ。
そして食器を粉々にした張本人もとい張本ポケのカゲボウズは、しばし俺を睨んだと思うと力を使い果たしたかのように落下を
「おぉっと」
…する寸前に俺が支えた。てゆーかなんだコイツ、大丈夫か?
そう思った俺は、試しに手の平でクタッとなっているカゲボウズを弁当に近づけてみた。
するとカゲボウズは手の平でコロリと転がり、『いいのか?』的な視線を投げかけてきた。
「いいぞ」
そう俺が言うや否や、カゲボウズはすぐさま弁当へと飛びついた。
「腹減ってたのかよ」
という俺の呟き等耳に入らないかのようにすごい勢いで食っている。耳の有無はさておき。
「………」
でも、まあ。
これが平和かどうかはともかく。
空腹のポケモンを助けるのも悪くないかな、なんて思う俺であった。
初投稿です。間違ってるとことかおかしなとこを遠慮容赦なく指摘していただけたら幸いです。
【ガンガン批評していいのよ】
【書いてもいいのよ】
目の前には鋼の残骸。
五分前まで空っぽだった腹は、今は膨れ。
自分を見ていた二つの赤は空洞となり。
押さえ切れなかった自分の本能を恨むばかり。
悔やんでもこれが宿命というならば――
―――――――――――――――
跳ね続けろ。
跳ね続けなければ、死んでしまう。
それが、この種族に生まれた者としての宿命。
誰がこんな体に作ったのか。
気まぐれというならば、殺してしまおうか。
頭に大きな球体を乗せて、
彼らは今日も跳ね続ける。
―――――――――――――――
憎まれ役になってでも、伝え続ける。
彼らがそう考え始めたのは何時の頃だろうか。
死神とも言われる容姿に、悪魔とも言われる赤い瞳。
決して利益になどならないはずなのに――
宿命だから、だというのか。そこまでして伝える必要があるのだろうか。
―――――――――――――――
表と裏をそれぞれ司る、三匹。
一つは時、一つは空間、そしてもう一つは支えとなれ。
干渉せずに、その世界だけを守れ。
それが神として生まれた者の宿命。この世界の中心となった者の――
運命なのだから。
―――――――――――――――
途中まで百字シリーズにしようかと思ってたけど、めんどくさくなってやめた(
どれがどのポケモンを表してるか、分かるかな?
【何をしてもいいのよ】
【何かクイズみたいだね】
タグ: | 【2012夏・納涼短編集】 【ひとりごとは癖】 【誰が何と言おうと癖】 |
「お腹空いたな」
くぅ、と小さな音を鳴らすお腹を押さえた。
財布の中身を思い出す。それなりにお小遣いはあったはずだけど、食費は出来るだけ抑えるべきか。
「ハンバーガーでも食べようかな。……確かクーポンがあったはずだし」
財布の中身をちらりと見る。半額になるクーポンが1枚だけ残っていた。昼飯は決定だ。
鞄の中からタウンマップを取り出す。
「次の町はシオンタウンか。ちょっと遠いなあ。薬を多めに買っていくか」
地図によると、トンネルを抜けなければならないらしい。いろんなところにポケモンが潜んでいる分、普通の道より厄介だ。
「わざマシンがあるから……資金も十分だ」
鞄の中を漁る。いらないわざマシンがいくつかある。売ってしまえばそれなりのお金にはなるはずだ。
「とりあえず、ショップで売ったり買ったりしてくるか」
昼飯はそれからだな。僕はタウンマップを畳んで鞄に入れた。
+++
「それにしても高いタワーだなあ」
シオンタウンの人たちに、色々な話を聞いた。
おつきみ山でも出会ったロケット団とかいう連中のこと。殺されたカラカラのお母さんのこと。そして、タワーに出る幽霊の話。
「町の人は幽霊が出るって言ってたけど……」
幽霊、ねえ。
僕は町の人の言葉を思い出して、少し苦笑いした。
「ねえねえ、あなた」
何となく青白い顔をした女の子が、僕に話しかけてきた。
「あなた、幽霊はいると思う?」
ああ、この子もか。
僕は笑って言った。
「いないよ。いるわけないじゃんそんなの」
そもそも、お化けとか幽霊とか、そういうオカルティックなものは信じてないんだ、僕は。
そうしたら、その子は苦笑いを浮かべて言った。
「あはは、そうよね! あなたの右肩に白い手が置かれてるなんて……あたしの見間違いよね」
当たり前だろ、と僕は笑った。
もしいるとしたら、一体いつから僕のそばにいるっていうんだ。
+++
タワーに入ると、幼馴染がいた。とある墓石の前に座っていた。
「おう、久しぶりだな」
「やあ。……それって、もしかして」
「……ああ。旅に出て最初に捕まえた相棒」
「そっか……じゃあ僕からも」
僕はリュックの中からミックスオレを取り出して、墓前に供え、手を合わせた。
「呆気ないもんなんだな。命が終わるのなんて。もう少し早くポケセンについてりゃ……」
「ポケモンはずっと、僕らの代わりに戦ってるんだもん。気をつけないといけないね……本当に」
「気を抜きすぎてたな。強くなったから、多少は平気だろうって……」
「ポケモンは本当に見かけによらないからね」
幼馴染がため息をついた。いつも元気でお調子者なこいつも、今はすっかりふさぎこんでいる。
「……悪かったな。小さい頃、嫌がるお前を無理やり町の外に連れて行こうとしたことがあっただろ」
「ああ、懐かしいなあ。そんなこともあったね」
「ポケモンの強さとか、危なさとか、理解してりゃあんなことしなかったのによ。しかも断ったお前に散々悪口言ってさ……」
「いいよもう。昔のことだ」
「あのあとじいちゃんに、昔ポケモンを持たずに町を出て、死んだ奴がいたって聞いてさ……俺、本当に……」
「いいってばもう。おかげさまで僕は元気だよ。一番の親友のおかげで、楽しい旅に出る決心もついたし」
「……そうかい」
幼馴染のこいつとは、些細な言い争いすらほとんどしたことがなかった。でも、たった1回だけ、こいつとけんかをしたことがある。
+++
僕たちの生まれた町から外に出るためには、どう頑張っても、草むらを通る必要がある。草むらに入れば野生のポケモンが出てくるのは当然で、町の大人たちはいつも、町の外に勝手に出てはいけないと僕たちに言ってきた。
だけど、こいつは小さい頃から好奇心旺盛な上に無鉄砲で、大人たちの言いつけも守らないことがよくあった。
そしてある日こいつは僕に、一緒に町の外に出てみようと言ってきた。なるべく草むらに近づかないようにこっそり行けば大丈夫だろ、と。
だけど、僕はそれを拒んだ。町の大人たちから何度も、ポケモンも連れずに外に出るのがどれだけ危ないことか聞かされていた。だから、外に出るなんて怖くてとても出来なかった。
そうしたら、そいつは僕に言った。
「何だよ、この意気地なし!」
僕もそいつも、半べそをかいて、その場から駆けていった。
けんかをするのが始めてて、僕もそいつも、どうしていいかわからなかったんだと思う。
僕たちの生まれ故郷、小さな田舎町の小さな公園。ベンチと砂場とブランコしかないちょっとした広場。
ふらふらと僕はそこへ行った。西の空が気味悪いほど真っ赤に染まっていた。
「誰もいないのかな?」
いないでほしい。今は人に会いたくない。
あたりを見回した。誰もいない。よかった。僕はベンチに座った。
じっと座っていると、あいつのことを思い出した。
悲しいとか、悔しいとか、何かもう分からない。ぼろぼろと涙がこぼれ落ちた。
「やっぱり、僕は意気地無しなのかな?」
あいつの言葉が頭をよぎる。あいつは怖いもの知らずだ。きっと、僕なんか比べ物にならないほどの勇気がある。
「でも、町の外に出るなんてやっぱり怖いよ。この辺りにはポッポとかコラッタとか弱いのしかいないから大丈夫って言ってたけど……やっぱり危ないよ」
ポケモンに襲われた人たちの話。時々テレビで見る。
弱いポケモンなんて言っても、丸腰の僕たちに抵抗なんてできないだろう。
小さい頃から何度も、ポケモンは友達になれるけど、怖い存在だと母さんに言われてきた。それはきっと、ただ僕を怖がらせるために言ったわけじゃないんだろうと思う。
町の外に出てみたいんだ、と言ったことがある。
幼馴染のおじいさんであるポケモン博士は、お前たちが大きくなったらポケモンをやろう、と言った。
ポケモンと一緒なら、危ない草むらでも入っていける。
強くなれば、どんな場所でも自由に行ける。
けがの心配をしなくて済むなら、危険なことにならずに済むなら、その方がずっといい。
「もう少し大きくなったら、博士にポケモンをもらえるんだ。だからそれまで待とう、って言おう」
あいつだって、きっとそれが一番いいってわかってくれるはずだ。僕は少し気が楽になった。
だけど、ポケモンをもらって、町の外に出られるようになって。その後はどうするんだろう?
「あいつ、やっぱり旅に出るかな?」
僕としては、今とほとんど変わらなくっても構わない。この町に留まって、用事がある時は町に出て。
でも、あいつは僕と違って勇気があるし、好奇心も旺盛だから。
「僕が行かなくても、やっぱり行くんだろうなあ……」
ポケモンがいなくても町の外へ出ようとする奴だ。どこへでも自由に行けるようになれば、どこへでも自由に行くだろう。それでいいと思う。あいつの好きにすれば、それでいい。
だけど、そうしたら僕は?
あいつが旅に出て、僕はこの町に留まる。
「それじゃあ、独りぼっちだ。……寂しい。独りぼっちは嫌だな」
僕は元々、人見知りが激しくて内向的でインドア派だ。僕に絡んでくる奇特な奴はあいつくらいだ。僕にとって、友達と呼べるのはあいつくらいだ。
あいつは僕と違って外交的で人付き合いも上手いから、きっとどこに行っても上手くやれるだろう。
僕はどうだ? この町に残って、他の人とまともに話すこともなく、家に閉じこもってただ時が流れるのを待つだけか。
違う。旅に出るのが必要なのは、僕の方だ。
「……やっぱり、僕も町を出る。一緒に旅に出よう」
あいつが旅に出るなら、同じ時に旅に出て、世界を回ってみよう。
旅先であいつと出会うこともあるかもしれない。勝負を挑まれたりして。きっとあいつのことだから、出会うたびにバトルを仕掛けてくるんだろうな。
「いいよ、って言ってくれるかな?」
あいつは負けず嫌いだから、僕と一緒の時に旅に出るなんて、って思うかもしれない。例えば博士に何か用事を言いつけられて、僕に対して「お前の出番は全くねーぜ!」なんて言うかも。ああ、目に浮かぶようだ。
でもまあ、何だかんだ言っても、心配することはないだろう。
「きっと大丈夫だよ。あいつは僕の、一番の親友なんだから」
そう。あいつのいいところは、僕が一番知ってる。
+++
「でもさ、お前、昔っから言ってるけどさ、ひとりごとを延々とぶつぶつ言う癖は直した方がいいと思うぞ。気持ち悪いし」
「いやー僕も直そうとは思ってるんだけどねぇ。なかなか直らないんだよなぁこれが」
「あんまりぶつぶつ言ってると、戦術がばれるぞ」
「そりゃ困るな。やっぱり直そう」
僕と幼馴染は、顔を見合せて笑った。
「そう言えば、このタワーに幽霊が出るって話だけど、お前どう思う?」
「どう思う、って言われてもなぁ。僕、幽霊とか信じてないし」
「俺はいると思うけどな、カラカラのお母さんの幽霊」
「ふうん。ま、どう考えてもお前の自由だけどさ」
幽霊ってのが本当にいるなら、見てみたいもんだけどね。
誰かが僕の肩を叩いたような気がしたけど、振り返っても誰もいなかった。
(2012.7.31)
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