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わああー! 感想ありがとうございます!!
そして読んでいただき本当に嬉しいです、どうもありがとうございます。
シビルドンの姿、かわいいじゃないですか! BWもポケパルレもアニポケも良いですよ!
xy? いえ、知らない子ですね……
(ちなみに、作中のイメージはアニポケでクダリさんが使っていたシビルドンが強いです)
まあ、xyうなぎのぼりの話は置いておくとして
個人的な想像なんですけど、ポケモン世界においてポケモンと恋愛関係、或いは性的関係になるのって
現実でのズーフィリアよりかはそこまで特殊なことでは無いと思うんですよ。
動物よりも感情はずっと強いし、ある程度の意思疎通は可能だし、バトルなどの面で人生におけるパートナーにもなりうるし。
シンオウの神話では結婚していたという描写もありますし。
かと言って、やっぱり人間では無いからおおっぴらにするわけにはいかないと思うのですが。
だから、シビルドンへの感情が本当の「恋」でも私としては全然構わないと考えています。
だけどそこまで言及していないのは、恋愛対象にするのかしないのかはこれからの話だからなんです。
誰も気にとめない、友人たちだって「えーマジー」くらいにしか受け止めないこのエピソードはここで終わりじゃなく、
むしろ杏弥くんが今後どういう選択をするのか、ここがスタート(陳腐な表現ですね!!)です。
シビルドンと恋愛するなら、それは結婚もせず子供も残さないことになりますから
周囲、特にポケモンを嫌う親との折り合いをつけなければなりません。
反対にそうしないのならば、他の人間と恋をするのなら、シビルドンはどうするの? ということになってしまいます。
どっちを選ぶのかはお察しいただくとして、どっちを選んでも色々考えるべきことがあるんです。
だけど、その悩みは今までの悩みとは多分違った色を持っていて、悪いものじゃありません。
きちんと悩んで、考えて、迷って、それで行き着く先もまた、悪いものでは無いと思います。
それで彼らが幸せになれると良いな、と思って話を閉じました。
なんだかまとまりませんが、そんな感じです!
本当に感想ありがとうございました!!
シビルドンの姿をググって知ったときにはもうどうしようかと思ったんですが、とてもよかったです
いっそ好きっていってほしかったなって気持ちと
でもそういった擬人的な感情移入はどこまでありなんだろうって部分と
なかなか複雑なものがありますね
ふたりに幸あれ
「近代闘獣とは純粋な興行であり、観客を喜ばせる余興であり、そして観客が何より見たいのは、動物が生死に挑む本物の冒険なのだ」(386のさよなら異文、調教譚)
ポケモンバトルで派手なキメ技はとても大事なのです
…というプロトレーナー論なんていかがでしょう
※大丈夫、新しい手持ちが入ってあまりご主人が構ってくれなくなったポケモンが、おしゃれしようと頑張るだけのお話だよ!
ご主人のアイカさんは、最近私達の事を構ってくれない。
旅の途中でいただいたヌメラの女の子が卵から孵化してからというもの、最近は毎日ヌメラへのポケパルレに夢中なのだ。抱き着いてぬめったり、なでなでしてぬめったり。生まれたばかりの新しい子に構いたくなる気持ちは分かるけれど、もう少し私の事も大事にして欲しいの。
そんなこんなで、最近はバトルの時と食事の時くらいしかまともに声をかけてもらっていない。他の子達も似たような状況なので、あまり不満ばかり愚痴るのも大人げないし。だからと言って、このまま引き下がるのも嫌である。私への視線を取り戻させて見せるんだから!
「そんなわけで、私はご主人を振り向かせるために綺麗になりたい! 皆だって、最近構ってもらえなくって寂しいでしょ? ここらで、ご主人に構ってもらえるようにモーションかけましょう! ご主人の視線を取り戻すの!」
食事の最中、仲間にそう持ち掛けてみる。ヌメラ(♀)は現在おねむの最中で、主人はそれに構っている。ヌメラは、とても弱い上に好奇心が旺盛なポケモンだから目が離せないらしいけれど、でも……それなら私達に世話を任せたっていいと思うの。だから、私達にも構って欲しい。
「そうだね。私は誰かから女性を奪うのは好きだけれど、女性を奪われるのは好きじゃない……ヌメラもご主人も、私のものになるべきだ。私が美しすぎるから」
少し(かなり)ナルシストなウィッチ(男ならウィザードじゃ……?)お兄さん。彼はご主人と最も長い付き合いの男の子だ。少し(かなり)ウザったいところを除けば、メロメロのうまい美青年で、決して印象は悪くない。
「一部の意見には同意ね。私もご主人を奪われるのは好きじゃないわ」
「ふふ、もちろん君も一緒に盗んであげるから安心してよ。そうだね……主人に振り向いてもらいたいなら美しくならないと。月桂樹やヒイラギのような優雅な木の枝を盾の鞘に刺そうじゃないか。あ、カエデなんかもいいんじゃないか……そういえば私も最近ストックの木の枝が尽きてきたな。食事が終わったら少し選んでおくか」
「いや、盾は私の大事な場所を守るものなんだけれど……あ、でも枝を切るなら私に任せてね。庭師も真っ青な剣裁きで切ってあげるから」
マフォクシーのウィッチお兄さんは、私をテールナーにでもするつもりだというのか。さすがにそれは御免こうむるわ。
「やっぱりあれぞい! 女なんてキスで攻めてやれば落ちるぞい! おいどんなら7か所同時にキスできるもんな!」
「あんたに聞いた私が馬鹿だったわ!」
ガメノデスのシチフクジンさんは四肢および肩についた4本目の腕にまで脳がついているが、リーダーである頭の脳は少々筋肉ばかり詰まっていて発想がヤバイ。というかその7倍キッスは恐怖でしかないと思うわ。
「ご主人は雌だからなぁ……やっぱり、翼を広げて体の大きさをアピールするのが一番だろ?」
ウォーグルのアレク。あんたもウォーグルの基準でものを語らないで……。
「私に翼なんてないってば。飾り布くらいしかないでしょ! 広げたって魅力的じゃないわよ……」
ため息をつきつつ、私はアレクに反論する。
「美しくなるなら、磨かなきゃだよねー。僕も原石は見れたものじゃないけれど、きちんと磨いてもらったら、とってもキレーでメレシーウレシーだったよー」
メレシーのアメジストは、間延びした声でそう告げる。なるほど、磨くのか……。
「そうだねぇ。私も、ご主人が振るう包丁の冷たい輝きは大好きだよ。パパが旅に合わせて美しいものを選んで送ってくれたらしいけれど、あの濡れたような美しい刃がねぇ……私はその輝きも嫌いじゃない。いつか盗んじゃおうかな……うふふ。潤んだ女性の瞳というのは素敵だしね……」
ウィッチお兄さんは、妖しく微笑みながら、ご主人がさっきまで使っていたウェットティッシュで手入れされた包丁を見る。こいつ、マジシャンの特性のせいか、やけに手癖が悪いんだよなぁ。
「うーむ……そうか、あの輝きか。血液の滴る私の剣も格好いいと思うけれどなぁ……でも、研いで綺麗になるのも必要か……」
私は特殊型として育てられているから、ニダンギル時代と違ってあまり、剣の手入れは必要ない。そうか、だからご主人があんまり構ってくれなくなっちゃったんだなぁ。特殊技が弱かったころは、ガンガン切り裂いていたから、すぐ切れ味も落ちちゃったものね。そしてそのたびに研いでもらっていたけれど、今は私が大きすぎて研ぐのも難しいというわけだ。
「そうだ、俺の羽飾りを頭につけてみろよー。ご主人は雌だし、きっと惚れるぜ」
「却下」
アレクは、同種の雌(いない)とでも仲良くやっててください。
「でもさー。サヤカちゃん、ご主人より身長大きいよねー。そんな体をどんな石で自分を磨くのー?」
「そ、それは……」
アメジストの言葉に、私はドキッとする。そうとも、私の身長は180センチメートルほど。同族の中でもかなり大きい部類に入る。ご主人の持ち物を思い浮かべる。確か進化の石がいくつかあったけれど、あれは使えないし。かといって、硬い石や変わらずの石など他の石も小さすぎる。そうなると、手近にあって大きな石と言えば……?
「ねぇ、アメジスト。私と一緒に美しさを磨かない?」
「え、そんなのよりおいどん達と研がないか?」
私の研ぎのパートナーにふさわしそうなのはアメジストしかいない。シチフクジンさんは……岩タイプだけれどちょっと遠慮しておこう。
「んー……最近垢がたまってきたから、それを削ってくれるなら、メレシーウレシーだよー」
「なんだ、どうやら話もまとまったみたいだね。ふふ、美しくなった君の刃で、私が使う木の枝を綺麗に細工してくれることを願うよ」
「は、はい。ウィッチさん。喜んで!」
「それとも、木の枝の代わりに君を抱いて寝るのもいいかな?」
これでも、宮殿の庭師の真似をして遊んでいたくらいだから、私は枝を切るとかそういうのが好きなんだ。
「あ、抱かれるのは謹んで遠慮いたします……」
けれど抱かれるのはそこまで好きではない、一応。こう、包容力のある人ならいいけれど……。
「それじゃ、そういう訳でアメジストちゃん。夜、主人が寝静まったら……私と一緒にお互いを磨き合いましょう。朝起きたらご主人を驚かせてやるんだから!」
「いいよー。でも、僕は砥石にされるなんて初めてだから優しくしてねー」
「それはもう当然。生まれたての赤子をなぜるように、慎重にやらせてもらいますとも」
「ふふ、綺麗になれるといいね……とはいえ、私も最近ご主人に甘えていないなぁ。耳でも舐めれば喜んでくれるかな?」
ウィッチさんは妖艶に微笑み、ご主人の方を見る。
「おいどんもご主人に7倍キッスしてあげて構ってもらおうかな? きっと一発でメロメロぞい」
「いや、それはご主人が嫌がるんじゃないかと……」
「大丈夫大丈夫。それより、刃を研ぐなら水が必要ぞい。おいどんも協力しようか? それに、刃を研ぐなら目の粗い石と細かい石があったほうがいいぞい? ロックカットするよりもきれいになりそうだし、おいどんもたまにはおしゃれしたいぞい」
「あ……そうね」
忘れてた……水の事。それに、目の細かさの事も……そうよね、やっぱり荒い砥石を使ったほうが最初はよさそうね。あんまり気が進まないけれど、シチフクジンさんを参加させてあげましょうか。
「それじゃあ、私は、さっそく今日の夜からご主人にポケパルレをさせるよ。僕が美しいから、ご主人には拒否権なんてないしね」
あるでしょ、ウィッチ。
「じゃあ、主人を寝かしつけておいてくれるかしら? 私はその隙に体を綺麗にしちゃうわ」
「了解、サヤカ」
とにもかくにも夜は更ける。ウィッチも早速ご主人とポケパルレをしまくった挙句、そのまま寝落ちして添い寝の真っ最中。いつか食べてしまうんじゃないかというような表情でご主人を抱いている彼の目が妖しくも艶やかだ。ご主人が今はぐっすり眠っているから、『君達は早く済ませてきなよ』とばかりに、彼はご主人の首筋に鼻を押し付けながら手を動かしていた。
ともかく、私とアメジストとシチフクジンとで、ボールの中から勝手に飛び出し、揃ってテントの外へ出る。
「ふー……深夜って言っても、まだまだたくさんのポケモンが起きているぞい。気配がそこかしこにあるぞい」
「そりゃあ、夜行性のポケモンだって多いし……私だって、元は夜行性よ?」
「僕は暗い所に住んでたから。夜のほうが落ち着くなー」
すっかり夜も深まってみると、かわされるのはこんな会話。そういえば私も、夜にこうやって外に出たのは久しぶりの事だ。野生時代は夜行性だったのよねー。
「ともかく、一緒にキレーになろーよー。サヤカ姉さんの体を味わいたいよー」
「いいわよ。でも、まずは荒く研いでからね。そういう訳だから……シチフクジンさん、お願いできます?」
「おうよ、当然。もうぶっかけちゃっていいのか?」
「僕の準備は万端だよー」
「了解ぞい! ならば、水を出してと……」
シチフクジンが、体中から水を発して自身の体表を濡らす。
濡れた岩を凝視しながら、私は鞘であり盾でもある体の一部をそっとはだけさせる。錆びているがため、シャッという小気味の良い音は発生せず、ジャリッという錆びた音。あぁ、こんなことならもっとこう、錆びが止まりそうなものでも塗りたい気分……となるとヌメ……いや、あれは油ではないか。
ともかく、私の大切な部分を曝け出してみると、手入れ不足が響いたのか、案の定錆びだらけ。いくら、特殊技主体でほとんど刃を使わないからって、こんなにだらしない体を見せつけるのはやっぱり恥ずかしい……
ギルガルドに進化してから、全く研いでいなかったんだ、切れ味も悪くなるはずである。私も、今現在は、物理技と言えば聖なる剣くらいしか使っていないし、それを使う相手はほとんど鋼や岩、氷など堅そうなやつばっかりで、斬るというよりは叩き斬る感じで使うからあんまり切れ味は必要ないのだ。全身から水を出したシチフクジンの体表には豊かな水が滴り、僅かな月明かりに照らされて鈍く光を照り返している。人間にとっては一般的には暗いと言える明るさだから、ご主人にはこのかすかな光は見えないだろう。
その濡れている姿を見て、シチフクジンが相手だというのに私は湧き上がるギルガルドの本能を抑えきれなくなった。本来なら雨の日とかに、適当な岩で自身の体を研いでいたのだ。そうすることで年々擦り減っていく岩は、私達ヒトツキ族の繁栄の証。誇らしい気分にすらなってくるものであった。
「さ、横になってシチフクジン」
「うむ、どうぞ。研ぎ過ぎて痛くしないで欲しいぞい」
ごろんと横たわった彼の上半身をよく見てみると、以外にも老廃物がたまって劣化したような色の岩がたまっている。へぇ、岩タイプの子もこんな風になるんだぁ。
彼の濡れた体に私はそっと体を重ね合わせて、私の下半身もじっとりと濡らす。血に染まって薄汚れた私の肌が冷たい彼の肌に触れて、そういえばこんな風に誰かと優しく触れ合うのも久々だと思う。ご主人は触れてくれたとしても、盾やグリップ、飾り布だけなんだもの。切っ先を触れてくれないのは物足りないわ。ニダンギルの頃までの経験を思い出しながら、15度ほどの角度をつけてそっと彼の体とこすり合わせる。心地よい金属音が耳に響いて、甘美な欲求が呼び起された。
こんなに大きくなってしまった体でも、小さかったあのころのように体を研げるのかと少しだけ心配もしたけれど、大丈夫そうどころか、十分すぎるくらいだ。濡れた体同士が擦りあわされるたびに、シチフクジンの体からこそげ取られた垢が、研糞となって滴る水を濁らせる。この水の濁りが、美しい刃を作り出すための決め手となるのだ。
研糞を十分出したら、まずは先端のギザギザの刃。相手に治りにくい傷を与えるため構造を持った切っ先からゆっくりと研ぎだす。表面の垢が剥がれ、まだ固くきめ細かい部分に刃を這わせる。先端ゆえ、体ごと向かってゆくように突きだす攻撃にはなかなか使える。かたき討ちの時なんかは、これで思いっきり相手を突き刺すものだ……けれどまぁ、当然今の私は使わないけれど。
引いて押して引いて押して。マグロのように横たわったシチフクジンの体を太刀で圧迫しながらそうしていれば、少しずつ鈍くなった切っ先が削れていることが実感できる。最初は感じなかった感触も、研がれ、体内の神経と近くなっていくことによって、痺れるように私の中を駆け抜けていく振動。体の奥の方、神経が通い、そして丈夫な芯の存在する骨髄まで響くような感触。よし、ここら辺はもうそろそろ大丈夫。徐々に根元の方へとゆっくりと近づいてゆこう。
そうして、ひたすら続く往復運動。人間に飼われようとも、獣として生まれたさだめである本能に突き動かされるまま、妖しい水音とともに私は少しずつ美しくなってゆくのを感じる。そう、ご主人にゲットされたり、庭師の真似をしたりと、野生を失いかけてきた私だけれど、こういった野生の欲求はどれほど澄ました顔をしていても消えるものではない。いや、人間の手持ちになってすました顔をするよりも、研ぎすました白刃、切っ先、刀身の方がよっぽど気持ちよくって自然体だ。
砥石が乾燥しないようにと、シチフクジンは適宜水を追加して、全身をしとどに濡らしている。うーん……シチフクジンの事はあんまり好きじゃなかったけれど、彼がいてくれてよかった。少々ごつごつがあった彼の体も、私の体にとがれ削られ、徐々になめらかな岩の形をしてきている。いま、それを知るのは研いでその感触を感じている私しかいないけれど、濁った研ぎ汁を洗い流せばきっと、垢の部分が削られ、磨かれた美しい岩が覘くはずだろう。
さて、あんまり胸の前方の部分ばっかりやっていてもバランスが悪いので、その無駄な垢が削れた彼の体を一度見てみよう。
「次は貴方の背中で研ぎたいわ」
研糞がついたままの刃を見せながら、シチフクジンに告げる。
「おう、随分ゴリゴリやっていたけれど、まだ半分も終わっていないんだな……どれどれ」
と、シチフクジンは胸の濁った水を洗い流した。
「おぉ、随分と滑らかになったぞい」
シチフクジンの言葉通り、彼の胸は予想以上に滑らかに慣らされている。研ぎまくったものねぇ。
「でしょう? どんな岩でも磨けばいい感じになるのね」
「うらやましー。僕も早くやって欲しいなー」
「だとよ、サヤカ。それじゃあ、早いとこ終わらせるぞい。次は背中を頼むぞい」
「えぇ、ご主人が戦闘中に見るのは背中だものね。きっちり美しく磨いてあげなくっちゃ」
背中を頼むと言ってうつぶせに横たわったシチフクジンに同じように刃を添える。こびりついていた研糞とともに、研磨を再開する。右側の根元まで研ぎ終えれば、今度は左側の先端から根元を目指す。すっきりした爽快感が左右対称ではないせいで、余計に不快感が募っていた左半身。
先ほど、右半身を研いできたときは、まるでまとわりついていた虫を振り払えたかのような気分だったけれど。その感触を、いよいよ左半身にも与えられるという事だ。その感触を想像するだけで、うっとりとしてヨダレが出てしまいそうだ。
癖になるこする摩擦音。荒々しい彼の体表に揉まれ、研がれ、洗練されてゆく。質量で見れば、1パーセントにも満たないような小さなダイエットなのに、研ぐことで得られる爽快感は、ボディパージで鞘や盾を投げ捨てた時よりも体が。そして心が軽くなる気分だ。
そうして、次は彼の下半身。ヒトツキ時代から、異性の下半身に触れる事なんて、仲間で一緒に狩りをした時くらいだったけれど、こんな形で下半身に触れることになるとは思いもよらなかった。ご主人だって、抱いたりしているときに触れるのは上半身のみだから、何だか新鮮な気分だ。
そんな初体験をシチフクジンで達成するのはいささか不本意だけれど、まぁいいわね。そうして左右の研ぎをどちらも終えたら、次は体の背面。研ぐことで付いた『返り』を削る作業だ。研ぐことで裏側に出っ張ってしまった返りを取り去れば、私の切れ味も、そして美しさも完璧なものになる。
裏返り、仰向けのまま美しくきらめく星を見て軽く刀身を研いでゆく。あぁ、思えばシチフクジンと一緒に同じ星を見て居ることになる。このシチュエーション、もっとこう……立派な鍵をもったクレッフィとか、同じく立派な剣を持ったギルガルドや、美しい結晶の生えたギガイアスと味わいたいシチュエーションであるのが残念だ。でも、異性と一緒に、こうして星を見る……ニダンギル時代に仲間たちと一緒に星を眺めた時も、言い知れない満足感があったけれど、シチフクジンが相手なのに不覚にもそれに近い感動を感じてしまうのが情けない。
涼しい夜風に刀身を冷たく冷やされながら返りを研い行く。最近の手入れ不足のせいで、長丁場になってしまって、さすがに疲れてきたのだけれど、こすりあげるたびに私の体の奥底から『もっと研げ』という欲求があふれ出し、私の体は止まることがない。ようやくすべて研ぎ終えた頃には、心地よい疲労感に包まれて、気持ちの良いため息が自然と漏れ出した。
でも、まだ終わっていない。私がさらに美しくなるのはこれから。そう、これからなんだ。
「お待たせ、アメジスト」
「むー、遅いぞー」
「ごめんね。でも、シチフクジンと同じく、貴方の体も一緒に綺麗にしてあげる」
両肩の飾り布で彼の顔をなぜる。撫でられるのが嬉しいらしく、アメジストはこちら側に顔を寄せて甘えてきた。堅い体同士がふれあって、小気味の良い音がした。数秒ほど抱擁してそっと体を離すと、自分の体を研ぎに使われるのが初めてなので、若干緊張しているような面持ちだ。怯えたように濡れた瞳がちょっとかわいいかもしれない。
「大丈夫よ、安心して。さっきシチフクジンにやったように、痛くはしないから」
「う、うん……お願い」
ごろんと、アメジストが横たわる。
「それじゃ、水をかけるぞい」
そこに、振りかけられるシチフクジンの水。
「ねぇ、シチフクジン。私の研ぎ汁も落としてくれないかしら? きっちり流し切るつもりでお願いするわ」
「あいよ、ちょっと威力強めで行くぞい」
あぁ、私の体が洗い流されてゆく。刀身の腹の方まできっちり錆を落とした私の刃は、美しい黄金色を呈している。けれど、私はさらに美しくなって見せる。彼が悪いわけではないけれど、シチフクジンの岩は粗い。そのため、グッと目を近づけないとよくわからないほどではあるが、切っ先には細かな傷やあらが残り、剣の切っ先は、切れ味も輝きも研ぐ前よりはましといった程度か。
そう、野生の頃皆の憧れだったレベルの高いニダンギルのお兄さんは、沢山の雌の鞘にその刀身を納めるべく、宮殿内部にある大理石の非常に細やかな目を利用して研いでいたものだ。そうやってきめ細かな石で研がれたあの方の刀身の美しい事。濡れてもいないのに、光の加減で濡れているように光を照り返すその様は、雌として鞘がうずいたものだった。
その時の美しさ……メレシーの宝石よりも輝いて見えた記憶がある。さて、粗い研糞を落としたら、次はいよいよきめ細かな彼の体で私の刀身を研ぐのだ。やはり最初はアメジストの表面に垢のように古く風化した岩がこびりついているが、往復しているうちに、それらは禿げて、中にある堅くてきめ細かな岩肌が覘く。
守りを固めた姿の私に匹敵する丈夫さを誇る岩のボディは、息がふれるほど近づいてみれば、かすかにキラキラと輝いている。濁った研ぎ汁すらかすかに煌めいて美しくなりそうなその体を、今から擦りあわせようとするのだと思うとなんだか少し緊張する。ごくりと生唾を飲みこんで、私は再びそっと彼と体を重ね合わせる。
シャリンシャリンと立てる音は、今までで一番なめらかで耳の奥まで透き通るような金属音だ。そして、きめ細やかな分だけ非常に緩やかな振動が私の体の中に伝わってくる。そう、それは例えるならばじっとり濡れたウィッチの舌が私の刀身を這うような、そんな感覚。往復運動の回を追うごとに吸い付くように、そして吸い込まれるように一体感が味わえる。きっと、私の体にあった小さな傷が、この目の細かな砥石に撫ぜられて消えて行っているのだろう。
とろけそうなほどに優美な感触は一度味わうと癖になる。時間が許す限り、この甘く爽やかな感触を味わっていたい。虚ろな目をして、私は初めての体験にひたすら身をやつしていた。
やがてその心地よさにも終止符を打つ時が来た。右も左も裏も表も、すべての部分を研ぎ終えたのだ。
全身からあふれるような満足のため息をついてから、潤んだ目でシチフクジンの方を見る。
「ねぇ、私の体を洗い流してくれないかしら?」
美しくなった私は、こうして水をかぶることで産声を上げるのだ。
「おう、おいどんに任せるぞい」
シチフクジンは研糞を洗い流すために水鉄砲を放つ。そうすると、研ぐ前とは見違える自分の姿があった。ご主人からちょろまかした手鏡には、自身の体も鏡と見まがうばかりに磨かれた姿が、手鏡との合わせ鏡として映っている。
「おー、綺麗になったなー。仲間が綺麗になってメレシーウレシーぞー」
「美しい……あぁ、研がれたお前ががこんなに美しいとは思わなかったぞい」
私の仲間達も、こんなに褒めてくれる。良し、この姿でご主人にアタックかけて、久しぶりに振り向かせて見せるんだから。とにもかくにも、私は布巾で体をふき取ってみる。あまりに切れ味が良かったのか、軽く刃に触れただけなのに少しだけ切れてしまったのが主人に申し訳ない。
そうして体をふき取ってもなお、鏡面のように研磨された私の体は、美しく濡れたような刀身を保ったまま。濡れた女性の瞳は美しいと言っていたウィッチにも惚れてもらえそうなくらいに美しいと自負できる。
テントの中に戻ってみれば、ウィッチもさすがに主人と添い寝をしたまま眠っていたが、気配を感じて目を覚ましてしまったようだ。
「おや、君は……人違いかな、サヤカちゃんによく似ているが、とても美しい」
ブレードフォルムにして露出度を上げ、体のラインを強調する私に、ウィッチさんは立ち上がって褒める。
「ふふん、もちろん私はサヤカよ。それは『私が見違えるほど綺麗になった』という褒め言葉として受け取っておくわ、ウィッチさん」
「おや、君だったのか。はぁ、なんて美しい刀身だ……本当に、見違えたよ。思わず、ご主人から奪ってしまいたいほどに、綺麗じゃないか」
そう言って、ウィッチさんは私の肩にそっと指を添え、私の目の下、胸にじっとりと濡れた舌を這わせる。
「うん、触り心地も滑らかだ。ふふ、やっぱり……君の事もご主人から奪ってしまおうか……皆私に奪われてしまえば、みんな幸せだろ?」
「ダメよウィッチ……寝言は寝て言わなきゃ」
「おやおや、口の悪いお嬢さんだ。太刀なのにタチが悪い」
そう言って、モフモフの体で私を抱きしめる。褒めてくれるのは嬉しいけれど、ご主人に抱きしめられた方が嬉しいのよ。
「わーおー、ウィッチが大胆だなー」
と、その光景を見てアメジストは無邪気な感想を漏らしていた。茶化されると恥ずかしいわ。
「でも明日は、私はご主人のものだし、私さっきまで貴方がいた位置にいるんだから、覚悟してよね!」
緩く啖呵を切ると、ウィッチは妖しく微笑んだ。
「うん、どうぞご自由に。雌を奪って僕のものにするのは楽しいけれど、ご主人は1人しかいないから分け合わなきゃね。明日は君の自由にするといいよ」
と言って、ウィッチは抱いていた私を開放して、ご主人との添い寝に戻る。よし、明日は私がその添い寝のポジションを狙ってやる! 明日、主人にポケパルレをねだるのがが楽しみで寝られないかと思ったけれど、披露していた私は予想以上にぐっすりと夢の世界へと旅立っていった。夢の中でも、ご主人とポケパルレ出来たらいいなぁ。
うちのご主人はクリスマスが嫌いらしい。
なんでだろうか。
主人が買ってきてくれたポケモン用のケーキを食べ終えるとおれはご主人の足の間に座りながら、ちゃぶ台に頭を乗せていた。こうすることでテレビを楽に見ることができるのである。顎が疲れることだけを除けば、いいものである。
ケーキをつまみにワイルドターキーを煽りながら、ご主人はテレビの内容にあーでもないこーでもないと言っていた。基本的に全否定である。まぁ、つけるチャンネルが示し合わせたかのように今からでも間にあう恋人が喜ぶ○○みたいな特集ばかりなのでしょうがないとは思うけれど。
しかし、何が楽しくて、こんな寒い日にでかけるのだろうか。よくわからない。くっつく理由が欲しいのか。それでも、家で好きなようにくっつけばいいではないか。あと、ご主人。なにかをプレゼントしてくれる彼が欲しいってそれは完全にサンタさんだと思う。
流石に太ったおっさんと付き合うのは見境がないと思うのでやめたほうがいいと思う。
―――――――
久しぶりに百文字クリスマス書こうと思ったら長くなったなんて、ことはないんだからね。ぜったいにないんだからね
タイトルのまんまですが、自分主導でコンテストをやることになったのでその宣伝です
とりあえず、このサイトに概要は置いてあるのですが主催者が編集をミスって見れなくなることがよくあるので、ここにも書いておきます
お題「あい」(自由に変換可能)を使って、ポケモン二次創作小説コンテストをやります
締め切りは6月いっぱい 下限文字数は100文字で上限文字数はなし
それでお題として、キャッチコピーも使おうと思います
キャッチコピーというのは本の帯なんかに
「期待の新鋭、現る」とか
「まさか、こんな遅くにやってくるやつがいるとはな」とか
「あの勝負だけが心残りなのよ」
と言ったような中身が気になるような販促用のフレーズです
お題のキャッチコピーが似合うような小説を創作してください
「あい」を主題とするなら、このキャッチコピーは副題といったところでしょうか
それでこのキャッチコピーなんですが、複数あるうちの一つを採用してくださいというべきところなんでしょうが主催者の頭ではかっこいいフレーズが思い浮かばないので、公募しようかと思います
数は七つ前後 二桁はいかないように数の調整をいたします
【分からないことがあったら遠慮せずに聞いてください】
『講評
タカヤ様
技の完成度・ポケモンの手入れは、よくできています。ですが、技のオリジナリティーが欠けているために、今回の予選通過はなりませんでした。
次回からはその点に気をつけてみてください。
ポケモンコンテスト運営委員会トキワ支部部長 ミヤ』
「――だってさ、キレイハナ」
トキワシティコンテスト会場前公園、そのベンチに腰掛けて今回の講評を読み上げてみる。
横では共にステージに上がったキレイハナが、しょんぼり落ち込んでいた。
だいぶ練習し自信をつけて参加したのに、予選すら突破できなかったとなれば当然かもしれない。俺も顔には出してないが内心けっこう凹んでいる。
「ただ、技を磨くだけじゃダメなんだな」
美しく魅せるためには、オリジナリティーが必要だとは考えたことがなかった。確かに言われてみれば、グランドチャンピオンを決める大会に出場するようなポケモンたちは、他のひととは一味違う――それでいて綺麗な技を多く使っていた気がする。
けれど、自分のこととなるといい案が思いつかない。他の人がしないような技、か。
「でもなー、どうすりゃいいんだろ」
ごろん、と寝転がって空を見上げる。キレイハナに当たらないように腕を組んで枕にする。
視界に入るのは、真青な空――と満開の桜の木。花びらが風に煽られてひらひらと空を舞っていた。
「ん……?」
一瞬何かが頭をよぎった。
「花びら……桜……舞う…………。これはいけるか?」
たった今思いついたことを、隣でいまだに落ち込んでいるキレイハナに提案してみる。
「なあ、桜の花びらを使って「はなびらのまい」ってできるか?」
俺の提案にキレイハナはしばらく黙って考え、そして――首をかしげた。
「まあ、やってみなきゃわかんないか。とりあえず、ほら元気出せよ」
キレイハナの背中をぽんと叩いて、ベンチから下りるように促す。
しぶしぶといった感じでキレイハナは地面に下り立ち、「どうすればいいの?」と視線を向けてきた。
「んー……」
そういえばキレイハナの「はなびらのまい」は、自身から出すものと周りにあるものを操って技とする――と聞いたことがある。
ならばとキレイハナを桜の花びらが多く落ちている木の下へ連れて行き、とりあえず試してみる。
「よし、キレイハナ。はなびらのまい!」
俺の指示に応えてキレイハナが踊りだす。
小さい手足を器用に使って舞う。段々と桜の花びらが宙に浮かび始め、キレイハナを中心として回りだす。
「おお……!」
いつもの赤い花びらも悪くはないけれど、これは格別だ。
キレイハナの緑、黄、赤の三色に花の桜色が映え、よりいっそう美しく見える。
先ほどのコンテストで使ったものと同じ技なのに、全く別もののようだ。
「春限定ってのもなかなかいいよな」
桜吹雪の中で舞うキレイハナを見ながらそんなことを思った。
「よくやったぞ。これなら本番でも使えそうだよな」
技が終わると、すぐに駆け寄ってキレイハナを抱きかかえた。
キレイハナもさっきまでとは打って変わって上機嫌だ。
この調子なら次の大会はいいところまで行けるはず!
「さてと、あとは桜をどうやって会場まで持ってくかだな。そのまま持ってくってのも芸がないし」
残るはこの問題だ。俺が桜の花びらを大量に抱えてステージに上がるのは、なんだかつまらない。上手く持ち込む方法はないだろうか。
と考えていると、キレイハナが広場の方を指した。
そこでは母親と姉妹が芝生に座り込んで何かをしていた。
「ねーねー、次は私の!」
「はいはいユキは何を作ってほしいの?」
「ミキと同じ髪飾り!」
「それじゃ、今度自分でも作れるようによく見ててね」
「はーい!」
どうやら、落ちている桜を使ってアクセサリーを色々作っているようだった。
「お前もあれが欲しいのか?」
うーんと少し考えて、キレイハナはあの家族の方を指してから、次に自分の頭を指した。そして、さっき見せた「はなびらのまい」の動きをして見せる。
えっと……要するに、
「花びらを衣装の一部にして、技の時にそれをバラして使う――ってことか?」
当たりというようにキレイハナが一言鳴くと、足元にあった花びらの山から一すくい持ってきた。
「そうと決まったらさっそくろう――って言いたいところだが。髪飾りの作り方、俺わかんないんだよな。向こうで一緒に聞いてこようぜ」
キレイハナを誘って俺は親子の方へ走り出した。
その後、桜のはなびらのまいを使うキレイハナとタカヤは徐々に注目を浴びて行き、何度か優勝することもできた。
ただ、キレイハナが技のたびに分解する髪飾りは、毎回タカヤが直しているとか。
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こちらでは初めて投稿しました、穂風です
ポケモンのお話を書くのはポケコン以来なので――半年ぶりでした
ポケモンだからできるようなほのぼのしたものを、のんびり書いていこうと思います
【描いてもいいのよ】
【好きにしていいのよ】
初めまして、akuroと言う者です。
くろまめさんギャグ上手いですねー! 私もギャグ物を書いてるんですが、到底及ばない……尊敬する域に達してます!
後編も楽しみにしてますね!
この小説は、きとらさんより寄せられた「586さんの描く『ダイゴさん』像を見てみたい」というリクエストを受けての、586なりのレスポンスです。
拙い点ばかりですが、少しでもお気に召していただければ幸いです。
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第一印象は、彼はなぜこんなものを集めているのか、という至極単純な疑問だった。
「これは……石、ですよね?」
「そう。石だよ。どこにでも落ちていそうな、"路傍の石"さ」
ありきたりな石ころですよね、と私が二の句を継ごうとしたところに、先手を打って言われてしまった。過去に何度も同じことをされているとはいえ、この鋭さにはいつもヒヤリとする。
硝子戸を引いて、石を一つ取り出す。ケースから出てみれば印象が変わるかと一瞬期待したが、胸元まで寄せられた石は紛れも無く、これといった特徴の無いただの石だった。
「その、何か変わったところがあるとか……ですか?」
「この石がかい? いや、変わったところなんて一つも無いよ」
「一つも、ですか」
「ああ。硬さも形も色も重さも、どれを取っても特徴の無い、普通の石だね」
本人曰く「特徴の無い、普通の石」を、手袋を嵌めた手でもって繁々と眺め回す。その表情がまた童心に返った子供のように楽しげなものだから、首を傾げる回数ばかりが増えてしまう。私を軽くからかっているのか、と思ったが、彼の面持ちを見る限り、私のことは意識の埒外にあるようだった。
ひとしきり石を眺めて、満足感ある表情のまま一端目を離す。すっ、と流れる水のように、彼の視線が私に向けられた。
「そうだね。君が今何を考えているか、当ててあげようか?」
「……」
「どうして僕がこんな石を持っているんだい、そんなところじゃないかな?」
「……そうですね。概ね、それで合ってます」
こくり、こくり。二度に渡って深く頷く。右手に石を載せたまま、彼は話を続ける。
「僕がこの石を拾った理由、僕がこの石を残した理由、僕がこの石を飾った理由。それは……」
「それは……?」
一歩前に出て、彼の言葉に耳を傾けた。
「この石が、十枚の絵を生み出したからだよ」
十枚の絵を生み出したから、彼はこの石を今も大切に保管している。投げ掛けられた言葉の順序を整理すると、以上のような形になる。確実に言えるのは、何のことだか訳が分からないということだけだ。
私が困惑するのを見事に見透かして、彼はようやく本題に入った。
「いつだったか、少し遠出をしたときに、絵を描いている女の子がいたんだ」
「スケッチブックを抱えて、ですか?」
「うーん、そうとも言えるし、そうとも言い切れないね」
「それって、どういうことなんです?」
「持っていたのが、スケッチブック……が映し出された、タブレットだったんだ」
「ああ、今流行の……」
「そうだね。タブレットにペンをカツカツ走らせて、外で絵を描いてた。あれは、今風でいいと思ったよ」
彼が出会ったのは、スケッチブック・アプリをインストールしたタブレットを持って外で絵を描いていたという少女、だと言う。紙のスケッチブックを持ち歩く時代はもう終わったのかなどと、要らないことに思考を巡らす。
「絵を描いていたのは分かりましたが、どうして石が関係するんです?」
「気になるだろう? 僕も気になったんだ」
「そ、それは、どういう意味で……?」
「タブレットに描かれていたのが、今ここにある石だったからね」
再び、私の前に石が差し出される。彼のエピソードを踏まえて、もう一度石を眺める。何かのきっかけがつかめれば、何か目に留まるものがあれば、そんな期待を込めて送る視線。
そして二十秒ほど石を眼に映し出して、込めた期待は見事に空振りに終わったことを気付かされた。眼前の石はやはり何も変わらない、ただの石でしかなかった。
「この石を、タブレットに描いていたんですか」
「そう。一心不乱にね。すごく楽しそうだったよ」
「楽しそうに、ですか……」
「それはそれは、ね。繰り返しペンを走らせて、タブレットの中のキャンバスを作り変えていったんだ」
彼が遭遇した少女は、この何の変哲も無い石を題材に、楽しそうに絵を描いていたという。俄かには信じられないというか、流れの読めない話だ。一体何が、タブレットの少女をそこまで惹きつけたのか。
「気になったから、僕は思い切って声を掛けてみたんだ。『どうして石を描いているんだい』ってね」
「声を掛けたんですか」
他人にいきなり声を掛けるというのが、いかにも彼らしいと思った。以前にもトレーナーに声を掛けて、その後も何度か合っている内に親しい仲になったとか、そういう話を聞いている。
「そう。一度気になったら、調べずにはいられない性質だしね」
「そのことは、私もよく知ってます」
「ラボを空ける一番の理由は、間違いなくそれだからね」
石ころを掌の上でコロコロと転がしながら、彼は穏やかに答える。少女に声を掛けたときの情景を思い返しながら、その様を適切に形容できる言葉を探している。過去の出来事を話すときの彼の姿勢は、いつも同じだ。
「彼女はあなたに、どう答えたんですか?」
話すべき内容を取りまとめたのか、彼がおもむろに口を開いた。
「『どうしてって、石を描きたいから』」
「それが、答えだったんですか?」
「ああ、はっきり言われたよ。それ以外に理由なんか無い、って顔でね」
石をタブレットに描いていた少女が、何故石を題材に採ったのか。答えは、石を描きたいから。石を描きたいから、タブレットの上で繰り返しスタイラスペンを走らせている。
これ以上無い、最大の理由。描きたいから描くという、もっとも容易く理解できる理由だった。
「楽しそうだったよ。ペンをしきりに走らせて、どんどん石を描いていってさ」
「そんなに熱中していたんですか」
「僕も驚くくらいね。一向に止まらないんだよ。ディスプレイの中に、じわじわ石が浮かび上がっていくようだったね」
彼はそんな少女に興味を持って、もっといろいろな事を知りたくなったんだ、と言った。
最初の疑問である「何故石を描くのか」は分かった。けれどそれだけでは満足せず、「何故石を描きたくなったのか」、それも聞き出したくなったらしい。
「石を描きたい理由、それを知りたくなって、僕は続けて質問したんだ」
「どうして石を描きたくなったのか……そういう質問ですね」
「うん。そうしたら、彼女は詳しいことを教えてくれたんだ」
タブレットを操作する真似をして見せながら、彼は少女が教えてくれたという内容を復唱し始めた。
「彼女はインターネットのイラストコミュニティに、よく絵を投稿しているらしいんだ」
「ああ、あの……」
「たぶん、君の考えているところだろうね。そこは絵を投稿できるだけじゃなくて、絵にコメントを付けたりもできるんだ。すごい時代になったね」
「コミュニケーションの手段として絵がある、ということですね」
「その通り。彼女はそこで、好きなように絵を描いていた……けれど」
ふう、と小さく息を吐いて、彼が声のトーンをわずかばかり落とす。
「世の中には狭量な人がいる。それは、君もよく感じているだろう?」
「……そうですね。残念ですが、頷かざるを得ません」
「ああ。彼女もそこで、面倒な人に絡まれたんだ。コメント欄で、一体何を言われたと思う?」
彼は手にした石を掲げながら、ぽつりと一言呟いた。
「『あなたのような"路傍の石"が、知った風に絵を描かないでください』」
ぽつりと、一言呟いた。
「コメントを寄せたのは、彼女もよく知らない人だった」
「見ず知らずの人、ですか」
「そう。調べてみたら、少し前に同じコンテストに絵を投稿していた人だって分かったらしい」
そのコンテストで、少女は審査員特別賞を貰い、コメントした人は選外に終わったという。その構図が明らかになった時点で、彼女はコメントした人の意図が分かったようだった。
「有り体に言えば、彼女に嫉妬したらしいんだ」
「やはり、そうだったんですね」
「ああ。自分の絵が評価されなくて、彼女の絵が特別な評価をもらったことに、嫉妬したみたいなんだ」
評価されなかったのは、自らの努力不足に尽きる──すぐにそう帰結できる人間は、それほど多くはない。大抵はそれを認められなくて、外的要因を探してしまう。
コメント者にとっての外的要因は、少女だった。つまりは、そういうことだ。
「それで、あんなコメントを寄せた」
「……」
「あれっきり一度も顔を見せないから、邪推や推測が山ほど混じってるけどねって、彼女は付け加えたけどね」
そう話す彼の表情は、なぜかまた、楽しげなものに戻っていた。
「けど、ここからが面白くてね。彼女はそのコメントを見て、ふっとイマジネーションが浮かんだらしいんだ」
「イマジネーション?」
「そう。"路傍の石"という部分に、何か来るものを感じたって言ってたね」
「よりにもよって、その部分に刺激を受けたんですか」
「そうだね。いてもたってもいられなくなって、タブレットを持って外へ出た──そうして、僕に出会った」
掌の石を握り締めて、彼が再び話し始める。
「僕に出会うまでに、彼女は九枚も絵を描き上げたって言うんだ」
「まさか、全部石をモチーフにしてですか?」
「その通り。落ちている石を見つけて、何枚も何枚も、絵を描きつづけたんだって。石にばかり目が行って、"周りが見えなくなる"くらい、熱中してね」
「……」
「僕の前で十枚目を描き終えたあと、彼女は、自分が感じたことを僕に教えてくれたんだ」
「同じ形の石は存在しない」
「同じ色の石は存在しない」
「同じ大きさの石は存在しない」
「同じ重さの石は存在しない」
「すべての石は違っていて、"ありきたり"な石なんて存在しない」
「"路傍の石"は、すべてがあふれる個性の塊だ……ってね」
「絵を描いているうちに、彼女は同じ石が一つとして存在しないことに気づいた」
「同じ石は、存在しない……」
「似ているように見えて、手に取ってみるとまったく違う。それが面白くて、どんどん絵にしていった」
「そうして導き出されたのが、さっきの言葉なんですね」
「ああ。晴れ晴れとした表情だったよ。新しいものを見た、って感じのね」
口元に笑みを浮かべて、彼が私に目を向ける。
「そういえば」
「どうしました?」
「君は、僕が石を集める理由を知ってたっけ?」
不意に話を振られて、思わず答えに窮する。石を集めているということは知っていても、「なぜ」石を集めているのかということは、どうも聞いた記憶が無い。
詰まったまま時間が流れるに任せていると、割と早々に彼が助け船を出した。
「僕が石を集める理由は、石が好きだから。けれど、それだけじゃない」
「それだけではない、と……」
「そう。もう一つ、理由があるんだ」
一呼吸置いて、彼が私に"理由"を教えてくれた。
「石に関わる人、それが好きだからさ」
「人との関係、ですか」
「そう。石があって、人がいて、石を軸にして人が関わりあう。それが好きなんだ」
石を掲げて、彼が言う。
「人と石は、よく似ている」
「まったく同じ石が存在しないように、まったく同じ人も存在しない」
「在る場所で、丸くもなるし鋭利にもなる」
「他者とのぶつかり合いで、いかようにも形を変えていく」
「本当に、よく似ていると思うんだ」
人と石の類似性。生まれ持った個性、環境に左右される姿、他者との接触で変貌していく形。なるほど、言われてみれば似ている気がしてきた。
彼が何を言いたいのか。その輪郭が、朧げではあるが見えてくる。
「僕は、珍しい石も好きだ。すごく好きだよ」
「珍しい石"も"?」
「そう。珍しい石"も"だよ。だから──」
「珍しくない石も、また?」
「その通り。外を歩けば道端に転がっているような"路傍の石"、それも大好きなんだ」
さっきも言ったけれど、と前置きした上で。
「この石は、道端に落ちていた石だ」
「タブレットの少女が絵のモチーフに採った、ですよね?」
「その通り。彼女が絵に描いた、"路傍の石"だ」
掌に載せられた小さな石。
「道端に落ちていたところで、誰も気づくことのないような、ありふれた石」
「けれどその石は、一人の女の子に、人としての生き方にさえつながるような、大きな示唆を与えた」
何度見たところで、石がただの石であることに変わりはない。何の変哲もない、ただの路傍の石。
石がただの石に過ぎなかったからこそ、大きな影響をもたらすことができたのかも知れない。
「人は皆、路傍の石だ」
「気付かれなければ意識されることもなく、そして誰かに影響をもたらすこともない」
「僕も君も、あの少女も同じ。すべては、路傍の石に過ぎない」
すべての人は、道端に転がる石に過ぎない。
「それは、実に素晴らしいことだと思うんだ」
「二つと無い存在が邂逅して、融和して、衝突し合う。そうして、また新しい存在になる」
「石も人も、ぶつかりあって変わっていく。それが、すごく面白いんだ」
気にも留めなかったはずの存在が、進む道を変えるほどの存在になり得る。彼は、そこに面白さを見出していた。
「この石を手元に置いておこうと思ったのは、それを思い返すためさ」
「人は皆路傍の石、そして、路傍の石は代わりのいない存在。この石は、それを思い出させてくれる」
「ありふれたものほど、かけがえの無い存在だということをね」
ようやく、彼が何を言いたいのかがはっきりした。そして、あの石ころを手元に置いていた理由も。
「その石には、思い出というか、印象的な光景が詰まっているんですね」
「ああ。あの少女が見出した新しい世界、それがここに詰まっているんだ」
「分かりました。単なる路傍の石に過ぎないそれを、あなたが大切に持っている理由を」
タブレットの少女と彼は、ありふれた路傍の石から、実に多くのものを感じ取ったようだった。
ひとしきり話して満足したのか、彼は石を戸棚に片付けると、椅子からすっと立ち上がった。
「さて、僕はちょっと出かけてくるよ。明日までには帰るつもりだからね」
「明日まで出掛けるつもりですか?」
「何、いつものことじゃないか。面白い石を見つけたら、また土産話を聞かせてあげるよ」
そう言い残して、彼は颯爽と部屋から立ち去って行った。
彼はいつもそうだ。石が好きだというのに、去るときは風のように去って行ってしまう。
「やれやれ……」
ため息混じりに、時間を確認しようとポケナビに目を向ける。
すると……
「……すれ違い?」
ポケナビの機能の一つである「すれちがい通信」。ポケモンのキャラクター商品に関わるすべての権利を持つ大手ゲーム会社が発売した携帯ゲーム機に搭載され、その後後を追うようにポケナビにも実装された。所有者同士ですれ違うだけで、簡単な自己紹介を送り合うことができる通信機能だ。
通信に成功すると、右上部に取り付けられた小さなランプが緑色に光る。この部屋に来るまでは消灯していたから、新しいメッセージが届いたようだ。
「これは……」
して、そのメッセージの送り主と内容は──
「けっきょく ぼくが いちばん つよくて すごいんだよね」
送り主の名前は……今更、言うまでもない。
すべては路傍の石。悟ったように口にしながらも、心の奥底では、燃え上がる炎のような闘志を滾らせている。
「星の数ほどある石の中でも、一番でなきゃ気が済まない、か」
石集めに熱中する子供のようで、その実石から人世訓を見出す大人で、しかし底の底は無垢で幼い子供。
それがたぶん、"ツワブキダイゴ"という人物の姿なのだろう。
「……本当に、風変わりな人だ」
苦笑いとともに、そんな言葉が思わず漏れた。
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※この物語はフィクションです。実在の人物・団体名・事件とは、一切関係ありません。
※でも、あなたがこの物語を読んで心に感じたもの、残ったものがあれば、それは紛れも無い、ノンフィクションなものです。
Thanks for reading.
Written by 586
タンバシティのとある海辺で、セツカは空を仰いでいた。傍らには一匹のアブソル。
「この天気なら、無事うずまき島に行けそうだね〜」
「まさか晴れるとは……やっぱり、やめといた方がいいんじゃないか?」
「何言ってんの。ご飯は熱いうちに頂かないと!」
「命がけの旅が、お前にとっては飯と同じなのか?」
「まさに、朝飯前ってことだね」
一人はしゃぐ主人を尻目に、シルクは項垂れた。確かにこの天気ならば、うずまき島を取り巻く渦も小さくなっているだろう。絶好の機会と言えなくもない。一年のほとんどが曇天に見舞われるうずまき島の周りには、その名の通り、タンバの漁船をも飲み込んでしまう大きく激しい渦が点々と混在し、うまい具合に島の入り口を閉じてしまっているのだ。
本来ならば島に入ることすら出来ないはずだったのだが、運が良いのか悪いのか、その一行を晴天が向かえていた。暖かな光を止めどなく届ける太陽が、シルクには冷ややかに映る。シルクの三日月を描く漆黒の鎌が、黒く光っている。
──今回の目的はうずまき島に行き、海の神にあることを伝えることだった。
不満をおしみなく口にするシルクと地図を広げるセツカを乗せて、一匹のラプラスが海を泳いでいた。
「へぇ。ポジティブって泳げたんだな」
まるで初めて知ったかのように、わざとらしく感心した様子を見せるシルク。
「泳ぐため以外に、このヒレを何に使うんだい?」
「フカヒレとか?」
「それはサメだろ」
「馬鹿か。フカマルだろ」
「そうだった」
「メタ発言はほどほどにな」
「その発言がメタなんだよ」
「てか、ポジティブって名前、由来は何なんだよ?」
不意にセツカに問いかけたシルク。うん? と、地図から顔をあげてセツカは聞き直す。
「だから、ポジティブの名前の由来だって」
「え〜分かんないの? 少しは自分で考えないと、脳細胞増えないよ?」
「やる気の起きない理由だな」
「ふふふ。降参かね? それでは正解はっぴょー」
仰々しく両手を広げたかと思うと、強くパァンと合掌するように打ちならした。
「まず、ラプラスをラとプラスの二つに分解します」
「ふむ?」
「ここで着目するべきは『プラス』です。お二人方もお気づきになりましたか? そう! なんと私はこの『プラス』をプラス思考というキーワードへと発展させ、なおかつ! それを応用し、ポジティブへと変換させたのです! イッツミラクル!」
あきれ果てて首を振る気も起きず、シルクもポジティブも、ため息をついた。
「下らねえ……。『ラ』も仲間に入れてやれよ」
ん〜、と頭を傾げるセツカ。
「ポジティ・ラブ?」
「なんでポジティが好きってことを主張すんだよ。意味分かんねえよ」
「名前は五文字までだったっけ」
「そんなことは言ってない」
「空が青い!」
「論点をずらすな」
突っ込むのにも疲れたと、ポジティブの甲羅の棘のようなものにシルクは寄りかかる。あたしの頭はボケてないと、セツカ。
「そういえば」
「なんだ? また下らない話か?」
「上がる話だよ。空の話」
「へえ。そういえばセツカは風景を見るのが好きなんだっけ?」
「うん。どこで知ったかは忘れたけどね。こういう空の色のことを、天藍っていうんだって」
青く透き通った、けれどどこか黒ずんだ色もしているような空を、シルクとポジティブが見上げる。
「確かに、それっぽい感じはするな」
「漢字的にもね」
「それは誤字なのか!? どうなんだ!?」
シルクの声が、海に響きわたった。
題名に騙された。題名詐欺とでも名付けようか。
シリアスな感じかと思ってたらこれだよ!
そうかーイケメンにしか興味ないのかー 中身もきちんと見た方がいいぞー
イケメンで性格いいなんて男はリアルにはそうそういないからな!多分!
レックウザさんいいよね 私も欲しい ミミズくらいの大きさでいいから欲しい
「おはようこざいます! サクラさんですね? お届け物が届いております! こちらをどうぞ!」
朝早く、ライモンシティのポケモンセンターにやってきた私を出迎えたのは、1人の配達員だった。 配達員は私に1つのボールを手渡すと、どこかへ行ってしまった。
「なにかしら、これ……」
ボールの中を見ると、ただならぬ雰囲気を放つ黒い竜がいた。 図鑑で見てみると、「レックウザ」というポケモンらしい。
「なにはともあれ、図鑑が埋まったからいいけど……こんな珍しいポケモン、いったい誰が……」
私は全国図鑑を完成させるという、大きな目標を持っている。 今日もポケモンを登録しようと、人が多いライモンシティへ来たのだ。
私はレックウザの親を知ろうと、図鑑を操作してポケモン情報のページを開いた。
と、その時ポケモンセンターのドアが開いたかと思うと、聞き慣れた声が飛び込んできた。
「サクラ! 聞いて聞いて聞いて聞いてー!」
「モモカ!?」
飛び込んで来たのは私の双子の妹、モモカ。 双子なのに似てないってよく言われる。
「さっきそこで、超絶スーパースペシャルテライケメンに道を聞かれちゃったー!」
……こんなミーハーな妹に似たくないんだけどなあ……
私はモモカを無視して、ポケモン情報のページに目を通した。 その間もモモカはべらべら喋っている。
「マジでイケメンだったなあ……青い長髪を黒いゴムでまとめてて、超イケメンボイスで「素敵なお嬢さん、迷いの森への道を教えてください」なんて! 別れ際に手の甲にキスまで……キャーキャーキャーキャー!!」
暴走しまくってるな……フレンドリィショップのお兄さんやジョーイさんが睨んでるよ……気付かないのがモモカなんだけどさ。
「モモカ……少ないとはいえ人いるんだから、もうちょっと落ち着いてよ」
「これが落ち着いていられますかお姉さま!」
「誰がお姉さまよ……ところでモモカ、「ノブナガ」って人、知ってる?」
私はレックウザの情報が記してあるページをモモカに見せた。
「ノブナガ!? ランセ地方の!?」
「ランセ地方?」
「こことは文化が違うくらい遠い地方で、イケメンがいっぱいいるんだって!」
「モモカ……モモカの頭にはイケメンのことしか無いの?」
「無い!!」
……断言されても、困るんだけど。
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オチなし。 新キャラが暴走しまくった。
[好きにしていいのよ]
電波はけっして妙なものではなく、妙な受信の仕方をしてしまったのです。
> 想像以上の奇人変人っぷりでした(注意;褒め言葉です)。
変人奇人は褒め言葉(キリッ
マントのひととか、石のひととか、考古学のひととか以下略
タテカン立てたのは出奔に困ったリーグ関係者、「この顔にピンと来たらリーグへご連絡ください」みたいな文言が添えられているに違いありません。リーグ挑戦者ならつかまえてくれるだろうと(笑
お読みいただき、ありがとうございました。
※ポケモンを食べる描写みたいなのがあります
GEK1994のカウンター席で、ミドリは雑誌を読んでいた。いつもなら文庫本片手にゼクロムを飲んでいる姿が目立つのだが、今日は違った。派手ではないが、文庫本とは違う表紙とサイズが目立つ。
「ミドリちゃん、それは?」
気になったユエが聞いてみた。バクフーンが足元でのっそりと起き上がったが、睡魔に耐え切れず再び床に体を預けて眠ってしまった。鼾の音がする。
「昨日発売されたグルメ雑誌です。全ての地方の有名レストランのおススメメニューを取材してるんです。写真もありますよ」
そう言ってミドリが見せてくれた一面は、今月のトップを飾る店が載っていた。ホウエン地方、ミナモシティにあるレストラン。新鮮な海鮮を使ったソテーやグリルが有名だという。
中でも一際目を引いたのが、店の場所だった。その店はミナモでも、その近くの浅瀬にある巨大な岩の中に造られているのだという。行く際には長靴が必要らしく移動は多少不便だが、そのマイナス面が気にならなくなるくらい、そこの食事は美味しいのだという。
「へー。なかなか素敵ね」
「お値段もリーズナブルですし」
「ディナーで十万ちょっと…… まあ、ね」
流石に庶民のユエには頭を捻る値段だったが、ミドリは楽しそうにメニューの写真を見ていた。そこでふと思いついたように呟く。
「伝説のポケモンって、食べられるんでしょうか」
一瞬の沈黙の後、ユエが『んー……』と考える。
「そうね。伝説の鳥ポケモン、ファイアーやホウオウの生き血を飲むと不老不死になるっていう話なら各地方に伝わってるけど、流石に肉はねえ」
「チュリネの頭の葉は薬向きですね。苦すぎてサラダには使えませんよ」
「グルメ向きかしら」
「カントーでは、カメックスは固すぎてよく煮込まないと食べられないそうですよ。ゼニガメなら柔らかくてそのまま食い千切っていけるそうですが。あと、カメールの尻尾は大きいほどコラーゲンが詰まってるそうです」
足元のバクフーンがいつの間にか起きていた。ガタガタと震えている。大丈夫よ、とユエは頭を撫でた。
「戦争中はアーボとか毒抜きして食べたそうです。アーボックになると毒が強すぎて、抜く前に飢え死にするからアーボじゃないといけなかったそうで」
「ドンファンも一応食べられるんだって。足とかゴムみたいな食感らしいけど」
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オチなし。この前夕食の時に弟と話したことがそのままネタになってる。
ポカブとかまんま焼き豚だよね。
「あかね、かえんほうしゃ!」
オレの横を、あかねが放った真っ赤な炎が通り過ぎて行く。 その炎はバトルをしていた野生のオニドリルに見事にヒットし、焼き鳥が出来上がった。 ……って、オイ。
「あかね、もうちょい手加減できねーのか?」
オレは一仕事終えたあかねに問いかけた。
「バトルに手を抜くなんて、有り得ない」
……同情するぜ、焼き鳥、もといオニドリル。
「そうだよらいち! バトルはいつでも真剣にやらなくちゃ!」
あかねの後ろにいたモモコがうんうんと頷きながら言った。 まあ、その気持ちは分かるが……。
オレたちは今、まだまだ弱いワタッコのあおばにバトルを見せて、経験値を稼がせている所だ。 当のあおばは空中に浮かび、炎が当たらないギリギリの所でバトルを見物している。 ……器用だな、アイツ。
そんなことをしていると、焼き鳥の匂いにつられたのか、草むらからゴマゾウが出てきた。 ああ、ご愁傷様です……。
「あ、ゴマゾウ発見! あかね!」
「了解」
モモコがあかねに指示を出し、あかねは炎を吐き出す為に息を吸い込んだ。
ゴマゾウは臨戦体制をとっていたが、怖いのかその瞳は潤んでいる。
「……」
「モモコ? 準備オッケーなんだけど」
あかねのそんな声が聞こえてモモコの方を見ると……固まってんのか? あれ。
「……」
「オーイ、モモコー? どうしたんだー?」
「……か、」
「か?」
「か、可愛いいいーー!!」
いきなり叫んだかと思ったら、モモコはゴマゾウに飛びついてぎゅうーっと抱きしめた。 その速さといったら、カイリューもびっくりだ。
「……モモコ? どうしたのよ」
「可愛すぎるー! この子とは戦えないー!」
「……」
……オイモモコ、お前さっき「バトルは真剣に」とか言ってなかったか?
「あ、あそこにヤドン発見! あかね、最大パワーのかえんほうしゃー!」
「了解」
……ヤドンはいいのかよ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ほぼ実話。 ゴマゾウ可愛いよね
[なにしてもいいのよ]
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