マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ
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  •   [No.3710] サンドパンの旦那さん 投稿者:焼き肉   《URL》   投稿日:2015/04/11(Sat) 05:38:47     111clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:サンドパン】 【サンド】 【ネズミ】 【バカップル

     サンドのサンドイッチの続き。ギャグですが下ネタ多いです。



     サンドパンの手を引いて僕はある場所を目指して歩いていた。サンドパンの手の片方は僕が握っていて、もう片方の手は息子のサンドが握っている。ときおりフワフワ風に乗って飛んでいくフラべべや、遠い空を飛ぶ鳥ポケモンの影に気を取られてフラフラどこかに行きそうな息子を、これっ! よそ見しないの! ご主人に迷惑がかかるでしょう、って感じでギイギイ鳴いて注意している。おかげで僕は通りすがる車なんかに注意を払い過ぎる必要がない。

     人間一人とポケモン二匹でやって来たのは、一軒の古い屋敷だった。家の周囲が白い高い塀で囲まれており、それさえも突き抜けて、昔のカントー家屋って感じの瓦屋根が顔を出している。表札にはきちんと家主の名字が書かれており、文字の横には何かを塗りつぶした跡がある。

     僕はインターホンを押した。鐘のように響く音の後、間があいて、それから一人の女の子と一匹のポケモンが横開きの玄関から出てくる。

    「はあーい……なんだ、アマノじゃない。いらっしゃい」
    「こんにちは、サンノ。お邪魔するよ。ミルミルも元気そうでなにより」
    「グギュウウウウ!」

     突然の来訪を歓迎してくれた女の子の方は僕の幼なじみ、お腹に良さそうな名前のポケモンはミルホッグだ。握っても何故か痛くないサンドパンの鋭い爪から手を離し、僕はミルホッグの「お前なんでほっぺにいつも各種木の実詰めてんの?」って訊きたくなるようなほっぺを両側からウリウリする。ほ〜らウリウリ、ウリウリ瓜〜。両手でグリグリすると、ミルホッグはギュウギュウ鳴いて喜んだ。でもほっぺから各種木の実が飛び出すことはなかった。コイツのほっぺがぷくぷくしてんのはミネズミの時からで生まれつきのものだしね。

    「ちょっと、私のかわいいミルミルいじめないでくれる?」
    「いじめてないよ、スキンシップだよ」
    「じゃあセクハラをしないで」
    「合意の上だからセクハラじゃないよ」
    「外でわいせつな行為をしないでと言っているの」
    「ほっぺぷくぷく罪ですか」
    「そうよ、ほっぺぷくぷく罪よ。私のミルミルのほっぺは私のためにあって、他の誰にもぷくぷくをウリウリさせる権利はないの」
    「瓜をあげるのはいいかい?」
    「好きにして」

     いいのか。ミルミルはポリポリかじれるもの好きだからなあ。ネズミだし。ネズミ、という単語に、僕はサンノの家の表札を見た。

     『根済屋』と墨でかかれた横に、塗りつぶした後。そこにはかつて「敷」という文字が極自然に、ナチュラルに追加されていたのである。

    「なによ」
    「表札のラクガキ、消す必要なかったんじゃないかなあって」
    「ラクガキはラクガキよ。消してなんの問題があるの」

     あり得ないことを聞いたように首をかしげる彼女の頭上で、赤っぽいピンクのリボンと長いポニーテールが揺れていた。リボンの端には白いラインが入っていて、それが装飾品そのものを装飾していたりする。

    「問題はないけど」
    「なら問題はないわね。遊びに来たんでしょ、入って」

     話を一方的に打ち切って、彼女は僕にポニーテールと背中を向けてしまった。ミルミルも主人の後を追うものだから、僕は二つのしっぽがフリフリされるのを見送ることになる。

     白いライン付きのリボンで結んだ、サンノのポニテがフリッフリ。
     黄色いライン付きの、先端は白いミルミルのしっぽもフリッフリ。

     通されたサンノの家は広い。インターホンを押してから少し間があったのはこのせいである。奥の方の部屋にいると、玄関に来るまでちょいと間があいてしまうのだ。板張りの廊下を歩いていると、いらっしゃいませご主人のご友人様、という感じで、何匹かのポケモンが出迎えてくれる。いつもの事だ。ラッタ、ビーダル。

     彼女の部屋に入ると、更にもう数匹が僕達を出迎えた。鞠(まり)のように弾んで飛んで、サンノの胸に飛び込んでくるのはルリリ、勝手に僕の体をアスレチックに見立てダダダダダーッと肩に乗って来たのはデデンネだ。

     そして、部屋の机、ベッド、本棚の上などいたるところに黄色い物体が置かれている。ピカチュウのぬいぐるみだった。彼はこの世でもっとも有名かつ人気なネズミポケモンである。サンノも大好きだった。彼らのつぶらな瞳がジッと、僕とサンドパン達を見つめている。何匹かは白い綿をぷっくりした腹からはみ出させてしまっている個体もいた。ネズミ達にかじられてしまったのだろう。時々本能に抗えず、サンノのネズミ達は物を齧ってしまうのだ。げっ歯類さん達の共食い反対。

    「で、何の用よ? 遊びに来たの? トランプでもする? おやつ食べる?」

     ルリリを抱えたまま、サンノは僕に座布団を勧めた。当然のようにピカクッション。僕に茶色いしましま背中を向けるピカクッションの上に、ちょいとごめんよとお座りした。傍らに僕のサンドパンと息子のサンドも座る。

    「ちょっと話があって」
    「とうとうあなたのサンドパンといつの間にか増えてるサンドちゃんを私に譲る気になったのね。いい心がけだわ」

     んなことしたらまた表札に敷って追加されてネズミ屋敷になるんじゃないかなあ。あげないよ。肩の上でデデンネがチュウチュウキイキイ鳴いている。

    「いいや、今日は僕のサンドパンがいつの間にか増殖していた件について話に来たんだ」
    「ネズミちゃんだからでしょ」
    「いや合ってるだろうけど違うそうじゃない」

     そりゃ一般的にネズミポケモン(とそれに近いポケモン)は増えやすいって言うけどさ。サンドはまあ、一匹見かけたら四十匹はそこに住んでるって言われるコラッタほど見かけやすいポケじゃないけど、絶滅なんて言葉も聞かないのはやっぱり、そこそこ増えやすいからだろうね。

    「まあポケモンだから、人よりは後先考えなくてもいいっていうか、実際一匹くらい増えても何も問題じゃないけど、気になって」
    「何が?」
    「いくらネズミちゃんでも一匹じゃ増えないだろ。だから父親がいるんじゃないかって」
    「要件はそれ? なんていやらしいの。あなたは私のネズミちゃん達が一匹の可憐なサンドパンのメスを手篭めにする鬼畜畜生だとでもいうのね、」
    「違」
    「国家の犬! 猫の手先! ニャースを率いるロケット団!」
    「だから」
    「うちには犬も猫もいらないのよ、出てって」

     真顔でそういうこと言わないでくれるかなあ? いくら付き合いが長くったって冗談との区別がつかなくて悩む事もあるんだよ?

    「だからその……手篭めにしたとは限らないだろ? じゃなくてね、僕のサンドパンは」
    「『僕の』サンドパン、まさか父親はあなた、ずいぶんサンドパンへの独占欲が強いと思っていたけど、とうとう」
    「君のがやってそうだけど」
    「や、やってないわ……」
    「どもった」
    「本当よ」

     照れるくらいなら、手篭めだの、ポケモンと人間がどうだのなんてネタを振らなければいいと思うんだ。

    「僕のサンドパンはこの通り義理堅い性格だから、あまりぼくのそばを離れないし、単独行動の時、どこかで全く知らないポケモンと行きずりの関係を結んだとは思えないんだよね」

     行きずりの関係って。サンノの表現技法が伝染しちゃったよ。言葉もネズミ式に増えるのか。

    「だからさ、サンドパンそのものは君の手持ちにいないとしても、サンドパンと同じような種族を引き連れていて、僕ともサンドパンとも仲良くしているサンノ周辺が怪しいと思うわけだよ」
    「何も怪しくないわ」
    「つっかかるなー……言い方が悪いなら謝るよ、僕としちゃあただ気になることをハッキリさせたいだけなんだ」
    「ルリルリはシロね」
    「ルリリは赤ちゃんだからね」
    「おねショタ」
    「何か言った?」
    「いいえ」

     サンドパンはいつの間にかサンノの横に移動して首元をなでなでされていた。いつネコになったんだこの野郎。あ、お母さんだった。このマザー。そのマザーだけど、この場にいるいつの間にか僕の頭の上で「頂上にたどり着いたー!」とチューギィ叫んでるデデンネにも、いつもビックリ仰天した顔してるビーダルにも、ラッタに尻尾を甘噛みされてああーんってなってるミルホッグにも、噛みついてるラッタにも反応していない。となると。

    「ネズミちゃん一匹足りなくない?」
    「足りなくないなんてことないわ」
    「現に一匹足りないじゃない」
    「いるわよ……ピカピカ! アマノが勝手に行方不明にしてるわよ! 出ておいで!」

     魔法をかけないでいつまでも、とか続けたくなるニックネームに応え、一部齧られ気味なピカチュウぬいぐるみの山がうごめいた。返事がないただのしかばねの山から出てきたのは……? ゾンビ!

    「うーあーうーあー」
    「何やってるのよ」
    「効果音を」
    「せめてピカピカチュウチュウと鳴きなさいよ」
    「ピカピカチュウチュウ」
    「よしよし」

     サンドパンのように僕も首をなでなでされてしまった。何これ。ゴロゴロすればいいの? 僕の頭のピカピカチュウチュウコールに釣られたかは知らないけど、ピカチュウぬいぐるみの中から出てきたのは生身の生きたピカチュウだった。おやびんって感じで、電気ぶくろの赤いほっぺに少し傷がある。今まで寝てたって感じで、つぶらな瞳がすげー釣りあがってて目つき悪っ!

    「ギ……ギギィ!」

     瞬間! 僕のサンドパンが僕だけのサンドパンじゃなくなった! メスの顔になった! ボーッと顔を赤くして、ピカぐるみの上に立つおやびんピカチュウを見つめたまま動かない! ただならぬ気配に息子のサンドもお母ちゃんどうしたの、ってオロオロ母のトゲトゲを引っ張っているのだが気づかない!

     おやびんピカチュウは僕のだったサンドパンを一目見るや、おうおうマブいスケさんよう、元気してたかって感じで僕のサンドパンにつかつか歩み寄った。サンドパンはそれを真っ赤なお顔、恋する瞳でおでむかえし、あのう、そのう、って感じにツメをシャッシャカ合わせている。殺人準備っすか。

     あなたにまた会えるとは思いませんでした。サンドパンが鳴く。いつ一晩だけって言った? ピカピカが鳴く。こんなトゲだらけの身体すぐ飽きてしまうに違いないもの。そういう傷つくような身体、好きだぜ。嫌だわ恥ずかしい。これはあの熱い逢瀬の結果です。サンドパンが息子をそそくさピカチュウの前に出す。おう、オレもとうとう父親かい。ピカチュウおやびんがサンドの頭を撫でてやる。だあれ? って感じにサンドが首をかしげる。

     台詞は全部僕の想像でしかないけど、大体合ってるんじゃないかな。だって雰囲気がただ事じゃねえもん。

    「……サンノが心配するような手篭めはなかったようだよ」
    「いくら私のピカピカが強くても、じめんタイプで一メートルもあるサンドパンが、ピカチュウに抵抗出来ないわけがないものね」
    「……いつ頃こうなったかは知らないけれど、逢瀬の場所は、あそこかな?」

     ピカぐるみの山を僕は指差した。サンノの部屋は広く、ピカぐるみの山は壮大。あの中なら気づかれまい。かじられながら愛の巣にまでされたピカぐるみたちは今何を思うのだろう。とりあえずジュペッタになる前に片付けた方がいいと思う。

    「こうなったからには責任を取らないとね、さっさとサンドパンをサンドちゃんごと譲りなさい」
    「手持ちもういっぱいでしょ」
    「じゃああなたをパソコンに送るわ」
    「解決してない!」
    「一人減る」
    「減らしてどうするのさ! そもそも譲る気ないからな!」

     声を荒げてしまった。思っていた以上にメスの顔をしたサンドパンがショッキングだったみたいだ。いやだって、あんな顔、トレーナーの僕でさえ見たことないぞ。それがあの、どこのネズミの骨とも知れないピカチュウと。いや知ってるけど! いやあん堪忍してえ、ってな感じに襲われたんじゃなくて良かったかも知んないけど!

    「よしよし」

     サンノが僕の頭を撫でてくれた。頭の上のデデンネはとっくに下山している。撫でられたって嬉しく…………嬉しい。視界の端では発覚! 熱愛じめん/でんきの相性を越えた愛が熱い。



     サンノの名前は大好きなラノベの一つ「曲矢さんのエア彼氏」の曲矢サンノから。


      [No.3225] 投稿者:リナ   投稿日:2014/02/07(Fri) 01:25:59     93clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


     天原町は、神域。神様のおわします、とても神聖な場所だ。出雲や伊勢に並んで、昔から特に大切にされてきた土地のひとつだった。
     どうして、先人たちに尊ばれてきたのか。
     それはなにも崇拝対象が先行するような、神ありきの理由ではない。天原は昔から、冷害に悩まされてきた。毎年冬になると、遠い北の大陸で生まれた冷たい空気が日本海を渡り、奥羽山脈を乗り越えてやってくる。その乾燥した冷気は鋭い刃となって天原に吹きつけ、作物を枯らした。
     天原の人々は、その風が氷のように冷たい風だったので、「氷の神様」の怒りなのだと考えた。氷の神様は、長い尾を持った巨大な霊鳥の姿をしている。天原の農家の人々は収穫の時期になると、氷の神様のために祭壇を作って祀り、豊作を祈願した。
     しかし、冷たい風はその後も治まることなく続いた。
     これでは食っていかれない。まともに作物も獲れないこんな土地で、どうしてここにとどまり、飢えに耐え続けることがあろうか。そう考える農民たちが現れ、一軒、また一軒と天原を捨て、もっと暖かい土地を求めて出ていってしまった。農地を耕す者が減っていくと、土は荒れて、冷たく硬く強張っていった。
     打ち捨てられた土地。飛鳥時代は慶雲期、天原はそう呼ばれていた。
     頭を悩ませたもろの木さまは、出雲の国に住んでいた湯の神さまを呼び寄せて、この土地と人々を温めてくれまいかと願い出た。
     天原の土地を眺め、湯の神さまは言った。
    「長きに渡り凍てつく風に晒された天原を温めるには、うんとたくさんの湯を沸かすことのできる桶をこしらえなければなりません。鎮守の森の木々を切るわけにはいきませんから、本殿を取り壊して、その廃材を使うことになりますよ」
     当時はまだ存在していたとされる「天原神社」。もろの木さまはその本殿に祀られていた。しかし、氷の神様を鎮めるためには、湯の神さまの言いつけどおり、本殿を取り壊さなければならなかった。
    「本殿を取り壊せば、代わりにあなたが毎年、凍てつく風に晒されることになります。それでもよろしいのですか」
     湯の神さまの提案には、天原に住む皆が反対した。八百万の神々も、獣(しし)たちも、もちろん農民たちも。
     天原を守ってきたもろの木さまがどうしてそんな目に遭わなければならないのか。そもそも本殿を取り壊すなど、正気の沙汰ではない。ある神がそう言った。その他の大多数の神様たちや人々が、同じ意見だった。
     ただ一人、もろの木さまだけが、本殿を取り壊し、桶を作ると言った。
    「この老木が雨風に吹き晒されることは、なんら気に止めるようなことではない。朝日が昇り、また沈むのと同じ様に、些事である。今大事は、天原に人々が住まなくなることだ。作物が獲れなくなり、土地が痩せ、国として死んでしまうことだ。この社の木材が必要ならば、気兼ねなく使うがよい」
     天原の全ての者たちはその言葉に感嘆した。
     そして、神さまたちも人々も獣たちも、総出で桶作りに携わった。本殿は涙のうちに取り壊され、もろの木さまは剥き出しになった。
     出来上がった大きな桶で、湯の神さまは湯を沸かし、天原を温めた。毎年冷たい風の吹く季節がきても、「天原の大桶」のおかげで、作物が枯れることもなくなった。凍える冬の夜は、皆大桶の湯に浸かり、身体を温めて寒さを凌いだ。
     以来、もろの木さまに加えて、天原神社の祭神として湯の神さまも祀られることとなった。
     しかし社の類は全て取り壊され、手水舎や鳥居も全て大桶の材料となってしまっていた。そこで、大桶の湯を皆に配る役目をしていた各所の「湯屋」で、二人の神様は祀られることになったのだ――

    「自分の住んでいる場所の歴史くらい、ちゃんと勉強してください」
     美景ちゃんが長い溜め息をついた。
    「――津々楽さんも杠さんも、本当に聞いたことないんですか?」
     私とユズちゃんは曖昧な笑みを浮かべて目を合わせる。
     美景ちゃんと約束をした土曜日は、先週と同じくらい良く晴れていた。ユズちゃんを連れて、待ち合わせの午後四時五分前に駅前広場へ行くと、美景ちゃんはもうベンチに座って文庫本を読みながら待っていた。土曜日なのに、やっぱり前と同じ制服姿だ。美景ちゃんを初めて見たユズちゃんは、「ほんと座敷童みたいな髪してる」と小さく呟いた。
    「その『天原の大桶』っていうのは聞いたことあるよ。でもそれが何なのかは今知った」
     私がそう言うと、ユズちゃんもうんうんと頷いた。
    「そうですか。あなた方に今の天原の状況を話す前に、成り立ちだけで日が暮れてしまいそうです」
     そもそもどうして美景ちゃんに「天原歴史講座」を開いてもらうことになったかというと、早い話“浅学”が露呈してしまったからだった。麗徳のエリート少女は、我々一般の中学生に、とても厳しかった。
     私がユズちゃんと美景ちゃんをお互いに紹介し、コノと挨拶をし、ひとまず三人並んでベンチに腰を下ろし、何気なくもろの木さまの話になったときに、ユズちゃんがぽろっと言った。
    「天原の守り神ってくらいなのに、どうしてちゃんと祀られてないんだろうね? 普通大きな神社とか、そういうところにあるんじゃないの?」
     私も不思議に思っていたことだった。駅前広場の真ん中でぽつんと佇むもろの木さまは、見ているとどうも不憫に感じてしまう。これからの寒い季節は特にそうだった。
     しかし、ユズちゃんのその台詞を吐いた直後、美景ちゃんの表情がぴたっと固まったのだ。私はすぐに察して、ユズちゃんの台詞の後に「うん、そうだよね」なんて相槌を打たなくてよかったと思った。
     そして美景ちゃんより――すでに綴ったように――天原神社が取り壊された理由が語られたのだった。
     美景ちゃんの語ってくれた天原の神話は、「天原手記」という書物に収められているらしい。古事記や日本書紀に記載のある神話との関係も深く、歴史学的にも考古学的にも重要な神話なのだそうだ。
    「湯の神さまは出雲の国から来たという記載から、出雲大社の祭神『大国主大神(オオクニヌシノオオカミ)』の妻、『多紀理比売(タキリヒメ)』と同一神と考えられています。天原の神たちにとっては他所者でも、名のある神の言葉だったからこそ、言いつけ通りに桶を作ったのだという話です。そもそももろの木さまが迎え入れるほどの神ですから、きっと出雲の国でも広い範囲で信仰を集めていたのでしょう」
     神話の詳細を語る美景ちゃんは、他の話題のときよりほんのちょっぴり生き生きしていた。
    「とにかく、天原に神社がない理由は分かったわ。もともとこの駅前広場には、その『本殿』があったのね。なんか、全然イメージできないけど」
     ユズちゃんが人差し指と親指で四角形を作り、もろの木さまにかざして覗いた。創建された時代も、「大桶」を作るために取り壊された時代も不明。「天原手記」が完成したのが奈良時代初期らしいから、今から千五百年くらいも昔の出来事ということになる。
     そんなに気が遠くなるほど昔から、もろの木さまはここに立って、天原を守り続けてきたのだ。
    「イメージはできないけど、大切にしなきゃいけないことは分かる。もろの木さまも、湯の神さまも」
     そうさ、とコノが頷いた。
    「それが、君たちの生活をきちんと続けていくこと、後世へと繋いでいくこととイコールなんだ。前に話したように、湯の神の姉さんをホームレスにさせてる場合じゃないよ」
     コノがうちの浴室に現れたその日から、実は二つ、出来事があった。どちらもあまりよくないことだった。

     ユズちゃんのおばあちゃんは、目を覚まして間もなく、認知症と診断された。脳血管性のものとアルツハイマー型が合併したものだろうと、担当医師は判断した。
     木曜日に再度お見舞いに行ったときのおばあちゃんは、やっぱりとても小さく映ったし、言葉数が少なかったけれど、何もおかしなところはなかったように感じた。とにかくそのときは、目を覚ましてくれたことが嬉しかった。リハビリ次第で早期に退院できるだろうと、ユズちゃんのお母さんも言っていた。
     しかし帰り際、病室の外でお母さんは「後々びっくりさせないよう、耳に入れておいてほしい」と、事実を伝えてくれた。
     実際には症状が表れていたという。目を覚ましたその日から、おばあちゃんは一度食べた朝食を何度も催促した。夜に一人で病室から出ようしたところを看護師さんに見つかり、理由を訊くと「自分の枕を探していた」と答えたらしい。家ではお気に入りの蕎麦殻の枕を使っていたのだ。
     事実、銭湯の運営再開が遠退いた。ユズちゃんにはもちろんそんなこと言っていないけど、うちでは――津々楽家では、そういう方向の話になっていた。
    「うちも、喜美子さんのお母さんがそうだった」
     お父さんが食卓でビールを片手に言った。木曜の夜のことだ。
    「兄貴の嫁さんの母親だよ。杠さんのところも、むしろ早く銭湯の番台に戻してあげた方がいいんじゃないかな。病院は病気を治すところだけど、やっぱり息が詰まるんだよ。あなたは病人ですって言われ続けてるようなもんなんだ。特に認知症には、それがすこぶるよくないらしい。喜美子さんのお母さんもね、無理矢理病院から引っ張り出して趣味だった麻雀やらせたら、もうあっという間に回復しちゃって」
     私はそれを聞いて、すぐにでも実行したくなった。
    「でもねえ」お母さんが食卓の真ん中に鍋を置く。葱のたっぷり入った水炊きだ。「一度倒れちゃったら、もうあんまり無理は出来ないんじゃないかしら。銭湯を一人でやっていくのなんて、若くて健康な人でも大変なのに」
    「私手伝う。ユズちゃんと一緒に」
     どのくらいできるか分からないけど、結構本気の提案だった。
    「あなたたちは学校の授業と部活があるでしょう」
    「みんなにも事情を話して、交代で休むようにすれば? 三橋先生ならきっと賛成してくれるよ」
     お母さんは取り皿を並べながら、困った顔をした。
    「三橋先生は、茉里のクラスの担任だね」
     お父さんが質問を入れる。
    「うん」
    「あの先生は分かってる人だから、茉里の意見には反対すると思う」
    「なんで?」
    「いいかい? 残念なことに、生徒たちの親御さんの中には大勢反対する人が出てくるだろう。『うちの子に何させてるんだ!』ってね。そうなっちゃうと、杠さんのところが非難を浴びることになるし、奈都子ちゃんも学校に行きづらくなる。そうなるのは、茉里はどう思う?」
    「それは、嫌だけど。でも――」
    「先生は、茉里のことだけ見ているわけじゃない。奈都子ちゃんのことだけ、見ているわけでもない。クラスの子供たちみんなを見ている。だから、反対すると思うよ」
     溜め息が出るほど正論。分かっている。でも、私がやろうとしていることはそんなに非難を浴びるようなことなんだろうかとも思う。
    「それに、杠さんのところはあのお父さんが、ね?」
     お母さんが困った顔のまま言う。
    「――まあそれを話し始めるときりがない。さあ、あつあつのうちに食べよう。父さんの育てた葱は美味いぞ」
     お父さんがそう言って、話は終わりとなった。
     思えばあのときお母さんは「口を滑らせた」のだ。
     問屋さんを営んでいるユズちゃんのお父さんは、年がら年中仕事が忙しいらしく、私もほとんど会ったことがなかった。記憶では、たぶん中学校の入学式で見かけたのが最後だと思う。背がすらっと高くて、かっちりとしたビジネススーツを着こなしていた気がする。「町の問屋さん」というより、「ばりばりの営業マン」という感じだった。聞いていたイメージとあんまり違ったので、とても印象に残っている。
     二つ目のよくない出来事は、ユズちゃんのお父さんのことだった。出来事というよりは、浮き彫りになってきた事実、と言った方が近いかもしれない。
     ユズちゃんのおばあちゃんが倒れたこと知ったあの日、大人たちの言葉の行間からなんとなく“違和感”を感じていた。なんか変だ。とても大事なことで、みんなそれを何とかしなきゃいけないと思っているのに、誰もが気付かないふりをしている。触れてはいけない。自分達には関係ない、その“家”のことなんだから。
     気が付いた。違和感の理由は、家族が一人倒れたというのに、誰もお父さんのことを口にしなかったからではないか。まるで関係のない他人かのように、全く一言も、言及されなかったからではないか。
     しかしあの日、ただ一人ユズちゃんだけは、お父さんのことを口にしていたのだ。
     ――この銭湯はちゃんと経営してかないと、あの人に潰されちゃう――
     
    「コノからもお二人に話したようですが、まずは杠さんのところの銭湯を“社(やしろ)”として機能させ続けることが急務です。そうしないと湯の神さまの力が弱まり、ますます多くの“毒”を天原に呼びこんでしまいます」
     美景ちゃんは強い口調で言った。
     湯の神さまのことも大事だけど、それ以前に、私は確かめなきゃいけない。
    「ねえユズちゃん、よかったら話して」
    「ん? 何を?」
     ユズちゃんは指で作った四角形を下ろした。
    「ユズちゃんのお父さん。一体何しようとしてるの?」
     彼女の顔からさっと表情が消えた。目をまん丸にして、私を見る。
    「――えっと。それ、誰から聞いたの? うちのお母さん?」
    「ううん、誰からも聞いてない。勝手な予想」
     ユズちゃんは目元にしわを寄せて、もろの木さまの方を見た。美景ちゃんとコノは、私たちのやり取りを黙って見守っている。
    「――別に、うちの父さんはなんも関係ないよ」
    「そしたら、前に言ってた“あの人”って誰のこと? “潰されちゃう”って?」
    「あれ、そんなこと言ったっけ?」
     不自然な笑い方で、ユズちゃんは返す。
    「うん、言ってた。私、普段こういうこと遠慮してなかなか突っ込んで訊けないけど、今回はお節介を焼かせてほしいの。私でもできることがあったら、小さいことでも、何かさせてほしい。本気でそう思う」
     しばらく彼女は足元を見つめ、それからもろの木さまに視線を戻し、それを二回繰り返した。そして、「やっぱり茉里だよなあ、そういうところ」と、笑って空を仰いだ。
    「――やっぱりって?」
    「お節介。今までだって散々焼かれてきたよ。悪いけど」
    「そう、かな」
    「そう」
     ユズちゃんは一回洟をすすってから、真面目な顔で話し始めた。


      [No.3224] Re: ボツネタの墓場(鳥居バージョン) 投稿者:森羅   投稿日:2014/02/05(Wed) 14:41:24     101clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    記事の方ですが一つ没ネタがあったので……。勿体ないのでここに失礼します。

    ・グラシデアの由来的な。

     やあやあ、お客さん。どうしたんだい、ぼーっと突っ立って。……え? ああ、お客さん、もしかしてソノオは初めて? ……ああ、やっぱり。そうかいそうかい。すごいもんだろう。毎年この時期になるとグラシデアが真っ赤なじゅうたんを敷き詰めたようになるのさ。まあ、ソノオで暮らして長い俺だってやっぱりこの時期になると圧倒されるんだ。初めてなら本当に「息を呑む」ってやつだろう。まあ、花は逃げないから……え? いやまあそりゃ確かに枯れはするが……。うまいこというね、お客さん。だが、それでも今日明日中にってわけじゃない。お客さんがソノオに滞在している間くらいは大丈夫だろうさ。
     そうだ、お客さん。そんなにグラシデアに感動したなら、一つグラシデアの花についてのお話をしてやろう。……そんなほっといてくれって顔しないでくれよ。おっちゃん、傷つくだろ。まあまあ、花見を楽しみながらでも聞いてくれ。
     グラシデアの花の、いやソノオの由来を知ってるかい。……ああ、そうそう、それそれ。元々荒れ地だったソノオに花を植えた話さ。「ありがとう」と感謝の言葉を伝えた時にグラシデアの花が開き、そしてそれからソノオは花園の町になった。グラシデアの花言葉が「感謝」なのもその話から来てるな。良く知ってるじゃないか。お客さん、ガイドブックを熟読するタイプだろ? ……花屋の娘が言ってたって? あそこの子、可愛いだろう? いやまあ、それはいい。とりあえず知ってるならいいんだ。
     だが、お客さん。その話には裏があるんだ。おっ? ちょっと興味湧いた? 嬉しいねえ、おっちゃん張り切っちゃうよ。で、話の続きだけどお客さん、シンオウの神話を知ってる人かい? ……お、一通りミオの図書館で読んだ人か。なら話は早い。その中に「トバリの神話」ってやつがあるだろう。そう、剣を持った若者の話さ。……おいおい、そんな訝しげな顔をしないでくれよ。ちゃあんと話はソノオにつながるから、さ。実は、その「トバリの神話」にまつわる話が、ソノオにもあるんだ。今となっては、もう、伝わらなかった、剣の話さ。
     「トバリの神話」は戒めめいたところがあるだろう。「命を忘れるな」とか「命をむやみに奪うな」とか。剣を持った若者が改心する話だからな。昔話によくあるパターンだが、この神話にもそういう意味が込められている。つまり、この話は相当丸く丸く……言い方は悪いかもしれないが、細部を削られた話なんだ。で、その細部の話が、ソノオの話に残ってる。ちょっと気分が悪くなるかもしれないが、良いかい? ……話始めたのは俺だろうって? はははっ、全くだ。じゃあ、遠慮なく。
     ソノオに残った神話はね、剣の製造の話だ。剣なんてソノオには全く関係ない話のよう思うだろう。だが、結構これが関係あるんだなあ。そもそも「トバリの神話」になぜ「トバリ」と付くか知ってるかい? それはね、「トバリに残っていた神話」という意味じゃあない。神話に出てくる剣が生まれたのがまさにトバリだったからさ。……もちろん、根拠はあるよ。お客さん、せっかちだね。まあまあ、落ち着いてくれよ。順番に話していくからさ。トバリには昔から隕石が落ちるんだ。お、知ってるって顔だね。隕石、町中にも置いてあっただろ。でね、隕石には種類がいろいろあるんだが、隕鉄っていう種類がある。鉄を多く含んだ、鉄鉱石みたいなやつだ。……ちょっとぴんときたって顔だね。そう、先に言っちゃうけど「トバリの神話」の剣は鉄剣だ。隕石から作ったのさ。……あはは、なんだか信じがたいって顔してるな。いやいや、お客さん。歴史を紐解いて見て見るといい。中国ではその隕石を間に挟んで作った鉄剣が見つかってるし、古代ヒッタイト帝国が栄えた理由だって、他の国により先に地上の土から鉄を製鉄できたからなんだぞ。それまではどこも隕鉄を使ってたのさ。それでも信じられないなら後で調べてみてくれよ。隕鉄製の鉄器がでてくるはずだ。
     で、だ。話を戻そう。だが、残念ながら鉄だけじゃあ剣は作れない。わかると思うが、火がいるんだ。高い温度の火がね。そんで、高い温度の火を作ろうと思ったら風がいる。……シンオウには炎タイプが少ないからね。昔に人たちはどうも自力で頑張ったらしい。風を起こす方法としてふいごを使って人力で風を起こす方法も勿論あるんだが……。ん? お客さん、ちょっと顔色が良くないね。わかってしまったかな? じゃあ、もったいぶらずにネタ晴らしと行こう。「トバリの神話」は戒め。なら、その元凶を作ったのは一体どこだったのか。そう、それこそここ、ソノオの町だ。風力発電所があることからわかるだろう。ソノオにはね、風が吹くんだ。強い、風が。その風で、隕石を製鉄したんだよ。ソノオが荒れ野になってしまったのもそのせいだ。火には薪をくべるからね。……まとめにはいろう。トバリの隕石を、ソノオの風で製鉄したんだ。周りの木を伐りまくってソノオを荒れ地に変えてね。……ああ、そうそう。タタラ製鉄所はその名残さ。お客さん、良く知ってるね。あそこ、結構見つけづらいところにあるんだけど。なんでソノオに製鉄所があるのか、これで理由がわかったかな? その昔、ソノオがシンオウ一の製鉄場だったからだ。…………あ、ごめんよ。お客さん。そんな哀しげな顔をしないでくれよ。ごめんってば。大丈夫、ちゃんと物語には救いがあるから。
     これで、やっとグラシデアの花の話にたどり着くんだけど。お客さんの聞いた、ソノオの由来である感謝を伝えたらグラシデアの花が咲いた、ってのは本当はどっちが先かわからないんだよ。グラシデアが咲いたから「ありがとう」なのかもしれないし、「ありがとう」でグラシデアが咲いたのかもしれない。でもね、その時の人たちは忘れないようにしたんだ。花を植えようとしたことからわかるかもしれないけど、ソノオではいつごろか剣を作らなくなった。「トバリの神話」ではあるポケモンが若者を諭すけど、ソノオではそのポケモンはシェイミってことになってるんだ。そう、感謝ポケモンのシェイミさ。グラシデアの花の象徴でもある、あのポケモン。ただ単に木を切り尽くしたことと、製鉄技術向上が理由なのかもしれないけど、それじゃああまりにもひどい話だろう?
     でね、シェイミに言われた人たちはそれを忘れないようにしようとした。咲いた花に感謝と戒めを込めたんだ。「トバリの神話」と同じく、「気づかせてくれてありがとう」という感謝。それから、戒めは。……まず一つ。そう、この花の色だ。真っ赤だろう。それこそ、血みたいに。それから名前。グラシデアの花の名前の意味を知ってるかな。知らない? なら、似たような名前なんだけどグラジオラスって花の名前の由来は知ってるかな? ……あ、そっちも知らない? あのね、グラジオラスの名前の意味は「剣」。その葉が剣の形に似てたんだ。で、グラシデアもそれと同じ。その名前の意味は「剣」。こっちは、祈りがそうさせた。いつまでも、忘れないように。と。
     話が長くなったけど、これでおしまい。ちょっと気分を悪くしてしまったお詫びに、グラシデアの花の蜜から作った甘い蜜を一つだけお客さんに差し上げよう。気に入ったなら、また買ってくれると嬉しいね。おっちゃん、これが商売なんだからさ。
     ほら、ほら。そんな顔しないで。引き続き花見を楽しんでくれればいい。感謝と戒めの花だなんて、そんな難しいこと考えず綺麗だなと思ってくれるだけでいいんだ。だって、ソノオはもう、花園に戻ったんだから。綺麗だと、そう思ってくれるのが花も一番喜ぶだろうさ。ただ、ちょっとだけ、もう二度と繰り返さないようにと、そう祈ってくれればいいんだよ。


    帳の隕石を製鉄したのはソノオだった! グラシデアってこういう意味だった! 的な。
    「トバリの神話」から巻き起こった一大妄想。100%作者の妄想でできています。諸事情で載せることをためらったんですが、使わないのも勿体ないなとも思ったのでここに捨てさせていただきます。失礼しました。


      [No.3223] 【編集内容。あと自己紹介も】小説31.実はチートなあの笛【鳥居】 投稿者:たかひな けい   投稿日:2014/02/04(Tue) 00:12:26     52clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    タイトル長いので割愛。

    お初にお目にかかります。たかひな けいと申します。
    この度、素敵な企画に参加させて頂き、ありがとうございました。
    ツイッターでお話させて頂いている方もいらっしゃいますが、
    ほぼ全員がはじめましての状況で参加してしまったので、改めてご挨拶。

    鳩さんとの共通の知り合いの某ピジョンクラスタからの紹介で
    この企画の存在を知り、ラプラス愛が高じたおかげでギリギリ一本書けました。
    普段はツクールのシナリオを書いたり、二次創作の短編小説書いたりしてます。
    とりあえずラプラスが好きすぎる人だと覚えていただけると、これ幸い。


    さて本題。皆様ご評価ありがとうございました。
    ご指摘頂いた点を踏まえ、加筆や修正など加えていこうと思います。
    ページ数の関係もあるので、なるべく現在の文量と変わらない範囲で。
    以下、箇条書きで修正予定部分を。


    ・段落頭の一字目
     >すみません、他の方からもご指摘いただいたとおり、
       ワードの自動改行をそのままコピペしたためです。すべて修正します。

    ・文章の大半が主人公の説明文
     >内容上、致し方ない点ではありますが、纏められる分は纏めてみようと思います。

    ・ラプラスの存在が希薄
     >上記を纏めて空いた分を、愛を以てこちらに充てます。

    ・笛の効果の広め方
     >時間が許さなかったため、そのあたりを少し端折ってしまっておりました。
      ここは字数的に余裕が出れば、もう少し書き込みたいところです。

    ・文体のブレ
     >ご指摘の通り。浮いてしまっている箇所は修正します。

    ・村人の無用心さ
     >一応本文内でも言及はしていますが、確かに印象が弱い気もするので、
      少し文章を追加しようと思います。多分それだけで変わってくると思うので。

    ・「ほくと」
     >平仮名の方が当時の日本っぽいなぁと思ったからです。確かに読みにくいですね。
      特別思い入れがあるわけでもないので、「ホクト」に替える方向で。漢字の方がいいかしら。

    ・最後の段落
     >削除しちゃっていい気がしてきました。浮いてる感が否めず。
      今結構悩んでます。ここはちょっと蛇足かなぁ……


    以上です。少々長くなりました。
    この作品、お気づきの方いらっしゃったらぜひ握手を交わしたいところなのですが、
    過去描写は主人公の回想のため、印象的なセリフ以外はすべて地の文を通しました。
    地の文だけだと抑揚に欠けて単調になりがちなので、極力読みやすくなるよう努めたのですが、
    ちと限界はあったみたいですね。ご指摘ありがとうございます。
    読み易いって言っていただいた方、大変光栄です。

    ということで、修正ができ次第、こちらに上げていく形をとって参ります。
    どうぞよろしくおねがいします。


    たかひな


      [No.3222] Re: ボツネタの墓場(鳥居バージョン) 投稿者:GPS   投稿日:2014/02/02(Sun) 21:48:41     116clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    Re: ボツネタの墓場(鳥居バージョン) (画像サイズ: 924×545 48kB)

    そういえば、記事のネタとして「ポケモンバトルに反対する人たちは昔から存在してた」みたいなものを考えていたのですが
    上手く落とせなくてボツにしました。
    タブンネやらビクティニをモチーフにした旗などを使い、
    ある種プラズマ団のような団体がいて、今もまだその名残はあるんだよ、という。

    それを思い出しつつ、せっかくだし流行に乗って作ったので置いておきます……
    話としてまとまったら短編的な感じで書きたいですね


      [No.3221] 懐かしきもの 投稿者:あきはばら博士   投稿日:2014/01/31(Fri) 22:21:21     174clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:イーブイ】 【イーブイ!】 【ブラッキー】 【なつき進化】 【ハートフル】 【ホワイティ

     鬱蒼と茂る木々は大きく葉を広げ、底まで届く太陽の光を削り取っている。
     所々にはチョロチョロと冷たい水が流れ、何一つ騒ぐ者のいない静かで平和な森の奥。
     サクサク…… と一匹のイーブイ。
     静けさの中に響く枯れ落ちた葉の上を歩く足音。小豆色の好奇心に満ちた瞳、茶色に黄色を微量にまぶした様な体毛、首には無骨な灰色の石にキラキラ光る透き通った宝石をあしらったアクセサリを巻き、小さな足を踏みしめて、フサフサした尻尾を大きく振り回している。
     与えられた自由時間を利用しての、近くの森を散策。寂しい森を明るく照らしているかのような、わくわくした表情で、誰もいない道を歩いていた。
     周りの木々が空に向かって伸びて、葉と葉、枝と枝の間の縫い付けるように光が容赦なく降り注いでいる。一方、枝の下では行き場を失った空気があたりを潤している。空気が光に照らされて、時々笑っているかのように鮮やかにきらめく、そんな光景がイーブイは好きだった。
     木と木の隙間の先には、何者かが森をそのまま抉り取ったかのような草むらが広がっていた。
    「あら、こんなところにイーブイなんて珍しい、こんにちは」
     そこに一匹のブラッキーが後ろから声を掛けた、黒光る体毛に紅い瞳と金色の文様を抱えて、声の調子から雌であることが分かる。
    「あ、ごめんなさい、ここに住んでいる方でしょうか? すみません勝手に入ってきてしまって、綺麗な森だったのでつい……」
     声を掛けられたことにイーブイはびっくりして、とっさに深々と頭を下げて謝った。
    「いいえ、別に私はここに住んでいるわけじゃないし、気になさらずとも構わないから」
     ニコリとブラッキーはイーブイに愛敬を振りまくかのように笑みを浮かべて、草むらに腰を下ろした。
     草むらといっても、丈の高い草が繁茂しているわけではなく、背の低いポケモンが座っても隠れるようなことはないので、イーブイもそれに倣って腰を下ろした。
    「見たところ、貴方は人間のポケモンね」
     その言葉にイーブイは驚く。
    「ほら、このけづや、そして毛並みが不自然に綺麗、きっといいものをたくさん食べているのね」
     ブラッキーはそう説明して、自分の体を見つめた。黒い体毛の上からでも目立つぐらい、毛並みは酷く乱れ、全身に傷が残り、土で汚れている、自らの体と比べているのだろうか。
     どこか棘のあるブラッキーの言葉にイーブイはむっとしたが、不快に思いながらも、とりあえず表面だけは社交的に装って返事をする。
    「それは、ありがとうございます」
    「ああそうだ、せっかくだから、一つ君におとぎばなしをしてあげるよ、人間とそれに飼われたイーブイの話をね」
     出会ったばかりの相手に対してでなくとも、せっかくだからしてあげる、とはなんて失礼な口調なのだろうと思い。不愉快な顔をして閉口したところ、話すべきじゃないととれるというのにブラッキーは構わず、そのおとぎばなしというものを話し始めてきた。

    「あるところに人間に飼われているイーブイが居ました。
     イーブイはその人間のことが大好きでした、毎日毎日、ムックルやスボミーを倒して、強くなって人間の力になることを願っていました。人間もまた、イーブイのことを可愛がり、強くなってくれることを願っていました。そんなイーブイはある夜のこと、進化してしまいました。イーブイは自分が進化したことを大変喜びました、これでさらに人間の役に立てる、と。
     しかし、人間はそのイーブイの進化した姿を見て、がっかりした顔をしました。どうやら、人間はイーブイをそれとは違う姿に進化させたがっていたのでした。それでも、可愛がっていたポケモンなのだから今までどおりに人間は接しようとは思っていたけど。かつてのイーブイは気がついていました、人間が自分への気持ちは冷めてしまっている、以前のように可愛がることはしなくなってしまったことを。
     それに気がついた瞬間、そのかつてのイーブイは酷く居心地の悪さを感じ始めました。そのうちに人間の優しさもかりそめの言葉にしか聞こえなくなり、人間との間に距離を置かざるを得なくなりました。
     そして結局、捨てられてしまいました。

     かつてのイーブイは捨てられてしまった後、ただ呆然と何も食わずにふらふらと彷徨っていました。
     なぜ自分は捨てられてしまったのだろう?
     なぜ自分は進化してしまったのだろう?
     かつてのイーブイは今の自分の姿を酷く憎みました。
     この体さえ無ければ、人間は自分を捨てなかった。
     この体で無くなれば、人間は振り向いてくれる。
     そう思った、かつてのイーブイは、諸悪の根源である自分の体を痛めつけ始めました。自分の足を噛み付き、自分の胴体を引っかいた。そうすれば、昔の自分に戻れる、そう信じて痛めつけてました。
     しかし、それでも足りないと、自ら岸壁の上に登り、そのまま崖底へと飛び降りて……。
     落ちた先の岩に頭をぶつけ、首の骨を折り、亡くなってしまいました。
     その後、その遺体は腐って無くなったけど、そのかつてのイーブイの心はその岩石へと染み込みました。
     それが“かわらずのいし”
     変わらずの意志が、石となったんだって――おしまい」

    「それで終わり?」
     イーブイは言った。首に掛かったかわらずのいしのアクセサリが光る。
    「結構なおとぎばなしだね、それって僕に対して何が言いたいのかな? 僕に対しての忠告かな?」
     ブラッキーはとぼけた様な笑顔を作って、ゆっくりと首を横に振った。
    「忠告? そんなことは無いよ、君が人に飼われているイーブイだって聞いたものだから、こんな話を思い出しただけさ」
     飼われている、というその言葉にイーブイはカチンと来た。
    「ねぇ、君がどれだけ人間のポケモンにコンプレックスを抱えているのか知らないけどさ、からかうのもいい加減にしてくれないか?」
    「からかうつもりなんて無いさ、ただ気をつけろってね」
     ああ言えばこう言うと、質問をひらりとかわす態度にイーブイは馬鹿にされているように感じた。
     それは紛れも無く、忠告じゃないか、と腹立たしく思いつつも、ブラッキーに言う。
    「言っとくけど僕は君に心配される筋合いなんてない。それにさ」
     イーブイはブラッキーのことを鋭く見つめ、はっきりとした声で尋ねる。
    「さっきのおとぎばなしって、君がそのかつてのイーブイなんだろ?」
    「…………」
    「おとぎばなしにしてはやけに具体的な話だし、何に進化したとは言って無いのに、わざわざ夜に進化しただなんておかしいよね、それに傷だらけのその体が証拠さ、最後の死んだうんぬんの部分は真っ赤な作り話だろ?」
     イーブイの視線に、ブラッキーはそっと目を背けて、溜息をつくようにして残念そうに言う。
    「ばれちゃった…… あれぇ 何で分かったの? ああ、どうやら君は推理小説とか好きなタイプ?」
     なんだよそれ、とイーブイは冷めた顔で睨んだ。
    「僕はそんなものなんて読んだことも無い。こんなの、話を聞けば誰だって分かることだ」
     イーブイはブラッキーの体の傷を一瞥する、見ているだけで痛々しく体中に残った傷はどれも引っかき傷や噛み付き傷だと思われるが、どれも自分で付けたかとしか思えない、傷の付き方をしている。しかし頭には、岩に打ち付けたような大きな傷というものは見当たらない。
    「で、その君が僕に対してそんなこと言うってことは、もしかして、いまトレーナーのイーブイである僕のことを嫉妬している?」
    「いや」
     ブラッキーはゆっくりと首を振って否定する。
    「別に君のことを嫉妬しているだなんて、そんなことはないさ。ただ、単純に君にはこういうことになってほしくない。私と同じことになって、トレーナーである彼女から離れて欲しくないだけ」
     その言葉を聞いて本当に可笑しくてしょうがないかのような声で、イーブイはけらけらと嘲笑った。
    「強がるなよ、本当はそう思っているのだろう? ほら、眼がそう言っているよ? 憎くてしょうがないって、幸せな幸せなイーブイなんて許せないって」
    「…………」
     ブラッキーの紅い瞳がぎらりと揺れる。
     それでも、何も言わない。
    「でもさ、それって見当違いだと思うよ。君が本当に憎むべきなのはそんなことじゃない、まぎれもない自分自身の心さ、でもその事実は受け入れられない。だから進化してしまった姿を悪者にして逃げている。違うかい?
     姿が変わって捨てられた。でも、君は姿が変わった自分を認めてもらう努力をしなかった、だから捨てられた。例え、トレーナーが思っていたのと違う進化形になったとしても、その姿を誇れば良かった、トレーナーは普段通りに接しようとしていたのだろう? ならばそれが感じられないのならば、こちらからその気持ちを呼び覚ますように精一杯好きになって振り向かせてやれば良かったのさ、今の姿の力をトレーナーに示して、強い自分を見せ付けてやれば良かっただけだ。
     でも、それすらも出来なかったってことは、所詮はそこまでの関係だったんだね。君はトレーナーを好きではなかったし、トレーナーも君のことなんてもともと可愛がってなんか無かった。それでもトレーナーは君のことを可愛がろうとしていたのに、君はその気持ちを裏切った、サイテイなヤツだね。だから進化して、捨てられた」
     捨てられた、の言葉にブラッキーは、ゆっくりと口を開く。
    「君の言う通り、だけどね。これでも一応は自分のことはそれなりに分かっている、君が言ってくれた言葉も既にね、今の自分は何も知らなかった私への報いだから。
     私の勝手だけどね、いつかこうして伝えたかったんだ。君にはよく知ってほしい。君も、私も、人間の下に暮らす、暮らしていた、同じポケモンなのだから」
    「はぁ? 同じ? 何を言っているの? 君と僕は違うさ」
     イーブイはアクセサリを光らせて鼻で笑う。
    「僕は君のように臆病なヤツじゃないから、自分の心の弱さで逃げてしまうことなんかしない。
     だいたい、君と僕とではトレーナーが違うだろ? 君のトレーナーのように大事な仲間を見捨ててしまうトレーナーなんかじゃない、僕のトレーナーは僕のことを決して捨てたりなんかしないさ、たくさんのイーブイの中でも僕は選ばれた特別な存在なのだから。
     ほらみろよ、僕のけづや、これは大きな素質があるって証拠なんだ。君のように、傷つけて台無しにするようなものじゃない。きっと君はそのへんにいるイーブイと変わらなかったから代わりはいくらでもいたのさ、でもね、僕には僕だけの価値がある、だから僕の代わりなどはそうは無い、だから進化しようが僕とはずっと一緒にいてくれる。
     君と僕は違う。同じものなんて言われなく無いよ。例え君は捨てられても僕は違う、違う進化しようとも僕のトレーナーは捨てないし、僕はそれでもトレーナーと一緒に戦っていくつもり、たとえうまく行かなくても弱さゆえに逃げ出すことなんかしないよ。君と違って自分自身のことを信じることができるからね。
     でも、君は進化して捨てられたけどさ、これで自分はたったそれだけの存在だったのだと知れたのだろう?
     あははは、良かったじゃないか拍手してやるよ、そんなこと前から分かりきっていたことだけど愛されていなかった自分のことにそこでようやく気が付いたんだから、でもそんなことを未練恨みがましく、つまらないおとぎばなしにして話すなんて蛇足だね、負け犬は負け犬らしく去るのが礼儀だと言うのに、みじめのうわ塗りをしに来て一体何になると言うのだい? いっそ、本当に崖から身を投げてしまったほうが良かったんじゃないのかな? そうすれば誰にも迷惑が掛からないだろう?
     まあでも、感謝しろよ、この負け犬、価値の無い自分のことをこうして誰かに知られてもらった分だけありがたいと思わなきゃね」
     そう言い切ったイーブイはすっきりした満足気な笑みを浮かべて、みじめにすべてから逃げ続ける、哀れな姿を見た。

    「分かっている」
     ブラッキーはそう静かに、そしてはっきりと呟き、
    「分かっているさぁ! 彼女は決して私のことを捨ててなんか無いってことくらいさぁ!」
     箍が外れ金切り声を張り上げる。自らの憎悪と怨恨を込めたかのように、自分の牙をがきがきと軋ませ、前足の爪で顔や全身をがしがしと掻き毟り、叫ぶ。
    「期待していたのと違うポケモンに進化した私にも、彼女は変わらない愛情を注いでくれていたよ! 彼女にはこんな全身真っ黒で目が真っ赤で吸血鬼みたいな姿は受け付けられなかっただろうけれど、それでも変わらない愛情を注いでくれていた! それでもさぁ! 私は堪えきれなかったんだよ!
     いずれ私もあのトレーナーの下にいるのだから、大きな戦いの舞台に出て行くことになるだろう。そういう舞台に上るからには、きっと強い相手に当たり、私はきっと負けてしまうことがあるだろう。 そんなときにね! もしもあのときブラッキーになんか進化していなかったら、仮に期待通りの進化をしていたならば、と絶対に後悔してしまう。そう思うのは私自身だけじゃない、彼女もきっとそう思ってしまうだろう! 私はそれに堪えきれない!
     そして今の私では、本来為るべきだった姿の代わりをすることは絶対に出来ない、この姿では出来ることが違う。彼女は為るべきだった姿の代わりを、代替をいずれは育てることになるだろう、それもまた私は堪えきれない! だから、私の方から逃げてきたんだよ、もう何もかも捨ててすべてから逃げ出して死んでしまいたかったよ!」
     牙軋りをして、爪を更に立てる。
    「もしもあの時あの場所で野宿をしていなかったらと泣き嘆いているよ! 月が綺麗だったあの夜は何かの鳴き声に目が覚めたら、いつのまにかデルビルの群れに囲まれていた。すやすやと寝息を立てる彼女を守るために、一匹でその群れに立ち向かった! それはすべては大好きだった自分のトレーナーを守るために、必死になって戦って、勝った! そんなことがなければ、私はずっと彼女のそばにいられた! 私はずっと彼女と一緒に戦えた!
     悔しいよ、ちくしょう、悔しいよ、たったそんなことでさぁ! 夜じゃなければ良かったのに、昇っているのが月じゃなくて太陽なら良かったのにさぁ! そうして私の代わりに誰かが、私の代わりになった誰かが……幸せに、幸せになるなんて、幸せになるなんてさぁ……!」
     そして、まるで空気でも抜けてしまったかのように突然、狂気染みた瞳がフッと消え失せて、色を失った。何かに惹きつけられるでもなく、ただ目の前の景色を写しとる澄んだガラス玉のように綺麗で虚ろだった。

     「許せないよ……」

     抑えきれない大粒の涙がボロボロと瞳から零れ落ち始め、足元の草を濡らしていく、叫び続けてかすれた声はそれでも未練を残しているのか、小さく同じことを何度も何度も紡ぎ始める。溢れたものを押さえ付けることができず、出てくる涙と声。
     しかしそれでもなお、イーブイへ視線を向け続けて、顔を背けるようなことはしなかった。
    「それで満足かい?」
     イーブイは言う。
    「ほらやっぱり、嫉妬しているじゃないか。それに」
    「よして」
     とブラッキーはやや枯れた声でイーブイの言葉を制止させた。
    「それ以上の言葉は、君の口から言わせるわけのはいかない。 私は分かっているよ、いや、分かっているつもりでいる。 ごめんね、最後に君に聞きたいことがあるんだ」
     ブラッキーはイーブイの目をしかと見つめる。泣いていたせいなのか紅い瞳はさらに紅く染まり、ギラギラとした刃物のような輝きを包み込んでいるが、何故かそこから感じられるものは怖さや恐ろしさではなかった。

    「君はトレーナーのことが好き?」
    「大好きだよ」

     イーブイは即答する。
    「それがどうしたんだい?」
    「そう……ありがとう。でも、きっとね、そのうち分かるよ。同じではないだろうけど、似ているのだから。ごめんね、本当にごめんね、悪かったわ、こんな気持ちにさせてしまって。私からはもう君の前には二度と姿を現さないって誓うわ、だから君は私の道を辿って、私の元に来るようなことには間違ってもならないようして欲しい。君のお父さんとお母さんによろしく言って下さい、そして立派なサンダースになってください」
    「え」
     ブラッキーは腰を上げる動作から滑らかな動きで、たった一歩でイーブイの目の前に踏み込んだ、そして前足をていねいに開き、イーブイをゆっくりと抱擁をした。
     ふわふわしたイーブイの綺麗な毛並みがブラッキーの肌を優しくくすぐる、イーブイはわけも分からないままにブラッキーの胸に顔を埋めることになる、その肌は漆黒の森に流れる風のように柔らかく感じた。
     そして、そっと抱擁を解いて、一歩だけ下がる。果敢無げな瞳に、わずかに浮かんでいた微かな笑みを、イーブイは気づいた。
    「私は、願っているよ」
     イーブイの脳裏にいくつかの言葉がパズルのように組み合わさっていく。

     ――ムックルやスボミーを倒して?
     ――私の代わりになった誰かが?
     ――トレーナーである彼女?
     ――お父さんお母さん?
     ――サンダースに?
     ――このけづや?
     ――似ている?

    「お」
     イーブイがそう言いかけたところで、ブラッキーのだましうちが発動し始める、それは攻撃をするわけではない、イーブイの意識からブラッキーの姿が消えていき、視覚で認識することができなくなっていく。
     そうして、まるで瞬間移動をしたかのように、スッと姿を消した。あとは何も残らない、ただ吹き付ける風とわずかに濡れた草がそこにあるだけだった。

    「おねえちゃん!」












     その日の夜のこと。
     このポケモンセンターの宿泊部屋の明かりは消されて、外と同様にここにも静かな夜が訪れていた。
     カーテン越しから漏れ出して来る月の光のみが暗闇をほのかに照らす。部屋には粗末な作りのベッドが置かれ、その中で一人の人間が小さな寝息をたてている。そのトレーナーの歳は十を過ぎたところで、どこかあどけなさが抜け切れない女の子だった、何日か旅をしているらしく、ベッドの横にはショルダバッグなどの荷物がまとめて置いてあった。普段は結んでいるであろう長く黒い髪もここではやわらかなベッドに解き放している、何日か野宿が続いていたのだろう、久しぶりの布団ですやすやと深い眠りに入っていた。
     イーブイは彼女のモンスターボールから出て、思い出していた。
     あのブラッキーはこれからもトレーナーだった彼女のことを思い出して、そのたびに苦しみ続けるのだろう。それは産まれてから狭い世界しか知らず、心が幼いままで成長してしまった哀れな末路だ。あんな抜け殻みたいに同じくことを言う無知の成れの果てには為りたくないものだ。
     自分のことは分かっている、だって? それがどうした? 分かったからなんだ? 分かっても何も変わっていないじゃないか。黙って話を聞けば、私が私が私がって、自分のことしか考えて無い。世の中がそれで通ると思っているのか? そんなふうに、いつまでも過去をいじいじと牽きずっているクセしてさ。それに嫉妬なんかしていないとか、言っていたな、ははは、よく言うよ。どう見ても、嫉妬していただろ? 嘘つくな、この偽善者、素直に認めろよ、自分は敗者なんだ、ってさ。
     そんなヤツの言葉なんて右から左。
     しかし、
     嫉妬ならば、自分自身がしていたかもしれない。
     トレーナーである彼女は隠しているつもりだろうけど、こうして、ムックルやスボミーを倒す日々で、自分は何かに比べられている感じがしていた。何かの代わりとして、やり直される感覚は、つらい。その元凶が妬ましい。そしてそれゆえに強い不安を抱えて、つい言い過ぎてしまったかもしれない。
    「……のど、渇いたな」
     しばらく考え事をずっとしていたからなのか、それとも遅くまで起きていたからなのか分からないが、気がつくとのどがカラカラになっていた。
     確か、バッグの中に水の入ったペットボトルがあったはずだ、それを飲むことにしよう、とトレーナーのショルダバッグにとことこと近づいて、頭をバッグにつっこみ、がさごそと鼻探り口探りに水の入ったペットボトルを探る。月の光はここまで照らしてくれないが、場所は覚えている。
     すると中に、暖かい何かよくわからないものがあることに気がついた、不審に思い、試しに噛んでみる。

     ガキリ

     何か硬いものが牙に当たる。
     これは一体、なんだろうか? と舐めてみようとしたとき。
     口の中が燃えるような感覚がした。

     熱い、熱い、熱い…… 体中が熱い。

     視界がぐらりと歪み、全身の骨が軋み出す。

     そういえば、あの森に一匹で行った理由、自由に過ごす時間があったからだった。

     今日は手持ちのポケモンに長い自由時間を作って、彼女は一人どこかに行った。

     普段バッグの底にあるはずのスコップとヘルメットが、今は上の方に置いてある? 地下に?

     虹色に光る何かの鱗を採りに、そのついでに化石と何かのかけらと、石?

     熱い! 熱い! 焼ける! 焼ける!

     体中の毛皮が焼けつくされるように皮膚がチクチクと痛み出す。

     それが自分の体毛が伸びていることに気がつくまで、しばらく時間が掛かった。

     嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い

     足を無理矢理引き伸ばされる感覚、骨が悲鳴を上げている。

     ちらりと、自分の胸元に付けられた“かわらずのいし”のアクセサリを見つめた。

     それは確かに、ついていると言うのに。変化は止まらない。

     な、なんでだよ! なんで、働かないのだよ! このアクセサリは、何のためにあるんだよぉぉぉぉ!

     繰り返さないために、彼女が僕につけてくれた、そんな石なんだろう? かわらずのいしだろぉぉぉぉ!

     しんかしんかすてられたぶらっきすてられすてられたもういらないんだーすがほしいのだかいらないしかたないしかたないやりなおすしかたわーたおすほしいでんきはやいほしいふかさせてねばろせいかくもいちどやりなおしこたいちさんだーすもいちどしんかかつかつそれまでやりなおす?やりなおす?やりなおす?やりなおす?

     次第に、焼ける、ような、熱い、感覚も、心地よく感じて―― 来て――




















       おめでとう! イーブイは

       ブースターに しんかした! ▼




    *************
     イーブイ可愛いですよね
     『物音に敏感』で『おくびょう』だった性格の『いたずら好き』で『気が強い』ツンデレなお姉ちゃんも可愛いですよね。
     個体値と性格と性別を粘ったあと努力値を振って育てていたイーブイが、電源つけたら違う進化をしていたら、それでも愛情を持って育てられるでしょうか。
     まあ逃がしたりはしませんが、ボックスの隅にでも置いてたまにネタパに使ったり、遺伝を狙って育て屋さんでタマゴを産み続けて貰うのも一つでしょう。

     “変わらずの石”は石の進化を防ぐことができません。
     “懐かし”とはなつくの語源になる古文用語で、慕わしくて心惹かれるとか、昔のことが思い出されて感慨深いという意味を持っています。


      [No.2743] トシハルより 投稿者:No.017   投稿日:2012/11/22(Thu) 22:32:55     67clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:クジラ博士のフィールドノート



     やあ、お客さんだね。
     ようこそ、フゲイ島へ。
     最近は尋ねてくれる人が増えてきて嬉しいな。定期便も増えたしね。
     やっぱり君の目的はホエルオー? 最近はね、多いんだ。
     あ、僕の名前は継海(つぐみ)。ツグミトシハル。
     この島でガイドをしながらホエルオーを研究してるんだ。

     そうだ。
     これからツアーで船を出すんだけどよかったら一緒に来ない?


      [No.2281] Re: 【告知】3/18(日) HARUコミックシティ打ち上げ会 投稿者:   《URL》   投稿日:2012/03/10(Sat) 21:13:36     86clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    記事を掲載して一週間+αが経過しました。
    イベントの開催当日まで一週間となりましたので、少々気が早いですが


    3/13(火) 21:00


    上記の時間までに参加表明をなされた方でメンバーを確定したいと思います。
    まだ参加表明をされていない方は、お早目の返信をお願いいたします。


    ※場所は検討中です


      [No.2280] Re: 【告知】3/18(日) HARUコミックシティ打ち上げ会 投稿者:久方小風夜   投稿日:2012/03/10(Sat) 21:12:44     99clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    ホテル取れました。
    何とか行きたいと思います。


      [No.2279] Re: 【告知】3/18(日) HARUコミックシティ打ち上げ会 投稿者:渡邉健太   投稿日:2012/03/10(Sat) 20:43:14     73clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    じゃ、フランス留学経験のある俺が勉強を見てあげるという名目で。

    たぶん、行けると思う。


      [No.2278] Re: 【告知】3/18(日) HARUコミックシティ打ち上げ会 投稿者:   投稿日:2012/03/09(Fri) 22:53:42     85clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    参加したいです。
    鳩さんとは少ししかお話できていないので


      [No.2277] ふらふら効果につき――。 投稿者:巳佑   投稿日:2012/03/08(Thu) 13:27:45     61clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    ふらふら効果につき――。 (画像サイズ: 383×550 81kB)




    > >  ぷち模様に渦巻き一つ乗せたそれはパッチールの耳カチューシャ。
    >
    >  言い値で買おう

     遅くなってすいません。
     音色さん、お買い上げありがとうございます!(ドキドキ)

     ただし、ふらふら効果プラスにつき、自動車や自転車などの乗り物を運転するのは危険ですので、着用の際には運転禁止でお願いしま(以下略)

     それでは失礼しました。


      [No.2276] Re: 【告知】3/18(日) HARUコミックシティ打ち上げ会 投稿者:レイニー   投稿日:2012/03/08(Thu) 01:07:36     69clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    まだちょっと予定が未定なところありますが、きっと行きます。 ノ
    こっそりリストに名前加えておいてください。


      [No.2275] Re: 【告知】3/18(日) HARUコミックシティ打ち上げ会 投稿者:西条流月   投稿日:2012/03/07(Wed) 21:53:11     82clap [■この記事に拍手する] [Tweet]




    おそらく当日春コミ参加してから行くと思います。
    そんなわけで人間男子一名も名簿にプラスでよろしくお願いいたします。


      [No.2274] シナモン 投稿者:音色   投稿日:2012/03/06(Tue) 23:06:16     100clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     寒い。
     吐き出した息は白く凍りついて天に昇っていった。手袋もマフラーも、本来の意味をなしてない。
     学校の暖房ですらどこか恨めしい。少しだって温まらない体に、友人どもはゾンビなんじゃないかとからかっている。
     いつもの事だ。その程度の悪ふざけができる仲なのだから。それでも、手を触って懐炉を押しつける奴もいるくらいなので、洒落にならない冷たさなのだろう。
     手を擦り合わせても少しだって温かくならない。悴んできた体そのものが、感覚そのものを奪っていく。
    (あったかいものが欲しい・・・)
     自販機でもいい。コンビニでもいい。何か、あったかいもの。するりと喉を通って、腹からぬくめてくれるもの。
     背中の鞄はずしりと重いが、背中に触れるのは鉛のような冷たさばかり。
     ただひたすら、極寒の道を歩いていく。


     ぽつんと、温かい色が見えた。


     道の端にポツンとたたずむ暖色色の煉瓦。開いているのかいないのか、いまいちわからない暗い店内。
     あるよね、ああいう店。気にはなるけど、寄るほどの勇気がない。
     ただどうしてかその日に限って、やたらと暖かそうに見えた。
     ふらりと近づいて、店の名前を見上げると、古びれている筆記体の英語は何が書いてあるのかさっぱりわからない。
     その横に申し訳程度に『紅茶専門店』と書いてあるのは分かった。
     入口のドアの横にはお勧めメニューらしきものが小さな黒板に書いてあったけれど、流れる様な達筆はかすれて消えかかっていた。
     鈴の音を響かせて、寒さから逃れる様に中に避難した。


     がらんどう、そんな印象が飛び込んで来た。外から見るよりも、仲はもっと暗かった。
     土塊のキャンパスに鼠色で影を付けたような戸棚に、腐葉土が更に腐ったようなカウンターはしんみりとした世界をひろげていた。紅茶の入った瓶が素人にはただ乱雑に並べてあるように見える。
     吊るされている明りは時々、思い出したように点滅した。何も無いが、たくさんある。そんな空間だった。
     カウンターの中には、誰もいない、わけではなかった。置き物だと思っていた塊りがむくりと動いた。のそりと、けだるそうに動いたそれはゆっくりにもかかわらず随分はやくこちらに来た。
     適当に目に着いた椅子に座る。丁度正面にやってきたのは、首に小さな木札を下げたクイタランだった。木札は丁寧な縁取りをされたコルクボードのようにも見える。

    『本日のお勧めはシナモンティーです』

     そんな文句が書いてあった。
     こん、とカウンターをアリクイが爪で叩いた。妙な我にかえって、ふと目を落とすと、目の前には小さなリボンでとめられた薄っぺらいメニューカードがあった。
     それを手に取り開くと18世紀の香りがした。古臭くて埃っぽくて、そして紅茶がぶわりと名を連ねる。
     知っているような、やはり知らないような名前の羅列にくらくらする。また寒さがぶり返してきたのか、それとも端からこの店には暖房なんか存在しないのか。
    「あの、それで、お願いします」
     結局、クイタランの木札を指差した。
     最初からそうしておけばよかったんだ、とばかりに何処か不機嫌そうな態度でうなづいたアリクイは、くるりと背を向けた。
     尻尾からふわふわと湯気が上がっている。
     慣れているのか、主人のかわりか、瓶と瓶の触れ合う音がほんのわずかだけ空気を滑る。
     後は魔法のようだった。
     変色したラベルの貼られた瓶がシナモンが入っているのだろう。そこから温めてあったのだろう年季の入った乳白色のポッドへ落ちていく様子はどこか別世界の絵の具に見えた。
     器用な動作でコンロの上に置かれた鉄瓶は静かに湯気とともに音を吐き出して沸騰を告げる。
     爪の先でするりとそれを引っ掛けると、温まっている白へ丁寧に注ぎこむ。じっくりとむらしていくその手順は、まるで千年も前から決まっているかのように厳粛で鮮やかだった。
     赤と青の模様が施されたカップは何処かで見たような気分にさせて、記憶の引き出しを漁る暇を与えずにこつんと数分間の魔法は終り、透き通った色の紅茶が目の前に差し出された。
     かちりと爪が引いていき、少し下がってのしりと壁に身を預けると、鋭い目つきをさらに細くして、何も言わないアリクイ。
     カップに触れるとりりと熱かった。反射で引っ込みそうになるのを抑えて、弦の様な取ってに手を回す。
     おそるおそる口をつけると、温かい固まりが溢れてきた。全てを飲み干すのを覚悟するにはわずかに躊躇う量だけれども、構わず持ち上げようとする手を堪えるに必死だった。
     結局半分ほどをまず口にして、ふぅぅと大きく息をついた。全力疾走した後の胸の苦しさを程よく薄め、ふわりと湯気のようにじわじわと温まっていく感覚を信じた。
     寒くない。
     一度に飲み干さなくてよかった、ゆっくりと残りに口を付けた。アリクイは何時の間にか最初に見た置物のように動かなくなっていた。



     全てを飲み干して、カップを置く。防寒着を付けなおす。今度はきちんと仕事してくれそうだ。
     鞄を背負って立ちあがる。ごとんと椅子がそこそこの音を立てると、アリクイが起きた。
     俺が入り口近くに行くと同時に、ちんと壊れたベルがなった。タイプライターみたいなレジに、金額が表示されている。
     あわててポケットから小銭入れを引きづり出し、なんとかひっくり返した小銭で足りることに安堵した。爪から挟まれたレシートを受け取って、外に出た。
     クイタランの湯気が一つ、お供の様についてきた。



     極寒なんて幻だった。内側からわいてくる熱に酔いしれる。
     今日限り、今日だけの、かもしれないけれども。
     今はそれがとても、しあわせに見えて、家に帰ろうと足を進めた。



    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
    余談  数学のテスト中に『紅茶を出すアリクイ』という怪電波を受信。そこから解けなくなった。
    別に分かんなかったわけじゃ、いやわかんなかったですが。
    シナモンティーはスパイスティーだそうです。ストレートじゃあんまり飲まないらしい。体を温める作用らしいです。後は頭痛を和らげたりとか。飲んだことないけど。

    【リハビリなのよ】
    【好きにしてくれてもいいのよ】


      [No.2273] 【嘘予告】ジャンルは終わった後から始まるRPG 投稿者:西条流月   投稿日:2012/03/04(Sun) 16:14:23     85clap [■この記事に拍手する] [Tweet]







     理想を実現しよう。
     一人の人間がそう言った。
     酷い現実に見て見ぬふりをすることこそが悪なのだと。虐げられる者を救うことの何が悪いと熱弁を奮う人間がいた。
     開放を。自由を。
     その理想に自分も惹かれた。傍らの相棒を虐げたことなんてなかったけれど、自分は虐げられる側だったから。傍らの相棒に救われたことがあったから、救われるのことの大切さを知っていたから。自分にできるなら、力になりたかった。
     その理想が押し付けであることも、それをすることで今度は別の誰かを虐げていると分かっていた。それでも、虐げている誰かは悪だと思っていた。
     理想の前では犠牲はつきもの。悪の犠牲で済むならば、安いものだとそう思っていた。
     そう思って久しかったが、一人のトレーナーが自分の前に現れた時、間違いだったのだなと気付いた。
     傷つきながら不敵に笑い、挑んでくるトレーナー。その期待に応えながら、戦うポケモン。その姿は虐げられる側でも虐げられた側でもなかった。
     冷水をぶっかけるようなその真実を目にしてしまえば、すべての人間からポケモンを奪えば、理想を達成できるという思いはあっさりと消えてしまった。
     だから、理想を求めた物語はここで終わる。


     次は正しく理想を実現するためにどうすればいいか考えよう。


     だから、これから始まるのは終わった後の物語。
     理想を抱いて、真実に敗れた後から始まる物語。


    ――ポケットモンスターブラックホワイト2――








    最近はRPGの前になにか入れるのがシャレおつだそうなのでってことで嘘予告第三弾

    【なにしてもいいのよ】


      [No.2272] ふらふら効果も付いてきます 投稿者:音色   投稿日:2012/03/03(Sat) 09:04:30     73clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    >  ぷち模様に渦巻き一つ乗せたそれはパッチールの耳カチューシャ。

     言い値で買おう


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