マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ
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  •   [No.3756] 焚火とナイフ 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2015/06/02(Tue) 00:38:33     151clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:フォルクローレ的何か】 【だいたい殻さんのせい

    ■焚火とナイフ

     時折ぱちぱちと爆ぜる焚火は青年が手に握るモモンを橙に照らしている。藍色の空にはとうに月が昇り、昼間は青く燃えていた山々は黒い輪郭が見えるのみであった。
    「うまいもんだねえ」
     橙に燃える焚火の向こう側、煙が向かう方向で山男が言った。
     煙男。焚火を囲うとなぜか煙に好かれ、煙を引き寄せてしまう者がいるもだが、彼はまさに煙男であった。
     青年は左手でモモンの実を回す。右手に持つナイフはその薄い皮を途切れることなくはぎとってゆく。
    「トレーナーになってさ、ナイフの扱いはだいぶうまくなったつもりだけど、未だに皮むきだけはだめなんだ」
     そのように漏らす山男は焚火の上でことことと音を立てるコッフェルの中身ををかき混ぜる。三徳の上に置かれ、下から炎にあぶられたコッフェルが湯気を吐き出す。あたりにはマトマ特有の食欲をかき立てる匂いが漂っていた。
     野山を旅をしていると前に通った者の痕跡を見つける事がある。特に竈の跡はその主たる例で、通ったトレーナーがまた同じ場所で焚火をしていくうちにそこは決まったポイントになる。だから時としてそんなポイントでトレーナー同士が鉢合わせになることもよくある事だった。
     そんな時、決まって彼らは食べ物を出し合い、会話に花を咲かせ、一時の邂逅を楽しむのである。
    「コンソメをありがとう。切らしてて参ってたんだ」
     山男がそう言うと、いえ、ご馳走になりますから、と青年が答えた。
     モモンの皮をむき終わった青年はそれを半分に割ると中の大きい種を取り出した。実を一切れ切り出して、肩で羽毛を膨らませる小さな鳥ポケモンに差し出した。ぱっと素早い動きで鳥ポケモンがそれをついばんだかと思うと、もう切れ端は青年の指先から姿を消していた。緑色の玉ようなそのポケモンはその一切れで満足したらしく目を細めてまどろみ始める。
     青年は残りのモモンもう何分割かして、自身のコッフェルに集めると、湯気を吐き出すコッフェルにそっと入れた。山男がそれをおたまで押し潰し、更にかき混ぜる。マトマはとても辛い。だからこうして他の木の実を入れ、味を整えるのがスープ作りのコツなのである。
     青年は刃についた汁を拭き取ると鞘に入れ、リュックのポケットに収納した。
    「そういえば君のナイフは何由来なの?」
     相変わらずコッフェルをかき混ぜながら山男が尋ねてきて、
    「エアームドだと聞いています」
     と、青年は答えた。
     それは九歳の時に父親から買い与えられたナイフだった。まだ早いだろうと母は言ったが、十歳になれば旅立つ子もいるんだから、今から人並みに使えるようにしておかなければ恥ずかしい、と父は譲らなかった。将来学者になるにしろ、トレーナーになるにしろ、ナイフの扱いは必要な技術だから、と。
     トレーナーズショップでナイフを購入したその日、父子は近くの河原での野宿を敢行した。そうして彼らは木の実の皮をむいた。父の持つナイフの刃先からするすると長細い皮が下に伸びるのが少年には不思議だった。ほとんど形の同じナイフを使っているというのに彼の手からはたっぷりと果実を残した皮の破片が落ちるばかりであったからだ。
     換羽した鎧鳥が落した羽。それを熱し、打って作ったナイフ。父と自分でこんなに差が出るのは落とし主のエアームドのレベルが違うからではないか。かつての少年は幼心にそんな事を考えたものだ。
    「俺のナイフはね、元はハガネールの一部だった」
     今度は山男がナイフを見せてくれた。ベルトに装着したナイフを引き抜くと彼は語った。ぱちっと焚火が爆ぜる。男の両手の上のナイフを橙に照らしている。
     サバイバルナイフ。それは父がトレーナーとして旅立つ子に贈るプレゼントの定番だ。野外での料理、竈や寝床を作るための木材の加工、時には野生ポケモンから身を守る道具として。ナイフは旅するトレーナーに欠かせないアイテムの一つである。
     特に鋼ポケモンを構成する鉄から作ったナイフは値こそ張るものの、錆びにくく、手入れも簡単だと言われ根強い人気がある。
     そして何より、人々はポケモンの生命力をナイフに投影しているのである。換羽したエアームドの羽、親の相棒だった今は亡きボスゴドラの角、あるいはクチートの牙。人々はもとは生きていた何かにある種の神性を見出すのだ。
     七匹目の手持ち。
     世界の名だたる山を歩き回った偉大なレンジャーが愛用のナイフをそう称したのは有名だ。
     青年のそれより一回り大きい山男のナイフは何かのポケモンの皮で作ったと思しき鞘がついている。持ち手と刃の間にある丸いピポットピンは光沢のある青い素材で出来ていて、洒落ているなと青年は思った。鞘に納めた時にその部分が見えるよう、わざわざ穴が開いているのだ。
    「俺の出身はシンオウでね、鋼鉄島というところには野生のハガネールが生息する洞窟があるんだ。ハガネールが通るとまれに突起の一部が欠ける事があってね、それをハガネールのおとしもの、という。それを拾った曾祖父がナイフに加工したんだ」
     以来、メンテナンスと改造とを繰り返しながら子から子へとナイフは受け継がれてきたのだと山男は語った。
     焚火が躍る。山男は手の中でくるりとナイフを回転させた。軍手をしたごつく大きな手がナイフの持ち手を握る。山男は何とも愛おしそうにナイフを見つめる。
    「曾祖父の顔なんて見たこともないし、祖父も俺が旅立って二、三年で死んじまった。だがこいつは未だに現役ってわけよ」
     やがて山男は焚火からコッフェルを下ろし、地面に置いた。中の半分を小さなコッフェルに移し替えると、立ち上がり、熱いから気をつけてな、と青年の足元に置いた。
     いただきます、と青年は応え、コッフェルの熱さを指先でつつきながら確認し、持ち上げる。肩で丸まる緑の小鳥を落とさないよう気を付けながら、彼は赤いスープを啜った。辛いマトマのスープがみるみる身体を温めていく。コッフェルから口を離して、ふうっと息を吹くと白かった。暦の上ではもう春だとはいえ、まだまだ夜は冷える。緑玉は結局肩からずり落ちてきた。受け止めて、膝の上に下ろしてやる。
     焚火の煙は相変わらず山男が好きらしく、ずっと彼にまとわりつき、離そうとしなかった。当の本人の顔は少しすすけていたが、もう慣れっこなのだろう。気にするでもなく手元のナイフを眺めている。
    「……これは俺が駆け出し頃の話なんだが」
     山男はぼそりと語り始めた。
    「シンオウも飽きたんでジョウトを旅してた時期があった。そこで運悪く穴持たずのリングマに出くわしてしまった」
     穴持たず。それは冬でも冬眠せずに動き回るリングマの事である。身体が大きすぎて、良い冬眠場所がないとか、秋に十分食べられなかったとか考えられる理由はいくつかあるのだが、よく言われるのは冬に食糧を得なければいけない彼らはえてして凶暴で、力も強い事であった。
    「手持ちのポケモンはみんなやられた。これ以上戦ったら死んでしまうくらいの重傷を負って、もはや出す事が叶わなかった。その時に助けてくれたのがこいつだよ」
     山男は膝の上にナイフを立てるようにして見せ、言った。
     一本のナイフ。野外での料理、木材の加工、時には野生ポケモンから身を守る手段として――。青年は脳裏にリングマに立ち向かう体格のいい男の姿を浮かべた。九死に一生、火事場の馬鹿力。男はナイフワークをもってしてリングマを退けたのだと。ポケモンより強いトレーナーはごくたまにだが存在する。
     だが、山男が語ったその先は青年の予想とはだいぶ違っていた。
    「刺し違える覚悟で俺はこいつを手にとった。だが、俺がリングマに突撃する前に、勝手にこいつが手から抜けて、穴持たずの目を刺しやがったんだ」
     青年は一瞬、その意味を理解する事が出来なかった。男が投げるでもなく、ナイフがひとりでに手から抜けてリングマを刺したというのか。
     だが、男の持つナイフの丸く青いピポットピンがぱちぱちと瞬きをした時、瞬時にその意味をを理解したのであった。
     青いそれはピポットピンではなかった。それはポケモンの眼であった。
    「……ヒトツキですか」
     青年は声を上げた。
    「お、珍しいな。めったに起きないのに」
     山男もまた声を上げた。
     ヒトツキ、刀剣ポケモン。海の向こうのカロスではよく知られるゴーストポケモンだ。その姿は西洋の騎士が持つ剣の形が一般的だが、ごく稀に槍の形をしたものや、レイピア、日本刀などの形をしたものもいるという。
     二人のやや興奮した挙動を察知したのか、寝息を立てていたネイティが目を覚ました。ナイフのヒトツキが鞘からやや刀身を出したのを見て、赤いアンテナのような冠羽をピンと立てた。
     付喪神。青年はそんな単語を呟いた。
     百年を経た道具には魂が宿るという。ヤジロン、コイル、ビリリダマ、チリーンといった付喪神的なポケモンはたくさんいるが、青年の知る限り彼らの多くはタマゴから生まれている。生粋の付喪神としてのポケモンに出会う事はめったにない。それどころかそういう存在を認めない学者も多いのだ。彼らがポケモンである事はボールを使えば証明できる。だが、モノからポケモンへ変化したと証明するのは難しいからだ。
    「穴持たずに出くわしたその年が百年目だったんですかね」
     青年はやや刀身を見せた山男のナイフを見据え、言った。
    「さあ、九十年くらいだったんじゃないか。案外いい加減なものだと思うよ。それこそのっぴきならぬ状況だったから、仕方なく、じゃないのかな。こいつ普段は眠ってるんだ。ほとんどの時間はナイフに徹してるんだよ」
     今夜はどうしたんだろうな。
     不思議そうに山男が言った。青年はただ笑みを浮かべるだけであった。ピンと冠羽を立てるネイティをなだめるように撫で続けるうちに緑玉はまたうとうととし始め、合わせるようにしてヒトツキもその刀身を再び鞘に納めたのだった。それでもしばらくは青い眼が見つめていたが、途端に瞳がすうっと消え、元のピポットピンに戻ってしまった。
     ナイフは七匹目の手持ち。青年はその言葉を今、実感を持って受け止めていた。
     藍色の空の下、橙に燃える焚火が二人のトレーナーを照らしている。そこから生まれる煙は相変わらず山男にまとわりついている。炎はぱちぱちと音を立て、念鳥を撫でる青年の影を揺らしていた。







    -----------------------------
    殻さんが冒険図鑑とか冒険手帳とか紹介するから、こんな話が出来てしまった。
    お納めください。

    参考文献:
    冒険図鑑、冒険手帳、森で過ごして学んだ101のこと、慟哭の谷―The devil’s valley


      [No.3310] PC-98 カプセル・モンスター 投稿者:   《URL》   投稿日:2014/07/01(Tue) 01:45:11     95clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    それは一人芝居だ。
    それは即興でできている。
    それは2014.06.30深夜にかけて行われた。
    それは下から読むべきだ。

    入室:1 (殻) 閲覧:1
    殻:(GAME OVER)(01:15)
    殻:(あなたはそこで息絶えた)(01:15)
    殻:あっ(01:12)
    殻:そうじゃなくて、暗くせまく、ずうっと奥までつづいている、これではまるで……(01:12)
    殻:奥へ奥へと進むうちに、ますます暗くなって、いやもちろんどうくつというのは元来そういうものともいえるけれど(01:11)
    殻:はて、それなら、わたしは、いったいなにをしにこのどうくつへやってきたんだっけか(01:11)
    殻:テレスコーピオどうくつ、望遠鏡という意味だ 遠くをみつめるアイテムの名前 はるか遠く、それは未来でなく、はるか昔に輝いた星の光(01:11)
    殻:そう、だからわたしはそもそも、このどうくつにモンスターを捕まえにはいったわけじゃない(01:09)
    殻:仲良くしたくないというわけじゃない ムチで撃ち、使役するという関係が、果たして彼らの不毛な連続性への欲求を加速させやしないか、という点でも不安は大きい(01:09)
    殻:かれらの人格を否定するではなく、ただ生命としての前提が大きく異なっているのではないかと思えて、どうしたらいいかわからない(01:07)
    殻:だからわたしは、モンスターを心から信頼することなんてとてもできやしないんだ(01:07)
    殻:モンスターがなべて連続性から発生するものではないとするなら、どうしてモンスターが連続性をよろこぶものだろうか(01:05)
    殻:人間族のなかでモンスターの産卵を観察したものがいない これが人間族とほかの種族すなわちモンスターをおおきくへだてている(01:04)
    殻:そこをいくと、ふしぎなことに多くのモンスターたちはタマゴから生まれるのだけれど(01:03)
    殻:それを死と呼んでも差し支えないわけだ(01:03)
    殻:オルガスムスを小さな死と呼ぶことがある つまり、他者と融合しようとする行為と言うのは、生まれる以前に戻ろうとする行為に等しくて(01:03)
    殻:なぜなら、人間っていうのは産まれるまでは母親の胎内で胎盤を通じて母体と連続性を保っていたんだからね(01:02)
    殻:とかく非連続的な存在は連続性を希求するんだ(01:01)
    殻:これが植物や真菌類であればまたべつかもしれないけれど(01:01)
    殻:人間であれ、何族であれ、本質的にはひとりぼちであることに変わりはないの 非連続的な生物なの(01:00)
    殻:……ぐすん(00:41)
    殻:たとえこのダンジョンが、そういうパーティで攻略することを前提にしたゲームバランスでつくられてたとしても(00:40)
    殻:人間とモンスターが対等にパーティを組んだって、いいことなんてきっとないよ(00:40)
    殻:……これでいいんだもん(00:37)
    殻:バイバーイ ヒャハー(00:37)
    殻:(カサナギーLv2はさみしそうに立ち去った)(00:36)
    殻:カサナギー「さようなら。ぼくの兄弟を殺した人」(00:36)
    殻:わはははははは(00:34)
    殻:カサナギー「げー」(00:34)
    殻:仲間になりたいなら、奴隷になれ(00:34)
    殻:わたしがここでいいたいことは要するに、次のようなことに集約される(00:34)
    殻:この問題を解決するために、人間族と昆虫族の非対象関係を、わたしときみの関係にもそのまま適用することを提案する(00:33)
    殻:人間族と昆虫族の非対称な関係を考慮するなら、わたしはこれを絶対にゆるさない(00:32)
    殻:同時にきみがわたしに反逆するという可能性をえるということでもあるわけだ(00:31)
    殻:わたしがきみを仲間に、つまりゲームシステム上でパーティを組むと言うことは、わたしときみは協力し合うと言うことでもあるし(00:31)
    殻:またそれと同じくして、ときとして他者を不本意にも傷つけたり、殺しあったりするということもなくてはならない(00:30)
    殻:でも、きみらが人間族とおなしように、他者と心を通わせることで、不安をかろうじておさえこんだり、ささやかな充足をえるのならば(00:29)
    殻:きみたちの精神年齢を人間のそれに換算する方法をわたしは知らないし、けだしそんな単純な法則なんていうものもありはしないだろう(00:27)
    殻:つまりだ きみらモンスターの中には、群れをつくったり、つくらなかったりするやつがいるだろう(00:26)
    殻:(あなたはモンスターの心理に関する見地を得た。スキル「調教」のレベルがあがった)(00:25)
    殻:カサナギー「それは仲間になりたそうにあなたをみている」(00:21)
    殻:きっとつらいことがあったんだろう わたしがきっと力になれたらと思うよ ああそれなのにどうしたらきみを助けることができるのかわたしには検討もつかない(00:20)
    殻:カサナギー「それはもう進化したくない」(00:19)
    殻:なるほど、収集家に高く売れそうだねえ(00:18)
    殻:カサナギー「それは美少年に進化する」(00:18)
    殻:ははーん、収集家に高く売れるのかい(00:17)
    殻:カサナギー「それは美しい蝶々に進化する」(00:17)
    殻:ばいばい(00:16)
    殻:カサナギー「それは強力なしもべに進化する」(00:16)
    殻:やったー マサキのとこにおくろう 虫いらない(00:12)
    殻:(あなたはモンスターカプセルの効果を誤解している。それはモンスターを生け捕りにする。それは効果を発揮した。カサナギーLV2をつかまえた)(00:11)
    殻:あれれ、虫が一匹まだ生き残ってるぞ ああもうめんどくさい アイテムを使おう これでいちころなんだろう ポイポイ(00:10)
    殻:はあ疲れた もう剣振るのいやだよう なんでキャラメイクんとき職業戦士になんかしちゃったんだろう 迷宮1Fではやくも挫折しそうだよう(00:10)
    殻:(あなたの状態異常は略)ふっかーつ ビシバシビ(口で言う) スターソードの威力をみたまえふはははは(00:08)
    殻:あいたたた 低レベルの昆虫族だからあんまし痛くないけど、毒になると大変だから、はやく薬草を食べとこう むしゃむしゃ(00:06)
    殻:(コカーナLv1 コカーナLv1 カサナギーLv2 あなたは先制攻撃を受ける)(00:05)
    殻:(敵襲だ!)(00:03)
    殻:(あなたは状態異常「ぐるぐる」になった。 ひろったアイテムはきちんと鑑定しよう)(00:02)
    殻:キャラメルかあ…そうか……わたしの大好物……けれどこれ……たぶんくさってる……おなかいたい……(00:02)
    殻:飴らしいから、舐めてみればなんの飴か分かるかしら ぺろぺろ うん、甘い これは……(00:01)
    殻:ありゃりゃ、そうか成功かあ 大成功だと、きちんとぜんぶ読めるのに もっと漢字を勉強して置けばよかったか知らん(00:00)
    殻:なんとか……かんとか……飴、か あってるかな(00:00)
    殻:(あなたはスキル「解読レベル1」を発動した 解読に成功した)(23:59)
    殻:側面に文字が書いてあるなあ どれどれ……(23:58)
    殻:やや、どうやら宝箱のようだぞ やっほーい まあ、設定上は宝箱と呼ぶことになっているけれど、これはなんだか紙のパッケージだなあ(23:58)
    殻:(無謀は死を呼ぶ鐘だ。しかしあなたはそれに近寄ってみてもいいし、さっさと逃げ出してしまってもいい)(23:29)
    殻:(この文章は属性「適当」だ。この文章はでまかせでできている。この文章は鑑定を行う必要がない。この文章は効果をもたない。この文章は0GOLDの価値がある)(23:20)
    殻:おっと、あれはなんだろう……(23:17)
    殻:さあて、もっとこの階層を探索してみようかしら(23:17)
    殻:(あなたは職業「戦士」だ。あなたは種族「人間」だ。あなたはレベル1だ)(23:16)
    殻:それにわたしにはなんたって、このスターソードがあるんだから、低階層のモンスターなんてばっさばっさとやっつけちゃうんだ(それは持ち主に攻撃力を2与える)(23:16)
    殻:まあいいさ たまたまそういうこともあるかもしれないんだ(23:14)
    殻:道具屋のオヤジにかつがれたかなあ これでどんなモンスターだっていちころだっていっていたのに(23:13)
    殻:あれれ、おかしいなあ(23:13)
    殻:(それは効果を発揮しなかった。ピクシイは洞窟の奥へ逃げていった)(23:13)
    殻:()(23:12)
    殻:(あなたはアイテム「モンスターカプセル」を投げた。それはモンスターを生け捕りにする)(23:12)
    殻:いけーモンスターカプセルーっ ばしゅーんっ (口で言う)(23:11)
    殻:さてここで事前に街で買いだめしておいたアイテムをとりだしまして、これだっ(23:11)
    殻:なあに、無謀な挑戦をしようってんじゃない 妖精族がそれなりの戦闘力をもっていることくらい知ってるもん(23:10)
    殻:もちろんわたしは、戦うことをえらぶぜっ(23:09)
    殻:(もし恐ろしくないのならあなたはモンスターに戦いをしかけてみてもいいし、無用な殺生を避けてこっそりと先へ行くこともできる)(23:08)
    殻:ううん、こんな低い階層に妖精族がいるなんてめずらしい こんなチャンスはめったにないんだ(23:07)
    殻:ふうむ、あれはどうやら、ピクシイというモンスターだな。種族は妖精だ(23:06)
    殻:モンスター「……♪」 (モンスターはあなたに気づいていないようだ)(23:06)
    殻:あれれ、あんなところにモンスターがいる(23:05)
    殻:うんどうやら、入り口から明かりが差し込んでいるから薄暗くてもすこしは見えようだぞ(23:05)
    殻:(そして、冒険者であるあなたは、テレスコーピオどうくつにやってきたのだ)(23:04)
    殻:200種類以上登場する敵キャラクターを仲間にして、ダンジョンを攻略せよ! PC-98対応ゲームソフト「カプセル・モンスター」1995年12月5日発売予定!(22:56)
    殻:マネキンと結婚したい(22:52)
    殻:ほおおおおお(22:51)
    殻:へえー(22:51)
    殻:ふうー(22:50)
    殻:ひいー(22:50)
    殻:はあー(22:50)
    お知らせ:殻(Win/Opera)さんが入室しました。(22:50)


      [No.3309] 人を小バカにしたあんちくしょう 投稿者:焼き肉   《URL》   投稿日:2014/06/29(Sun) 22:11:41     81clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:オタマロ】 【洗脳】 【ほのぼの
    人を小バカにしたあんちくしょう (画像サイズ: 400×500 16kB)

    注・このオタマロの顔を一分間見つめてからssをお読みください。


     ボールをおむすびころりんみたいに落っことして転がしたら、何かのポケモンにぶつかった。何だろうと思ってボールから出してみると、そいつは出てくるなり僕をあざ笑っていた。いやあざ笑っているんじゃない、元々そういう顔なのだ、オタマロというポケモンは。

     はっきり言って僕はオタマロが苦手だった。当然いじめたりすることはしないけど、草むらで見かけるとなんだか微妙な気分になってそーっと通り過ぎてしまう。僕を頭ごなしに責める人はまずオタマロと一分でいいから見つめ合ってみて欲しい。あの人を小バカにしたような顔、見てるとなんとも言えない気分にならないか? 見つめ合った人全員が同じ意見を持つとは言わない。

     でも十人に一人か二人くらいは、僕と同じ気分になる人は絶対にいると思う。かわいい、と思える人は本当にポケモンが大好きな人だからそれはそれとして誇っていい。

    「なんでお前、よりによって僕の落としたボールの中に入っちゃうんだよー」
    「しゅううう?」

     仕方がないので意外にもピカチュウよりでっかいその体を持ち上げてしかってみせた。でもオタマロはマイペースに鳴くだけだ。横で成り行きを見ていたボカブにも見せてやると、ヘンな顔をした。さすが僕のボカブ、僕の気持ちをわかってくれるか。



     少し考えて、逃がすことにした。いじめたいわけじゃないけど好きなわけでもないし、そんな僕が連れ歩いてもオタマロにとっていいこととは思えないからだ。草むらの中に、それでもびっくりさせないようにそっと置いて、バイバイと手を振った。

    「じゃあね、もう会うことはないだろうけど元気で」
    「しゅうううう!!」

     バイバイと手を振って背を向けると、何かが後ろからついてくる気配がした。気のせい気のせいっ。明るくスキップをして旅に戻る。いつも通りの、僕とボカブの足音。それに確実に追走する、何かのついてくる音。僕はため息をついた。

    「何でついてくるんだよー」
    「しゅー?」

     僕ががっくり肩を落とすと、後ろからついてきていたオタマロは、きょとんとヘンな顔を傾げていた。そんな小バカにした顔でかわいい仕草をしたってかわいくないぞ。やっぱりその顔が苦手だったので知らん顔をして歩いていると、後ろから「しゅうううううううっ!?」という叫び声が聞こえてきた。思わず振り向くと、野生のポケモンだかトレーナーだかがバトルをした後なのか、結構深い穴にさっきのオタマロが落ちていた。びっくりしているのか、オタマロは「しゅうううう!?」という独特の鳴き声を上げながらパニックを起こしている。

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・よかった。これでもうついてこないな。

    「ボカー・・・・・・」
    「何だよボカブ! お前だってオタマロの顔を見てヘンな顔してたじゃないか!」

     僕は思わずボカブに怒鳴ったが、ボカブは「でも・・・・・・」という顔をして僕の顔を見上げていた。すごく後味の悪い顔している。嫌いな味の木の実を食べた時だってこんな顔はしない。

     僕のボカブは素直なやつだから、ヘンなのと思ったらヘンなのって顔をするし、嫌いな食べ物を食べればうげーって顔をする。

     でも、ヘンだからっていじめたりはしないし、嫌いな食べ物だからって、露骨に蹴飛ばしてよけたりはしない。

     対する僕はボカブみたいにいい奴じゃない。
     でも、別に苦手だからっていじめたいとは思わない。

    「ああもう!!!」

     やつあたりをするみたいに僕は背負っていたリュックを地面に叩きつけて、穴の中に飛び込んだ。横幅は広いものの幸い底は深くはなく、余裕で這い上がることが出来そうだった。

     ・・・・・・あくまで僕なら、ってことで、〇・五メートルしかないオタマロが果たして自力で這い上がることが出来るかは疑問だけど。僕がオタマロの体を持ち上げると、オタマロは体をじたばたさせた。

    「しゅうううううっ!!」
    「何だよ勝手についてきた癖に、持ち上げたくらいで暴れるなよーー」

     怒鳴ろうとして、オタマロのしっぽに血が滲んでいるのに気づいた。
     ケガをしている。落ちた時に擦りむいたらしい。

    「・・・・・・リュックの中にきずぐすりがある。手当てしてやるから、じっとしてろ」
    「しゅううう?」

     さっきバイバイを言ったときは全然話が通じてなかったけど、じっと顔を見て言った僕の気持ちをなんとなく察してくれたのか、暴れるのをやめて大人しくなった。でもやっぱり顔は僕のことを小バカにしている。

     先にオタマロを外に出してやってから、僕は自力で踏ん張って穴から這い上がった。さっきたたきつける攻撃を喰らわせてやったリュックからきずぐすりを取り出して、地面に座り込んで膝の上にオタマロを抱え上げてやる。ずっと穴の外で待っていたボカブが心配そうに寄ってきた。僕はボカブの頭を撫でてやって、心配ないよ、と言った。

    「ちょっとすりむいただけみたいだからな。すぐ元気になるさ」

     きずぐすりのスプレーをオタマロのしっぽにかけてやると、キズに染みるらしく、オタマロが鳴いた。これは治療行為だからそこはガマンしてもらうしかない。

    「こっからポケモンセンターは少し遠いし、ガマンしろ」
    「しゅううううううっ!!」

     よく見るとしっぽ以外にも至る所にすり傷を作ってたから、全体的に吹き付けてやる。ケガは大したことなさそうだけど、きずぐすりが染みたのか、オタマロはちょっとグッタリしていた。しかたがないからしばらくそのまま膝に乗せておいてやることにした。一息ついたのを見計らって腹の虫が鳴る。昼食にすることにして、リュックから買っておいたサンドイッチを取り出した。

    「しゅううううっ!!」

     食い物の匂いを敏感に察知したのか、オタマロが食べたそうに鳴いたが無視した。きずぐすりまで使ったのにサンドイッチまであげてたまるか。

    「お前にはやらん」

     きっぱりと言い捨てて、リュックからもう一つ包みを取り出す。安物だけど量だけは多いポケモンフードだ。

    「お前はこっちな」

     サンドイッチの包みをいったん脇に置き、手に何個かポケモンフードをあけて、オタマロの口の方に持って行った。ボカブも食べたがったので、こっちは皿に開けて置いてやる。

    「安物だからってわがまま言ったら今度こそキレるぞ」
    「しゅー♪」

     だけどオタマロは文句を言うこともなく、僕の手のひらからポケモンフードを食っている。これだけ食欲があるなら大丈夫そうだ。安心して(少しだけだけど)僕もサンドイッチを食べ始める。

     手当てを受けてついでに飯も食って、オタマロはすっかり元気になったようだった。ボカブはすっかりオタマロと仲良くなって、きれいになったしっぽにじゃれついたりしている。くそうボカブめ。お前だけは僕の気持ちをわかってくれると信じていたのに。いやちょっと違う。ボカブはオタマロの顔を見て笑っている。へんなかおーとでも言いたげだ。だけどオタマロは平然としている。いいのかお前それで。

     ・・・・・・なんにしても、ここまでしてしまったからには連れて行くしかなさそうだ。もう仕方がないとしても、ため息は出る。

    「んじゃ、そろそろ行くか・・・・・・その前に」

     僕はさっきオタマロを助けた、結構深めの穴に目を向けた。

    「ったくもー!!! 地形変えるほどのバトルしたら野生ポケモンだろうとトレーナーだろうとちゃんと戻しとけってんだよ!!!! ジムリーダーだって自分とこのバトルフィールドくらい、バトル終わったら整えてるっつーの!!!!」

     穴を埋め終わる頃には、僕はどろかけでも食らったみたいに土まみれになっていた。しかたない。これ以上ポケモンでもトレーナーでも何でも誰かが落ちてケガでもしたら後味悪いし。ちなみにボカブとオタマロも自慢の後ろ脚としっぽを使って手伝ってくれた。

     うんせ、ほいせ、としっぽで土をはたいて穴に落としていたオタマロは何だか一生懸命だった。相変わらず人を小バカにした顔をしていたけど。


     ( ・´ひ`・ )∋


     オタマロが仲間になって(しまって)しばらく経った。僕は今、ポケモンバトルを挑まれて相手をしている。それはいいんだけど、僕のボカブに対して、相手はメグロコ。ボカブも健闘してるけど、相性の悪さもあって、苦戦を強いられている。ボカブの足がもつれる。これ以上はマズい。

    「ボカブよくやった! 戻れ!」

     ボカブを引っ込め、腰につけたもう一つのボールを取り出した。僕はボールを振りかぶり、投げた。飛び出した光がポケモンの形になって、大地に降り立つ。

    「しゅうううううっ!!」

     ボールから出したオタマロは張り切っていた。本格的な実践は初めてだからな。少しレベルに不安があったのと、やっぱりなかなかあの顔の苦手意識が抜けないのとで、僕はあまりオタマロを積極的に使おうとはしていなかった。が、今はお前だけが頼りだ。頼むぞ。

     不利なタイプを出してきたからか、相手のメグロコはすなじこくを使ってきた。じわじわ削る作戦で来たか。オタマロはすなあらしが痛いのか、「しゅうううっ」と声をあげて、攻撃に耐えている。

    「オタマロ、アクアリング!」
    「しゅうううっ!!」

     その手があった、とばかりにオタマロはしっぽをピンと立てて技を繰り出した。二つの青いリングがオタマロを包んで、傷を癒していく。メグロコはグワッと大きな口を開けて、オタマロに襲いかかった。

     ーーかみつく攻撃でひるみ効果をねらって、反撃させないつもりだ!

    「させるか! オタマロ、バブルこうせん!」
    「しゅううううううっ!!」

     僕の指示を受けて、オタマロは口から勢いよく泡を吐き出した。
     命中!
     相性の悪い攻撃を受けて、メグロコの動きが鈍くなる。
     チャンス!

    「もう一度、バブルこうせん!」
    「しゅううううう!!!」

     とどめの攻撃を食らって、メグロコが力つき、ひっくり返る。

    「やったあ!」
    「しゅー♪」

     飛び上がった僕に向かって、オタマロがうれしそうに飛びついてくる。思わず受け止めて、顔を真正面から見つめてしまった。オタマロの顔はやっぱり人を小バカにした顔をしていた。だけど勝利の喜びのせいか、あんまり気にならない。

    「お前そんな顔してて、結構強いじゃないか!」
    「しゅー♪」

     誉められた(前半の僕の言葉には我ながらちょっと疑問が残るけど)のが嬉しいのか、オタマロはしっぽをパタパタさせて笑った。

     あ、コイツ笑うと結構かわいい。

     一度かわいいと思うと、普段の小バカにした顔もかわいげがあるように思えた。

     苦手意識が抜けないなりに、一緒にいるのだからとボカブと同じようにかわいがっていたつもりだったけれど、これからはもっとかわいがることが出来るような気がした。


     ( ・´ひ`・ )∋



     あれから、ボカブとオタマロもすくすくと育ち、今ではチャオブーとガマガルに進化していた。進化したオタマロは、小バカにした顔がウソのように、普通にかわいい姿になっていた。あれからこれになるってのもスゴい。ポケモンってやっぱり不思議だ。しっぽの辺りに名残はあるといえばあるけど。

     人によってはオタマロの進化系であるガマガルや、ガマガルの進化系のガマゲロゲも不気味だと言うらしいけど、僕個人としてはガマゲロゲはまあ普通にモンスターって感じで味があるし、ガマガルは普通にかわいいと思う。

     ・・・・・・でも、なんだろうこの・・・・・・いいようのない寂しさは。

     認めたくない・・・・・・認めたくないけど、一緒に旅をしている間に、あの人を小バカにしている顔を好きになってしまったみたいだ。じっさいオタマロは顔が苦手なことを除けば、なつっこくて言うこともキチンと聞く、いい子だった。人柄ならぬポケモン柄の勝利というやつかもしれない。人なっつっこい上にかわいくなったのだから、ガマガルを今まで以上に溺愛しても理論としてはおかしくないはずなんだけど。なんだろう・・・・・・寂しい。進化したってガマガルは大事な僕のポケモンだけど・・・・・・寂しい。

    「ねえガマガル、キミガマガルのメスかメタモンの彼女が出来る予定ないの? ああ別にガマゲロゲやオタマロのメスでもいいけど」
    「ガマッ!?」

     すっかりあの人を小バカにしている顔に魅了されてしまった僕は、チャオブーと一緒にポケモンフードを食べているガマガルに対して、ポロッとそんな言葉をこぼしていた。


      [No.2873] Re: NOAHから、マサポケノベラー様へ 投稿者:NOAH   投稿日:2013/01/31(Thu) 09:09:12     44clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    > 連載モノはカフェラウンジ2F(http://masapoke.sakura.ne.jp/rensai/wforum.cgi)でやったほうがいいですね。
    > もともと連載用の板なのに加え、途中で止まろうがなんだろうが問題にしてない板なので。
    > 書き続けたかったらそこで続ければいいし、無理そうならやめてもいいですし。
    >
    カフェラウンジ2F……その手がありましたか!
    No.017さま、ご意見ありがとうございます!!


      [No.2872] Re: NOAHから、マサポケノベラー様へ 投稿者:No.017   投稿日:2013/01/31(Thu) 00:19:38     77clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:業務連絡

    連載モノはカフェラウンジ2F(http://masapoke.sakura.ne.jp/rensai/wforum.cgi)でやったほうがいいですね。
    もともと連載用の板なのに加え、途中で止まろうがなんだろうが問題にしてない板なので。
    書き続けたかったらそこで続ければいいし、無理そうならやめてもいいですし。

    では。


      [No.2448] 静かな終花 投稿者:小春   投稿日:2012/06/07(Thu) 01:42:43     86clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    古い桜がありました。老いた天狗がおりました。
     天狗がまだころころと木の実のように転げ回っていた頃から、桜は変わらずあり続けました。天狗が妻をめとった春の盛りには、桜はうんと美しく咲きました。天狗に初めての子が生まれた春も、桜はうんと美しく咲き誇りました。天狗のそばにはいつも、家族と古い桜がありました。
     数え切れないほどの春が去りました。数え切れないほどの春がきました。若かった天狗も老い、妻も子も天狗のそばからいなくなりました。しかし、古い桜だけは老いた天狗のそばに有り続けました。


     ある冬の晩のことです。月を隠すように雪雲は広がり、白い雪がちらほら降っていました。桜のようだと天狗は雪色の空を見上げて思いました。細く枯れたようにもみえる古桜の枝にも雪は降り積もり、さながら花のようです。天狗にも雪は積もっていきます。天狗は身震いをして雪を振り落とすと、すこし考えて桜のもとに向かいました。雪の上の細い足跡だけが、老いた天狗を追ってきます。雪を踏みしめ、足跡だけを引き連れて天狗は古い桜のもとまでやってきました。

    「まるで、春の盛りのようですな」

     老いた天狗の言葉に、古い桜は身を震わせたようでした。天狗が伸ばした手が桜の枯れかけた幹とつながりました。

    「いつも貴方がいてくれましたな」

     妻をめとって泣いた春も、子が生まれて泣いた春も、妻を喪って泣いた春も、巣立つ子を見送って泣いた春も、いつも天狗のそばには古い桜が有り続けました。天狗のいろいろな春を、古い桜はいつだって受け止めてくれました。

    「せめて一度だけ、この老いた天狗の願いを聞いていただけますか」

     老いた天狗の手は、年月を経ていつしか枯れた枝のようになってしまいました。いま手をつく桜の幹とそっくりです。古い桜の幹や枝もまた、年月を経てすっかり枯れたようになっていました。幹に置かれた天狗の手をそっくりです。

    「貴方の花盛りをもう一度、見たいのです。私の一緒はいつも貴方の花がありました」

     天狗の手と桜の幹はもはやひとつの色に変わっていきます。天狗は目を閉じ、息を吸うと言いました。

    「私の小さな命をさしあげます。どうか、今一度貴方の花を見てみたい」

     天狗の指先から、天狗の熱が古い桜へと移っていきます。老いた天狗の熱は古い桜の幹を登り、枝の隅々まで行き渡りました。天狗は目を開き、祈るように桜を仰ぎ見ました。
     天狗の見つめる先で、古い桜の枝に小さなつぼみがつきました。濃紅色のつぼみは、老いた天狗の見上げるさきでゆるゆると膨らんでいきます。濃く小さなつぼみはゆるゆる膨らみ、降りしきる雪の色を吸うように色を薄くしていきました。終いには、あたりの雪と同じ色になりました。雪とよく似ている、しかし雪とはやはり違う白が天狗の目の前に広がりました。

    「最期に貴方の花を見られて、よかった。」

     老いた天狗は、その目に雪のような桜を抱いて旅立ちました。熱の抜けた天狗の体に、あとからあとから雪が積もっていきます。
     桜は散りました。老いた天狗の死を悼むように散りました。天狗の体に雪などつもらせまいと、薄雪色の花を降らせました。古い桜の木からすべての花が散ってしまうと、けっして再び、古い桜は花を付けなくなりました。


    ☆★☆★☆★

    いくつかまえのお題、桜でとんでも遅刻でお邪魔します。
    せいちょう使ったら枯れかけの桜にも花咲かせられるのかとか、細胞分裂を無理矢理進めるんだから体に悪いだろうとか、桜に死って物を書いてる人間にとっちゃあこがれだよねとか。
    書いてるうちに半分以上文字数減るのが不思議でなりません。

    お好きにどうぞ。


      [No.2447] コンビニアルバイターから見た感想 投稿者:マコ   投稿日:2012/06/06(Wed) 09:19:27     99clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    フミんさん、初めまして。マコです。
    ポケモンにも働ける場所があるなんて、いいことじゃないですか。
    でも、体の大きさとか種族としての特徴で働けるかが制限されるということは、何だかやりきれない思いでいっぱいになります。
    雌のカイリューであるアイコさんや、雄のヌオーであるリキさんみたいに、やる気は十分なのに、障害となる部分が大きいゆえに結局は排除されるということが、いくらしょうがないといっても悲しくなります。
    まあ、コンビニで仕事が遅い人に対して、「これで時給が同じなの!?」とかぼやいてしまう気持ちは分からなくもないです。

    自分が今、大手コンビニチェーン店のアルバイトとして働いているので、話の内容に親近感が持てました。
    自分も入ったころは仕事が遅くて文句もさんざん言われましたが、もう既に2年続けています。今では文句も言われることはない、と思います。

    もし自分がポケモンを雇うなら、と考えると、やっぱり人の形に近いポケモンになるのかな、なんて思います。あまり小さすぎても、レジに届かない可能性がありますから。最低1メートルの身長は欲しいところです。(浮遊できるポケモンなら問題はないでしょうけど)
    それにしても最後に出てきた女の人(及びその息子)は……、どうしようもないですね。働きたい人が電話をかけるのが普通ですよね。何で親使うんですか。
    かくいう私も店に直接行き、飛び込みでこの仕事を掴んだ身なので大声で文句は言えませんが。


      [No.2446] コッペパンが無いならライチュウの手を食べればいいじゃない 投稿者:門森 輝   投稿日:2012/06/05(Tue) 22:06:01     88clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     らい!? らいらい!? ら〜〜〜〜い! 可愛い絵が貼られてるぅ! らいら〜い! 
     ありがとうございます! ありがとうございます! こんな可愛い絵を貼って下さりありがとうございます! らいらーい! 
     コッペパンが無い様なので代わりにライチュウのおてて貰います。ライチュウの手はむはむしたいです。コッペパンチをくらってでも。むしろくらいたいです。ライチュウらぶです。らーい。
     最後にもう一度、貼って下さりありがとうございました!  らいらーい!

    【保存させて頂きました】
    【ライチュウかわいいよライチュウ】


      [No.2445] 【ポケライフ】採用面接 投稿者:フミん   投稿日:2012/06/04(Mon) 23:27:32     116clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    今日も一日が始まる。元気を出していこうと、中年の男性は意気込んだ。


    彼の名前はマナブと言った。マナブは、駅から少し遠い住宅地に紛れたコンビニエンスストアの店長だった。雇われ店長ではない、彼は業界でトップクラスのコンビニチェーン店から看板を借りて、自分で店を切り盛りする有能な男だった。妻と子どもが一人ずついて、仕事は順調、肉体労働としては大変だが人並みより少し多く給料を稼ぎ、アルバイトの若者からも信頼されていて人望もある。いつも明るく客に接し、時々現れる泥棒には持ち合わせの正義感と体力で、正面から立ち向かうような熱い気持ちを持ち合わせている(と言っても、刃物や銃を持つ犯人に突っ込んでいくような、無鉄砲さはない)。平凡といえばそれまでだが、当たり前の生活を営むことができる、幸せな男だった。

    そんな彼は、いつもと違いあまり落ち着かない。そわそわしながら商品を棚に並べ、店の周りの掃除をする時も周辺に視線を走らせている。その姿は、悪いことをして犯罪から逃れている指名手配犯と言われても仕方がない程だった。

    どうしてそんな様子なのか。何故なら、今日はアルバイトの面接に来るポケモンがいるからだ。

    彼の店では、半分以上の従業員をアルバイトに任せている。その従業員達は学生だったり、仕事をリストラされたマナブと同じくらいの歳の中年だったり、子育てが一段落した主婦だったり、様々な人がいる。しかし、彼の店ではポケモンを雇ったことはなかった。
    ポケモンは、人間と同じ理性を持ち、感情を言葉で伝えることができる生き物である。容姿は人間と違いポケモンによって大きく異なるが、中身は全く人間と変わりがない。一時期人とポケモンを公平に扱うべきかと審議されることもあったが、それは昔の話だった。今では、人もポケモンも手を取り合って生きている。

    こうなると、綺麗事だけでは世の中は進んでいかない。人が働いて当たり前ならば、ポケモンも同じである。
    近年、ポケモンが働くというのは不思議ではなくなった。昔からポケモンが人の補助をするのはよくあったことだが、人間と同等の待遇で働けるようになったのは、最近になってからだった。働けば給料を支払われ、怪我をすれば保険も下りる。有給休暇も利用できるし、休日も確保されている。この体制が安定してきたのも、ここ数年の出来事だった。今では不当な理由でポケモンを雇わないと、その職場は厳重に注意されてしまうまで法律が整備されている。

    もちろんマナブは、ポケモンを雇うことを避けてきた訳ではなかった。場所も都心部からは少し離れているせいか、働きたいと言ってくる人があまり多くないだけだった。


    しかし、今日は初めてポケモンの求職者が来る。マナブは、そのポケモン達を待っているのだ。
    偶然にも、同じ時期に働きたいと申し出たポケモンは二人いた。どちらも電話で申込んできて、容姿は分からない。一体どんなポケモンが来るのだろう。マナブは自分が指定した時間まで、不安定な気持ちのまま仕事をすることになった。
    しかし、仕事で手は抜けない。ここは自分の店であり、売上が落ちれば生活に直結する。彼は客が押し寄せる時間帯になると今日来るポケモン達のことはすっかり忘れてしまい、自分のすべきことに打ち込んだ。この店は周辺の住民だけでなく近くに高速道路があり、そこから来る客が立ち寄ることも多い。だからこそ、駅から離れた場所でも店が赤字にならずに済んでいるのだった。

    やがて客足も緩まり、マナブが指定した時間五分前になった。そろそろ来る筈だなと彼が思っていると、店の入り口に大きなポケモンが現れた。

    黄色に近い肌に目立つ大きな腹部、そのポケモンが歩くごとに地面が揺れ、店の中にいた客は誰もが視線を当てた。本人は慣れているのかあまり気にしていないようだった。
    見た目とは裏腹の可愛らしい顔。店の中に入り、マナブを見下ろして言う。


    「すいません、先日アルバイトの件で電話をした者ですが」

    マナブは、悠々と立つこのポケモンが今日の訪問者だと理解するのに数秒を費やした。よく見ればそのポケモン――――カイリューの手には、今日面接に来る際に準備しておいてと指定した履歴書らしき紙を握り締めている。側にいた学生のアルバイトも口を開けてカイリューを見上げている。

    「あ、はい、お待ちしていました。早速面接を行いたいのですが―――申し訳ありませんが、一度外に出て待っていて下さい。直ぐに向かいます」

    「分かりました」

    穏やかな表情でカイリューは返し、また大きな足跡を立てて店を出て行った。
    マナブはまだ口をあんぐりと開けているアルバイトに、暫く店を頼むと言い外へ出た。マナブの存在に気づいたカイリューが頭を下げる。その素振りから、礼儀正しくてモラルがあるのは明白だった。
    店の裏に行こうと話しかけ、カイリューは彼に従った。その際に履歴書を預かり、マナブは軽く目を通す。名前はアイコと言い、雌であることが分かった。必要事項に記入漏れはないし、志望動機も隙間なく埋めてある。字も読みやすく、写真も真っ直ぐに貼ってある。内容はともかく、完璧な履歴書だった。

    マナブは椅子が用意出来ないことをカイリューにお詫びして、本題に入る。


    「今日は、わざわざ来てくれてありがとうございます」

    「こちらこそ、驚かせてしまい申し訳ありません」

    「気にしていませんよ。だから、あなたも気にしないでください」

    再びカイリューは頭を下げてくる。履歴書を更に詳しく読んでみる。住居はここからそう離れてはいない、学歴はないが(ポケモンが学校に通い学ぶことは、まだまだ珍しい)犯罪歴もない。おかしな部分は見当たらない。第一条件は良し。

    「家からここまで、どれくらいかかりますか?」

    「は、はい。飛んで20分くらいです」

    緊張しているのがこちらにも伝わってくる。何かあれば、代理で仕事を頼める距離ではある。

    「失礼ですが、あなたの身長はいくつでしょうか」

    「はい、2メートル50センチです、私他のカイリューより少し大きくて」

    声が小さくなり彼女の自身が萎んでいくのが分かる。確か、コンビニは床から天井まで大体3メートルあるかないかの高さだった筈だ。

    「もし店で働くことになった場合、何曜日なら入れますか?」

    「夜は不可能ですが、朝から夕方ならいつでも働きます」

    雇う側としては都合が良い。少し会話を重ねた感じ、性格も温厚そうだ。仕事を一から教えていけば優秀な店員になるだろう。長年様々な人を雇い直接見てきたマナブは、彼女が自分の店で働いても問題ないと判断することができた。根拠は、店を運営してきた勘だった。経験者の勘は恐ろしい程よく当たる。
    しかし、彼は残念な結果を伝えなくてはならなかった。


    「申し訳ありませんが、あなたを雇うことはできません」

    当然、アイコさんは悲しがっていた。昔マナブもアルバイトの面接で落ちたことがあるので、彼女の苦しみは自分のことのようによく分かる。

    「雇いたい気持ちは山々なのですが、何せうちの店はそんなに広くないんです。アイコさんがしっかりしたポケモンなのは履歴書と態度で理解できます。しかし店で働くとなると、狭い店内を動き回らないといけないし、細かい作業も多い。間違って商品にぶつかってしまうと大変だし、働く人が休む休憩所にも入れないと思います。ですので、今回は―――」

    「分かり、ました。わざわざ、時間を割いて頂いてありがとうございます」

    「こちらこそ、求人を見て足を運んでくれてありがとうございました。履歴書はお返しします」

    寂しそうに去っていく後ろ姿は、悲壮感に満ち溢れている。ナマブは彼女の姿が見えなくなるまで見送ったが、途中であんなに丁寧に書いた履歴書をくしゃくしゃに握り潰しているのを、彼は見逃すことはなかった。
    こちらとしても彼女を雇いたかった。しかしあんなに大きな体では仕事が限られてくる。それで一番苦しむのは本人だろう。今回は仕方なかったとしか言えない。マナブは彼女が仕事を見つけられるように、ささやかに祈っていた。

    今度から、電話越しにポケモンの種族を聞くのも検討しようと考えながら仕事を再開する。次に来るポケモンがどんなポケモンなのか心配になってくる。
    店に戻りいつも通りに動いていると、再びポケモンが入ってくる。この店はポケモンも利用するので何も不思議なことではないのだが、先程のカイリューの様に履歴書らしき紙を持ち、紙とマナブへ交互に視線を当てているので、何となくあのポケモンかなと思ったら、向こうの方から話しかけてきた。


    「あの、今日面接を頼んでいたポケモンですけど」

    マナブは、そのポケモンの声に聞き覚えがあった。電話で聞いた声、今日来る予定の二人目のポケモンで間違いないようだった。
    水色の肌、短い手足に小さな目と大きな口を持ち、頬を上げ笑う顔はどこか穏やかだ。種族はヌオー。身長はマナブより小さく小学生を思わせる。
    もちろん彼は冷静に対応する。少なくとも、先程のカイリューみたいな体格の問題は少ないだろう。少し安心する。

    「では奥に行きましょうか」

    「はい」

    ヌオーから履歴書を受け取り店の奥へと案内する。リキというらしい。名前からして、雄のポケモンということが分かる。
    マナブはリキを椅子へ座るように案内する。リキは指定された場所へゆっくりと座る。

    「今日は面接に来て頂いてありがとうございます」

    「いえ、こちらこそお手数かけます」

    頭を下げる仕草も丁寧だ。腰が低そうだ。
    先程のカイリューにした質問と同じ内容を尋ねていく。住んでいる場所は本当に近い、ここから歩いて5分もかからない場所に住んでいるらしい。働ける時間帯はカイリューと同じ、夜だけは勘弁して欲しいとのこと。夜には既に他の従業員が働いてくれることになっているので問題ない。適度に世間話を持ちかけてみる。多少会話に間があるものの、ちゃんと目を見て会話をしてくるし、人間とは違う笑顔も印象が良い。マナブは、このポケモンを雇うことにした。彼の店で、初めてのポケモンの従業員になる。
    その旨を伝えるとリキは喜んでいた。マナブも先程みたいに、心苦しいまま断ることをしないで済んだので安心していた。

    マナブは彼にどのくらいの頻度で働くのか、働く上でのルールや最低限のマナー等、雇う上で必要なことをその場で説明していく。リキは真剣に話を聞いてくれるし、はっきりと返事を返してくれる。良い従業員になりそうだと、ナマブは彼に期待していた。

    しかし、その期待は空回りをしてしまった。
    彼は確かによく働き、物覚えが良くて仕事の内容も直ぐに覚えてくれる。同じ従業員仲間とも打ち解けていて、客に対しても粗末な態度を取らない。いわゆる当たりだった。
    しかし彼には弱点があった。何においても動作が遅いのだ。
    元々ヌオーというのは、川底等で口を開け、餌が来るのをただひらすら待つというポケモンで、活発的に動くことはない。そのためか、リキは何の作業をしても遅い。レジで会計を済ませている時も、ゆっくりとお釣りを返すので慌てている客に怒られることも珍しくはなかった。商品を棚に並べる行為も、他の人間の従業員よりも終えるのが遅い。正確に仕事をこなしてくれるのは有難いのだが、人間の従業員よりも仕事量が圧倒的に少ない。最初は寛大にリキを迎え入れていたマナブも、人間よりも遥かに効率が悪い彼に、次第に不信感を積もらせていった。他の従業員も同じだったようで、何故彼と同じ給料なのかとぼやく者まで現れてしまった。

    リキがいくらのんびりしているからと言っても、職場の険悪な雰囲気に気づかない程鈍感ではなかった。次第に彼は周囲から孤立していき、笑顔を見せることは減っていった。そして一ヶ月もしないうちに、マナブへ働くことを辞めたいと告げてきた。頭でヌオーという種族のハンデだと分かっていても、仕事量の少なさを許容することは、マナブにはできなかった。
     





    リキが辞めた翌日、マナブは休憩所でため息をついていた。普段活発な彼が考えていることは、ポケモンを雇うというのはとても難しいということだった。
    せっかくやる気や素質があっても体格のせいで働かせることができない。種族柄のハンデで、こちらが求めている能力を引き出して貰えない。人間以外を雇うのに、こんな問題があるなんて最初は思いもしなかった。ポケモンが働くのが一般化しつつある今、まだまだ人間を優先して雇う理由が、マナブには何となく分かる気がした。人間だって、それぞれに合った職種を選ぶ。ポケモンは働きたいという願望があっても、体や種族が職種に合わなければそれだけで門前払いだ。なんて大変な種族なのだろう。

    コンビニで働けるポケモンだって多い。それなのに、明らかに無理なポケモンばかり集まってしまうのが歯痒い。
    そんなことを考えていると、近くにおいてある受話器が鳴る。マナブは気持ちを切り替えて電話に出る。


    「もしもし、○○コンビニエンスストアです」

    「お忙しい中すいません。そちらで、アルバイトを募集していると聞いて電話をしたのですが」

    女の声。声に張りがあり、耳を受話器から離しても透明感があるその声はよく響く。狙っているのか意識しているのか、無駄に大きな声量からして、中年の女ではないかとナマブは思った。

    「はい、募集しております」

    「私の息子なのですが、今雇うことはできますか? 平日は大体入れるのですが」

    息子?

    「平日は、早朝から夕方の間で募集しております。大体と言いましたが、何曜日なら入れますか?」

    「そちらの都合に合わせます。何曜日に入れば宜しいですか?」

    「――――少々お待ちください」

    細かいことは置いておいて、シフト表を確認する。今確実に必要なのは火曜日から金曜日。そう伝えると、電話越しの中年の女は言う。

    「もう少しシフトを多くできませんか?」

    「そう言われましても、現時点では火曜日から金曜日に入って欲しいんですよ。その後仕事量を増やせるかどうかは、他の従業員もいるので、これから先にならないと正確には分かりませんね」

    「お願いします。どうしても、もっと働きたいそうなんです。後一日でも増やせませんか?」

    マナブは電話の相手に聞こえないように小さくため息をついた。働きたい本人が電話で話さないだけでもおかしいのに(恐らく電話の相手はその息子の母親だろう)、こちらが雇う前提で話を進めていることが図々しいとは思わないのだろうか。それとも向こうは、これが当たり前だと思っているのだろうか。

    「申し訳ありませんが、平日は火曜日から金曜日の朝から夕方、それ以外は募集していません。店の入り口にもそのように書いてあるので」

    「じゃあ良いです」

    女性ははっきり言い残すと、電話が音を立てて切れてしまった。半ば呆れつつも、受話器を戻して体をほぐす。こう言った意味不明な要求には頭を悩まされたものだが、慣れてしまえばどうってことはない。


    全く、うちの店で人間は働きやすいのに、中身がどうしようもないと雇いようがない。いっそ、止む終えない理由で雇えなかったポケモン達と中身を取り替えてしまえば良いのに。





    ――――――――――

    お久しぶりです。企画を開催していると知ったのでお話を置かせて貰います。
    ポケモンも人間と同じで、働く場所を探すのには苦労しているんじゃないかなあと悶々と考えていました。
    因みに有給云々の話を作中で書きましたが、アルバイトでも法律上有給休暇は取れるんですよ。知っていましたか?

    フミん


    【批評していいのよ】
    【描いてもいいのよ】


      [No.2444] コッペパーンチ! 投稿者:サトチ   投稿日:2012/06/04(Mon) 20:33:47     104clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    コッペパーンチ! (画像サイズ: 328×279 14kB)

    なんかひさびさのぞいてみたらライチュウらぶな方がいらしたので、昔描いたイラストを投稿〜。
    食パンにカレーパンでコッペパンがないけど、ライチュのおててで1つよろしくです!


      [No.2443] 蛇足 投稿者:白色野菜   投稿日:2012/06/01(Fri) 21:08:44     100clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    数年前に有名なゲーム会社が数十年前のゲームのシリーズの最新作を最新技術を結束して出した。

    ゲームのシリーズの名前は「ポケットモンスター」

    使われた技術の名前は「AR」と「VR」

    ARは拡張現実。

    VRは仮想空間。

    ARでポケモンは何時でも何処でも人の側にいられるようになった。
    勿論マナーの問題はあるが、食事を共にすることも一緒に授業に出席することすら可能になった。


    VRによって、人はポケモンの世界へと行けるようになった。
    さすがに五感は完全には再現されていないが処理落ちもなくかなり快適だ。
    トレーナーとして、旅をしながらバトルを磨くもよし、ブリーダーとして美しさを磨くもよし脇道をそれて育て屋さえ持てる自由度は高くそれなりに評価されているらしい。


    ここはそんなゲームが流行っている世界。
    ここは少し遠い未来の世界。









    という話を、書きたかったけれど文章能力が足りなかったです。
    【書いてもいいのよ】【焼いてもいいのよ】
    【批評歓迎】


      [No.2442] 休日 投稿者:白色野菜   投稿日:2012/06/01(Fri) 20:56:55     86clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    「………ぴーかちゅぅ?」
    目蓋を抉じ開けると黄色いネズミが、私の顔を覗きこんでいた。
    寝不足の頭をフル回転させて、昨日の夜の事を思い出す…。


    「そうか、交換して………そのまま寝落ちしたのか。」
    てしてしと人のでこを叩いてくる黄色いネズミを無視しつつ、見覚えのある天井を見上げる。
    茶色い人の形にも見えなくもない染みがそっぽをむいていた。

    何も変わらない
    何時も通りの朝だ。

    「よし!」
    気合いをいれて上半身を跳ねあげる。
    黄色い毛玉がころりと転がったが気にしない。

    時計は気にしない、今日の予定は無くなった。
    外が明るいので朝か昼だ。
    とりあえず、ご飯だ。

    「ぴーかーー!」
    「……黄色もお腹減ったか?」
    「ぴか!」
    「仕方ないなぁ………てか、お前の名前も決めなきゃな。」
    名前を決めるにしても、種族すらわからない。
    いや、見たことはある。
    たしか、赤い悪魔が使ってた……思い出せない。

    寝起き特有の空回りする思考を楽しみながら、フライパンを火にかける。
    加熱している間に棚から瓶詰めのポロックを一粒取り出す。

    「ほら、ご飯。」
    「…………ちゃぁ。」
    「ん?辛いのは嫌いか…………あとは酸っぱいのだね。」
    「ぴか!」
    「えー、酸っぱいのか。ストックほとんどないから後で作りにいかな駄目かな。」
    瓶の底の方に辛うじてあったポロックを黄色に投げ渡す。

    投げた結果は見ずに自分の朝食に取りかかる。
    若干、加熱しすぎたフライパンに油をしき卵を割り入れ蓋をする。
    火力を弱火にして、待ってる間にトーストにベーコンを乗せて一枚焼いておく。

    布団をたたんで折り畳み式のテーブルを出せばいい案配に朝食ができた。

    「いただきます。」
    「ぴーかーぴっ!」
    重ねられた声に黄色を見るとポロックを両手に持ってぺこりと頭を下げていた。
    それから、美味しそうにポロックをかじりだす。
    挨拶なんて妙な物を仕込んでるんだなぁ等と思いつつ、目玉焼きに醤油を垂らす。

    空間モニターには今日の天気が写し出されていた。
    生憎の雨らしいが彼方には関係ないだろう。
    たまにはポロックを作る以外にぶらついてみるのもいいかもしれない。
    卵の黄身を潰し私はぼんやりと考える。

    あぁ、そうだ。
    姓名判断師も探さないとな…。












    私が交換したポケモンの名前が変えられないと言うシステムを思い出すのは大分先の話である。


      [No.2441] うおおお 投稿者:teko   投稿日:2012/05/28(Mon) 23:55:33     85clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


     ふをおおおおおおおおおおお
     うおおおおおおおおおおおおおおお!!

     ということ、実はかなり取り乱したtekoです。そしてお久しぶりなのですw
     くいさん、あんなアホのためにこんなすんばらしい小説書いてくださって……うれしいです。僕としても!
     そして、このとき寝落ちしてすんませんした マジすんません

     自分でもすっかり忘れかけていたよーな話が、ここまでいいものになるとは感激です!
     あのアホ、こんなにかっこよかったですっけ?もっとアホじゃなかったですっけ?

     描写もいつものことながら、今回は動きいきいきですね!臨場感ぱないです
     格闘タイプのバトルって感じで本当に好きです!それも、本当にバトル技をベースとしてやるとなると・・・…ゲームに疎い自分には相当できない芸当ですが、だからこそポケモンらしくてスキです。アニメも見習ってよまったく

     姉さんの美しさが欲しいです。きっとしなやかでもふもふの毛ざわりなんでしょううう
     チビ君がどんな風に成長していくのか、先見たいんで宜しくお願いします
     でも、あんなのは見習わないほうがいいぞ!

     酒乱暴走というところにとても、なぜかわからないけど親近感を感じる!
     本当、あんなのをこんなにかっこよく書いてくれて本当うれしいです。こいつで何か小説書きたくなったじゃないですかどーしてくれんですかくいさんw

     また、ちゃっとでお会いしたさいに感想を吐かせていただこうと思います。
     筆舌に尽くしがたい!

     では、続きを期待しますw
     乱文失礼いたしやした!


      [No.2440] コメントありがとうございます 投稿者:穂風奏   投稿日:2012/05/28(Mon) 21:22:26     85clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    > 私も「ポケライフ」用に図書館ネタを考えてたのですが・・・・穂風さんの方が数百枚上手です。参りましたm(_ _)m
    > ポケモンの特性をこうからめようとは一切考えたことがなかったので、これからの参考にさせていただきます。

     数百枚上手だなんて・・・!
     私もaotokiさんの「ポケモンとのほんわかした日常」の書き方を見習いたいです。
     それでも、何かの参考になったのなら嬉しいです。


    > 確かにエーフィは、本読んでても違和感が全くない気がします。
    > 現実でもポケモンでも、犬系は主人の読んでる本を眺めてそうですが、猫系は自分で読んでそうですし。やっぱり図書館には猫ですね。

     ガーディとかポチエナの犬系なら「遊ぼ遊ぼ!」って邪魔しそうですが、エーフィとかチョロネコの猫系なら「あたしはあたしで好きにやってるから構わないで」って言いつつも一緒にすぐ横で本を読んでそうです
     確かに図書館にいるなら猫ですね
     それと本目当てじゃなくて、エーフィ目当てで来てしまう人もいたりしそうです。穂風もそのうちの一人になりそうです(笑)

     それでは、コメントありがとうございました!


      [No.2439] 本には犬より猫が似合う 投稿者:aotoki   投稿日:2012/05/27(Sun) 15:49:51     88clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    読ませていただきました。この図書館、すごい行きたいです。リアルに。
    私も「ポケライフ」用に図書館ネタを考えてたのですが・・・・穂風さんの方が数百枚上手です。参りましたm(_ _)m
    ポケモンの特性をこうからめようとは一切考えたことがなかったので、これからの参考にさせていただきます。

    確かにエーフィは、本読んでても違和感が全くない気がします。
    現実でもポケモンでも、犬系は主人の読んでる本を眺めてそうですが、猫系は自分で読んでそうですし。やっぱり図書館には猫ですね。
    あと個人的には記者さんが可愛いな、と思いました。


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