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「あれ、この道さっきも通ったよね……?」
コトキの自宅を出発したのは昼なのに、もう夕やけが綺麗だ。ポケナビには101ばんどうろと表示されている。
ボールの中のナックラー……名前はキサンド、通称きーくんは、すやすやと寝息をたてている。かわいい。
「まあいっか、歩いてればそのうち着くよね」
私は気にしないことにして、さっきと違う角を曲がった、そのとき。
「危ねえええ!」
「ほえ? うぎゃっ」
向こうから男の子が走ってきて、思いっきりぶつかった。
「いててて……だ、大丈夫か?」
赤い帽子を被ったその男の子は慌てて身なりを整えると、衝撃で尻餅をついてしまった私に手を伸ばしてきた。
「うん、大丈夫」
私はその手を借りて立ち上がる。
「良かった……じゃあ俺はこれで」
「あ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、ミシロタウンはどっち?」
「ミシロ?」
「うん。オダマキ研究所に行きたいの」
そう伝えると、男の子は何か考え事をし始めた。
「研究所……? お前、もしかしてエレンか?」
「そうだけど、なんで知ってるの?」
「父さんから、今日旅立つエレンって女の子が図鑑をもらいに来るって聞いてたんだ」
「父さん?」
「ああ。俺はユウト。オダマキ博士の2番目の息子だ!」
(ω・ミэ )Э(ω・ミэ )Э(ω・ミэ )Э(ω・ミэ )Э
ついに発売されましたね。αkuroです。
しょっぱなから演出に泣かされました。
ユウトはエメラルドにいたライバルの弟です。先に言っておきますがエレンとフラグは立ちません。
僕は、僕のポケモンを殺した。
これは紛れもない事実である。
僕――
僕は世界を旅するトレーナーだった。ついこの間まで、僕は六匹のポケモンと共に世界中を巡っていたのだ。時にはフシギバナの背に乗って森を抜け、時にはマリルリと広い広い海を越え、時にはメタグロスと荒野を見下ろした。時には吹雪に掻き消される道筋をシャンデラに示してもらい、時には大きな都市の路地という路地をデンリュウと走り回った。
そして時には、どこまでも広がるのではないかと思われるほどの大空を、サザンドラと一緒に飛んでいた。
しかしそれは全て、既に終わったことである。もう二度と為されることの無い唯の記憶、僕の中にある思い出に過ぎない。頭に描かれる過去の風景は実際よりもいくらか美化されたものとなり、絶えず再生を繰り返しているのだ。
空になった器、その中に入るはずの存在はもはやこの世にいない。赤と白のボディの真ん中に走る黒い線、そこで割られたそれはぽっかりと口を開いているだけで何も言ってくれなかった。戯れに黒を指でなぞってみるも、役目を終えた道具たちはだんまりを決め込んでいるままである。
あの日、と口の中だけでひとりごちる。あの日に僕が罪を犯したその瞬間、この器は全て抜け殻と化したのだ。長年使用したことによって失われた光沢が僅かに残る、ゴミ屑同然の小さい球に。
僕は彼らを殺したのである。この器に入って、共に旅してきたポケモンたちを、この手で葬ったのだ。
一瞬の出来事だった、と記憶には残っている。
妹――
兄がおかしくなったのは、ある一日を境にしてのことでした。
それまではいつも通りの兄だったのです。口数の少ない、だけど静かで穏やかな性格の、私が幼い頃からずっと変わらない兄に他なりませんでした。
なのに、兄は突然変わってしまったのです。
あの日の朝、ダイニングで朝食をとっている私たちの前に現れた兄はーーそもそも兄が我が家の朝食に顔を見せることからして異常なのですがーーかなり青ざめていました。この世の終わりみたいな顔、とは今この時のために作られた表現なのではないか、なんてことを思ってしまうほどでした。
ふらつく足取りでダイニングに入ってきた、能面のように青い顔の兄はテーブルに手をついて言いました。震える声で私たちに告げられたその言葉は、何とも理解しがたい、意味不明なものでした。
兄は、自分のポケモンを殺した、と言ったのです
僕――
それは一瞬のことだった。
つい昨日まで、つい数時間前まで、つい一秒前まで隣にいた六匹は、瞬きする間に消え去った。
カロス地方の真ん中にあるミアレシティ、そのまた中央のプリズムタワー。でんきタイプのジムがある街を飾る塔で、僕はポケモンたちと夜景を見ていたのだ。
まるで星空と地面が反転させられたみたいに、キラキラと輝くミアレの光。このような場所は当然、カップルや家族連れなど観光客で混み合うものだけれど、僕にとってはその限りではない。カロスの頂点であるチャンピオンの座に着くだけでは飽き足らず、バトルシャトーのグランデュークとしての地位もあり、その上バトルハウスではバトルシャトレーヌを四人全て倒している。そんな僕が展望台を貸し切り状態にするのなんて、いとも容易いことだった。
三百六十度に張り巡らされたガラス越しに広がる下界の輝き、ミアレを行き交う人やポケモン、時折空を横切るスカイトレーナーの影。それに見惚れる僕のポケモンたちを、僕は、僕自身の手でこの世から消したのだ。
彼らのモンスターボール、彼らの居場所であった赤と白の器を足元に散乱させて。
どんな風に殺めたのか、僕の脳は記憶することを拒否したらしい。
或いは思い出すことを渋っているのか、その真相は定かではないが、気がついた時には僕は実家のベッドに横たわっていたのである。手持ちポケモンが全て戦闘不能に陥ると「めのまえがまっくら」になると言われているが、まさしくその通りだった。
ガラスに姿を反射させたポケモンたち、曇った夜空にうっすらと浮かんでいるような彼らに手を伸ばした。次の瞬間には、空になった器を顔の横に転がらせ、僕は薄汚れた天井を見上げていたのだ。
フシギバナの、背中に咲く大輪の花を根元から引き千切ったか。
マリルリの、弾力のある身体を押し潰して豊かな水分を全て枯らしたか。
メタグロスの、四本の脚が動くよりも早く紅い両眼を突き破ったか。
シャンデラの、蒼い炎が蠢くランプシェードを叩き割って魂ごと霧散させたか。
デンリュウの、尾の先に宿った光を破壊するだけでは無くその目に宿った光すらも消し去ったか。
サザンドラの、三つの首を両脇のものから一つずつ締めて、断末魔の叫びを上げる真ん中の頭を、部屋に響く音が無くなるまで押さえ続けていたのか。
わからない。
僕にそれだけの力があるようには思えなかったし、僕のポケモンたちがそこまでされて全く抵抗しないとも思わない。
だけど、全部終わっていたのだ。
僕が僕という意識を取り戻した時には、彼らが入っていた器の中には誰もいなかった。
父――
息子の様子がおかしい、とメールを受け取ったのは会社に向かう電車の中でだった。それは妻からのもので、あの子が変なことを言い出したから今日は出来るだけ早く帰ってきてほしい、とのことだった。
私達の間には息子が二人いるが、家にいるのならば下の方と考えて間違いないだろう。うわの空で仕事を終え、もしかしたら娘が生まれて間もない頃以来かというほど久しぶりに早く退勤した私は、心の中で電車を急かしながら家路についた。
私が玄関を開けると、複雑そうな顔をした妻が出迎えた。その少し後ろにいるのは、通っている高校の制服を着替えることもなく、妻同様感情を抑えたような表情の娘だった。
思ったよりも事態は深刻らしい、と頭の中で警報が鳴る。しかしここで私までもが狼狽えてしまっては悪影響だろう、努めて明るい雰囲気を装いつつ「どうしたんだ」と敢えて軽い調子で言った。
妻の言うところによると、あのメールの後に息子は自室に篭ってしまったらしい。靴を脱いで家にあがり、息子の部屋の前へと向かう。
固く閉じられた扉は、鍵がかけられているようだった。このドアをノックするのも、声をかけてみるのもいつぶりになるのだろうか。そもそも私は暫く息子の顔を見てすらいないのだ、今息子がどのような風貌をしているのかも思い描けない。
そんな相手がのこのこ出ていったところで返してくれる言葉など無いだろう、と諦観の念が湧いてくる。が、扉の前に立ってしまった今になってそのような泣き言を言っても仕方ない。数回扉を叩き、私はなるたけ静かな声で問う。
「おい、どうしたんだ?」
扉越しに耳を澄ませる。が、返事は聞こえない。少し考えてからもう一度尋ねてみる。
「何かあったのか? 困っているなら、とりあえず言ってみてくれ」
力になれそうだったら父さんが手伝うぞ、などと話しかける。しかしやっぱり返事は無く、扉の向こうから伝わるのは重い沈黙だけだった。
駄目か、と溜息をついて私は扉の前から一歩、足を引く。だが、その擦り音に被さって、か細い声が聞こえてきた。
「…………が、……を、」
「え?」
確かに息子の声だ。何を言ったのか聞き取れなくて、私は反射で聞き返してしまう。後ろで成り行きを見守る妻と娘が強張った表情に変わったのが、見ていないけれども感じられた。
反復を要求した私に、息子はまだ黙ったままである。ここで慌てても仕方ないと、繰り返し言ってくれるのを待っている私の鼓膜を、先ほどよりかはいくらか大きな声が震わせた。
それは悲壮に満ちていて、この世の終わりにでも身を置いているのではないかと思うほどに冷たい声だった。
「…………僕は、僕の……ポケモンを、」
「ポケモン……それが、どうかしたのか?」
「………………僕が、殺した」
自分のポケモンを、自分で殺した。
息子はそう言った。
息子がポケモンをこよなく愛していることは、父である私もよく知っていた。しかしそれを殺した、とは一体どういうことだというのか。
扉越しにはまた何も聞こえなくなる。息子の言葉を理解することが出来なかった私には、蛍光灯の明かりがやけに眩しい廊下で、妻と娘と共に立ち竦むことしかすることが見つからなかった。
僕――
扉の外から話しかけてきた父親が問うた。隠すことでも無い、隠す気も無い。正直に答えると、父親はそれきり黙り込んでしまった。
父親と話すのは随分久々のことだ。僕がカロスを巡る旅に出る少し前から口を聞いていなかったから、本当にいつぶりかすらもわからないほどである。だけれども、その感傷に浸る余裕は今の僕には無い。折角交わされた親子の会話は、父親の沈黙により早々に終了した。
自室のベッドに横たわって見えるのは天井とそこに取り付けられた蛍光灯、薄暗い部屋の様子は把握出来ない。僕は何をするでもなく、何をすることも出来ず、ただ四肢を布団に投げ出していた。
時計の秒針が時を刻む音が規則正しく聞こえる。手を伸ばせばギリギリ届くところにあるパソコンのデスクトップは、電源を落とされた今真っ黒の闇でしか無い。本棚ではいくつもの背表紙が僕を見ているけれど、動くものはいなかった。バチュルやコラッタの一匹でも出てくれば少しは気が紛れたかもしれないが、母親の掃除が行き届いているからかこの部屋には住み着いていないようである。
僕は父親に、本当のことを言った。
久々に話した息子が自分のポケモンを殺しただなんて、一体彼はどのような心境なのだろうか。警察に通報する? カウンセリングやセラピーに息子を連れて行く? トレーナー免許の停止を要請する? 彼がどの選択肢を取るかは僕の知るところでは無い。
今朝のことを思い出す。暗転した視界が晴れて、自分がベッドに寝ていることを自覚した時刻には既に父は家を出ていた。手すりに掴まって降りた階段の先、台所に入った僕を出迎えたのは、眉を顰めた母親と、目を丸くした妹だった。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
僕を見た妹はそんなことを言った。無理もない、長らく顔を見せなかった兄が突然家に帰ってきた上に、それが手持ちポケモンの戦闘不能なのだから。全く連絡は取っていなかったけれど、家族だって僕の多大な活躍は耳にしているはず。そんな僕が、ポケモンセンターに行くことすら無く、家に送り返されるだなんて。
首を傾げる妹の横で、朝食に使った皿を持ったまま動かない母親は僕を黙って見ていた。その表情に胸が痛む。母親はきっと僕が無惨な負け方をしたとでも思っているのだろう、どう励まして良いものか考えているのだ。
だけどそれは違う。僕はこれから、それよりもずっとずっと無慈悲な報告を彼女たちにするのである。
渇いた口内と枯れた喉、そこから声を振り絞って、告げた。
彼女たちは絶句して、何も言えないようだった。当然のことだと思う。
固まった二人の姿を瞼の裏に思い描いて、僕は寝返りを一つ打つ。母親と妹と、それから恐らく父もしていたのであろう驚愕と絶望の表情。家族にあんな顔をさせてしまうだなんて、僕はなんて不孝者なのだろうか。
それ以上考えるのも辛くなって、僕は布団を頭から被って思考を打ち切る。代わって脳裏に浮かんだのはこれからの身の振り方でも、父親や今家にいない兄にどんな顔で会うかでも、間もなく僕を特定して追いかけて来るであろう公安や取材陣のことでも無かった。
あいつらは、今頃天国に辿り着けただろうか。
決して許されない所業に手を染めた僕の頭の中に木霊したものは、そんな、底無しに罪深く、天井知らずに身勝手な、祈りだった
母――
珍しくも朝食の席に現れた息子が、不可解なことを口にしたあの日から三日が経ちました。
息子はあれからずっと、私たち家族には理解することの出来ない懺悔を繰り返しています。部屋に篭った息子の嗚咽と譫言、そして時には悲鳴のような叫び声。まるで何かに取り憑かれたように、何かに追い立てられているように。息子は私たちの知らないものに向かって、謝り続けているのです。
幻覚。妄想。虚偽。そう解釈するのが多分一番自然なのでしょうし、事実私たちもそう考えています。
しかし何故、息子がそこに至ったかまでは想像出来ません。つい昨日まではいつも通りの息子だったのです。自分のポケモンを殺しただなんて、そんなことは欠片ほども言わなかったはずです。
ノイローゼや神経衰弱の類に罹る前兆は無く、かと言って、息子が麻薬に手を出すことはありません。それは母親として、家族としてきっぱり言い切れます。あの子がそんなことをするはずは、……いえ、出来るはずも無いのです。
今も尚、息子は何かに謝っています。ごめん、とか、もう駄目だ、とか。私たちが何を言っても聞き入れてくれないし、恐らく聞いてもいないでしょう。あの子の頭の中で響いているのであろう、罪の意識を呼び起こすような声だけが、今の息子の聞こえるもの全てなのだと思います。私の言うことも夫の言うことも、娘の言うことも……。何もかも、あの子の耳には届きません。
どうして、こんなことになってしまったのでしょうか。
最近は考えることを放棄していたその思いは、今になって再び膨らみ始めました。
僕――
僕が僕自身のポケモンを殺したということを、家族は嘘だと言う。お前はそんなことしていない、目を覚ませ、落ち着いてよく考えろ。家族は口を揃えてそう言った。
家族は僕の言うことを信じはしないが、僕のことを疑わない。僕の言葉を否定する彼らは、僕にそんなことは不可能だとでも言いたげなのだ。
そうだったらどんなに良かったことか。全ては僕の見ている悪い夢で、僕によって殺されたポケモンなんかいなかったのならば、それ以上の幸福は無い。だけど違うのだ。僕は僕のポケモンを手にかけたわけだし、その証拠に、空っぽになった器はここにある。
旅立つ朝は、ヤヤコマが羽を広げて滑り込んできた部屋の窓。今は固く閉ざされたその場所は、ヤヤコマどころか外からの光すらをも遮っている。雨戸の隙間から少しだけ漏れる日光は、分厚いカーテンを透かして部屋を僅かに明るくしていた。
カロスの未来を救ったあの決戦の日に見た、ゼルネアスの神々しい輝き。
もしもあの時、フラダリの手を振りほどかないで、聖なる輝きの力を以てした最終兵器の光を浴びていたとしたら。僕は罪に苛まれることはなく、六匹のポケモンは命を絶つことはなく。
今でも、一緒に笑えていたのだろうか。
益体の無いことが脳裏に浮かんでは消えていく。こんなことを考えたってどうしようもないのに、僕の頭は動くことをやめてくれない。それでいて身体の方はちっとも動かないで、僕の両腕も両脚も、皺くちゃのシーツに放り出されたまま。凝り固まった関節が軋む。
気がつくとまた泣いている。ごめん、ごめん。許されないことをした。もしも時間を巻き戻せるのならば……そんな、そんなの無理だ。もう終わったこと、済んだこと。零れた水はコップに戻せない。もう、二度と。
喉の奥が熱い。ここ一週間ほどで、何度となく味わった感覚だ。口に向かって逆流しているのは腹に収めた少しの飯と胃液だけではない、消し去ろうとした罪の記憶、消し去ることの赦されない僕の業。それらは酸っぱい臭いを放つ液体と叫び声、そして部屋の澱んだ空気をどす黒く掻き回す鋭さとなって、唇から漏れ出ていく。
同時に流れ出るのは涙と、握りしめた手の皮膚から滲む赤。不気味なほどに鼓動を速める心臓に合わせて脈打つそれは、あいつらにも流れていたはずなのだ。それを、僕は。
僕は。
染みが増える一方であるベッドの布地にまた新たな模様が刻まれる。寝返りを打つ気力すら今の僕からは失われていて、合鍵を使ったらしい家族の誰かが部屋の扉を開けたその音を聴覚が捉えても尚、反応という反応を返すことが出来なかった。
兄――
実家の両親から、弟の様子が異常であるという電話を受け取った。しかしタイミング悪く佳境を迎えていた仕事を手離すわけにもいかず、結局弟の元へ向かうことが出来たのは電話から一週間が経ってからだった。
久々に帰った実家の雰囲気は恐ろしく沈んだものとなっていたが、弟を見るなりそれも無理ないだろうと痛感した。自分で言うのもどうかと思わなくもないが、俺は両親と妹に比べればいくらか弟に信頼されていると自負している。そもそも妹は自分から弟とコミュニケーションを取ろうとすることすら無いから当たり前だが、弟は両親とも極力話さないよう努めているのだ。
家族の中で弟が一番口をきくのが俺だった。両親や妹には話さないことでも、弟は俺に言ってくれるということが多々あった。だから、「何を言っても応えてくれない」と嘆く家族を前にしても尚、俺ならどうにか出来るだろうとある種の期待と油断のようなものを抱いていたのである。
しかしその思いは裏切られた。弟は、俺のことすら無視したのだ。
否、無視というには語弊がある。俺が話しかけているのをわかって答えないのではなく、弟は俺の存在すら認識していないように受け取れた。いくら呼びかけても駄目で、思わず俺は弟に殴りかかってしまった。だけど、それでも、弟は俺を見なかった。
まるで憑かれているようだ、などと非科学的なことを考えた。心霊スポットだとか禁断の地とか、そういった類の場所に足を踏み入れたのではないかと一瞬思ったが、そんなはずは無いと自分で否定する。馬鹿げた考えだ、この弟が出かけるはずはない。
自分のポケモンを殺した、何をしても償えない、この罪で僕は地獄に落ちるしかない。地獄に落ちてもまだ足りない、あいつらの未来を僕は奪ったのだ。
狂ったように泣き叫ぶ弟の姿は、妄執、という言葉がぴったりだと感じてしまった。
「あなたが来るのを待てなくて、お医者さんに診てもらったの」
掠れた声で母が言う。
「でも、原因もよくわからないし、様子を見ていくことしか出来ないんだって」
疲れきった声で妹が言う。
「事後報告になってすまないが……しばらく、入院させることにしたんだ」
可能な限り感情を押し殺しているのであろう声で、父が言った。
俺は頷くことしか出来なかった。それこそ言葉を持たないポケモンのように慟哭する弟は、もはや俺たちのことは見えていないとしか思えなかった。弟の入院先となる病棟はここから車で数時間はかかるくらい遠い、などという父の説明が鼓膜を上滑りする。ベッドに横たわり、延々と涙を流し続ける弟を、俺は黙って見るしかない。
思えば、最後に弟と顔を合わせた時には家族が部屋に入ることすら嫌がっていた。それなのに、こんな近くまで来ているのに、弟は何も言わない。何も咎めることもない。
変わりきってしまった弟の横に、紅白が転がっている。年季が入ってすっかり光沢を失ったそれを、弟が目を輝かせて見せてきた遠い日のことを思い出して、俺は視界の全てを瞼で覆った。
僕――
どうやら、家族によると僕の状態は入院にも値するらしい。客観的に見ればそうなのだろう、今の僕では少しの日常会話すらまともに成り立たないのだから。誰かが言った台詞の端々の言葉さえも、僕にとっては許されない記憶を思い出させる引き金にしかならない。
もっとも家族や医師曰く、幻覚症状やら被害妄想やらの症状が出ているということだ。しかしそれは僕の思うところでは無い。僕の家族は優しいのだ、僕がそんな非人道的かつ非倫理的なことをするはずはないと、無条件に信じてくれているのだ。幸か不幸か、まだ僕が犯した罪の告発は誰からもされていない。いつかは為されるのであろうけれど、それを知るまで家族たちは僕のことを信じ続ける。
そのことに罪悪感は当然持っている。だが、今は家族へ回せる意識は僕の中に無かった。
狭い個室に見えるのは、清潔に保たれた白い天井。まさか自分が精神科の入院施設にお世話になるだなんて考えもしなかったけれど、なんとなく想像していたよりもずっと静かな場所だった。
車に揺られた先、緑の中に建てられた病棟。天井と同じく白の壁から聞こえるのは他の患者の声と、看護師たちの行き交う音のみである。こういう場所だからポケモンの連れ込みは禁止されているのは当然のことだけど、六匹のことを思い出さずに済むという意味ではありがたかった。
車を運転した父は終始黙り込んでいて、僕はこの病棟が何処にあるのか尋ねるタイミングを失った。移動した距離から考えてハクダンの森だろうとは見当はついているが、それにしては静かだった。小さな窓から見える青空に、沢山生息しているヤヤコマが横切る気配も無い。ヤナップら三種類の猿の鳴き声も響かない。野生ポケモンが患者を刺激しないよう、ゴールドスプレーあたりを建物全体に散布しているのかもしれないな、と僕は思う。
それにしても、静かである。僕が昔、旅を始めたばかりの頃にここを通った時は野生ポケモンがひっきりなしに現れたというのに。
懐かしい記憶が蘇る。まだ小さなフォッコと一緒に探した、でんきだまを持ったピカチュウも今はいない。そこそこまで育てて、強くなったから交換に出してしまったのだ。強いポケモンは同じくらい好条件のポケモンと交換出来る。
あらためて、僕は酷いトレーナーだ。数々のポケモンを手放して、最後に残った六匹、ずっと一緒に旅をしようと誓った奴らまでも突き放した。あんなに僕に懐いてくれていたのに、僕のことを慕っていたのに、僕を信頼していたのに。バトルに勝った時は共に喜び、負けた時は共に泣いた。そんな奴らを、僕は。
下腹部から胃を抜けて、食道を苦しさが逆流する。空っぽの胃から吐き出されるものは何もなく、喉から絞り出されるのは無駄でしかない懺悔の叫びだけだった。
はたから見れば恐らく奇声に過ぎないその声で、僕は全身全霊で許しを請う。どうか、時が許すのなら、僕があいつらを殺める前まで時間を巻き戻して欲しい。あの楽しかった毎日を、あいつらが隣に生きていたあの日々を、もう一度。
しかしながら、そんな都合の良い願いを叶える神様なんていないのだ。ここにいるのは罪を背負った僕だけで、地獄の底に突き落とされる日を待っている罪人が一人きり。まるで天国のように白く明るい部屋は、裁きのその時まで嬲り越しにするための拷問室でしかない。
無我夢中で伸ばした手が、無機質な冷たさに触れる。強張った顔で面会に来た兄が置いていった、赤と白のあの器だ。指先で表面をそっと撫ぜる。コーティングされたそこを爪が弾き、乾いた音は僕の呻きに掻き消された。
この中に、確かにあいつらはいた。
今は、もう。
医師――
新しく受け持った患者を一言で表すならば、まさに「手の施しようがない」であろう。
もっとも攻撃的なわけではないし、自傷行為も全く見当たらないから、一見しただけならばかなり穏やかな方であるのは間違いない。実際私も最初に説明を聞いた時、良い患者に当たったものだと胸を撫で下ろした。
だが、問題は別なところにあった。最初にその患者を診察した病院から受けた説明に嘘は無く、確かに患者は一人で泣くだけだった。それは本当なのだ。私や看護師や彼の家族など他の人がいようがいまいが関係無く、彼はふとした瞬間に泣き出した。ごめんなさいと叫びながら涙を流すだけ、彼のすることといえばそれに尽きる。
しかしその「泣く」という行為こそが、彼がここにきた原因であり、同時にこの病棟に委ねられた問題だった。言い方が悪いかもしれないが、こういう場所に来る人たちに涙はつきものである。いきなり泣き出したり悲鳴をあげたり、そういったことで今更驚くこともない。だから彼が泣くのを最初に見た時も、私は慣れた調子で落ち着くのを待っていた。
泣き声に混じって聞こえる彼の言葉も、連絡されたものと同じだった。どんなことを言っているのか簡単にメモを取っていた私は、不意に彼の泣姿に目を奪われた。
そこで感じた。泣いている時の彼は、他の者たちを全く見ていない。
泣いている彼は一人なのだ。どんなに近くに我々がいようと、彼の家族が寄り添おうと彼はそれに気がつかない。この患者はどうしようもなく孤独であり、そしてそのことを嘆くしかないのだ。
そんなことが私の頭に浮かんだ。勿論医師としてそんな自論を振りかざすわけにはいかず、私は彼の治療を少しでも有意義なものにしようと精一杯彼に向き合った。だけどそれは徒労に終わり、後に残ったのはもはや何を言っても涙のきっかけにしてしまう患者と、打つ手も無くなり途方に暮れる私だけだった。
私には理解出来ないことを泣き叫ぶか、虚ろな瞳で空を見つめるか。患者の出来ることといえば、今やそれしか無い。まともな対話が不可能で、病状から原因を探っていくことも出来ないとなると、治療の目処どころか次にとるべき行動さえもわからなかった。
それでもどうにか糸口を掴もうと、私は彼の病室を訪れる。私の存在になど目もくれないその患者は、頬に何筋もの水を流して、ここではないどこかを見つめているようだった。
僕――
医者と看護師がやって来て、何時ものように会話をいくらか交わし、そして溜息と共に部屋を出た。もう見慣れたその光景に、僕は一言も言葉を発することなく黙ってベッドに横たわり続けている。
この病院に来てからも、自室と同じような時間が過ぎるだけだった。僕が何処に居ようと、僕のしたことが無かったことになるわけじゃない。裁きの時は伸ばされ続ける一方で、刻一刻と近づいているのだ。
今しがた去った医者達により外から鍵がかけられた扉を除けば、この部屋と外界を繋ぐ唯一の窓は手の届かない場所にある。綺麗に洗濯されたカーテンの揺れるそこは、心地良い風を部屋の中へと送り込んでいた。
ここにきて、どのくらい経ったのだろう。
流す涙の量が増すにつれて、僕の時間感覚は失われていた。それだけじゃない、なんで自分がこの場所にいるのかとかどうやって来たのかとか、ついには今までの人生すらも曖昧になってきた。覚えているのは輝きに満ちた毎日だったというただそれだけの感覚、抽象的な幸せの系譜。
そして、鮮明に残る罪の記憶。
あいつらを殺したということは、それだけは、忘れられなかった。
忘れるつもりも無いし、忘れることなど許されないということは自覚している。それでも、他の何もかもが僕の頭から消え去っても、あいつらのことだけはじっとりとこびりついていた。素晴らしい仲間が僕にはいたのだという希望、それを自分で壊したのだという絶望。繰り返し、繰り返し思い描いてしまう彼らの姿は、忘れるどころか時を重ねるごとにその色を濃くしているとしか思えない。
きっと、僕は一生そうして生きるのだ。何もかも出来なくなって、何もかもを忘れ去って。この世界の全てが、僕とは違うものに成り果てる。
しかし、それでも、それでさえも。あいつらだけは僕の中に残り続けるのだろう。永遠に、永久に、楽しかったあの日々と、押し潰されるほどに重い罪を僕に遺して。空っぽになった僕の頭で、ずっと、ずっと。
そして僕は、それだけを思って生きていく。いつか下される裁きを待つだけの、いつかの幸せを回顧するだけの毎日だ。死ぬまで続くその時間、僕はあいつらだけを考える。
そうだ。それでいいんだ。
それこそが。
僕に与えられた、罰なのだろう。
「――――――!!」
突然、視界が大きく揺れた。
清潔感のある、外に面した白い壁が轟音と共に崩れ落ちる。さっきまで壁があったそこは唯の空間に成り果てて、澄み渡る青空がよく見えた。断崖絶壁の如く行き止まりになった病室の床に秋風が吹き込んで、シーツを軽く動かしていく。
何が起こったのか理解出来ず、僕は毛布を掴んだまま、次の行動を図りかねる。急に壁が無くなるだなんてありえないと、未だ煙を上げているそこを眺めて思う。
一体何事なんだ。不思議でたまらない一方で、しかし僕は壊れた壁などどうでもいいとも感じていた。
今僕が思うべきなのは、殺してしまったあいつらのことだけ。縛られるべき考えは、背負った罪への苦しみだけ。
だって僕は、決して許されないことを、したのだから、
…………………………、
聞き間違いかと思った。
見間違いだと思った。
そんなはずは、無いのだと、そうとしか思えなかった。
それでも、そいつは確かに俺の目の前にいた。
鋭い咆哮を響かせて、壊した壁の向こうから僕に笑いかけていた。
目の奥が熱を帯びる。歪む視界に映ったそれはまだ嘘だと思えたが、顔に吹き付ける風が痛くて、そうでは無いのだと教えてくれた。
太陽の光に輝く牙。吊り上がった六つの瞳。風を切り、空気を裂く翼。僕の方を向いて笑っている、いくども瞼の裏に描いた三ツ首。
「サザンドラ……!!」
名を呼ぶと、そいつは嬉しそうに首を振った。動きで示されたのは眼下に広がる世界で、みんなもあっちにいるから早く来い、と告げているようだった。
渇いた喉が疑問を口にしたがるが、生憎息にしかならない。何故ここにいるのだとか、お前は死んだはずなのにとか、俺のことを憎んではいないのか、とか。尋ねたいことが山ほどあった。いいたいことも、沢山あった。
それでも、目の前で飛んでいるその姿を見ていると、何も言葉にはならなかった。
毛布から離した手を伸ばす。
ベッドに投げ出していた足を立てる。
幻か、都合のよい錯覚じゃないとしたら或いは、罪人の僕を地獄に連れ行く使者か。三つの首は僕の身体をバラバラに切り刻んで、地の底まで突き落とすつもりなのか。
それでもいいと思った。構わない。
もう一度、こいつに会えただけで、十分だ。
「――行こう、」
罪人は身体を起こす。
愛した仲間に、その身を委ねる。
「お前たちと一緒なら……たとえ地獄の底だって、最高の冒険だ!!」
そして、僕は、
友――
高校時代の友人が、精神を患って病棟に入ったという連絡を受けたのは昨日のことだ。何度か互いの家に遊びに行ったこともある仲で、その時に合ったお兄さんからメールが入ったのだ。面会は出来る状態らしいので足を運ぶことにしたのだけれども、実際に顔を付き合わせるのはいつぶりになるのだろうか。
別々とはいえ、友人も大学に進学した。しかし半年と三ヶ月ほどで通わなくなったようで、もう数年ほど自室に引きこもっていると聞いている。別に深い理由は無いようだ、ただ単に外に出るのが億劫になったという。元々インドア派の奴だったこともあって、ゲームをしたりネットをしたりアニメを観たり、部屋の中で一人過ごしているようだった。
それでも、メールやチャット、通話で交わされる画面越しのやり取りの中で、彼に暗さや鬱のようなものを感じたことは一度も無い。精神病に罹るだなんて、その片鱗すらも見せていないと思う。家族に迷惑をかけているといつでも申し訳なさそうに語っていたといえばそうだけど、その口ぶりは、幻覚などというものとは無縁そうだった。
それが、どうして。そんな考えが頭に浮かぶ。
病棟があるのはひっそりとした緑の中で、いかにも隔離されていますという感じの立地だ。最寄り駅からバスに揺られること数十分、木々に囲まれた白の建物は、有給をもらって休んだ会社が存在している都会の喧騒からはまるで取り残されているかのように静かだった。
外見同様白い壁、白い天井、白い廊下。いくつも並ぶ扉の前を通り過ぎながら、受付で告げられた部屋番号を目で探る。何人かの看護師とすれ違いながら歩くうちに、彼の部屋に辿り着いた。
「…………おーい」
呼びかけて、ノックする。しかし返事はなく、やけに低く思える天井に乾いた音が溶けていくだけだった。
「……寝ているのか?」
少しだけ声量を上げて、ドアを叩く力も若干強めてもう一度呼びかけた。が、やはり返ってくる言葉は無い。どうするべきか一瞬悩み、白の扉を押してみる。
思ったよりも軽い手ごたえ、そしてドアは開いた。
「…………いない、のか?」
ベッドと小さなサイドテーブルだけの狭い、しかし清潔感の漂う部屋はしんと静まり返っていた。声を出す存在は無く、冷たい秋風が頬を撫でていくだけだ。
部屋を間違えたのだろうかと思いながら、ふと、視線をずらす。空のベッドは、先ほどまで人がいたかのような雰囲気だった。そこに無造作に転がっているのは、両手に持てるくらいの大きさをした携帯ゲーム機。
度重なる使用によって光沢の無くなった3DS、それは確かにあいつが使っていたものだった。
好きなゲームに出てくる主要アイテムのカラーをイメージして、あいつが自身で手を加えたゲーム機は赤と白に彩られている。
なんでこんなところに、と思いながら手に取ってみる。裏面に刺さったカートリッジは、あいつの大好きなゲームシリーズの。
「……ルビサファリメイク、明日、出るぞ」
持ち主に向かって呟いた。今ここにあるのは一応は最新作であるXで、あいつは過去出たルビーのリメイクである、オメガルビーの発売を待ちわびていたのだ。勿論俺も買うつもりで、交換も対戦もしようと意気込んでいた。
……いや。それは、前の話だ。
あいつは、大好きなポケモンを断つと言っていたのだ。今生の別れというわけではなく、出戻ることはきっとあるけれど一度やめるのだと、スカイプで話していた。それはこれ以上引きこもり生活を続けないためのきっかけ作りなのだと、まともな人間になったらまた遊ぶのだと。あいつは、そう言った。
そのために、今までの集積であるXのデータも全て消すと、一度リセットしてしまおうと、あいつは確かに言っていた。
その口ぶりは辛そうで悲しそうで、でも吹っ切れていたはずだった。だから俺だって応援したのだ。お前が始めるまでアルファサファイアは待ってるよ、とも言ったのだ。
思えばあれが、あいつと交わした最後の言葉だった。こんなことになってしまって、もしかしたら俺は二度とルビサファリメイクを遊ぶことは出来ないのではないだろうか。そんな考えが、頭をよぎる。
しんみりしても仕方ない、自分に言い聞かせた。縁起でも無いことを考えても何にもならないだろう。とりあえずあいつと会おう、もう一度受付に問い合わせてみよう、と思った時だった。
「……………………」
綺麗に選択されたカーテンを揺らす、優しい風。その入り口となった窓はとても小さくて、両腕を差し入れるだけで精一杯だろう。
ふわりとめくれたカーテンの向こうに、よく晴れた青空が見える。一瞬だけ、そこに何か飛ぶものが横切った気がした。
恐らく鳥か飛行機か、それか見間違いであろうと思う。俺は静かな病室を最後に今一度見回して、ゆっくりと扉を閉めた。
廊下をバタバタと看護師たちが駆けていく。何か騒ぎがあったのかな、と思った俺の耳に、救急車のサイレンが響いてきた。中庭だ、何号室の患者だ、という言葉に不穏さを感じつつも、俺は受付がある一階に降りるエレベーターへと乗り込んだ。
ポーン、という電子音。あいつと遊ぶと約束したルビサファリメイクの発売日は、明日に迫っていた。
「不思議だねえ」と少女が言った。
「何が」と、少年が言った。
秋の冷たい雨が、激しく打ち付ける夜だった。時期が時期なため、元から寒い空気が一層冷え込み、吐く息は白く宙へ上って行く。
二人は季節に似つかわしくない格好をしていた。通りすがりの人間達が、異端者を見る目で彼らを見て行く。
「十二年も経っちゃったんだね」
「そうみたいだな」
「あ、君はDSでも後の方からか。その名前を付けてプレイし始めたのは、BW2からだもんね」
「そういうアンタは、ほとんど初期からだそうだな」
少年が独特の形をした帽子を脱ごうとした。が、隣の少女に止められる。
「ダメだよ。それだ十二年前から続く、君のトレードマークなんだから」
「そうは言ってもな……」
「確かに、今までのキャップに比べたら不思議なデザインだけど、慣れるから」
渋々帽子を直す少年。
「あたし、色んな地方を旅したよ。でもね、一番印象に残ってるのは、ホウエンなの」
「初のフルカラーだったからか」
「初めてのポケモンだったから、かな。諸事情で入手できたのは発売から1年以上経ってからだったんだけど……。
広い大地に広大な海。果ては空まで。今でも、あれ以上に広いフィールドは無かったんじゃないかって思うの」
どうしても分からなくて、攻略本を買ってもらい、水道の多さに目がチカチカした。
見渡す限りの青。ページを捲る度、青が溢れて来る。
御三家しか育ててなくて、レベル85の一匹だけで挑んだ四天王、チャンピオン戦。
ユレイドルに何回煮え湯を飲まされたことか。
「……初めて殿堂入りできた時は、本当に嬉しかった」
「夏休み最後の日だっけ」
「十年前の話よ」
風が吹いた。少女のバンダナが揺れる。
いつの間にか、街を歩く人影はまばらになっていた。
「3DSでリメイクされるって聞いて、どんな風に進化しているのかすごく楽しみだった」
「そりゃあ、当時を知っている奴からすれば、そうだろうな」
「きっと、素敵な冒険が待ってるよ」
初めて遊ぶ人も。
十二年の時を越えた人も。
少女が少年に向かって、右手を出した。
少年も右手を差し出す。
「十二年おめでとう、”ナミ”!」
「どうかホウエンを楽しんでね、”キナリ”!」
朝日が、二人の姿を照らしていた。
――――――――――――
当時の主人公と今の主人公に会話させてみた。
両方予約したので、この二人の名前で遊びたいと思います。
少し浮かれすぎやしねーか、って思ったが許してやった。
明日、ついにマグマ団の念願であるグラードンの捕獲に挑む。マツブサ様だって緊張したような言い方だったし、下っ端どもが浮かれてても仕方ない。
程々にして寝ろと小学生の躾のようなことを下っ端どもに言って、俺はアジトの外に出た。
正直俺も眠気が来ない。ここ一番で失敗してはいけないというのに。少しアジトのまわりを散歩でもするかと少し歩く。
星空が明るくて、余計に眠れなそうだった。先客が俺に気づかずに星空を見上げていた。
「マツブサ様はいいのかよカガリ」
話しかけてみた。カガリにも緊張するとか眠れないとかあるのかと思った。振り向いた顔はいつもの何も感情がなさそうな顔。でもそれは俺にだけなのは重々承知している。
「……特に何も」
カガリの隣に座る。飲むか、とカガリは飲みかけのあったかい缶のココアをくれた。少し寒かったからちょうどよかった。
「……ついに明日だな」
「そうね、マツブサ様の念願もついに叶う」
カガリに本当に感情がないような感じはした。いくらマツブサ様の命令とはいえ、言い渡されたときに取り乱すこともなく、震えることもなかった。ただマツブサ様に選ばれたことを光栄だと言った。
美人なのに誰も男が声かけなかった理由もわかる。そんなカガリに振り向いてほしくて、付き合ってくれと頼み込んだときはバカじゃないかって思った。俺が告白した時も表情が変わらなくて、だめだとしか思えなかったのに、いいわよって言われた時は騙されてるんじゃないかとすら思った。デートしたっていつもと変わりないし、マツブサ様からもらったものが俺のプレゼントより価値高いのは今でも変わらない。それでもカガリと一緒にいて相棒というか戦友のようで、ケンカしたことも、朝を一緒に迎えたことも、マツブサ様からプライベートは構わないと言われたことも、ここにきてたくさんあったなと思い出した。
カガリの手を握った。明日、カガリはマツブサ様と共に潜水艦でグラードンを捕獲しに行く。危険なのは知っている。マツブサ様の命令なのも知っている。けれど俺はカガリに無事に帰ってきてほしくて、知らないところにいってほしくなくて、幹部なのに割り切れていないところが甘いのはわかってる。
「前に言ったけど、すべてにおいてマツブサ様を優先すると幹部になって誓った」
誰もがカガリみたいに割り切れるわけじゃない。不安はあるはずなんだ。その不安を飛び抜けてしまえるマツブサ様という存在と俺の価値は天と地以上の差がある。結局、カガリもマツブサ様の方が好きなんだろうな、って今まで俺の努力はなんだった。
「ホムラ、最後に聞いてほしい。ホムラのことは好きだと思ったことは一度もないけど、ホムラといて楽しかった」
「なにそれ。ショック受ければいいの?感動すればいいの?」
「……ほめてるつもり」
これでも付き合いたての頃よりは言い方が柔らかくなった方だから、カガリと付き合うのって難しい。
ポケモンを撫でるみたいにカガリが頭なでてきたから、もっとくっついてカガリの耳元で言った。
「最後なんて言わないでもっと言っていいんですよ」
カガリはじっと見てきてさらに言った。
「ホムラ好きじゃない」
「そこじゃない」
ーーーーーーー
もう我慢できない!
リメイクホムラかわいすぎか。
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前書き:ほも注意!!!
ほも注意!!!
ほも注意!!!
大事なことなので三回以上いったと思います。
自宅の郵便受けに混じっていた白い封筒とメタモンの切手。色と反対に禍々しいオーラに包まれているのは一瞬にして差出人が解ったからだ。ダイゴは速くなる脈と冷や汗を感じつつ、震える手で封を開ける。
「ほもください」
そんな彼女の声とメッセージが一瞬にして脳内に再生された。
こんな郵便が来た。
写真つきでダイゴはSNSに投稿した。いま流行のソーシャルネットワークサービスは、簡単に知り合いと連絡が取れるので、ダイゴももちろん利用している。友達やリーグ関係者、親しいトレーナーやデボンと特に親しくしている人に限り、プライベートなアカウントを使っている。
ぷちめたもん:きゃー!ほもー!
すぐに返信が来るのは、これが差出人だからだ。ハンドルネームの通りにメタモンの切手を貼って、あんなものを送って来るのはこいつしかいない。ぷちめたもんというハンドルネームを使い、天真爛漫な言葉を投げかける。
出たなほもくれめたもん!
なお、ここから下は画像サービスの規約に違反するので写せない。
そうしてダイゴは改めて送りつけられたものを見た。相当仲良くなければこれは嫌がらせの域でしかない。
なぜなら全裸で抱き合う筋肉質の男と男の合体している絵ハガキだった。
ぷちめたもんことハルカと出会った頃、ダイゴはチャンピオンで彼女はまだ子供だった。少女というより子供だった。そして仲良くなっていき、チャンピオン戦でハルカがダイゴを敗ってから色々変わった。
用事があってダイゴがホウエンを離れていたし、ハルカもカントーやジョウトに遊びにいきがてら旅をしていたので長い間ネットを通じてのやりとりしかしてなかったが、それでも1年に一回くらいは会っていた。その時はまだ気付かなかった。
ホウエンに戻り、デボンのイベントで人手が足りないとSNSに投稿したところ、ハルカが戻ってきてるし手伝うといってくれた。ダイゴの私的な判断なので謝礼が出せないといっても、ハルカは快く了承してくれた。しかし親しい仲もあり、その日の夕食をおごった時にダイゴは気付いたのだ。
「ハルカちゃん!!」
かなり茶目っ気の増した彼女の姿を見つけた。遊びに行こうと誘ったわけでもなく、ただ単に浅瀬の洞窟にふらっと寄っただけなのに、会うとは思わなかった。
「ダイゴさん!久しぶりですぅ!」
再会を祝うかのように笑顔だ。しかしダイゴはまず言わなければならないことがある。彼女の頭に軽くげんこつを落とした。
「久しぶり、じゃないよ! 何送ってるの! 僕がどれだけ処分に困ったか……」
「いったぁ……え、捨てちゃったんですか? ダイゴさんなら喜ぶかと思ったのに」
「……一体どこでどう間違ってこんな風に育っちゃったのか……ねえ、ハルカちゃん。本当はリエって名前なんじゃないの?」
「あたしはあたしですよー! 昔からハルカです! 男の人と男の人がイチャイチャしてるだけで萌え! はぁ、ポケモンのオスとオスでもいいからイチャイチャしてないかなー」
男と男をイチャイチャさせて喜ぶ通称腐女子。誰の影響なのか全く解らないが、気付いたらハルカはほもくださいが口癖になっていた。SNSではずっと彼女の発言はほもくださいで埋まってるか、タマゴが孵化したとかの報告だ。前者8割、後者1割、その他1割。
いくら発言が問題あるとしても、昔からの仲である。生暖かく見守っているが、時折ダイゴにその刃が降り掛かる。男と男が合体している絵はがきが送りつけられるのもその一環だ。
「で、ダイゴさんはいつほもになるんですか?」
「なりません」
ハルカの言葉を借りれば、ダイゴほどのイケメンがほもじゃないわけがない、とのこと。そんなことあるわけないと話しても無駄であった。どうしてそんなスイッチが入ってしまったのか。男性の半数以上が潜在的な同性愛を持っているというが、女性の半数以上がそれを好むのだろうか。考えても考えてもハルカの変化にはついていけそうにない。
ハルカにかまってる暇はない。今日はここに貝殻を取りに来たのだ。同じくハルカもここにタマザラシを探しに来たようで、ダイゴのことにかまってるわけではない。
「タマザラシー、タマちゃんは川住まいのさすらいタマザラシー」
そんな呑気な歌が聞こえてると思えば、ダイゴの背後にタマザラシを抱えたハルカがいる。もう捕獲したらしく、ダイゴの仕事をじっと観察している。
「ダイゴさんみてくださいこの子! 女の子ですよ! きっとほも好きですよ!」
「世の中が全部ハルカちゃんと一緒だと思わないでね」
「そんなことないです! みんなほもくれますもん」
白い貝殻を拾う。その後ろを生まれたてのアチャモみたいにハルカがくっついてくる。
「あー、男はみんなほもになればいいのに」
後ろから念仏のように唱えられて、思わずほもと自分で口にしそうだ。ハルカが勝手に思い込むこと自体は勝手にしていればいいが、まわりに言いふらされては困る。
「わかったからハルカちゃん黙ってて」
「じゃあほものこと考えるー」
と、ポケナビからSNSにつないで何か投稿している。内容は解ってるし読みたくもない。しかしそうしていればハルカは黙ってるので、ダイゴは貝殻を拾うことに集中できる。
頼まれていたものを全て拾う。ハルカは飽きたらしく、岩に座ってSNSに集中している。
「帰るからね」
「あー、待ってー! ダイゴさんお腹空いたー!」
「何があったかな」
この辺りは昔から変わってない。本当にハルカだけが変わってしまったかのように思えた。ダイゴに完全に甘えて来るところや、食べ物の好みは多少苦いものが好きになってきたくらいで変わったことがない。
ハルカのポケナビが鳴る。誰からを見ると舌打ちしてそれを消す。
「いいの?」
「だって勝負する必要ないですもん」
今はSNSで勝負を申し込むような人がいるのか。確かに一番手っ取り早いけれど、いちいち相手していたら面倒なものだ。
ダイゴの家で昼食の片付けをしていると、玄関のチャイムが鳴る。貝殻を頼んでいた張本人がやってきたのだ。
「ミクリいらっしゃい」
ダイゴの友達だ。いろいろあってダイゴの代わりにチャンピオンを引き受けてくれたとてもいい人。元はルネシティジムリーダーで、水タイプが専門だという。とても美形で、ファンはダイゴよりも多い。
「ハルカちゃんも来てるんだ。おいでよ!」
「おや、元気なんだね。お邪魔しようかな」
ミクリが中に入ると、すでに食後のデザートに入ってるハルカに会う。
「あー、ミクリさん!」
「久しぶり。元気そうでよかった」
「やだなー。あたしはいつでも元気です」
プリンを平らげると流しに片付ける。ダイゴが紅茶をいれて、レモンの輪切りが添えられる。
「ところでー」
レモンティーに砂糖を入れてハルカが話を切り出した。
「ダイゴさんはいつほもになると思います?」
ミクリの手が止まる。その場の空気が滞った。
「ハルカちゃんそういうの好きなの?」
「むしろミクリさんはダイゴさんの恋人なんですか!? どっちが攻めで受けなんですか!?」
「……つまりこういうことかな」
ミクリはダイゴのさらに近くに座った。思わずダイゴが身を引いたが、そんなことおかまいなしにミクリは彼の腰に手をまわす。
「キャーーー!! ほもー!!」
「やめてよミクリ!」
「つまりミクリさんが攻めでダイゴさんが受けですか!? それともミクリさんの誘い受けですか!?」
ハルカの目がキラキラ輝いている。ダイゴの目が嫌がっている。ミクリの目は楽しそう。
「こういうのとか?」
空いてる方の手でダイゴの細い顎を掴むと、そのまま唇に触れる。その瞬間、ハルカのとても黄色い声が上がり、ダイゴは全力でミクリを拒否する。しかし女の人の扱いになれたミクリに反抗できるほどダイゴはそんな経験があるわけでもない。
ミクリから唇を放してもらえた時、ダイゴはぐったりとしていた。
バトルフロンティアついたー これからタワーなう
ハルカは久しぶりにまともな書き込みをする。歩きながら高くそびえる塔を見上げる。あの中の何階まで今日は行けるのか。今から楽しみで仕方ない。
めたもんがフロンティアいるなら私も行こうかな
それを見てハルカは舌打ちする。しつこいのだ。何度も何度も。相手をするだけ無駄だ。
前は気合いのハチマキだったから今日は光の粉ほしい
光の粉とか運強いさすがめたもん
お前にぶつける為だ、と心の中で返信をする。本名も知らない誰かにここまで粘着されているとさすがに気持ち悪い。
この類の人間は、ハルカがこのSNSを利用し、知り合ったトレーナーとやりとりを初めてから数ヶ月後に現れ始めた。
ふらふらと所在不明のダイゴともすぐ連絡とれるし、彼氏つまりユウキが遠くまでポケモンの調査に行ってても連絡が取れる。カントーで知り合った友達とも気軽にメッセージを送れる。トレーナーにとってはかなり便利なツールだった。
しかしハルカはチャンピオンにまでなって、有名人となってしまっている身だ。突撃してくるファンは後を絶たず、未成年のハルカに対して非常に性的な発言が続く。気持ち悪いとユウキに何度も相談していた。
中々応えてくれないハルカに対して業を煮やした粘着質ファンからは、罵倒が飛ぶ。誰にでも股を開く尻軽、と。実際は今のところユウキ以外との経験が全くないのだが、そうでもしないと向こうのプライドが保てないのだろう。ハルカをそう貶めることで、そんな女と関われない自分は正解なのだと。ハルカにとってはかなり迷惑であるが。
そんなことを繰り返され、ユウキの前だけではかなり泣いてわめいた。散々泣いた後、ハルカ何もしてねえじゃんと慰めてくれる。いつもはぶっきらぼうな言い方が、この時だけは優しく響いた。
ユウキに抱きつきながらハルカは自分に来たレスを思う。女なんてみんなクソだという男からのメッセージを。
「どうしてこの男は女をクソとかいっておきながら私にやらせろって言うの? そんなに好きなら男は男とやってればいいじゃない」
ハルカは自覚していなかったが、これこそ目覚めの第一歩である。ハルカのことを微塵も愛してない悪意の塊である男へ無自覚の復讐を始めた。
「彼氏いますか?」
男に対してそう言い始めたのである。中にはそういうのに理解をあるフリして近づいて来る人間もいた。
さらにほもくださいと言い始めた。すると大抵が蜘蛛の子を散らしたようにいなくなっていったのだ。
そうして気持ち悪い男は消えていく。やっと快適になったと思った頃、ダイゴがホウエンに戻って来ると言っていたのだ。
「ダイゴさんが帰って来るなら遊べ! カイナの海鮮市でなんかおごれよ放蕩チャンピオン」
「了解。今度の土曜日の夜でいいなら」
「ユウキもダイゴさんに会いたいっていってたんで行くー」
そんなたわいもない約束だった。その後はすぐにハルカが見たポケモンの話に移っていた。しかし悪意というのはどこにでもいるものである。
ダイゴはとてもイケメンの部類に入る。ハルカも見た目はかっこいいと思ってる。変人だけど、悪い人ではないし、仲良くしてくれるお兄さんである。ハルカが初心者の頃はかなり助けてくれたし、今でも様々なアドバイスをくれたりするのだ。
そんなダイゴを本気で恋人にしたいと考える女はたくさんいる。ダイゴ自身があまり覚えてなくても、向こうはしつこく覚えているものだった。
そしてそんなダイゴとSNS上で仲良くしているのを見て、ゲスの勘ぐりをする人間はたくさんいる。こいつが本命の彼女なのではないかと。ハルカからしたら何言ってるんだとしか思えないが、向こうは本気だ。
そんな女が今ハルカにまとわりついているやつの正体だ。光の粉どころかカイリキーで粉砕したいくらいである。向こうはこっちの顔知っているが、ハルカは知らない。しかしハルカにはチャンピオンとなった時のポケモンたちがいるのだ。出て来たら向こうの負けである。
「あたしの彼氏はユウキだし、そもそもダイゴさんと年はなれ過ぎてんだろうが」
そんな愚痴をいっても思い込んだ相手には伝わらない。未成年ハルカの相手は成人だ。こんな大人にはなりたくないと思うばかりである。
あたしもフロンティアいるよー!
バトルタワーの挑戦から戻ると、思わぬ返信にハルカは嬉しくなって返事をする。
まじー!?あとでごはんいこ!
まさか来てるとは思わなかった。ハルカは約束を取り付け、バトルタワーから出て来る。
「リーフ!」
「ハルっち! 久しぶり」
カントーで会ったトレーナーである。リーフという名前のマサラタウンから来た女の子だ。
「最近さー」
レストランにつくなりハルカは話し始める。
「ん、まだいるのダイゴさんのファン」
「まだいるよ。なんか新しいの湧いてる。どこをどう見たらあたしとダイゴさんが恋人なのか説明ほしいわ」
「インターネットだからね、誤解も生みやすいし」
「それにしても誤解しすぎじゃない? そもそもどこでダイゴさんのプライベートなアカウント知ったんだか」
「ダイゴさんが教えたとか? でもそしたらダイゴさんの親しい人たちしかいないよねえ」
「そうなの。だから困ってるんだよね。あたしはただのほもが好きなめたもんだっていうのに」
「メタモンなのはいいけどほもはやめなよ」
「ほもがいいー。ほも。もう男はみんなほもになれ!」
まわりの視線が痛い。そうやってみんな去っていけばいいんだというハルカの心の声が聞こえた気がした。
あの女、親しげに私のダイゴ様と話しやがって。しかもダイゴ様に勝ってチャンピオンになったとか、子供のくせに生意気よ。
嫌がらせしてやる。子供のくせに私のダイゴ様に近づくなんてあり得ない。
すれ違い様に私の落としたハンカチを拾ってくれたダイゴ様。それはもう運命だった。ダイゴ様と結婚するしかないの。それなのにあんな子供が親しいなら、あの子供が手を引くようにすればいいんじゃない。
あー、もうまたダイゴ様と親しくしてる。しかもなんなの!友達とも楽しそうに!
続ければいつかダイゴ様から手を引くでしょ。絶対ダイゴ様は私のものよ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ほもください
そのフレーズで特定の人物が浮かび上がった貴方へ向けるダイゴさんとハルカちゃん。
ダイハルが夢小説で何が悪い私の作風だと言い張った方がいましたので、主人公=自分なら、どんなキャラだって許されるよねという意味も込めて。
これが許せないならその言葉取り消せよ☆って思っています☆
ハルカがネットで気持ち悪いやつらにからまれて疲弊していました。けれどハルカは悟られないよう、ユウキ(彼氏)の前以外ではそのことを言いません。でもミクリは何となくそれを察知しています。
なので実際に会った時に元気だったのと、ほもくらいで喜ぶなら喜ばせてあげようとダイゴを被害者にして応えました。
ダイゴの嫌がりを見てれば解る通りダイゴは気付いてません。ほとんどダイゴが原因なのにね!!
ミクリみたいな男がいるかよ!っていいますが実際います。優しい男はいます。
ハルカみたいな子もいます。っていうかその人がモデルです。
ぼーっとしてる間に年が明けていました。
出現率低いですが、今年もよろしくお願いします。
以下今年の抱負。
01.去年後半は「何もできなかった+何もしなかった」ので、今年はたくさん書きます。
02.シロナとナナミちゃんの新作を書く。
03.ムテヒヌー氏も再び登場させる。
04.ストーリーコンテストにも挑戦する。
05.新しい発見のために読みにも力を入れる。
06.ムウマージを育てる。
07.ハリテヤマをもう一度育てる。
08.ファクトリーヘッドのネジキくんに勝つ(49戦目)。
09.ダッシュハードル76.2秒を更新する。
10.スマッシュゴール16点を更新する。
コメントありがとうございます!
> 読んでてこの曲が頭の中でループして止まらなくなったのだよ
晴れのち曇りのち雨のち雪のち晴れのち曇りのち雨n(ry
> ゴルダックの関西弁の違和感が全くなくてどうしよう
違和感ありませんでしたか! 自信ないので少し安心しました。
> お正月から笑わせてもらいました。
ありがとうございます!
最後にもう一度、コメントありがとうございました!
【無限ループって怖くね?】
あけましておめでとうございます!
☆受験ガンバルゾー
☆あと二ヶ月で解放→ネタ解消に向かう
☆文章力を底上げしたい
☆とりあえず書きたい
お題でもあるドラゴンにも手を付けたいですし!
・頭の中で過発酵気味になっているネタの出力(9割自サイト用)
・あちこちに散らばっている小ネタのまとめ
・死なない
何だかんだ今年が一番忙しい気がしますが、とりあえずの目標と言うことで
少々遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。(震災で被災された東北の方々のことを考えると言っていいのかどうか・・・)
それでは私も今年の目標とやらを書いてみたいと思います。
まずは、去年のログ消失で本棚までもが影響を被ってしまい、他のサイトに掲載しているものが展開を先取りしてしまっている格好のマサト達の冒険ですが、ジョウト第1部をまとめ上げて、第2部、最低でもアサギシティまで進められればと思っています。
本当は去年のポケセン東北オープンにあわせて第1部をまとめられればと思っていたのですが、私自身、とりわけ11月と12月は大変忙しく、執筆する暇がなかったもので・・・(おい
また、これと並行して書いているスペシャルエピソードも2、3作、またエクストラエピソード(オリポケを出している方です)はしっかりと完結できればと思っています。なるべく時間を見つけて書いていこうと思いますので、どうぞ温かい目で見守ってあげてくださいませ。
次は、やはりマサト達の冒険だけにこだわらず、参加している皆様方に負けないほどの完全オリジナル作品でも書ければと思っています。
不定期ながら短編でも書ければと思っているのですが、なにぶん皆様方のレベルが高く、私などとうていかなわないほどの実力の持ち主ですので、なかなか書けずにいます。ですがいつかはストーリーコンテストにも出せる作品を書ければと思っています。
それでは、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
読んでてこの曲が頭の中でループして止まらなくなったのだよ http://www.youtube.com/watch?v=6TQl6wcrs5I
ゴルダックの関西弁の違和感が全くなくてどうしよう
お正月から笑わせてもらいました。
・ペンタブまともに使えるようになりたい
・スキャナーちゃんと使えるようになりたい
・そろそろ……終わらせるべきなのかしら、アレとかソレとか
あとせっかく関西に住んでたんだから、ミツキちゃんの関西弁をきちんと書けるようにしたい。
某探偵マンガの主人公みたいなことにならないようにしたい。
【今年もよろしく】
実生活のことを書くと生々しい感じになるので創作関係だけでorz
一昨年の秋くらいから構想を練っている連作短編を完成させたいです。
当初の目標では去年の夏に完結させるはずだったのにずるずると伸びてしまいました。
もう今年中に完成させないと一生かかっても無理な気がしてきたので、とりあえず書けた所から投稿して行こうと思います。
やっぱり、自分を追い込むための締切って大事ですね。
ロングポケモンストーリーズ版にて、「ナナシマ数え歌」のタイトルで投稿しようと思いますのでお時間のある時に見てやってくださいませ。
月に一回の更新を目標に見切り発車します(
夏までに完結できればいいな(希望的観測
今年もどうぞよろしくお願いします。
今年の目標。
●3月にベスト発行
●野の火完結
●動画公開!
後ろ二つに関しては、ホントは去年時点でなんとかしたかったけど、キャパが足りませんでした。
ま^でも、4年くらい止まってたクジラ博士も完結したし、前には進んでるかなと。
クジラ博士単行本発行によりベストをやるための準備が出来たのは大きかったです。
ベスト発行後、再び夏コミに受かった場合は、野の火の単行本を出したいと考えてます。
九十九さんが、
去年の5月から待たされてる。
8月はカスタニとかいうジジイに出番を持っていかれ、
10月はピジョンが1400匹くらいで押し寄せた。
11月はコンテストで、
12月はまた短編書いてやがる、九十九ってタイトルつければいいってもんじゃねー!
ってだいぶおかんむりなのでそろそろいい加減なんとかしてあげようと思う。
でもその前にベスト。
今年もよろしくお願いします。
明けましておめでとうございます!!
ふつつかな者ですがどうぞ今年もよろしくおねがいしますね!!
さて、まず頑張らなくちゃいけないことは受験ですね。学業の神様で有名なところに行ってきたので、しかもおみくじで大吉引いた(人生初)んで頑張りますよー!!
受験終わったらもう書いて書いて歌って金使ってペンとか買って描いて遊びまくりたいですねぇ。うきうき
あ、あとうちに無線環境付いたんですよ! これで通信とかいっぱいできます!! うっしゃー
あ、あとめちゃ太ったんで三月中に五キロほど落としたいですね。大丈夫です。病気とかにはなりません。むしろ今のままのが……。
そんなこんなで楽しんで行きたいです!!
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