マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.297] 13話 決戦の朝 投稿者:照風めめ   投稿日:2011/04/19(Tue) 00:14:45   78clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

「よし、準備は万端だ」
「いざ戦地へ! だな。早くしないと時間に遅れるかもしれないから早く行こうぜ!」
「いやいや、予定よりもだいぶ早く動いてるから大丈夫だって。恭介は短気すぎるぞ」
「そういえば翔、お前のねーちゃんは?」
「俺達とは別行動で来るってさ」
「じゃあ百合が駅で待ってるから急ごうぜ」
 年明けての一月十日、冬真っ盛りでとても寒い。俺と姉さんが住んでいるボロアパートは冷たい風がよく通る。ストーブを点けないと部屋の中も外も対して差異はない。そりゃそうか。
 ボロい反面に駅からは近い。徒歩三分は結構魅力的である。
 地下鉄の駅に行くと、チケット売り場で長谷部 百合(はせべ ゆり)さんが待っていた。
 長谷部さんはゆったりとした感じの子で、短気な恭介とは逆だ。彼女もポケモンカードをやるらしい。
 白い暖かそうなコートに身を包まれていた彼女を見て羨ましいと思った。一言添えると、恭介がうらやましいわけではなくコートがうらやましい。お古のダウンじゃ限界だ。
「おはよう」
 いくら身は寒くとも、長谷部さんの笑顔を見ると心は暖かくなる気がする。良い子だ。
「おはよう」
 こちらも一言挨拶を返す。
「さて、行くか。忘れ物してない?」
「おう、バッチリだぜ」
「えーと、してないわ」
 切符も買ったし問題ない。いつでも行ける用意は出来ている。
 休日の朝。平日ほどではないが、社内にはそれなりに人はいる。車内暖房のせいもあるが、人口密度のせいでより暑く感じられる。
 当然の如く席になんて座れない。吊り手は満員で、仕方ないから今日のデッキについていろいろ考え事をしていた。隣にいる長谷部さんの少しウェーブがかった亜麻色の長い髪からくる甘いシャンプーの匂いが考え事の妨げとなり、結局ほとんど考えれなかった。
「いつ見てもでかいな」
「こんなところを会場にするなんてさすがは風見だなぁ。ちょっとドキドキしてきたぜ」
「恭介、初戦で負けるなよ」
「翔こそ負けるなよ? なんせお前は……」
 恭介は言葉に詰まる。彼なりに気を使ってくれているのだろうか。
「まあ、とにかく頑張れよ!」



 大会の会場は、野球の試合でも使われるような大きなドーム。
 そのドームにはこの間TECKで使った、3Dマシンが十六台置かれていた。よくもまぁ搬入できたもんだ。
「恭ちゃん、エントリーあっちだって」
 当日参加制のこの大会は、ドーム内でエントリーしないと出場できない。まあ普通だが。
 エントリー申請をする場所では結構な行列が出来ていた。
「翔くんおはよう」
「おっ、拓哉。調子はどう?」
「頑張れるだけ頑張るよ」
「期待してるぜ!」
 拓哉はいつも通りそうだった。向こう側では黒川唯、そして姉さんもいた。
 他に辺りを回すと知り合いが何人かいる。こういうところでは誰かがいるということがとても大事だ。
 エントリー申請をする場所ではエントリーカードと記念プロモカードが渡される。
 エントリーカードには自分の名前、対戦相手の名前、勝ち負けを記入する場所が七箇所あった。七回勝てば優勝なのだろうか。
 一方プロモカードはペラップのカード。公式大会ではないのに中々粋なことをしてくれる。株ポケも絡んでるのかな。



 大会開催時間になった。檀上で知らないおっさんによる開催宣言の後、TECKのうんたらという演説を聞かされる。TECKの社長が風見のお父さんと聞いたのだが、このおっさんは風見と名乗っていなかったので風見の父親ではないようだ。
 スピーチ自体に面白みは一切なかった。だが、おっさんがある程度話きると、ルール説明を始め出す。こっちはちゃんと聞いておかないと。
「諸君が首にしているエントリーカードには勝敗を記入できる箇所が七箇所ある。当然と思うが七回戦える。だが、多少変則的にさせてもらった。よく聞いてほしい。
 諸君は『七回まで戦える』。詳しく言うと、五勝すれば決勝トーナメントに進むことができるのだ。つまり負けていいのは二回まで。
 そして五勝した人全員が決勝には上がれない。早いもの順、先着十六名までが決勝トーナメントに出場可能だ。
 五勝したらエントリーカードをこの壇まで持ってくる。それで決勝進出となる。
 戦う相手はスタッフが放送した番号のエントリーカードを持っているもの同士となる。以上」
 要するに五勝すれば勝ち。対戦相手はエントリーカードの番号によって決まるとのことだ。
 エントリーカードはただの紙だが3Dマシンがバトルを自動処理するらしい。最近の科学の力ってすげー。
 それはともかく、さっさと五勝して決勝へ行かなければ。
 檀上の傍には風見もいる。その風見もこちらに気づき、ふっ、と笑うと控え室へ去っていった。
 風見も大会に出るとかなんとか言ってたのでそのうち会えるでしょう。もし戦える機会があれば……、それはそのときまでの楽しみにしていよう。



翔「今日のキーカードはペラップ!
  アンコールの使い方がキーになるぜ!」

ペラップLv.29 HP60 無色 (PROMO)
無 アンコール
 相手のワザを1つ選ぶ。次の相手の番、その相手は、そのワザしか使えない。
無無無 みだれづき  20×
 コインを3回投げ、オモテ×20ダメージ。
弱点 雷+10 抵抗力 闘−20 にげる 1


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