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  [No.651] 35話 智略のスピードインパクト 投稿者:照風めめ   《URL》   投稿日:2011/08/21(Sun) 08:52:56   70clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 風見杯準決勝第二試合。残す対戦数も僅かとなった。
 俺のバトル場には炎エネルギー一枚、水エネルギー二枚のボーマンダ140/140、サイドは三枚。
 向かいの長岡のバトル場には水エネルギー、雷エネルギが一枚ずつついているスピンロトム70/70。そのベンチにはエレキブル90/100とプラスル50/60がいる。サイドは二枚、やや長岡有利な状況だが、いくらでも巻き返しは効く。
「今度は俺から行かせてもらうぞ。俺の番だ」
 引いたカードはミステリアスパール。ベスト、なカードではないが、ここは手早く使っておこう。
「手札のトレーナーカードを発動。ミステリアスパール」
「なんだそれ。始めてみるカードだぜ……」
「このカードの発動後、俺は自分のサイドを確認して望むならポケモンを一枚相手に見せてから手札に加える。その場合、このカードをオモテにしてサイドに置きかえるカードだ」
 そう言ってサイドを確認。炎エネルギー、フカマル、コモルー。ポケモンは二枚いる。ここはたねポケモンがほしいのでフカマルを長岡に見せて手札に加える。
「フカマル(50/50)をベンチに出して炎エネルギーをボーマンダにつける。さあ、ボーマンダでスピンロトムを攻撃だ。蒸気の渦!」
 蒸気の渦の威力は120。白く強く渦巻く激しいボーマンダの攻撃を正面から食らったスピンロトム0/70は空高く吹き飛ばされ、力なく落ちていく。
「俺は蒸気の渦のコストとしてボーマンダの炎エネルギーと水エネルギーをトラッシュする。サイドを引いてターンエンドだ」
 スピンロトムはポケパワーと特性の効果が相まって、俺のデッキには脅威となる。蒸気の渦はやや勿体無い気がしないでもないが、後を考えれば当然のプレイングだ。
 長岡の次のポケモンはプラスル50/60。低HPのポケモンを晒すという事は、本命であるベンチのエレキブルを育てる為の時間稼ぎだな。
「俺のターン! エレキブルに雷エネルギーをつけてヒートロトム(80/80)を場に出す。そしてプラスルの欲張りドローだ。今、互いの手札は三枚だからカードを一枚引くぜ」
「もう終わりか。ならば俺の番だ。フカマルをガバイト(80/80)に進化させ、ガバイトに炎エネルギーをつける。そしてボーマンダで火炎攻撃!」
 ボーマンダが口から人一人は飲み込めるほどの大きく真っ赤に燃え盛る火球を発し、プラスル0/60を飲み込むようにぶつける。良い感じだ。
「プラスルが気絶したことにより、サイドを一枚引く」
 どうやら長岡のデッキは燃費があまりよろしくない。お陰でこうして壁を作らざるを得ないのは、敵としては非常においしい。長岡の最後のバトルポケモン、エレキブル90/100は果たしてどこまでやるか。
「俺のターン。エレキブルに雷エネルギーをつけて、ポケパワーを発動する。電気エンジン!」
 帯電して電撃をバチバチと散らしながらエレキブルは右手を地面に突き刺し、引っこ抜くとその右手には雷のシンボルマークがしっかり握られ、それが手のひらに吸収されていく。
「このポケパワーによってトラッシュの雷エネルギーをエレキブルにつけることができる。さらに手札の雷エネルギーをエレキブルにつけて攻撃だ。放電! このワザはエレキブルについてる雷エネルギーをすべてトラッシュし、トラッシュしたエネルギーの数だけコイントスしてオモテかける50ダメージを相手に与える大技だ」
「はっ。ボーマンダのHPは120もある。三回全てオモテでも出さない限り倒すことは出来ない」
「だったら三回オモテにすればいいんだろ?」
 思わず聞き返したくなるセリフだった。コイントスは実際にコイントスをするのではなくて機械のスイッチを押して機械が判定を出す仕組みである。よってコインに何かするなどという人為的な作用は一切効かない。
 それで三回ともオモテにする確率は八分の一だ。そんな馬鹿げた事が簡単にあってたまるか、とでも言いたくなる。言って出来れば誰も苦労はしない──。
「ほら、オモテ、オモテ、……オモテだ!」
「馬鹿な!」
 エレキブルが蓄えていた体から迸る電撃が咆哮とともに波動状に飛び散り、向かいのボーマンダ0/140の体を持ち上げるまでの強烈な衝撃を与える。
 俺のベンチにはもうガバイト80/80しか残っていない。切り替えて、こいつをバトル場に送る。
「さあ、サイドを引いてターンエンドだ!」
 ウォッシュロトムの脱水に引き続きエレキブルの放電。本当に何か仕掛けをしたのかと疑いたくなるし、今起こっている状況に目も疑いたくなる。
 運の差は天地のそれそのもの。あいつに比べて俺があるのはカードとの知識と、経験だけだ。
 そう、それだ。俺は自分で考えてデッキを組み、考えに考えてプレイングしている。現に今までその努力の結晶が実を結び勝ち進んできた。それこそ運の左右にも負けないくらいに!
「へっへーん、どうだ風見! 参ったか!」
「その程度で浮かれるようじゃ、まだまだ話にならないな。俺のターン」
 今の手札で可能なことを考える。しかし今の手札だけではパッとしない。いや、今の手札でダメならば新しい手札にすればいいのだ。今、手札には自分の手札が六枚になるまでドローできるデンジの哲学がある。それを最大限に活かすには……。
「トレーナーカード、ポケモンレスキューを発動する。トラッシュのポケモンを手札に加える。俺はガブリアスを手札に加え、ガバイトをガブリアス130/130進化させる。続いてガブリアスに水エネルギーをつけてサポーターカード発動、デンジの哲学。その効果で俺は手札が六枚になるようにカードを引く。さらにこのカードを発動させるとき、任意で手札一枚をトラッシュできる。俺はミステリアスパールを捨てたことにより手札はない。よって六枚ドロー!」
 だがまたしても手札が芳しくない。手札はこれだけあれど、今から新たに何かする事が出来ない。
「ならばガブリアスで攻撃だ。ガードクロー!」
 ガブリアスがエレキブルに向かって、風となるようにダッシュし、右の翼の一振りでエレキブル50/100に襲いかかる。さらに攻撃後、バトル場に戻ってきたガブリアスは両翼を前で交差して守備の動作を取った。
「たった40ダメージくらい、なんてことないぜ。俺のターン! エレキブルのポケパワー、電気エンジン発動。トラッシュの雷エネルギーをエレキブルにつける。さらに手札の雷エネルギーもつけるぜ。それだけじゃない。エレキブルをレベルアップ!」
 エレキブルが光に包まれ、エレキブルLV.X70/120にレベルアップする。なるほど、これが長岡のエースカードか。
「さあ、エレキブルLV.Xで攻撃だ。パルスバリア!」
 エレキブルLV.Xは電気で四角形の壁を作りだすと、それを真正面にいるガブリアスへと押し出す。
「この瞬間ガードクローの効果発動。相手の攻撃を受ける時、ダメージを20だけ軽減する。よってパルスバリアの威力は50だが、ガブリアスが受けるダメージは30! そしてガブリアスのポケボディー、竜の威圧が発動。エレキブルLV.Xの雷エネルギーを手札に戻してもらおう」
「それでもガブリアスの残りHPは100だ。次のターンに電気エンジンをして、今戻したエネルギーをつけなおしてエレキブルLV.Xで放電したら俺の勝ちだぜ?」
 放電はコイントスでダメージを与えるワザだ、確実性に欠ける。……と言ったところでこいつには薬にも何にもならない。おそらく本気でやってみせるだろう。
 しかし恐れていた事態は逃れた。なんらかして先ほどのターンに雷エネルギーをつけられ、放電でガブリアスが倒されることもない、またはエネルギー3つ残したまま俺の番が回っても来なかった。
「果たして、そんなことを俺がみすみすやらせるかと思ったか」
「なんだと?」
「俺のタクティクス、しかと目に焼き付けるがいい。俺のターン! ガブリアスに炎エネルギーをつける」
「待った! その瞬間にエレキブルLV.Xのポケボディー発動。ショックテールっ! 相手が手札からエネルギーをポケモンにつけたとき、そのポケモンに20ダメージを与える!」
 エレキブルLV.Xの尻尾から一筋の電撃がガブリアスにヒットする。ふらついたガブリアス80/130だが、なんなく元の体勢に戻ってエレキブルに向けて構える。
「そんな微々たるダメージは構わない! さあ食らえ、ガブリアスでスピードインパクト!」
 ガブリアスが一瞬にして衝撃波と化して見えなくなると共に爆音が会場に響き渡る。ガブリアスは翼を折りたたんでエレキブルLV.Xに特攻したのだ。
「このワザのダメージは120から相手のエネルギーの数かける20を引いた数値。今エレキブルLV.Xについているエネルギーは一つだけだ。よってエレキブルLV.Xに100ダメージだ」
「100だって!?」
 攻撃を受けて吹っ飛び、仰向けに倒れたエレキブルLV.X0/120が気絶し、消えていく。
「サイドを一枚引いて、これで終わりだ」
 最後のサイドを引くと試合開始の時と全く同じブザーが聞こえる。時計を見れば試合時間はたいした事がないが、もっと長い間戦っていたような気がした。
「なかなか、お前にしては頑張ったほうだな」
「くっそー、自信あったのになぁ。またいつかリベンジだ」
 ふっ、とつい笑みがこぼれた。どこまでも前向きなヤツだ。踵を返し、背中を向けながらこう言ってやった。
「その時を楽しみにしている」
 さあ、後は最後の戦いを控えるだけだ。俺と翔の、因縁の戦いとでも呼ぼうか。決勝を飾るにふさわしい組み合わせだ。



翔「今日のキーカードはガブリアス!
  ポケボディーでエネルギーをバウンスさせて、
  スピードインパクトで決めてやれ!」

ガブリアスLv.71 HP130 無 (DPt1)
ポケボディー りゅうのいあつ
 このポケモンが、バトル場で相手のワザのダメージを受けたとき(このポケモンのHPがなくなっても)、そのワザを使ったポケモンのエネルギーを1個、相手の手札にもどす。
無無 ガードクロー  40
 次の相手の番、自分が受けるワザのダメージは、「−20」される。
無無無 スピードインパクト  120−
 このワザのダメージは、相手のエネルギー×20ダメージぶん、小さくなる
弱点 無+30 抵抗力 ─ にげる 0

───
長岡恭介の使用デッキ
「10000Ω」
http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-672.html


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