マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.816] 58話 痛快 投稿者:照風めめ   《URL》   投稿日:2011/12/14(Wed) 10:32:14   40clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 藤原が勝負を繰り広げようとしている時と同じころ、同じブロックにいた俺こと蜂谷亮も決勝リーグの一回戦が始まろうとしていた。
 対戦相手の名前は沙羅 比香里(さら ひかり)と言うらしく、俺(16)より二つ上の年上のお姉さんである。艶のある黒色の長髪に、スタイルの良さを魅せる紅蓮のライダースーツ。正直カードに対するわくわくよりも違う方向でわくわくが働いて仕方ありません!
「ふっ、これは役得」
 近くで試合を見ている恭介をニヤニヤしながら見つめると、なんか腕でジェスチャーをし始めた。何を伝えたいかは分からないのだが。
 ここは勝負で勝って、「お姉さん、僕がカードの勝ち方をご教授しますよ」みたいなことを言ってそのまま……。
「……。早くしてくんない?」
「へあ?」
 妄想しているうちにお姉さんはバトルテーブルを組み立て、デッキをセットしていた。俺も遅れないようセットする。
 俺の遅さに遅れたお姉さんはポケットから小さな青い箱を取り出し、箱の中身を開けようとした。が、なぜか辺りを見渡しながら箱をポケットに戻す。
 理由は単純。あの青い箱の中身はタバコだ。うちの親父が吸ってる、ピース・インフィニティっていうやつだ。お姉さんもまだ未成年、特にこういう年齢のバレやすい場所で吸うとすぐに注意されたりする可能性があるからな。特に目の前の対戦相手とか。
 代わりに違うポケットから緑の大きな箱が出てきた。アレはプリッツのサラダ味だ。そっちなら問題ないです。
「よし、準備出来た!」
 俺も遅れてデッキポケットにデッキをセットし、シャッフルさせる。手札が七枚引かれ、サイドが六枚セットされる。そして互いに最初のバトルポケモンを選ぶとポケモンが表示される。俺のバトルポケモンはフィオネ60/60、ベンチにはヤジロン50/50。一方で相手のバトルポケモンはロコン50/50、ベンチにはブビィ40/40。
「俺から先攻だぜ。ドロー!」
 一ターン目の先攻はトレーナーカードが使えず、進化もできない。俺の今の手札がゴージャスボール、ポケドロアー+、コール・エネルギー、破れた時空、バトルサーチャー、ミズキの検索となっているだけにほとんどすることがない。
「よし、手札のコール・エネルギーをフィオネにつけてエネルギーの効果発動だ! 自分の山札からたねポケモンを二匹ベンチに出すぜ」
 俺のベンチエリアにビードル50/50が二匹現れる。しかし出したはいいけど、相手は炎デッキっぽいぞ……。どう対処しようか。
「私のターン。手札からスタジアムカードの破れた時空を発動」
 辺りがあっという間に破れた世界への入り口が開いた槍の柱に変わる。この瞬間俺の手札の破れた時空が腐った。よりによって相手が発動かよ。
「破れた時空が場にある間は互いに場に出したばかりまたは進化したばかりのポケモンをさらに進化させることができる。よってロコンをキュウコンに、ブビィをブーバーに進化させる」
 沙羅さんのポケモンが一気にキュウコン90/90、ブーバー70/70へと進化する。全体的にHPの少ない俺のポケモンからすると、大きさもHPも圧迫されている気がする。
「そしてサポーター、地底探検隊を発動。自分の山札のカードを下から四枚見て、好きなカードを二枚手札に加える。その後残りのカードを好きな順番にして山札の下に戻す」
 沙羅さんが手札に加えたカードは俺からでは分からない。地底探検隊のテキストには加えたカードを相手に見せる必要はないからだ。しかし四枚のうち二枚と言えど、ある程度のレベルでチョイスが可能だ。何を引いたのか……。
「キュウコンに炎エネルギーをつけて、ワザを使うわ。炎の宴! 裏が出るまでコイントスをして、表の数だけデッキから炎エネルギーを選んで好きだけ自分のポケモンにつける」
 コイントスの結果は表が三回出てようやく裏、つまり炎エネルギーを三枚自由につけることが出来る。
 キュウコンの周りに炎のシンボルマークが三つ現れて三つともブーバーに吸収されていく。
「私はブーバーに炎エネルギーを三つつけてターンエンド」
「よし、俺のターンだ! 手札からグッズカード発動。ゴージャスボール! 自分の山札からLV.X以外のポケモンを一枚手札に加える。俺はコクーンを手札に加えるぜ」
 バトル場にいるフィオネの隣にゴージャスボールが現れる。ゴージャスボールが開くと、拡大されたコクーンのカードの絵が映し出された。
「更にサポーターカードのハマナのリサーチも使うぜ。デッキからビードルを二匹加えてそいつらもベンチに出す!」
 これで俺のベンチはヤジロンとビードル四匹で全て埋まった。
「ビードルのうち一匹をコクーンに進化させるぜ」
 ビードルのうち一匹がコクーン80/80へと進化する。他のポケモンはポケモンバトルレボリューションみたいな感じである程度各自で動作を取っているが、コクーンだけは微動だにしない。流石だ。
「そしてコクーンに草エネルギーをつけ、フィオネのワザを使う! 進化の願い。自分のデッキから、自分のポケモン一匹から進化するカードを選んでそのポケモンに進化させる。俺はベンチのヤジロンをネンドールにさせるぜ」
 フィオネが両手を胸の辺りで手を合わせると、ヤジロンに淡い光が降り注ぐ。するとヤジロン自身が白く輝きフォルムを変えてネンドール80/80へと進化する。
「よし、ターンエンドだ」
「私のターン。ブーバーをブーバーンに進化させ、ベンチにデルビルを出すわ。そしてキュウコンに炎エネルギーをつける」
 進化したブーバーン100/100と新たに現れたデルビル50/50が壁となる。かろうじてデルビルが悪タイプなのが救いだが、残りが丸ごと炎タイプ。草タイプを主として戦う俺にとっては不利だ。
「キュウコンで攻撃、怪しい炎!」
 九色の火の玉がフィオネの周りを輪のように遊泳し、同時にフィオネに襲いかかる。フィオネのHPが20/60へ一気に下がり、更に火傷のマーカーと混乱の象徴としてフィオネの頭上で幾多の星が回り始める。
「怪しい炎は自分の場のエネルギーの数が相手の場のエネルギーより多いとき、相手を火傷と混乱にする。今の私の場のエネルギー五つ。あんたのエネルギーは二つ。よってフィオネは火傷と混乱になってもらうわ。そしてポケモンチェックよ」
「む……」
 火傷は各ターン終了後に行われるポケモンチェックでコイントスをし、裏ならそのポケモンに20ダメージを。混乱は、ワザを使用するときにコイントスをして裏ならワザが失敗してそのポケモンに30ダメージを与える状態異常だ。
 このコイントスで裏が出ればフィオネは気絶。ベンチが整っていない状況でのこれは出来る限り避けたい。
「せあ!」
 コイントスボタンを押すと、結果は表。ダメージはなんとか免れた。
「ふうー」
 一息つかざるを得ない。肺に溜めていた空気をすべて吐き出す。
「よし、俺のターンだ。手札からグッズのポケドロアー+を二枚発動。ポケドロアー+は同時に二枚使うと効果が変わるカードだ。二枚使った場合、自分の山札の好きなカードを二枚選んで手札に加えることが出来る。もちろんこの効果は、二枚で一回しか働かないけどな。俺はカードを二枚手札に加え、ベンチのビードルを二匹コクーンに進化させる!」
 俺がポケドロアー+の効果で手札に加えたのはコクーン二匹だ。
 ベンチのビードル二匹がコクーンに進化したことによって、コクーン三匹ビードル一匹という割と奇妙な構図が出来あがる。
「そして草エネルギーのついたコクーンをスピアーに進化させる!」
 コクーンが殻の内側から光を発すると、そこからスピアー110/110が現れる。小型ポケモンばかりの俺のベンチにようやく大きめのポケモンがようやく登場だ。
「まだだ、ミズキの検索発動。手札のカードを一枚デッキに戻して好きなポケモンを一枚手札に加える。俺が加えたのはスピアー! ベンチのコクーンをスピアーに進化させる」
 再びベンチのコクーンがスピアーに進化する。だが俺のデッキのエンジンはかかったばかり。相手が強力な炎のビートダウンなら、やられる前にやるまで。
「ベンチのスピアーのポケパワーを使う。羽を鳴らす! 自分のデッキから草ポケモンを一枚手札に加えることができる。俺はコクーンを手札に加え、ベンチのビードルをコクーンに進化させる。そしてもう一匹のスピアーの羽を鳴らすも発動。スピアーを手札に加えてコクーンを進化させる!」
「嘘!?」
 相手もようやく危機感を感じたらしいが、これだけじゃあ止まらない。ちなみに今進化させたスピアーはポケパワー、羽を鳴らすを持つスピアーとは別のスピアーだ。シリーズ分けで呼ぶなら、羽を鳴らすのスピアーがスピアー(DPt2)で、今進化させたのがスピアー(DP4)。
「更にネンドールのポケパワーを発動。コスモパワー! 手札を一枚か二枚デッキの底に戻し、手札が六枚になるようにドローする。俺は手札を一枚戻すことによって今の手札は0。だから六枚ドローだ!」
 これで残りデッキ枚数は三十。
「貴女が発動させてくれた破れた時空のお陰でおお助かりだぜ。更にベンチのコクーンをスピアー(DP4)に進化させ、そのスピアー(DP4)に草エネルギーをつける。そしてフィオネのコール・エネルギーをトラッシュしてベンチに逃がし、草エネルギーのついたスピアー(DP4)と入れ替える!」
「くっ」
 フィオネがベンチに逃げることで、混乱と火傷が回復する。これでいつ気絶するかわからないハラハラする状況は防ぎきった。
「スピアー(DP4)でキュウコンに突撃だ! 皆で襲う!」
 バトル場のスピアーがキュウコンに向かって襲いかかる。それを号令に、ベンチにいる他のスピアー三匹もキュウコンに飛びかかる。
「皆で襲うは俺の場にいるスピアーの数かける30ダメージを与えるワザ。今俺の場にはベンチにいるスピアーが三匹、そしてバトル場にいるスピアーが一匹。よって合計四匹。与えるダメージの累計は120だ!」
 スピアーの突撃から身を守っているキュウコンのHPバーはあっという間に0になり、その場に崩れ去る。
「やるね。私はブーバーンを新たにバトル場に出すわ」
「よし! やられる前に勝負を決めるぜ! サイドを一枚引いてターンエンド!」
 ふう、一時はどうなるかとひやひやしたけどもなんとか捲き返せそうなとこまで試合を運んでやったぜ。
 俺だってまだポケモンカードを始めて二ヶ月くらいだけど、やればここまで出来るんだ!
 満更でもない表情でチラと後ろにいる恭介を見つめる。予想通り驚いた顔をしているあいつを見れてなかなか痛快だ。



蜂谷「今日のキーカードはスピアー!
   ベンチにスピアーを集めれば、
   草エネルギー一個で120ダメージも与えれるんだぜ!」

スピアーLv.41 HP110 草 (DP4)
草  みんなでおそう
 自分の場の「スピアー」の数×30ダメージ。
無無無  ダブルニードル 50×
 コインを2回投げ、オモテ×50ダメージ。
弱点 炎+30 抵抗力 − にげる 0

───
蜂谷亮の使用デッキ
「ハイパービートスピア」
http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-756.html


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