マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.730] 44話 再会 投稿者:照風めめ   《URL》   投稿日:2011/09/21(Wed) 10:24:48   70clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

「翔、久しぶり」
「……誰?」
 首の辺りまでボサボサに伸びた髪と茶色の暖かそうなダウン、そして青色のジーンズ。デジャヴがまるで起きない。顔もこれといって目立つほくろとかもないようだし、本当に誰かわからん。
「俺だよ俺」
「ワリオだよ?」
「ちっがーう! 石川薫だ。確かにそのフレーズは知ってるけど」
「ああああああ! 思いだした」
 ようやと思いだした。風見杯決勝トーナメント二回戦で戦った石川薫だ。こいつ、一人称が「俺」だけど女なんだよな。
 にしても雰囲気がだいぶ違うように思える。前回はボサボサは同じだがもっと短髪で、風見杯はまだ十二月くらいなのに半袖半ズボンと季節違いも甚だしい格好をしていたのだが、今回はちゃんと季節をわきまえている。進歩だ。
「ってどうしてここに。家が近所なの?」
 風見杯は一応大会だ。ちょっと遠場でも無理してくる人が多いのだがこんなカード屋に来ると言う事は近所だろう。念のために聞いてみる。
「うん。ここまで電車で二駅」
「電車ってこの辺じゃあ……JRか。でもJRからまた歩かなきゃならないじゃん?」
「足がある」
「なるほどね」
 呆れた反面、なんとなく納得してしまった。中身は前から変わらずと言ったところか。
「その制服……。翔は平見高校なのか?」
「そうだけど」
「実は俺も二カ月したらそこに通うことになるんだぜ!」
「へえ。平見高校かあ。……ってえええ!?」
「で、今日は制服採寸の帰りだ」
「あーなるほど。だから今日体育館使えなかったんだな」
 ここまで喋って立ちっぱなしだったということに気づく。石川の目の前の席に着いた。
 制服採寸といや、そういえばこいつ女子だから一応スカートか。全然想像できんというのはある意味すごい。ちょっと見てみたいな。
「ここで会ったのも折角だし、やろうよ」
 と、石川が鞄からデッキを取り出す。枚数的にハーフデッキだな。
「よし受けよう」
 俺も鞄からデッキケースを取り出して応手する。石川がひいたプレイマットの上に、シャッフルしたデッキを置いて、手札、ポケモン、サイドの用意を整える。
「先攻は翔からだ」
「よし。俺の先発はヒトカゲ(60/60)だ。そっちはトリデプスGL(90/90)か、相変わらず化石が好きだな」
「そりゃあ、好きなモノは好きだからな」
 そう言って、石川はニッと笑って見せる。それにしてもやっぱり笑うとちょっと可愛いな。傍に思いつつヒトカゲに炎エネルギーをつける。
「ヒトカゲの助けを呼ぶでデッキからヒノアラシを手札に加えるぜ」
「よし、俺のターンだな。って勝負やってるけど連れが来たら帰らなくちゃいけないんだよな」
 とか言いつつしっかりベンチにたての化石50/50を置き、それに鋼エネルギーを乗せる。
「俺の番は終わりだ」
「連れ?」
「ああ。俺の友達で一緒に平見高校行くことになってるヤツだ。下でカード見てると思うぜ」
 ヒトカゲをリザード80/80に進化させ、ヒノアラシ60/60をベンチにだす。続いて炎エネルギーをリザードに乗せて手札のゴージャスボールを石川に見せる。石川が頷いたのでデッキからヒトカゲを選び出す。
「へえ。名前は?」
 デッキをシャッフルし直しヒトカゲ60/60をベンチに出した。
「よし、攻撃する。叩きつけるだ」
 テーブルの端のコインを取ってトスする。
「向井ってやつだ。こないだの風見杯にも出てたんだぜ」
「向井……? どっかで聞いたことあるような……。オモテ、ウラだから30ダメージ。そんでもって弱点で二倍になって60ダメージだな」
 たたきつけるはコインを二回投げ、オモテの数かける30ダメージのワザだ。そしてトリデプスGLは弱点が炎なので、二倍である60ダメージをくらうことになる。これで残りHPは20/80まで一気に消耗、次のターンは倒せるだろう。
「あああ! そうだ、向井ってどこかで聞いたと思ったら風見杯で姉さんと戦ったヤツか!」
 石川は鋼エネルギーをたての化石につけ、化石にタテトプス80/80を重ねて進化させ、そしてママのきづかいを俺に見せる。ママのきづかいは山札からカードを二枚引くサポーターカードだ。石川はその通り二枚山札から引く。
「あの人お姉さんなのか! 翔と同じ名字だったからもしかしたらと思ったらそうだったんだな。ターンエンドだ」
「そういやお前には兄弟姉妹いるのか?」
 俺はリザードをリザードン140/140に進化させて炎エネルギーをつけ、サポーターのハンサムの捜査を発動する。俺は石川の手札を見せてもらい、自分の手札を戻して五枚までカードを引く。
「いないぜ」
「そうなのか。リザードンの、炎の翼で攻撃。ポケボディーの火炎の陣の効果で、俺のベンチに炎タイプのポケモンが二匹いるからワザの威力は20アップだ。30に20足してそれを二倍、100ダメージだ」
「やるね! 兄弟ってどんな感じ?」
 石川がトリデプスGLをトラッシュし、ベンチのタテトプスを場に出す。俺はサイドを一枚引いて、自分の番を終わらせる。
「そーだなぁ。まあ家によってマチマチじゃないか?」
 石川がタテトプスをトリデプス130/130に進化させ、鋼エネルギーをつける。そして達人の帯をつけた。むう。
「まあそうだけど、翔のところはどうだ、って聞いてるんだ」
「俺のとこは姉さんが俺を助けてくれてるって感じかな。喧嘩なんて小学校出て以来したことないからな」
 トリデプスは鉄壁というワザをもつ。このワザは30ダメージだが、コイントスをしてオモテなら次の番ワザによるダメージや効果を受けない。
 達人の帯の効果でトリデプスはHPとワザの威力が20増えるので、トリデプスのHPは150/150。さらに鉄壁を食らうとリザードンは残りHPが90/140になり、次の俺の番はダメージが与えれないので何もできない。そして次の石川の番にまたエネルギーを一つつけられるとアイアインタックルを食らうと80ダメージ。達人の帯でさらに20ダメージ加算され100ダメージをリザードンが食らうことになり、リザードンが気絶してしまう。
「なるほどね。鉄壁攻撃。トスは……オモテ」
「うわっ、これはめんどいな」
「ラッキーだぜ」
 鉄壁の効果でトリデプスは全てのダメージをシャットダウン。これでは攻撃したくても出来ない……。
 いや、しかし鉄壁を破る方法はいくらでもある。
「俺のターン。ワープポイントだ! 互いのバトルポケモンを入れ替える。お前のベンチにはポケモンがいないからそのままだが、俺はベンチのヒトカゲをリザードンと入れ替える」
「何のつもりだ」
「ヒノアラシをマグマラシ(80/80)に。ヒトカゲをリザード(80/80)に進化させ、リザードに炎エネルギーをつけてターンエンドだ」
「ちぃ。手札の鋼エネルギーをトリデプスにつけて……」
 詰んだな。俺の手札にはリザードンがある。次の番に進化させればリザードのHPは更に140まで上昇する。
 石川がこの状況を打開するには鉄壁で三回連続コイントスを成功させなければならない。
 というのも、鉄壁を三回連続で成功させてリザードもといリザードンを倒さなければベンチのリザードンがトリデプスを一撃で焼くことが出来る。
 勝つ確率はまさに八分の一、だが──。
「あーもう、何考えてもダメだぁ! 降参だ降参! 無駄に運使いたくないし」
「おっと、辞めちゃうのか。ま、また高校とかで会ったらまた相手になってやるよ」
「その前にPCCがあるだろ、そこで勝負だ」
 階段の方から複数の足音が聞こえる。恭介達だろうか? ベストタイミング、と言ったところかな。
「石川もPCC出るのか。でも戦えるかどうかは分からないぞ」
「きっと戦うことになるさ。なんとなく」
 そう言って石川は今度はニヤリと笑うと、手早く荷物を鞄に片付けて立ち上がり、階段に向かった。
「それじゃあまたな」
 階段から現れた足音の主は知らない大人二人と向井だった。予想とは全然違ったじゃん。
 それよりも大人二人はともかくとして、たまたま目が合った向井はこちらに一礼すると、石川にひと声掛けて共に階段を降りて行った。
「……。PCC、楽しみが増えたな」
 一人でカードを片付け、硬いパイプ椅子にもたれて誰に向けてでもなく呟く。今度ははっきりと聞き覚えのある声が階下から聞こえてきたので自分も荷物をまとめることにする。
 下からガヤガヤ声を立てながら興奮してやってきた恭介と蜂谷を叱りながら俺達は家路に着くことにした。



薫「今回のキーカードはトリデプス。
  鉄壁で守りつつ、アイアンタックルで攻撃!
  ポケボディーもなかなか優秀な俺のカードだ!」

トリデプスLv.56 HP130 鋼 (DPt1)
ポケボディー きんぞくしつ
 このポケモンに「ポケモンのどうぐ」がついているなら、ポケモンチェックのたび、このポケモンのダメージカウンターを1個とる。
鋼鋼無 てっぺき  30
 コインを1回投げオモテなら、次の相手の番、自分はワザのダメージや効果を受けない。
鋼鋼無 アイアンタックル  80
 自分にも30ダメージ。
弱点 炎+30 抵抗力 超−20 にげる 4


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