マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.836] 69話 無から有を 投稿者:照風めめ   《URL》   投稿日:2012/01/04(Wed) 22:26:52   37clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 手札が0。
 カードゲームでは果てしなく無謀に近い行為だ。手札が0ということはやることがない、出来ることが無いというのと同意。しかし目の前にいる中西さんは簡単にやってみせた。
 僕の場には闘、鋼、特殊鋼エネルギーがついているメタグロス40/110とベンチにはヌマクローとネンドールどちらも60/60。
 中西さんの方にはエネルギーリンクと水エネルギー三つつけた色違いのミロカロス40/60と、ベンチシールドのついたネンドール60/60、エネルギーリンクのあるミロカロス10/60とカゲボウズ30/30がいる。
 全体的にHPが少ないのは僕のメタグロスのポケボディー、グラビテーションのせいだ。全てのポケモンの最大HPが20ずつ下がるという特徴あるポケボディー。
 しかしこれより強烈なのは中西さんの色ミロカロスのポケボディーだ。アクアミラージュは手札が0枚の時、相手のワザのダメージを受けない。さっきも述べたが今の中西さんの手札がそれだ。つまりダメージを与えれない。
「このままじゃあ……。僕のターン!」
 ……。今引いたカードはミズキの検索。このカードで何が出来るか。
「長考かい? まあ軽率な行動をせずにじっくり考えるのはとてもいいことだね。でもこのハンドレス(手札0)コンボを攻略出来るかな?」
「ここは運否天賦で! ヌマクローのポケパワーを使います。飛び込む!」
 デッキポケット横のコイントスボタンを押す。コインが回転するアニメーションが出る。そしてその結果は。
「オモテか……」
 もしこれでウラだったら万策尽きていた。ほっと胸を撫でる。
「このポケパワーはコイントスでオモテだったときに効果を得、自分のバトル場のポケモンのエネルギーを全てヌマクローにつけかえてヌマクローとそのポケモンを入れ替える!」
 メタグロスがベンチに戻ると、ヌマクローが水泳の飛び込みの要領でバトル場にやってきた。ヌマクローはメタグロスの鋼、闘、鋼特殊エネルギーを引き継いだが、鋼特殊エネルギーの効果は当然受けることができない。
「? これが一体……。ヌマクローのワザでは私のミロカロスは突破できない上に次の私の番に攻撃すればヌマクローは気絶なのだけども」
「もちろんこれだけじゃないですよ。ミズキの検索を発動。手札を一枚戻してデッキからラグラージを加え、進化!」
 ヌマクローの体が光に包まれ大きくなり、ラグラージへ変わっていく。足はもちろん両手を地につけてから雄たけびをするパフォーマンスも中々良い。
「なるほど、ラグラージのHPは130。正しくはメタグロスのグラビテーションで110/110になるけどもこれでなんとか次の番は凌げるね」
「それだけじゃありませんよ」
「……?」
「ラグラージに水エネルギーをつけて手札を一枚戻しネンドールのコスモパワー! 今の手札が二枚だから四枚ドロー。そしてベンチにミズゴロウ40/40(グラビテーション計算済み)を出して、ラグラージで攻撃! 引きずり出す!」
 ラグラージは僕のバトル場から跳躍して相手の場へと向かう。
「攻撃? 私の色ミロカロスは───」
 しかしラグラージはその色ミロカロスの上を通過し、ベンチで控えている普通のミロカロスに地面に着く際に拳でハンマーのように殴りつけた。ズシンと会場震える程の音で勢いよく殴りつけられたミロカロスは気を失い、さらにラグラージはミロカロスを掴むと乱雑にバトル場へブン投げる。場所を失った色ミロカロスはベンチへ仕方なく下がるしかなかった。
「これは……」
「ラグラージの引きずり出すはダメージを与える前に相手のベンチポケモンを一匹を無理やりバトル場に文字通り引きずり出すことが出来るワザ。これならアクアミラージュをかわして攻撃出来る!」
 中西さんは参ったなと顎を撫でた。引きずり出すは威力30のワザだが、虫の息だったミロカロスを倒すには十分だ。中西さんは懲りずに色ミロカロスをバトル場に出す。
「サイドを一枚引いてターンエンド」
「いいね。私のターン。……それじゃあ私もネンドールのコスモパワーだ。手札を一枚デッキの底に戻し、手札が六枚になるようにドローする」
 今の中西さんの手札は1枚、それを一枚戻してからドローなので六枚ドロー。だけど何故ハンドレスをやめる? 手札を六枚消費するのは中々骨で、ポケモンカードならたねポケモンがいないのに進化ポケモンが来ると詰んでしまう。
「私はカゲボウズをジュペッタ70/70(グラビテーション計算済み)に進化させる。そしてレックウザC80/80(同じく)をベンチに出そう」
 グラビテーション下でたねポケモンなのに80/80なんて、なんてHPの高さだ。
「更にレックウザCにエネルギーリンクと超エネルギーを一つつけるよ」
 あっという間に残り手札が二枚。でもこの二枚を処理するのは流石に厳しいはず!
「ここでジュペッタのポケパワーだ。癇癪!」
 合図と共にベンチでジュペッタが一人暴れだす。しかしそれは誰に向けられたものでなく、自分を傷つけるだけであった。ジュペッタのHPが50/70へ、20下がる。自分を傷つけるポケパワー、一体どういうことだ?
「この癇癪は自分の手札を好きなだけトラッシュし、トラッシュした枚数分のダメージカウンターをこのジュペッタに乗せるんだ。私は残りの手札二枚をトラッシュしてジュペッタにダメージを与えたと言う訳だ」
 リスクはあるもののきちんとそういうための策も取ってあると言う事か。トラッシュされたカードはカゲボウズ、マルチ・エネルギーの二枚。そして中西さんの手札は再び0となった。
「それでは攻撃。ミロカロスで引き潮だ」
 色ミロカロスに乗っているダメージカウンターは依然二つ。80から20引かれた60ダメージがラグラージに襲いかかり、HPは50/110となる。このままでは次のターン気絶してしまう。
「さあ、君のターンだ」
 いや、気絶してしまう。というトラップか! よくよく考えればそれは必然じゃあないか。色ミロカロスにダメージを与える方法は意外と簡単なところにあった。問題なのは自分の場ではそれをやるだけの役者が揃っていないということ。
「僕のターン、ドロー!」
 引いたカードはアンノーンQ。このカードを使えばやろうとしていることが案外簡単にできるかもしれない。
「アンノーンQ10/10(グラビテーション計算済み)をベンチに出します」
「HPがたった10……」
「そしてダンバル30/30(グラビテーション計算済み)を出してこいつに鋼の特殊エネルギーをつけます。さらに破れた時空の効果でダンバルをメタング60/60(計算済み)に進化させ、ネンドールのコスモパワー。手札を二枚デッキの底に戻して四枚ドロー。そしてアンノーンQのポケパワーをここで使います。QUICK!」
 ベンチでぼんやりとしてたアンノーンQは指令と共にバトル場のラグラージによると、そのまま背中に張り付いた。まるでアンノーンQがシールになったかのようだ。
「QUICKは1ターンに一度このポケモンについているすべてのカードをトラッシュしてこのポケモンをポケモンの道具として自分のポケモンにつけることができる。このカードをつけているポケモンの逃げるエネルギーは一個分少なくなる。だからラグラージの逃げるエネルギーは二から一へ下がるんだ。そしてラグラージの特殊鋼エネルギーをトラッシュしてベンチのミズゴロウと入れ替える。ターンエンド!」
「ミズゴロウ……。なるほど、確かに」
 中西さんはまるで出したクイズの答えを当てられたかのような表情をする。
「私の色ミロカロスが相手を気絶してサイドを一枚引くとなると私に手札が発生する。そして色ミロカロスのアクアミラージュは効果を失う。確かにその通りだ」
 だがその顔には余裕がある。
「私がその辺の対策をしていないとでも?」
 一気に血の気が引いた気がする。そして積み上げたものが一気に瓦壊したような。
「それでは私のターン。エネルギーリンクの効果で色ミロカロスについている水エネルギーを二つ程レックウザCに動かそう」
 色ミロカロスとレックウザCについている装置が共鳴しあって、色ミロカロスについている水シンボル二つがレックウザCに移る。
「そして水エネルギーを一つトラッシュして色ミロカロスをベンチに逃がし、レックウザCをバトル場に」
 わざわざ色ミロカロスを控えるのか。そこまで大事にするのは、色ミロカロスが中途半端なダメージを受けると邪魔にしかならないからだろう。確かにそうだ。それが定石だ。自分目線でしか考えれていなかった。
「レックウザCにマルチ・エネルギーをつける。このカードは、これ以外の特殊エネルギーがついているなら無色1個ぶんにしかならないが、そうでなければ全てのタイプのエネルギー1個分として働く。レックウザCで竜巻攻撃」
 中西さんはワザの指定と同時にコイントスを二回行った。ウラ、オモテ。その判定が終わるとレックウザが強力な風を吹き起こす。それはバトル場で一つの竜巻となって、ミズゴロウの体を飲み込んでいく。暴風の中でぐるんぐるんと回され、終いには空高くはじき出されたミズゴロウはそのまま地面に打ち付けられてHPバーを0にする。
 テキストを確認するとこの竜巻というワザは威力50のワザで、二回コイントスしてオモテの数だけ相手のエネルギーをトラッシュしてしまうものだ。ただし二回裏だとこのワザ自体が失敗してしまう。決して安定したワザとはいえない。
 全ての予定がこれで狂ってしまった。しかしここはラグラージでいくしかない。
「さて、サイドを一枚引いてターンエンドだ」
「僕のターン!」
 あのレックウザCを一撃で沈める方法はあることはある。しかしその条件が、そのためのカードが引けない……!
「くそっ、どうしよう」
 今の手札はミズキの検索、ポケモンパルシティ、ネンドール、破れた時空、水エネルギー、鋼エネルギー、ラグラージ。どうにかしないと。どうにかしてチャンスを作り出さないと。
「ミズキの検索を使って、手札を一枚戻してメタグロスを手札に! それでメタングを進化だ」
 ラグラージをデッキに戻してメタグロスを加え、そしてメタグロス110/110(グラビテーション計算済み)に進化。しかしメタグロスのグラビテーションは重複しなのでHPが40減ることはなく、20しか変動がない。
「破れた時空をトラッシュし、新しいスタジアムカードのポケモンパルシティを使う」
 周りの風景が元の会場に戻ると、間髪入れずにポケモンがモチーフとなった建物が並ぶ街並みに変わった。ピカチュウの顔の形をした家や、あちこち空にモンスターボールのバルーンが浮かんでいる。
「そしてパルシティの効果発動。各プレイヤーは自分のターンに一度、デッキの上からカードを七枚確認してその中のたねポケモンを好きなだけベンチに出すことが出来る」
 しかしベンチに出せるたねポケモンがない。確認した後、シャッフルさせる。これで僕の手札は四枚。
「ネンドールのコスモパワー。手札を二枚戻し、四枚ドローだ」
 手札の水エネルギーとネンドールを戻してこのドローに賭けてみた。しかし結果はうまい事行かず。
「ぐっ、水エネルギーをラグラージにつけて押し倒す」
 ラグラージは、レックウザCに向かって走り出すと途中で飛びかかった。そのままショルダータックルをかましてレックウザCのバランスを崩すと、気合いのこもった右拳がレックウザCの体に打ち込まれた。強烈な攻撃を受けたレックウザCは思わずバトル場に倒れ伏し、そのレックウザCの背の上にラグラージが立っていた。辛そうなレックウザCのHPは気絶手前の10/80。
「このワザの元々の威力は60だけど、このカードについている闘エネルギーの数かける10ダメージ追加される! 合計70ダメージだ」
 本当はさっきのコスモパワーで闘エネルギーを引くことができ、それをラグラージにつければ80ダメージ与えれてレックウザCを気絶させることができたのだが、闘エネルギーを引くことができなかったのだ。
 だがしかしラグラージにはルートプロテクターというポケボディーを持っていて、進化していないポケモンから受けるワザの威力を20弱める効果がある。再び竜巻攻撃が来ても50−20で30ダメージだけ。ラグラージは凌ぎきることが出来る。
「それでは私のターンだ。ミラクル・ダイヤモンドを発動」
「ミラクル・ダイヤモンド!?」
 これも超レアなプロモカードだ。ミステリアス・パールといいとても珍しいカードを持っている。
 そしてミラクル・ダイヤモンドのカードは自分のサイドを全て確認し、その中にあるトレーナーのカードを一枚手札に加えることができ、加えた場合このミラクル・ダイヤモンドを表向きにしてサイドに置くというものだ。
「ミラクル・ダイヤモンドでミズキの検索を手札に加え、早速使うよ。手札を一枚戻してレックウザC LV.Xをデッキから加えてレベルアップだ!」
 バトル場のレックウザCが力に溢れた輝きを放つ。残り僅かしかなかったHPも、30/100とまだある程度まで増やした。しかし問題は威圧感を強く放っていることだ。なんていう力強さを放つカード。
「さて、再び私の手札は0」
 中西さんはまるで可愛い幼子を遠目で見るような微笑みで僕を見つめる。
「ポケモンカードでの最大火力を御見舞してあげよう」



向井「今回のキーカードはラグラージです。
   ルートプロテクターで相手の攻撃を防ぎつつ、
   引きずり出して押し倒すパワースタイルがウリです」

ラグラージLv.60 HP130 水 (DPt3)
ポケボディー  ルートプロテクター
 このポケモンが受ける、相手の「進化していないポケモン」のワザのダメージは、「−20」される。
水無無  ひきずりだす 30
 のぞむなら、ダメージを与える前に、相手のベンチポケモンを1匹選び、相手のバトルポケモンと入れ替えてよい(新しく出てきたポケモンにダメージを与える)。
水無無無  おしたおす 60+
 自分の闘エネルギー×10ダメージを追加。
弱点 草+30 抵抗力 − にげる 2

───
おまけ・ポケカ番外編
「芸能人事情2」
恭介「俺さ、昨日家の近くのコンビニではんにゃの二人にあったんだ!」
翔「また芸能人ネタかい」
恭介「俺ほど芸能人に会う人はいねーだろー!」
翔「芸能人っていうかお笑い芸人ばっかじゃん」
恭介「一応芸能人じゃん!」
翔「俺はこないだ知念君を見かけたぜ」
恭介「お前もジャニーズばっかだろ!」
翔「知らんよ! なんで俺に言うの」
恭介「なあ蜂谷、お前も何か言ってやれよ!」
蜂谷「俺はこないだ上野公園でアンガールズの田中見かけたから声をかけたら苔食わされた」
翔&恭介(なんでいちいち声かけるのかな……)


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