マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.769] 49話 二人目 投稿者:照風めめ   《URL》   投稿日:2011/10/09(Sun) 12:28:48   49clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 松野さんの家まで逃げてきたというのになぜか久遠寺麗華が俺の目の前にいた。それがあまりに衝撃過ぎて、扉を閉めるのも忘れてしまう。
 呆気にとられていると、何事かと様子を見に来た松野さんが玄関にやってくる。
「風見くん……。折角お料理作って待ってたのに、他の女の人のところに行くなんて」
 非常に嫌な予感がする。俺が言葉を返す前に、ふと横を抜けて俺の前に現れた松野さんが先制する。
「ふーん。この子が言ってたストーカーね。風見くんも迷惑がってるからやめたら?」
 挑発するような態度で言い寄ると、眉を引きつらせて久遠寺が激昂する。
「くっ、風見くんはなんでよりにもよってこんなチビを選ぶのよ!」
「チビィ? 頭の容量の小ささは貴女の方がトップクラスね」
 松野さんは前も触れたが小学生並に身長が低い。そのことがコンプレックスにならざるを得ず、触れられるとどうしてもやや冷静さを欠いてしまう。が、冷静さを欠いたのは久遠寺もどっこいのようだ。
「何よこのチビ! わたくしと比べたら家柄は確実に下でしょう」
「家柄とかはどうでもいいの。問題は風見君の気持ちよ」
「えっ?」
「私か、彼女か。どっちがいい?」
 悪戯っぽく俺に笑いかける松野さん。ああ、遊んでるんだな。その向こうでは久遠寺のきつい眼差しが光る。
 どちらにせよ俺は久遠寺を選ぶことは出来ないんだから、答えは決まっている。
「松野さ──」
「そうね、どうしても私から風見君を引き剥がしたいなら、丁度あなたが持って来てくれてるんだから対戦して決着をつけましょう」
「対戦?」
 言われて久遠寺の左手を見ると、どこから持ち出したのか俺のバトルベルトと、もう一つ別の黄色のバトルベルトが握られていた。
「ふふっ。いいわ、それじゃあわたくしと早速勝負よ」
「そう言ってくれないと。と、いうことで風見くんよろしくね」
「え、俺ですか?」
「だって風見君のバトルベルトでしょ? それに風見君の問題だし」
「いや、俺は──」
 背を向けて部屋へ戻ろうとした松野さんに手を伸ばそうとすると、振り返った松野さんから俺のデッキケースが飛んできた。
「……」
「家の中じゃ狭いから、このマンションの駐車場の屋上とかどうかしら。そこなら一番近くてバトルベルトを使う広さがあるはずよ」
「いいわ、それじゃあ早速行きましょう。風見君」
 俺の話なのに気付けばどんどん勝手に進んでいく。久遠寺は先にエレベーターホールへ向かって行くし、松野さんはキッチンへ戻っていくし。
「ごめんね、ちょっと食器洗いしてから行くから先に行っておいて」
 観念して自分の革靴を履き、玄関から出ようとした時家の中から松野さんの声が聞こえてきた。
「ああ、言い忘れてたけど彼女は能力者だから」
 唐突さに数秒固まってしまった。一体、どういう。それ以上問うても有益な事は何も教えてくれなかった。



「駐車場の屋上、ここだな」
 三月とはいえ夜なのでいくばか寒い。それにしても屋上という立地条件か、停まっている車の台数はまばら。立体映像で対戦しても問題はなさそうだ。
 しかし久遠寺が能力者とはにわかには信じられない。藤原の時は体からいかにもヤバそうな雰囲気を発していたが、目の前のやる気マンマンなお嬢様にはそんな雰囲気を微塵も感じれない。いや、隠しているのか?
 どちらにせよ緊張を高め、下手な失敗を犯さないよう細心の注意を払わなければ。無論負けられない。
「約束は約束よ!」
「ああ、分かってる」
 ……PCCでも能力者を倒していかないといけないんだ。そうだ。こんなところで躓いてられない。
「よし、行くぞ!」
 俺の言葉を合図に、互いにバトルベルトを起動させる。いつもは枚数三十枚のハーフデッキで戦っていたが、今回は本格的に六十枚のスタンダードデッキでの対戦だ。
 スタンダードデッキはデッキの枚数が増えるだけでなく、それに伴ってサイドの枚数も六枚になり、ハーフに比べて長期戦になるがその分より白熱した対戦を楽しめる。
 さてデッキポケットにデッキをセットし、オートシャッフルさせる。バトルテーブルは自動で手札七枚とサイド六枚を割り振り、それぞれセットされる。
 最初の手札となる七枚を手に取るが、やはりこういうときに限って雲行きはあまりよろしくない。
「先攻はわたくしからよ」
「いいだろう」
 俺の最初のバトルポケモンはフカマル50/50でベンチはコイキング30/30。相手のバトルポケモンはストライク60/60。ベンチにはチェリンボ50/50。草タイプだろうか。
「わたくしの番よ。まずは手札の草エネルギーをストライクにつけるわ」
 ストライクのテキストをモニターで確認するが、ストライクが草エネルギー一枚で使えるワザは剣の舞のみ。剣の舞は次の番にストライクの使えるもう一つのワザ、スラッシュダウンの威力を上げるだけだ。威力が上がるのは怖いが、それでも先攻でいきなりフカマルが深手のダメージを負うことはない。
「ストライクで剣の舞。それにしても風見君がコイキングなんて、堕ちたものね。北海道を飛び出さない方が良かったわよ絶対」
「ふん。何とでも言え、ただし俺に勝ってからだがな。俺のターン」
 手札に来たのはコイキング。いいタイミングで来た。これなら初期手札の悪さをすぐにでもリカバリーし得る。
「まずはこのサポーターカードからだ。俺はスージーの抽選を発動。その効果で手札のコイキング二枚をトラッシュし、山札からカードを四枚ドローする」
「たねポケモンを二匹も捨てるの!?」
「さらに手札から不思議なアメを発動。その効果でフカマルはガブリアスに進化する!」
 フカマルを光の柱が覆う。光の柱からはその姿を変えて大きく雄々しく成長したガブリアス130/130が雄たけびを上げながら現れた。
「ガブリアスに水エネルギーをつけ、レジアイス(90/90)をベンチに出す。ガブリアスについているエネルギーが足りないのでワザは使えない。これで俺の番は終わりだ」
「わたくしのターン。手札の草エネルギーをストライクにつけて、ストライクをハッサム(100/100)に、チェリンボをチェリム(80/80)に進化させますわ。続けて手札のゴージャスボールを発動。その効果で山札から好きなポケモン一体、ストライクを手札に加えます」
 ハッサムの隣にゴージャスボールが現れ、これまた白色の光を吐きだしながらボールが開く。ボールの中からはハッサムとほぼ同サイズの縦幅を持つ拡大されたストライクのカードの絵が現れ、やがてゴージャスボールもろもろ消えていった。
「さらに新たにストライク(60/60)をベンチに出し、ハッサムでガブリアスに攻撃します。振りぬく攻撃!」
 ハッサムが赤いハサミを大胆にガブリアスに叩きつける。すさまじい衝撃音と共にガブリアスは大きく足を数歩下げ、さらにガブリアスの右下に表示されているHPバーが大きく削られ50/130になる。
「ハッサムの振りぬくは、自分の場にポケパワーを持つポケモンがいなければ30ダメージ追加で攻撃を与えれますの。更にチェリムのポケボディー、日本晴れによって炎、草ポケモンが相手に与えるワザのダメージも10追加。よって元の威力40に30と10を加え80ダメージですわ」
「……ほう。中々やるな」
 感心したように言ったが、正直のところそんなことをしている余裕はない。序盤からの80ダメージは想定外のかなりの痛手だ。もっと穏やかな攻撃と思っていたんだが、なかなかどうしてやってくれる。
「今度はこちらから行くぞ、俺の番だ。まずはガブリアスをレベルアップさせる! そしてこの瞬間にガブリアスLV.Xのポケパワー発動。このポケモンが手札からレベルアップした時に発動でき、三回コイントスをしてオモテの回数分のダメージカウンターを相手のベンチポケモン全員に与える!」
 バトルテーブルのデッキポケット横の赤いボタンを押す。オモテ、ウラ、オモテ。よってオモテの回数は二回。
「20ダメージを受けてもらおう。やれっ、竜の波動!」
 ガブリアスLV.X60/140が雄叫びを放ちながら口から白い波状の衝撃波を放つ。ベンチにいたチェリムは花弁を閉じようと、ストライクは両手で体をカバーしようと体勢をとるも衝撃波をモロに受けてダメージを負う。これでチェリムのHPは60/80。ストライクは40/60だ。
「お前はコイキングを見て俺を堕ちたと言ったな? 最初は弱くとも、いずれ信じる力と共に強く成長する証を見せてやる! コイキングを進化させ、現れろギャラドス!」
 力なくベンチで跳ねていたコイキングが白い光に包まれ、より大きく。より力強くギャラドス130/130へとそのフォルムを変えていく。
「こ、これはっ!」
「ガブリアスLV.Xは逃げるためのエネルギーが不要だ。ガブリアスLV.Xを戻してギャラドスをバトル場に出す。更にレジアイスのポケパワー、ポケムーブを発動。その効果で俺は手札を二枚トラッシュする」
 俺がトラッシュしたのは四枚目のコイキングとニドクイン。
「レジアイスのポケパワーによって、お前のベンチの進化していないポケモンとバトル場のポケモンを入れ替えてもらう。どのベンチの進化していないポケモンを選ぶかの選択権は貴様にあるが、残念ながら条件に該当するポケモンはストライクだけだな」
 久遠寺の顔が少し歪んだ。その目の前でレジアイスの発する波動によってストライクとハッサムの位置が一瞬で入れ替わる。
「でも貴方のギャラドスにはエネルギーが一つもついてませんわよ」
「こいつにエネルギーなど不要だ! ギャラドスでストライクに攻撃、テールリベンジィ!」
 ギャラドスがその巨大な体躯をうねらすと、長い尻尾でストライクを力いっぱい叩きつけた。ゴム毬のようにストライクの体が宙に浮きながらそのHPバーは0/60を刻む。
「テールリベンジはトラッシュのコイキングの数かける30ダメージの威力だ。今俺のトラッシュにはコイキングが三枚なので、90ダメージ。受けてもらったぞ、俺の渾身の一撃を! サイドを引いて、これで俺の番は終わりだ」
 そうだ! 俺はこんなところで負けていられない。立ち止まる暇はない!
「この対戦、必ず俺が勝つ!」



風見「今回のキーカードはハッサムだ。
   エネルギー二つで最大70ダメージを与えることができる。
   もう一つのワザも、ポケボディーも非常に優秀でオススメ出来るぞ」

ハッサムLv.47 HP100 草 (破空)
ポケボディー  ハニカムディフエンダー
 このポケモンにダメージカウンターが6個以上のっているなら、このポケモンがワザによって受けるダメージは、「−40」される。
無無  アクセレート 30
 このワザのダメージで、相手を気絶させたなら、次の相手の番、自分はワザのダメージや効果を受けない。
草草  ふりぬく 40+ 
 自分の場にポケパワーを持つポケモンがいないなら、30ダメージを追加。
弱点 炎+20 抵抗力 ─ にげる 1


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