マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.834] 67話 天王山 投稿者:照風めめ   《URL》   投稿日:2012/01/04(Wed) 22:23:38   35clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 他の二試合も終わり、一回戦はこの試合だけとなった。残りサイドは如月が二枚、こちらは四枚。
 その如月のバトル場には残りHP10/110のルカリオLV.X、ベンチにはグライガー60/60とキュウコン80/80。更に炎と闘エネルギーが一枚ずつついているウインディ100/100がいる。
 こっちのバトル場には水エネルギーが二枚ついたオムスター120/120とベンチにはプテラ80/80にネンドール80/80。終盤に来てかなり余裕がなくなってきた。
「あ、あたしのターン!」
 なんだかまだ慣れないな……。ちょっと自分でも恥ずかしいような、なんというか。いや、そんなことを考えてる暇はなかった。
「プテラの発掘でデッキからかいの化石を手札に」
 プテラの発掘は自分のデッキからかいの化石、こうらの化石、ひみつのコハクのうち一枚を手札に加えるカード。ずがいの化石などには対応していない。
「手札からこうらの化石をベンチに出してグッズカードのふしぎなアメを発動。自分の場のたねポケモンから進化するポケモンを手札から選んで進化させる。あたしはこうらの化石をカブトプスに進化させるわ」
 カブトプス130/130の三度目の登場だ。指定された手札をトラッシュしないと高い火力が出せないものの、やはりうちのエースカードだ。
「ネンドールのコスモパワーを発動。手札を一枚戻して二枚ドロー」
 コスモパワーは手札を一枚か二枚デッキの一番下に戻し、手札が六枚になるようにドローするポケパワーだ。
「とりあえずはオムスターで攻撃。原始の触手!」
 のろい動きでルカリオLV.Xの元まで詰め寄ったオムスターは触手を使ってルカリオLV.Xの体を縛り上げるとそのまま締め上げる。このワザの元々の威力は30。それに自分のトラッシュにある化石カードの数かける10ダメージ追加出来る。今あたしのトラッシュにはひみつのコハクとこうらの化石が二枚、かいの化石が一枚あるので50追加となり80ダメージ。残りわずかしかHPのないルカリオLV.Xはこれで気絶だ。
「わたしの次のポケモンはウインディよ」
「サイドを一枚引いてターンエンドだ」
「あと一息ね。わたしのターン! 手札の炎エネルギーをウインディにつけ、更にミズキの検索を発動。手札を一枚戻してデッキから好きなポケモンを手札に加えるわ。わたしが加えるのはグライオン! ベンチのグライガーを進化させるわよ」
 今、如月の手札にはグライオンLV.Xがいる。ここでグライオン80/80がレベルアップしたとき、序盤と同じように状態異常ラッシュを食らうようになってしまうことへの対策も練っていかなければ。
「ウインディで怒りの炎!」
 真っ赤な炎を体に纏ったウインディがオムスター目がけ突進してくる。簡単に撥ねられたオムスターのHPは60減って60/120。怒りの炎は威力60に、炎エネルギーを一つトラッシュしてこのポケモンに乗っているダメカンの数かける10だけ威力が上がるワザ。だがまだウインディにダメカンはないので威力は60のままだ。
「怒りの炎の効果でこのポケモンの炎エネルギーをトラッシュするわ。ターンエンド」
「あたしのターンだ。カブトプスに闘エネルギーをつけて……」
 ウインディのHP100に対し、原始の触手の威力は80。そしてウインディは水タイプに対し弱点+20を持っている。本来なら80+20でなんなくウインディを倒せる。……はずなのだがウインディにはフレアコンディションというポケボディーがある。このポケボディーはウインディに炎エネルギーがついているとき、弱点が全てなくなるというものだ。だから原始の触手では倒せない。
 いや、出来る。化石カードの基本効果をすっかり忘れていたじゃないか。
「よし、プテラの発掘でこうらの化石を手札に加えて手札からベンチにこうらとかいの化石を出す……わ」
「今さらそんなに化石を出してなんになるのよ」
「この二枚の化石を自身の効果でトラッシュさせるわ! もちろんこの効果はトラッシュするだけであって気絶判定にはならない」
「自分で自分をトラッシュ……?」
「全ての化石カードは、このカードの持ち主は自分の番に場からこのカードをトラッシュしてよい、この効果は気絶とはならない。という効果を持っている。これを使わせてもらっただけだ」
「だからそんなことして何になるのよ」
「トラッシュの化石が増えたと言う事だ。……いや、言う事よ。オムスターで原始の触手!」
 このワザはトラッシュにある化石の数だけ威力が増すワザ。元の威力30に対し、これでトラッシュの化石は七枚で足される威力は70。よって与えれるダメージは100! 弱点計算無しで決めれた。ウインディの巨体も軽々と持ち上げた触手はHPバーが底に尽きるまで絞め続けた。
「これで追いついた!」
「む……。わたしの次のポケモンはグライオンよ。分かってるわよね」
「う……」
 ウインディを倒したことによってサイドはどちらも二枚ずつ。だがダメージを受けているオムスターを抱えている分こちらが幾分不利だ。
「わたしのターン。手札の炎エネルギーをキュウコンにつけ、グライオンをレベルアップ! そしてスピットポイズン!」
 グライオンLV.X110/110が羽を広げて飛んできて、オムスターに噛みつく。オムスターのHPバーにマヒと毒のアイコンが現れた。
 スピットポイズンはレベルアップしたときにだけ使えて相手のポケモンを毒とマヒ状態にする恐ろしいポケパワーだ。
「さらにグライオンLV.Xでバーニングポイズン! 相手を毒または火傷にし、その後このポケモンについているカードを自分の手札に戻してもよい。この効果で火傷を選ぶわ。そしてこのグライオンLV.Xはまだ手札に戻さない!」
 状態異常を三つも抱えるハメになってしまった。如月のターンが終わると同時にポケモンチェック。毒のダメージで10ダメージを受けHPは50/120。そして火傷はコイントスを行ってオモテならノーダメージ、ウラなら20ダメージ。ここでウラを出すと余裕がなくなる。が、無情にもコイントスの結果はウラ。これで残りHPは30/130。
「あたしのターン。手札の闘エネルギーをカブトプスにつけて、アンノーンG(50/50)をベンチに出す……わよ」
「アンノーン……?」
 マヒになっているオムスターはワザを使うのはもちろんベンチに逃げることも出来ない。
「やることがないのでターンエンドだ」
 ここで再びポケモンチェック。毒のダメージで10受け、続いて火傷の判定。ここでオモテを出さなければオムスターはここで気絶、この後始まる如月のターンで相手のポケモンの攻撃をモロに受けてしまう事になる。お願いっ……!
「うーん」
 と唸ったのは如月の方だ。なんとかオモテを出したのでオムスターは延命。そして二回目のポケモンチェックなのでマヒもここで自動的に回復。しかしオムスターのHPはもう20/130しかない。
「わたしのターンよ。手札から炎エネルギーをキュウコンにつけてターンエンドね」
 グライオンLV.Xは逃げるエネルギーが0。その気になればキュウコンでオムスターに止めをさすことができたのだろうがする必要がないと判断されたのだろうか。
 毒のダメージで残りHPは10。そして火傷の判定。ここでオモテが出ればオムスターで……。
「運はあまり良い方じゃなかったわね」
 無情にも結果はウラ。これでオムスターのHPは尽きて気絶となる。先にリーチをかけたのは如月だった。あたしの最後のポケモンはカブトプス。しかし、化石カードはもうデッキに一枚も残ってはいない。このデッキにはひみつのコハクとかいの化石が三枚ずつ、こうらの化石が四枚という構成にしてあるのだ。
 カブトプス得意の原始のカマは効果を使うことはできず、ただの20ダメージしか与えれない地味なワザに降格してしまう。
「あたしだって負けたくない……。あたしのターン! 手札の闘エネルギーをカブトプスにつけて、アンノーンGのポケパワー、GUARDを発動! ベンチにいるこのポケモンについているカードをトラッシュし、このカードをポケモンの道具として自分のポケモンにつけることができる。あたしはカブトプスにアンノーンGをつける」
 ベンチにいたアンノーンGがバトル場にいるカブトプスの元までやってきてシールを貼り付けたかのようにカブトプスにひっついた。
「カブトプスで岩雪崩攻撃!」
 大量の岩が相手の場を一斉に襲いかかる。このワザは威力60、効果は相手のベンチポケモン二匹にも10ダメージを与えるというものだ。このワザでグライオンLV.XのHPは50/110。ベンチにいたキュウコンは70/80。如月には他のベンチポケモンがいないので岩雪崩のダメージを受けるポケモンはこの二匹だけだ。
「しつこいわね。わたしのターン! グライオンLV.Xでバーニングポイズン!」
 グライオンLV.Xがカブトプスに噛みついてきた。だがしかしカブトプスには先ほどと同じように状態異常のマーカーが現れることはなかった。
「ど、どうして?」
 驚きを露わにして戸惑う如月、勝負どころでついにボロが出てしまった。相手のカードのテキストを読むという至極普通な行為を忘れると言うミスだ。
「アンノーンGがポケモンの道具として働いている時、アンノーンGをつけているポケモンは相手のワザの『効果』を一切受け付けない! 攻撃するならダメージを与えるワザで戦うべき……ね」
「しまっ……。でもバーニングポイズンの効果でグライオンLV.Xを手札には戻すわ。これはグライオンLV.Xに対する効果であってカブトプスに対する効果ではないもんね」
 如月お得意のヒット&アウェイ。だがしかしなぜキュウコン70/80しか場に残らないのを承知でそんなことを。
 原始のカマが来ないと分かるのはデッキに何を何枚入れたかしっている自分だけのはず。原始のカマを食らってしまえばキュウコンは気絶して、それで勝負は終わりなのだ。
「あんたのデッキにもう化石カードがないのは分かり切ってるわよ」
「……」
「さっきからずっと続けていたプテラの発掘を、急に使わなくなった、いや、使えなくなったと言った方がいいかしら。そこから簡単に導き出せるわよ。そして手札についてでもさっきのオムスターの原始の触手のワザの威力を上げるために使った策のときのあんたの表情見ればあれで化石が尽きたっていうことはすぐに分かるわ。喜怒哀楽が浮かびやすいのがあんたの弱点ね」
 何も言い返せない。御名答です。そんなに表情に出しているつもりはなかったのだがこれはこれからの課題かな。でも、この試合はまだポーカーフェイスにはならないでいよう。わざとニヤッと笑みを作る。
「一つだけ忘れていたことがあるんじゃないか?」
「なっ、何よ。そんなブラフ(※はったり)には引っ掛からないわよ」
「ならば自分で確かめる……のよ。あたしのターン、手札からサポーターカードのバクのトレーニングを使うわ」
 如月の表情が驚きと慄きで一杯になった。バクのトレーニングはデッキからカードを二枚ドローする以外にもう一つ効果を持つサポーターだ。
「確かに化石カードはもうデッキにはない。でもそれでもバクのトレーニングが一枚しかないとは限らない」
 そのもう一つの効果はこのカードを使ったターン、自分のポケモンの与えるダメージの量を+10するもの。
 そう、中盤でグライオンを倒したときと似ているシチュエーションだ。
「カブトプスで岩雪崩!」
 威力が+10されてこのワザの威力は70。そしてキュウコンの残りHPは70/80。そして如月のベンチポケモンは一匹もいない。戦えるポケモンがベンチにいなくなったことでこの勝負は決着となった。
「あんたの勝ちね。約束通り、翔様には───」
「そのことなんだけど、やっぱりその賭けやめないか?」
「えっ?」
 試合が終わって握手を交わしながら如月に提案してみる。
「そんなことしても誰も嬉しくないからそんな賭けやめよう」
「でも。あんた」
「またどこかで会えることを楽しみにしてる……わ」
「はぁ。分かったわ。そこまで言うなら賭けはなかったことにしてあげる。……それじゃあ、またね」


##img##


 おれ……いや、あたしよりも年が一つ下なのにそんなあたしよりも強い意思を持って、そして一度口にしたら曲げない性格で。そんな彼女の事は忘れないだろう。自分が変わるきっかけとなったライバルなのだから。
 そういえばメルアドか何か聞いとけば良かったなあと、人ごみに紛れて消えてしまった如月の背中を探しつつぼんやり思うのであった。



「ようやく一回戦も終わりね、一之瀬君」
「そうですねえ。良い試合多くて見応えありますね」
 スペース的にバトルベルトを使った勝負は同時に四つしか行えない。32人いた一回戦は四つに分けて対戦していたが、16人に減った二回戦では二つに分けて対戦することになる。
 そして能力者は高津洋二は沙羅比香里と、山本信幸は私こと松野藍と対戦する。
「絶対に勝たなくちゃ。こんな変な能力のせいで私達のポケモンカードが汚されるなんてたまらないわ」
「松野さん……」
「もし、私に何かあった場合は悪いけどよろしく頼むわ」
「珍しく弱気ですね」
「ええ、何せ山本信幸は対戦相手を植物状態にさせてしまう最悪の能力者だから」
「……」
 一之瀬君の難しそうな顔は、普段見る穏やかなそれとは別人のように見えた。



石川「今日のキーカードはカブトプス。
   闘エネルギー一個でMAX70ダメージ。
   序盤から一気に畳み掛けれるわ!」

カブトプスLv.59 HP130 闘 (DPt4)
闘  げんしのカマ 20+
 のぞむなら、自分の手札から、「かいの化石」「こうらの化石」「ひみつのコハク」のうち1枚を選び、トラッシュしてよい。その場合、50ダメージを追加。
闘無無  いわなだれ 60
 相手のベンチポkモン2匹にも、それぞれ10ダメージ。
弱点 草+30 抵抗力 − にげる 2

───
おまけ・ポケカ番外編
「芸能人事情」
恭介「なあなあ聞いてくれよ!」
翔「朝から騒がしいなおい」
恭介「俺さ、昨日さ、五反田ではるな愛を見たんだ! 芸能人みっけたの久しぶりだったぜ」
翔「俺もこないだ学校の帰りに生田斗真くん見たぞ」
恭介「いやいやはるな愛の方がレアだろ」
翔「一体レアの基準はなんだよ」
恭介「そういえば蜂谷はなんか芸能人と会ったことある?」
蜂谷「俺は……。先週に新宿のビッグカメラの傍で岡本信人を見つけたから声をかけたら野草を食わされた……」
翔&恭介「……」


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