マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.860] 73話 五分 投稿者:照風めめ   《URL》   投稿日:2012/02/08(Wed) 12:40:59   32clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 二回戦の試合が始まろうかとしていた刹那、薫が切り出してきた。
「翔とバトルしたのはこの間かーどひーろーでたまたま会った時だよな」
「だいたい二週間前くらいかな?」
「そうそう。そんで風見杯はもっと前だよな、一月くらいだったっけ」
「一月十日だったぜ。それがどうしたの?」
「いやあ、日数的には久しぶりのはずなのに、こうしていざ戦うとなるとこの間戦ったのがついさっきのように感じるんだ。もうあのときのワクワクした気持ちが来てる!」
 身振り手振りで感動を伝えようとする薫。そんな姿を見ていると非常にうれしく感じる。俺と戦って喜んでくれるのは本望だ。
「だったら今から俺とあのときよりもさらにワクワクする勝負をしようぜ!」
「ああ。勝負だ!」
 バトルベルトの起動の手順はもう慣れたもんだ。風見にもらったバトルベルトで既に何度か遊んだことがある。
 スイッチ数は多そうに見えるが単純な手順で、後は機械が頑張って作動してくれる。
 オートシャッフルのデッキポケットから手札七枚を渡される。開始手札は可もなく不可もなくといったところだ。
 そして互いの最初のポケモンは、俺がアチャモ60/60、ベンチにはヤジロン50/50。向かいの薫のバトル場にはプテラGL80/80。
「先攻はあたしから。ドロー! あたしはプテラGLに闘エネルギーをつけ、ワザの持ってくるを発動。その効果でデッキから二枚ドロー!」
「ツードロー!? そんなに持ってっちゃうの!」
 並のポケモンならエネルギー一個で一枚ドローだ。しかもこのプテラGL、逃げるエネルギーは0。ベンチへの攻撃手段が乏しい今回の俺のデッキにとって、引くだけ引いてベンチに逃げられると非常に厄介。ただ幸いにも薫の化石デッキは起動に時間がかかる。そこまでになんとかプテラGLを倒す術を見つけなくてはならない。
「俺のターン! 手札の炎エネルギーをアチャモにつけ、ミズキの検索を使わせてもらうぜ。手札を一枚戻し、デッキから好きなポケモンを相手に見せてから手札に加える。俺はバシャーモを手札に加える。続いて手札からグッズ、不思議なアメを発動。自分の進化していないポケモン一匹に、そのポケモンから進化する一進化または二進化カードを重ねて進化させる。俺はアチャモをバシャーモ130/130に進化させる!」
 アチャモを起点に光の柱が現れアチャモをすっぽりと覆い隠す。そしてその光の柱の中でアチャモのフォルムがより屈強に、より逞しくなっていく。光の柱がすっと消えると新たに現れたバシャーモが場に向かって雄叫びを一つあげた。
「バシャーモのポケパワーだ。バーニングブレス!」
 バシャーモから真っ赤な吐息が吐き出され、プテラGLを覆う。直接浴びたプテラGLのHPバーには火傷マーカーが発生した。
 このバーニングブレスは自分の番に一度使え、相手を火傷にするものだ。無条件に火傷にさせることができる結構便利なものだ。
「ターンエンド。っと同時にポケモンチェックだ」
 火傷の判定はポケモンチェックの度にコイントスをし、オモテならなにもないがウラならば火傷のポケモンは20ダメージを受ける。
 薫が放ったコイントス(といってもバトルベルトのコイントスボタンだが)の結果はウラ。ゲームと同じようにプテラGLの体が一瞬炎に包まれHPバーを20減らして60/80となる。
「そんなのまだまだ効かない! あたしのターン! 手札のこうらの化石、かいの化石、ひみつのコハク(どれもHPは50/50)をベンチに出してこうらの化石に闘エネルギーをつける。このタイミングでこうらの化石のポケボディー、ロックリアクションが発動! 手札から闘エネルギーをこの化石につけたとき、デッキからカブト(80/80)をサーチしてこの化石に進化させる!」
「やばいな、思ったより速いな……」
 しまったな、まさかこんなわずかにカブトを立てれるとは思わなかった。完全に作戦ミスか……。薫がベンチでポケモンを立てている間にプテラGLを倒す目論見は崩れる。
「プテラGLをベンチに逃がし、カブトをバトル場に出してワザを使うわ、進化促成! 自分のデッキから進化ポケモンのカードを二枚手札に加える。あたしはプテラとカブトプスを手札に入れてターンエンド」
 ベンチに逃げたことでプテラGLの火傷状態は解除される。そして薫は次のターンへの布石をもう打ったのだ。
「迷っていても仕方ない! 俺のターンだ。ここはこいつだな。手札からサポーターカードのハマナのリサーチを発動だ! デッキから炎エネルギーとバシャーモFBを手札に加え、バシャーモFB(80/80)をベンチに出す!」
 バシャーモFBはSPポケモンだ。こいつ単独でたねポケモン。そしてバシャーモとは同名カードではない。
 二匹のバシャーモ。これが今回の俺のデッキのコンセプト。しかしそのコンセプトを完全に決めるために場を整えなくては。
「バシャーモに炎エネルギーをつける。そして手札からグッズのゴージャスボールを発動だ。デッキから好きなポケモンを手札に加える。俺はネンドール(80/80)を選択し、ベンチのヤジロンを進化させる。そしてネンドールのポケパワー、コスモパワーを使わせてもらうぜ。このポケパワーは手札を一枚か二枚デッキの底に戻し、手札が六枚になるようデッキの上からドローする。俺は手札を一枚戻して、これで手札は0。よって六枚ドローだ」
 まだバトルは始まったばかりだが、俺の攻撃を上手くかわしている薫の方に流れが傾きかけようとしている。
 出来るだけそれを阻止しなくてはならないな。
「俺はベンチにアチャモ(60/60)を出してバシャーモのポケパワー、バーニングブレスを使う!」
 真っ赤な吐息がカブトを包み込む。デメリットなしで確実にカブトを火傷にさせた。
「バシャーモで鷲掴み攻撃!」
 バシャーモのがっちりとした腕がカブトを掴んではしっかり握って宙に持ち上げてしまう。ギリギリと強く握られたカブトのHPバーは40/80へとダウンする。
「この鷲掴み攻撃を受けたポケモンは次の番、逃げる事が出来ない!」
「逃がさずに火傷のダメージを与えていく戦法か!?」
「とりあえずはポケモンチェックだ」
 だがしかしコイントスの結果はオモテ。カブトは火傷のダメージを受けない。
「よし。あたしのターンだ! あたしはまずカブトをカブトプスに進化させる」
 カブトの体が白く光り出したところでバシャーモはその輝きから目を守ろうとカブトを鷲掴みしていた腕を離し、両腕で目をガードする。
 進化したカブトプス90/130は、もうバシャーモの拘束に捕らわれることはない。鷲掴みの対象であったカブトから別のポケモンへと変わったカブトプスは自由に逃げることが出来る。さらに火傷といった状態異常も進化すれば回復する。
「そしてベンチのひみつのコハクをプテラ(80/80)へと進化させこのプテラのポケパワー、発掘を発動。デッキからかい、こうらの化石かひみつのコハクを一ターンに一度手札に加えることが出来る。あたしはかいの化石を選択。そしてベンチのかいの化石に水エネルギーをつけてポケボディー発動。アクアリアクション!」
「ロックリアクションのオムナイトバージョンか!」
「その通り! というわけでデッキのオムナイト(80/80)をかいの化石に重ねて進化!」
 まずい、これで低HPのポケモンが薫の場から消えた。とはいえ80も決して高い部類ではないのだが……。
「手札のかいの化石をトラッシュ!」
 化石をトラッシュする行動は……。そうだ、さっきの一回戦で薫が見せた高火力の一撃が来る!
「カブトプスの原始のカマ!」
 真っ白に輝いたカブトプスのカマでバシャーモに切りかかる! 肩口から綺麗にきまった一撃で、バシャーモは攻撃された部位を腕でかばうモーションをしてみせた。
「このワザはかい、こうらの化石かひみつのコハクをトラッシュした場合、このワザの威力は50上がる!」
 元の威力は20。よって20+50=70のダメージがバシャーモ60/130に決まり、半分以上のHPを奪って行った。
「さあ、翔のターンよ!」
「おし! まだまだ行くぜ。俺のターンだ! 手札からこいつをベンチに出すぜ。ヒードラン!」
 ベンチから真っ赤なマグマを噴き出しながらヒードラン100/100が現れる。たねポケモンでこの高いHPがウリでもある。
「そしてサポーターのシロナの導きを発動。自分のデッキの上から七枚を確認して一枚を手札に加える。そしてそのあとシャッフルだ」
 このとき手札に加えたカードは相手に見せなくてもいい。ミズキの検索などとはこの点が違う。そして加えるカードはどの種類であってもいい。
「手札から炎エネルギーをバシャーモにつけて、グッズカードのレベルMAXを発動! まずはコイントス。オモテならこのカードの効果が発動する」
 ここが分岐路。上手くオモテが出ればいいが。
「おっしゃあ! オモテだ! 自分の山札から、自分のポケモン一匹からレベルアップするポケモンLV.Xを一枚選び、そのポケモンの上に乗せてレベルアップさせる。俺はヒードランをヒードランLV.X(120/120)にレベルアップさせる!」
 こちらも薫に負けず劣らずのメンツが揃う。
「さらに手札を二枚デッキに戻してネンドールのコスモパワーを発動。デッキからカードを五枚引き、ベンチのアチャモをワカシャモ(80/80)に進化させる! これで攻撃だ。バシャーモで炎の渦攻撃!」
 カブトプス90/130がバシャーモが放つ炎の渦に包まれて悶えている。灼熱の炎の中でうごめくそれは結構怖い。
「炎の渦は100ダメージを与える大技だが、炎エネルギーを二枚トラッシュしなければならない。よってトラッシュ。だが100ダメージはカブトプスのHPをきっちり奪って行くぜ!」
 炎の渦から解放されたカブトプスは力なく前へ倒れ伏す。
「くっ、あたしはオムナイトをベンチからバトル場に出す!」
「俺はサイドを一枚引いてターンエンドだ」
 よし。これで完全に流れは俺に傾いた。良い傾向だ。
「あたしのターン。あたしはプテラの発掘を発動! こうらの化石(50/50)を手札に加えてベンチにだす。そして手札の水エネルギーをオムナイトにつけて、サポーターのミズキの検索を使うわ。手札を一枚デッキに戻しオムスターを加える。そしてベンチのオムナイトをオムスター(120/120)へ進化!」
「だがオムスターはトラッシュの化石があればこそのカードだろう」
「そんなになくても行けるよ。原始の触手攻撃!」
 オムスターの触手が鋭い槍のように輝きバシャーモ60/130の四肢を突いていく。的確に決まった攻撃はバシャーモのHPを大きく削り……。
「気絶!?」
「原始の触手はトラッシュのかい、こうらの化石またはひみつのコハクの数かける10だけ威力が上がるワザ」
 薫のトラッシュにはかいの化石とこうらの化石の二枚。そして元の威力は30だ。よって30+10×2=50。それではバシャーモのHPを0まで削げないはず。
「弱点のこと忘れたの?」
 そうか。オムスターは水タイプ。水が弱点なバシャーモには更に50+30=80のダメージが。残りHP60のバシャーモを倒すには十分だ。
「俺はバシャーモFBをバトル場に出す」
「あたしはサイドを一枚引いてターンエンド」
「これでイーブンか。俺のターン! 手札の炎エネルギーをバシャーモFBにつけてグッズカードのプレミアボールを発動。このカードの効果でデッキまたはトラッシュからLV.Xのポケモンを手札に加えることが出来る。俺はバシャーモFB LV.Xを選択し、バトル場のバシャーモFBをレベルアップ!」
 このバシャーモFB LV.X110/110が俺の二枚目のエースカードだ。
「手札からサポーター、ハマナのリサーチを発動。俺はデッキから炎エネルギーを二枚手札に加えるぜ。そしてバシャーモFB LV.Xで誘って焦がす攻撃!」
 バシャーモFB LV.Xが圧倒的な脚力で高く跳躍すると薫のベンチのプテラGL60/80の元へ降り立つ。そしてそのプテラGLの首筋を掴むと腕から炎を出して火傷状態にしてしまった。そしてそのままプテラGLをバトル場に投げつける。居場所を失ったオムスター120/120は渋々ベンチへと帰って行く。
 でもこのワザのエフェクトは全然誘ってないな。誘うどころか超強引だったが。
「このワザは相手のポケモンを一匹選択し、バトルポケモンと入れ替えると新たにバトル場に出たポケモンを火傷にするものだ。そしてターンエンドと同時にポケモンチェック」
「よし、コイントスを───」
 ちっちっちっ、と古典的に指を振って見せる。
「その必要はないぜ」
「えっ」
 プテラGL60/80は火傷判定をする前に炎に包まれダメージを受けて残りHPが40/80へと変わっていた。
「どうして……」
「ヒードランLV.Xのポケボディー、ヒートメタルは相手が火傷でのポケモンチェックで行うコイントスは全てウラとして扱う。つまり必ず火傷のダメージを受けるものだ」
 よし、このまま一気に行くぞ。
 ふと他の対戦場を見る。恭介は……、あれはライチュウLV.Xか、良い感じじゃないか。そして風見はポリゴンZに多少押され気味か? サイドの枚数までは攻撃できないが今の攻撃(熱暴走)で風見のギャラドスのHPが0になっているのを確認出来た。
 そして最後に松野さん。相手はあの能力者相手だが、拓哉(裏)を圧倒的な差でひねりつぶした彼女なら。
 現にエムリットLV.Xのゴッドブラストが今、対戦相手の山本信幸のミュウツーLV.Xを襲おうとしていた。
 ゴッドブラストは威力200。どれだけ小細工をしようが200のダメージを防げるポケモンはそういまい。
 エムリットLV.Xから紫の巨大なレーザーがミュウツーLV.Xに向かって放たれた。
 エムリットLV.X、アグノムLV.X、ユクシーLV.Xの三匹がいて初めて使えるこの難しいワザをなんなく使いこなす松野さんだ、負けるはずがない。
 そう思っていた。そう確信していたのだ。
 だがこれはどういうことだ?
 ミュウツーLV.Xが右腕を前に差し出すと、その右腕から楯状の緑色の膜が張られる。そしてその膜はゴッドブラストを別のどことない方向へ弾いてしまった。
 もしかして、と思ったがやはりミュウツーLV.XのHPバーは一切減っていない。無傷。
 嘘だ、あの200ダメージを何事もないように弾いて無傷だと?
 今度は山本のターンだ。ミュウツーLV.Xが両腕から放つ大きな濃い紫のエネルギー弾が、エムリットLV.Xに炸裂した。どちらかというと爆発に近い。そしてその破滅の一撃による音と衝撃は俺達の場所まで響いてきた。



翔「今日のキーカードはバシャーモFB LV.Xだ!
  ポケボディーはなんと火傷の相手に対し威力を上げるもの!
  そしてワザも極めて強力だ!」

バシャーモFB LV.X HP110 炎 (DPt3)
ポケボディー バーニングソウル
 おたがいの場のやけどのポケモンが、ワザによって受けるダメージは「+40」される。おたがいの場で複数の「バーニングソウル」がはたらいていても、追加されるダメージは「+40」。
炎無  ジェットシュート 80
 次の相手の番、自分が受けるワザのダメージは、「+40」される。
─このカードは、バトル場のバシャーモFBに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─
弱点 水×2 抵抗力 − にげる 1


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