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  [No.936] 88話 プレイT 投稿者:照風めめ   《URL》   投稿日:2012/03/29(Thu) 09:27:25   37clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
88話 プレイT (画像サイズ: 270×382 97kB)

 駅前のマクドナルドでプレイマットを使った拓哉と蜂谷のチュートリアルバトルが行われている。
 左腕骨折のため自由にプレイ出来ない拓哉の代わりに俺が拓哉の腕となっている。
 今の蜂谷の場はバトル場に超エネルギーの一つついたバオップ30/70、ベンチに同じく超エネルギーが一つついたフシデ70/70。拓哉のバトル場には炎エネルギー一つついたダルマッカ70/70、ベンチにチャオブー100/100、シママ60/60。残りのサイドはどちらも三枚。
 どちらも発売されている構築済みデッキを使っているが、蜂谷がダイケンキデッキを選び、拓哉がエンブオーデッキを選んでいるため拓哉の方がやや不利である。
 さらに拓哉はカードをするときいつも出てくる拓哉(裏)ではなく、普段の拓哉のままプレイしている。さて、どういうプレイを見せてくれるか。
「僕のターン。……僕はシママに雷エネルギーをつけ、ダルマッカで火を吹く攻撃。このワザの元々の威力は10に加え、コイントスをしてオモテなら10ダメージ追加する」
 拓哉の右手にコインを乗せるとそれをやや長い親指で高く弾く。パストス(※三回転以上しないコイントスの仕方。回転数が減ってオモテが出やすくなるためやると非常に嫌われる)でない綺麗なコイントスだ。しかし、結果はウラ。ダメージをプラスするには足らずといったところか。だがバオップ20/70に次のターン、火を吹くでオモテを出せば気絶させられる。
「よし。俺のターンだ! ドロー。フシデに手札から超エネルギーをつけ、更にミジュマル(60/60)をベンチに出してもういっちょコロモリ(60/60)もベンチに出す。そしてグッズカード、ポケモン図鑑を発動だ! デッキの上からカードを……ってあれ?」
「どうした?」
「これエラーカード(※表記やフォーマット等が誤っているカードのこと)じゃない? だってポケモン図鑑の効果って『自分の山札のカードを上から二枚見て、どちらか一枚を手札に加える。その後、残りの一枚を、山札の一番下に戻す』って」
「よくそこまで一字一句覚えてるな。でも正しく言うと、お前の言っているポケモン図鑑の正しいカード名は『ポケモン図鑑HANDY910is』であって、今お前が使ったカードは『ポケモン図鑑』だから単純に別物だ。自分の山札を上から五枚見て、好きな順番に入れ替えて山札の上に戻すという効果がポケモン図鑑」
 蜂谷はほぉ、と一つ呟くと、早速デッキの上から五枚を並び替える。
「よし。じゃあバオップのワザ、持ってくる。自分のデッキの一番上をドローする!」
 今ポケモン図鑑で入れ替えたカードをわざわざ手札に加えてきたか。よほど良いカードでもあったのだろうか。
「じゃあ僕の番だね。ドロー」
 拓哉の右手が山札の上に乗り、一番上のカードを引き取る。そのカードを確認したのち、俺が受け取る。左手で手札の持てない拓哉の代わりに俺が手札を持たなければいけないのだ。
「うん。じゃあシママをゼブライカ(90/90)に進化させるよ。そしてダルマッカの火を吹く攻撃」
 高く弾かれたコインは蜂谷の食い散らかしたポテトの容器の隣に落ちて、ポカブ、ミジュマル、ツタージャの三匹が揃ったイラストの面。オモテを上向きにして落ちる。
「火を吹くの効果で威力が10加算されて20ダメージ!」
 早くも蜂谷のバオップが倒される。拓哉は一番手前のサイドを手札に加えると、蜂谷は新たにベンチのフシデ70/70をバトル場に繰り出す。
 今ごく自然にやりとりがなされたが、今まではポケモンが気絶すると、相手が新しいバトルポケモンを選んでからサイドを引くという順番であった。それがBWからは今のようにサイドを引いてから新しくバトルポケモンを出すという順番に変わったのだ。
「ここまで計算済みだぜ! 俺のターン。まずはフシデをホイーガに進化させる!」
 ドローしたばかりの手札、ホイーガをフシデに重ねる。ホイーガ90/90はデッキの中でも強力な部類のポケモンだ。恐らく計算済みというのは、ポケモン図鑑でホイーガをドロー出来るようにデッキの順番を入れ替え、バオップが倒されたことでスムーズにフシデをバトル場に持ち出すということか。
「ホイーガに水エネルギーをつける。さらに、ベンチのミジュマルをフタチマル(90/90)に進化させてホイーガで攻撃だ。転がる!」
 転がるは超無無のエネルギー三つで行えるワザ。効果はない一般的なワザだが威力は50。この威力ではダルマッカ20/70には致命傷となる。
「よっしゃあ! ここから逆転していくぜ」
 早くもガッツポーズを繰り広げ目と口を釣りあげる満面のどや顔を披露する。友人間でやってるからいいものの、イベント会場などで知らない人にそれをすれば嫌がれること間違いなし。
「僕のターン。僕は、手札の炎エネルギーをベンチのゼブライカにつける。そして新たにベンチにバッフロンを出すよ」
 たねポケモンでHPが90/90もあるバッフロンは、壁としても戦力としても有力だ。さあどう戦う。
「ダルマッカで火を吹く攻撃! ……ウラなので10ダメージだ」
 たった10ダメージではホイーガ80/90には無傷も同然だ。その程度で一体どうになる。
「へっ、俺のターン。俺はフタチマルに水エネルギーをつける。そしてホイーガの転がる攻撃! これでダルマッカ、ようやく気絶だぜ!」
 まさにようやく。ポケモン一匹気絶させるのに十ターンは流石に時間のかかりすぎだろう。蜂谷がサイドを一枚引くと、拓哉はずっと温存していたゼブライカをバトル場に出す。蜂谷がホイーガを用意していたのと同じシチュエーションだな。
「いくよ、僕のターン。まず、手札の雷エネルギーをチャオブーにつける。そしてゼブライカで攻撃、ワイルドボルト!」
 ワイルドボルトは雷雷無と、ホイーガの転がるよりも条件が厳しいために威力が70と高めだ。その反面自身にも反動として10ダメージを受けてしまう。これでホイーガの残りHPは10/90、ゼブライカ80/90となる。先の拓哉のターンにダルマッカの火を吹くでオモテを出していればホイーガを気絶させれていた。ここは拓哉の運が悪かったと言うより蜂谷の運が良かったと言うべきか。
「俺のターン、ドロー! お、いいカードが来たぜ。フタチマルに超エネルギーをつけ、グッズカードのモンスターボールを発動。コイントスをしてオモテならばデッキの好きなポケモン一枚を手札に加える!」
 引いたカードがいいカードといいながらその隣のカードをプレイした。いいカードとやらはこの後来るか。
「グッズカード、エネルギー付け替えを発動だ。自分のポケモンについているエネルギーを一つ選び、別のポケモンに付けかえさせる。俺はホイーガの水エネルギーをフタチマルに付け替える!」
 いいカードとやらがこれのようだ。果たしてこのプレイングが後にどう影響するのか。恐らく、返しのターンでホイーガを気絶させられることを読んでのことだろうが。
「ホイーガで毒針攻撃! このワザの威力は20だけだが、相手を毒にする!」
 ゼブライカにダメカン二つと毒マーカーを乗せる。このダメージを受けてもゼブライカ60/90のHPはまだまだ余裕だが、そう余裕をもってはいられない。毒の影響でじわじわとそのHPは削られる。
「蜂谷の番が終わったことでポケモンチェックに入り、毒の処理を行う。ゼブライカにダメカンを一つ乗せるぞ」
 更にダメージを受けゼブライカ50/90は残りHPがほとんど半分だ。ポケモンチェックの度に10ダメージを受けるのは微々たるように思えるかもしれないが、実際にはその数値以上に苦戦することになる。塵も積もれば山となる、10ダメージが継続的に重なるのは痛い。
「僕のターン。僕はゼブライカについている炎エネルギーをトラッシュしてゼブライカを逃がし、新たにチャオブーをバトル場に出す。そしてグッズカードを使うよ。エネルギー回収! エネルギー回収の効果でトラッシュにある基本エネルギーを二枚まで手札に戻す。僕は炎エネルギー二枚を回収する」
 ゼブライカがベンチに戻ったことで毒状態から解放される。そしてエネルギー回収で戻したのはダルマッカについていた炎エネルギーと、今逃げることでトラッシュした炎エネルギーの二枚だな。手札にエネルギーがないこの状況でこのカードを引き当てれたのは運が良い。
「チャオブーに炎エネルギーをつけてもう一枚グッズカード、きずぐすりを使うよ。この効果でベンチのゼブライカのHPを30回復させる!」
「は!? ちょ、待った待った!」
 急に声を上げて慌てる蜂谷。その反動で椅子を大きく後ろに引き、軽く立ちあがっている。今のどこに何があった。
「きずぐすりの効果って『自分のポケモン1匹から、ダメージカウンターを2個とる』じゃないの? もしかしてそれこそエラーカードじゃあ」
 なんだ、その程度のことか。というよりさっきからだがよくもテキストを正確に覚えているな。
「そういうことか。エラーカードじゃなくエラッタだ」
 蜂谷が首を傾げる。若干キモイ。
「エラッタとは、カードのテキストが変更されることだ。今お前が上げたのが『昔のきずぐすり』の効果であって、ポケモンカードBWから『新しくなったポケモン図鑑』の効果にならう必要がある。新しくなったきずぐすりの効果は『自分のポケモン1匹のHPを「30」回復する』」
「ほえー。カードの効果って変わるのね。じゃあ昔のポケモン図鑑は使えなくなるのか」
「いや、使えなくなることはない。ただし、使用カードが旧テキストであってもエラッタ後のテキストとしてカードを使用しなければならない。きずぐすりだけでなく、ふしぎなアメ、スーパーボール、プラスパワーもエラッタされてあるぞ」
「どんな風に変わったのさ」
「長くなるが……。ふしぎなアメは、最初の自分の番に使えず、その番に出したばかりのポケモンや、たねポケモンを1進化ポケモンに進化させることが出来なくなった。前の番から出していたたねポケモンを2進化ポケモンに進化させるカードになる。そしてプラスパワーは自分のポケモンのワザのダメージを+10する効果に変更し、今までのようにどのポケモンに使うかが選べなくなった。また、使うとポケモンにつける処理を行わず、すぐにトラッシュする。そしてスーパーボールは効果が大きく変わり、『自分の山札の上から七枚見る。その中からポケモンを1枚選び、相手に見せてから、手札に加えてよい。残りのカードは山札にもどし、山札を切る』というものに変わった」
 ほうほう、と蜂谷は頷くが、本当に分かっているかは甚だ疑問だ。とにかくこれでゼブライカのHPは80/90とほぼ全快した。
「続けていい?」
「あ、ああ。すまんな」
「僕はチャオブーのワザ、ニトロチャージを使うよ。この効果で自分のデッキの炎エネルギー一枚をこのチャオブーにつける」
 エネ加速を促すワザだ。チャオブーの進化系、エンブオーは必要なエネルギーは多いが一撃が非常に大きい重量級ポケモン。今のうちに準備をしておくといったところか。
「俺のターンだ。くっそ、計算狂ったなあ。じゃあ、ホイーガに超エネルギーをつけて転がる攻撃!」
 あえてホイーガを倒さなかったのは蜂谷の狙いを外させる意味もあったのか。柔和で臆病な雰囲気とは反して、拓哉(裏)のように案外策士のようだ。だが、転がるを受けてチャオブー50/100のHPは大きく削られてしまった。さあどうする。
「僕のターン、まずはポカブ(60/60)をベンチに出す。続いてグッズカードのモンスターボールを使うよ」
 コイントスの結果はウラ。よって効果の発動はなし。だが特にこのモンスターボールは発動する必要はないカードであっただろう。何せ手札には既にエンブオー100/150がいる。
「チャオブーをエンブオーに進化させ、エンブオーに炎エネルギーをつける。そしてエンブオーでバトル! ヒートスタンプ!」
 ヒートスタンプの威力は50。残りHPが10/90だったホイーガにトドメの一撃が刺さる。手札を全て消費してしまったが、今サイドを引くことで希少な手札を得た。残りのサイドはこれで一枚。そして蜂谷はフタチマル90/90をバトル場に出す。単純だが炎に水、懸命な判断だ。
 しかしフタチマルの持つ一番威力の高いワザのシェルブレードの威力は40+。コイントスをしてオモテなら20ダメージ追加できる。さらにエンブオーの弱点をつけることで、最大(40+20)×2=120ダメージを与えれる。その場合残りHPが100/150のエンブオーを気絶させることが出来るが、ウラが出てしまうとエンブオーのHPを削りきれない。
 そして返しの拓哉のターンでエンブオーのフレアドライブ。炎炎無無と厳しく、さらに攻撃後にエンブオーの炎エネルギーを全てトラッシュしなければならないワザだが威力はなんと150もある。それを決めてしまえばHP90のフタチマルは気絶して拓哉の圧勝となる。二分の一の運だめしになるか……?
「楽しくなるのはここからだぜ! 俺のターン! ドォロー!」
 気合いの入ったドローの動作の後、ニヤリと笑みを浮かべながら引いたカードを手札に加える。何かする気か。
「ベンチのフタチマルをダイケンキに進化!」
「進化だと!」
 今加えたカードをフタチマルに重ねる。ダイケンキ140/140はデッキに一枚だけしか入っておらず、ドローする時点で蜂谷のデッキは十枚、サイドは二枚。十二分の一の確率をここぞというタイミングで引き当てたのか……。
「ダイケンキで攻撃。ロングス……いや! いや、ちょっと待った」
「今度は何だ何だ」
 また待ったか、と蜂谷に対しやや呆れ気味に言い放つ。
「ロングスピアで拓哉のベンチのポカブを攻撃したら弱点計算するよな?」
 今蜂谷が言ったロングスピアとは、無無で打てる威力30のワザ。このワザの効果でベンチポケモン一匹にも30ダメージを与えることが出来、今言ったようにポカブ60/60の弱点を突ければ30×2=60で気絶させることが出来る。のだが。
「はぁ、カードのテキストをよく読め。ベンチへのダメージは弱点・抵抗力の計算をしないとしっかり書いているだろ」
「うおっ、本当だ。危ない危ない。じゃあ波乗り攻撃!」
 波乗りの威力は80。効果はなく水水無とエネルギー三つで打てる中々の威力を持つワザだ。さらにエンブオーの弱点は水×2なので、実際に受けるダメージは160。蜂谷はこれで拓哉のエースポケモンを一撃で倒してしまった。しかもダイケンキ140/140にはHPに余裕がある。
「サイドを一枚引く。これで互いに残り一枚だ!」
「じゃあ僕はゼブライカ(80/90)をバトル場に出すよ」
「え、ゼブライカとかいたの!?」
 ここまでの逆転劇は見事なものだった、と言いたかったがどちらにしろゼブライカがベンチに残っていた時点で蜂谷は詰んでいた。
「僕のターン、炎エネルギーをゼブライカにつけて」
「ちょちょちょ、タイム! ちょっと待った!」
「待ちません! ゼブライカで攻撃、ワイルドボルト!」
 ゼブライカ自身にもワザの反動で10ダメージを受けるが、雷タイプが弱点のダイケンキ140/140は70×2=140のダメージを受けなくてはいけない。ゼブライカの上にダメカンを大量にばらまくと、拓哉は最後のサイドを引いた。
「終わりだな。と、まあこんな感じだ。中々良かっただろう」
「自分のデッキじゃなくて構築済みデッキだったけど思ったより楽しめたねー」
 すぐ真横で首を少しだけ傾けながら拓哉が満面の笑みを浮かべる。……どうも俺は拓哉は苦手のようだ。
「上手いプレイングだったな。元々相性的に不利なデッキだったが余裕を持って勝てたじゃないか」
「えへへ、これくらいは余裕だよ!」
 カードセットを片付けて鞄を直し、鞄を担いでゴミを乗せたトレイを拓哉の分も持って立ちあがる。いつまでもうなだれる蜂谷をあごで動かし、トレイを片付け店を出る。
 春の気持ちいい風が流れる街へ再び三人で繰り出す。



風見「今回のキーカードはエンブオーだ。
   エネルギーのロスは多いが、
   フレアドライブの威力は目を見張るものがある」

エンブオー HP150 炎 (HS)
炎無無 ヒートスタンプ  50
炎炎無無 フレアドライブ  150
 このポケモンについている炎エネルギーをすべてトラッシュする。
弱点 水×2 抵抗力 − にげる 4

───
ポケモンカードスーパーレクチャー第四回「ポケモンを気絶」
http://www.geocities.jp/derideri1215/library/lecture/88.html

番外編「いただきます」

風見「いただきます」
松野「……風見君いくら自分の自炊能力がないからって人の家に上がってきてご飯作ってくださいはないよねー」
風見「……」
松野「まあまだ毎日来るわけじゃなくて週一だし、おいしそうに食べるからいいんだけど」
風見「すみません」
松野(それにしても食事作法だけはやけにいいのよねえ。どれだけ食べ専なのよ)


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