マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.837] 70話 挑戦 投稿者:照風めめ   《URL》   投稿日:2012/01/04(Wed) 22:28:10   39clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

「レックウザC LV.Xでラグラージに攻撃。ファイナルブラスト!」
 深く息を吸い込んだレックウザC LV.Xの口から無慈悲なほど巨大で強大な極太レーザーが発射された。
 あまりの光で目が、爆発するかのような音で耳が、大気を震わす衝撃で平衡感覚がどうにかなってしまいそうだった。なんとか両膝を足につけて堪える。
 レーザーにすっぽり飲み込まれてしまったラグラージはHPバーを確認するまでもなく0となり、散っていく。
「これがポケモンカード最大火力、200ダメージ。ポケモンカードでHPが200を越すポケモンはいない。つまりどんな相手でも一撃で倒す強烈なワザだ。ルートプロテクターなんていう小細工も通用しないよ」
「でもそれほどの威力ならデメリットも……」
「ファイナルブラストは確かにデメリットを持っている。……が、それを回避出来るんだ」
「回避?」
「このワザは自分のエネルギーを全てトラッシュしなくてはならないデメリットがある。しかし手札が0のとき、その効果はなくなるんだよ」
 ニヤリ。ああ、あれは勝負師の笑みだ。いや、でも中西さんは本気で僕を相手してくれている。だからこそ諦めちゃダメだ。僕を認めてくれている。こちらも全力で戦ってそれに応じなくてはならない。
 中西さんのレックウザC LV.Xにはポケモンの道具のエネルギーリンクが、エネルギーは水が二つ、超、マルチ・エネルギーがついているが残りHPは30/100。ベンチにはジュペッタ50/70、ベンチシールドをつけているネンドール60/60、エネルギーリンクをつけた色違いのミロカロス40/60がいる。
 今僕のベンチにはネンドール60/60、メタグロス40/110、特殊鋼エネルギーがついたメタグロス110/110。レックウザC LV.Xの残りHPは僅かだが、それに止めを刺すにはどのポケモンでもワザエネルギーが不足している。
 メタグロスのグラビテーションというポケボディーで全てのポケモンのHPを20ずつ下げている。残りサイドは僕が五枚で中西さんが四枚。
「僕はメタグロス(40/110)をバトル場に出す」
「サイドを引いて私はターンエンドだ」
 これで中西さんとのサイド差は二枚になった。
「僕のターン。ポケモンパルシティの効果でデッキの上から七枚確認し、その中のたねポケモンを好きなだけ確認してベンチに出す。……、ミズゴロウ40/40(グラビテーション計算済み)をベンチに出してデッキをシャッフル!」
 そういえば先ほどのターン、中西さんはパルシティを使わなかった。しかし次のターン使われるかもしれない。こういう相互に有益のあるカードは早いうちに自分から潰しておくべき。
「ポケモンパルシティをトラッシュし、破れた時空を発動。さらにメタグロス(110/110)に鋼エネルギーをつける」
 可愛げのある街から元の会場へ戻り、休む間もなく破れた時空へと周囲が様変わりだ。このエフェクトは目が疲れるからもう少しなんとかしてもらいたいなぁ。
「ネンドールのコスモパワーで手札を二枚戻して四枚ドロー」
 この状況をなんとかできそうなカードを引き当てれた。もう少しこれは温存しておこう。
「ターンエンド」
「それではわたしのターン。手札の超エネルギーをジュペッタにつけ、こちらもネンドールのポケパワーを発動。手札を一枚戻して六枚ドロー」
 またもや六枚ドロー。今度は一体何をするのか……。
「ヒンバス10/10(グラビテーション計算済み)をベンチに出し、破れた時空の効果でヒンバスを色ミロカロス60/60(計算済み)に進化させる」
 これで一番の難敵色ミロカロスが二匹揃ってしまった。しかし色ミロカロスの欠点として、ワザエネルギーが水水無の3つもあることが挙げられる。今の色ミロカロスは二匹ともエネルギーがない。まだ大丈夫、まだしばらく大丈夫だ。
「そしてジュペッタの癇癪。手札を四枚捨てる」
「四枚ということは40ダメージ……!」
 中西さんは手札から夜のメンテナンス、ワンダー・プラチナ、思い出の実、ハマナのリサーチを捨ててまたもや手札を0。そして癇癪は棄てた枚数だけジュペッタにダメージカウンターを乗せるポケパワーであり、合計40ダメージ分受けて残りは僅か10/70とギリギリだ。
「さあ、ファイナルブラスト!」
 もう一発、激しい光の束がメタグロスを丸ごと包み込む。自然と目を塞ぎ手で耳を押さえる。大気の震えで体がガクガク震える。本当にこれが3Dなのか、なんていう迫力、パワーだ。もちろんワザとしての威力は言うまでもない。今バトル場にいるメタグロスは当然気絶となる。
「次もメタグロスをバトル場に!」
「サイドを引いて終わりだ。これで残りのサイドは二枚だね」
 そう、中西さんのサイドは既に表向きになっているミラクル・ダイヤモンドとミステリアス・パールだけだ。
「まだまだ! 僕のターン、メタグロスに闘エネルギーをつけてミズゴロウをヌマクロー60/60(グラビテーション計算済み)に進化させてメタグロスでジオインパクト!」
 メタグロスが腕で地面をえぐりながらレックウザC LV.Xに接近し、腕を勢いよく地面から離すとレックウザC LV.Xを下から上へ殴りつける。上へ殴り飛ばされたレックウザC LV.XはHPバーを0に減らしつつ宙を舞うと、そのまま自由落下していく。ズドンと重い音を鳴らして崩れていった。
「む……。それではジュペッタをバトル場に出そう」
「サイドを一枚引いてターンエンド!」
 まだ僕のサイドは四枚も残っている。でもまだまだ諦めない! ようやく一番攻撃力のあるレックウザC LV.Xを倒したのだ。ここからは少し楽になるはず。
「私のターン。ダメージを受けていない方の色ミロカロスに水エネルギーをつけよう。そしてジュペッタの超エネルギーをトラッシュしてダークスイッチ!」
 ジュペッタは口についているファスナを開き、顎が外れるのではないかと疑うくらい大きく開けると、口の中から火の玉と思わしきものが六つ程出てきた。そしてなんとジュペッタのHPが先ほどまで10/70だったのに対し今は70/70となっている。
 それら火の玉はジュペッタの元を離れてメタグロスの傍によると、メタグロスの体の中に侵入していく。火の玉が一つ侵入していくにつれメタグロスのHPは10ずつ下がり、結果的に50/110と60も減らされてしまった。これはまるで……。
「ダメカンが入れ替わった……?」
「その通り。ジュペッタのダークスイッチは自分のエネルギーを一つトラッシュすることで、自分と相手のダメージカウンターをすべて乗せ換えるモノ。癇癪で蓄えていたダメージをここで放出したわけだ」
「ぐっ……。僕のターン! ヌマクローのポケパワーの飛び込むを発動! ベンチにこのポケモンがいるときコイントスをし、オモテの場合自分のバトルポケモンについているエネルギーをすべてこのポケモンにつけかえてバトルポケモンと入れ替える!」
 ここでオモテを出しておかないと後で辛い展開になるのは必至……!
「残念、ウラだね?」
 しかし無情にもオモテは出なかった。決死のポケパワーも決まらなかった。
「だったらヌマクローに水エネルギーをつけてミズキの検索を発動。手札を一枚戻し、デッキからラグラージを手札に加える。ネンドールのコスモパワーでデッキの底に手札を二枚戻し、三枚ドロー」
 いや、よくよく考えるとジュペッタは次のターンワザを使えない。なぜならジュペッタにワザエネルギーはなく、ワザエネルギー一個で使えるワザはダークスイッチのみ。わざわざ使う意味がないからだ。
 だから飛び込むを使うタイミングを間違えていた。ある意味ウラが出てよかったかもしれない。
「メタグロスでジオインパクト!」
 ジュペッタに重い一撃が襲いかかる。先ほどダークスイッチでHPをマンタンに戻したにもかかわらず再び10/70とさっきと同じHPまで下げてやった。
「私のターン。手札から水エネルギーをまだダメージを受けていない色ミロカロスにつけ、グッズカードの夜のメンテナンスを使わせてもらうおう。このカードでトラッシュにあるポケモン、基本エネルギーを合計三枚まで戻すことができる」
 中西さんが指定したのは水エネルギー二枚と超エネルギー一枚。エネルギー蒐集に回ろうとしているのか?
「そしてターンエンドとしておこう」
 やはりジュペッタは棄てに入ったか。しかしそれでも中西さんの手札は再び0になっていた。
「僕のターン。手札の闘エネルギーをヌマクローにつけて飛び込む!」
 今度のコイントスはきっちりオモテ。メタグロスの鋼、闘、特殊鋼エネルギーをも引き継ぐことになった。
「ここでヌマクローをラグラージ110/110(計算済み)に進化し、押し倒す攻撃。今ラグラージには闘エネルギーが二つついているから、60に20足して80ダメージ!」
 残りHP10のジュペッタを一撃であっさり倒してしまうオーバーキルだ。次のポケモンには先ほどからエネルギーをちまちまと蓄え続けていた色ミロカロス60/60。本当は引きずり出すでこちらを攻撃したかったのだが相手の手札は0枚、アクアミラージュでダメージを与えられない。
「サイドを一枚引いてターンエンド」
「私のターン。ネンドールのポケパワー、コスモパワーで今引いたカードをデッキの底に戻し、手札が六枚になるようにつまり六枚引かせてもらう。ベンチにカゲボウズ30/30、ヒンバス10/10(どちらも計算済み)を出し、ミズキの検索を発動。手札を一枚デッキに戻してデッキからミロカロスを手札に加えるよ。そして破れた時空の効果でヒンバスをミロカロス70/70(計算済み)に進化し、カゲボウズにポケモンの道具の達人の帯をつける。この効果でカゲボウズのHPと与えるワザのダメージは20ずつ上がりHPは50/50となる。そして最後にバトル場の色ミロカロスに水エネルギーをつけて引き潮攻撃だ」
 ラグラージの背後から襲いかかる波はラグラージを大きく飲み込みダメージを与える。今バトル場にいるミロカロスはダメージを受けていず、引き潮の効果で与えるダメージは80のままだ。これであっさりとラグラージのHPは30/110へと減らされてしまう。
「さあ、君のターンだ。と言っても私の色ミロカロスにダメージを与えることができるかな?」
「出来るさ」
「……?」
「僕のターン。手札からサポーターカードのハンサムの捜査を発動!」
「ハンサムの捜査……。そうかその手が!」
「このカードは相手の手札を確認し、そののち自分か相手を指定して指定されたプレイヤーは手札を全てデッキに戻して手札が五枚までドローしなくてはならない。そうすればそのハンドレスコンボも終わりだ!」
「くっ……」
 中西さんが初めて苦しい表情を見せ、カードを二枚ドローする。ハンサムの捜査は五枚「まで」ドローするカードなので一枚以上五枚以下であれば任意の数だけ引くことができるのだ。
「ベンチのメタグロスに水エネルギーをつけてラグラージで色ミロカロスに押し倒す攻撃!」
 ラグラージがミロカロスに向かって飛びかかる。ズン。と鈍い、重い音を立てて色ミロカロスはバランスを崩すと、そのままラグラージの下敷きになってしまった。
「闘エネルギーが二枚ついているから80ダメージ、その色ミロカロスは気絶! サイドを一枚引いてターンエンド!」
 よし、この調子ならまだまだ行ける。中西さんが次に出したのはHPが僅か50/50で達人の帯をつけた、エネルギーがまだ一枚もないカゲボウズ。
 達人の帯をつけるとHPとワザの威力が20ずつ上昇するものの、このポケモンが気絶したとき逆に相手はサイドを一枚多く引けるデメリットがある。
 そしてラグラージには進化していないポケモンから受けるダメージを20減らすルートプロテクターというポケボディーがあるから一撃でやられるなんてそうそうないだろう。逆にこちらが次のターンカゲボウズを倒してしまえば僕の勝ちとなる。勝てるんだ!
「私のターン。バトル場のカゲボウズに超エネルギーをつけさせてもらい、攻撃だ。ぱっと消える」
 ふよふよとラグラージのそばにやってきたカゲボウズが、頭の棘でチクリとラグラージに攻撃する。見た目通りの威力のなさそうなワザだ。
「残念ですけどラグラージにはルートプロテクターというポケボディーがあって進化していない───」
「それは分かっているよ。ただいろいろ言う前に君のラグラージを確認してごらん」
 一瞬何を言いたいか分からなかったが、ラグラージのHPバーを確認してすぐに分かった。残り30あったHPが尽きている。
「そんな……。50ダメージ与えないと倒せないのに」
「ぱっと消えるの元々の威力は30だが、達人の帯で20プラスされて50ダメージということだ」
「でもカゲボウズのHPは僅か、すぐに倒せば……」
「倒せれるかな?」
「!?」
 中西さんの場を確認するが、なぜかバトル場にはカゲボウズではなくネンドール60/60。ベンチを探してみてもカゲボウズの姿はない。
「ぱっと消えるは自分と自分についているカードを全て手札に戻す効果がある、さすがに手札のポケモンを攻撃する術はないだろう」
「くっ……」
 仕方なくメタグロス50/110を再びバトル場に繰り出す。
「サイドを引いて、これでリーチだ」
「まだまだ! 僕のターン。鋼エネルギーをメタグロスにつけてターンエンド」
「私のターン、カゲボウズ30/30(計算済み)を再びベンチに出し、カゲボウズに超エネルギーをつけてこちらもターンエンドだ」
 どちらもワザエネルギーが足りなくて攻撃ができないのだ。
「僕のターン、手札のマルチ・エネルギーをメタグロスにつけてジオインパクト!」
 重い一撃がネンドールの足元から襲いかかる。巨体が空を舞って無抵抗に落ちていく。HPは一撃圏内だったからこれで僕もサイドを更に一枚引いて同じくリーチになった。次に中西さんが出すポケモンが最期のポケモン。
「私はカゲボウズ(30/30)をバトル場に出そう」
 カゲボウズが出たという事は……。
「そして私のターン。カゲボウズに達人の帯をつけてぱっと消える!」
 中西さんの最後の攻撃がメタグロスに襲いかかる。
「くっ……」
 ヌマクローで飛び込むをした際に特殊鋼エネルギーも移動させてしまったのが後々響いてしまった。
 やっぱり僕じゃダメだったのか……。
 カゲボウズの可愛げな頭突きがきっちりメタグロスのHPを0にしていく。
 中西さんは表向きになっている最後のサイドカード、ミステリアス・パールを引いてこの勝負を終わらせた。
 持てる力を出したはずだが、それでもまだ及ばなかった。少し目頭が熱くなった、もしかすると潤目になっているかもしれない。
「前と比べてかなり腕をあげたね。私のコンボを破られた時は本当に危なかったよ。でも、今回は勝たせてもらった」
 中西さんは優しげな眼でこちらを見つめている。
「次はどうなるかは分からないけどね。また、機会があればそのときは……」
 そう言って中西さんは去って行った。
 悔しかった。中西さんが僕を認めてくれたのは嬉しかったが、ポケモンカードでこんなに悔しかったのは初めてだ。
 抑えていた感情が急に溢れそうになったのでバトルベルトとデッキを急いで直すと人気のないところに走って行った。



向井「今回のキーカードはレックウザC LV.X。
   圧倒的なそのパワー。威力200は最高火力!
   手札が0なら何回でも打てる!」

レックウザC LV.X HP120 無 (DPt3)
ポケボディー ドラゴンスピリット
 このポケモンが、バトル場で相手のワザのダメージを受けたとき(このポケモンのHPがなくなった場合はのぞく)、自分のトラッシュのエネルギーを1枚、このポケモンにつけてよい。
水超闘無  ファイナルブラスト 200
 自分のエネルギーをすべてトラッシュ。自分の手札が1枚もないなら、エネルギーをトラッシュする効果はなくなる。
─このカードは、バトル場のレックウザC[チャンピオン]に重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─
弱点 無×2 抵抗力 闘−20 にげる 3


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