マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.808] 56話 地獄 投稿者:照風めめ   《URL》   投稿日:2011/11/09(Wed) 20:04:51   49clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

「僕のターン、ドロー。手札の鋼エネルギーをディアルガにつけ、ベンチにココドラとコイルを出す。そしてミズキの検索を発動。手札を一枚デッキに戻し、好きなポケモンを手札に加える。ボスゴドラを手札に加え、更に不思議なアメを発動。自分のたねポケモンから進化するポケモンを手札から一枚選び、そのポケモンに乗せて進化させる。僕はココドラをボスゴドラへ一気に進化させる!」
 現れたばかりのココドラの足元から光の柱が形成される。光の中でシルエットだけ浮かぶココドラのフォルムが徐々に変わり、光の渦が消えるや否やボスゴドラが現れる。だがディアルガに比べると大きさは半分以下。フィールド的には俺の方が威圧されている雰囲気がある。
 これで今の沙村のバトル場は鋼エネルギー三つのディアルガ90/90。ベンチにはレアコイル70/70、ボスゴドラ130/130、コイル50/50。
「ディアルガでラスターカノン!」
 ディアルガが口を開くと口の前で鈍色のエネルギー体が形成され、ヨノワールに向けて放たれた。ディアルガの口元にあるときラスターカノン自体は大きく見えなかったが、ヨノワールの元に来ると意外とでかい。ヨノワールのHPが40削られ60/120へ。
「なんだぁ? そんなもんか? つまんねえな」
(……)
 サイドも一枚有利なため勢いづく俺だが、相棒はむしろ危機感を持っているようだ。
「どうした相棒」
(あんまり熱くなり過ぎちゃダメだよ)
「それくらい言われなくても分かってる」
 どちらかというと、いちいちそんなことを口に出されることで冷静さを欠きそうだった。
「俺のターン! ゴースに超エネルギーをつけてゴーストに進化させる。そしてベンチのサマヨールをヨノワールに進化させる!」
 これで俺のバトル場には超エネルギー二つのヨノワール60/120と、ベンチにはエネルギーなしのヨノワール120/120、ベンチシールドのついたネンドール80/80、超エネルギーがついたゴースト80/80が二体。相手と比べ、ほとんどベンチのポケモンが立っている。
「ネンドールのポケパワー、コスモパワーを発動する。俺は手札を一枚戻し、手札が六枚になるまで。つまり四枚ドロー。それだけじゃねえ、バトル場のヨノワールをレベルアップさせる!」
 これでヨノワールのHPは更に増強され、80/140となった。これでだいぶタフになった。簡単にはやられまい。
「さて、ヨノワールLV.Xで攻撃だ。ダメージイーブン!」
 ヨノワールに乗っているダメージカウンターの数だけ、つまり六個の奇妙な赤い玉がヨノワールの腹部にある口からディアルガに向けて放たれる……。と誰もが思ったはずだが、ディアルガを通り抜けてその後ろにいたコイルに赤い玉の群れが襲いかかる。
「なっ……!」
「ダメージイーブンによってダメージカウンターを乗せられるのは『相手』ではなくて『相手のポケモン』だ。よってベンチのポケモンにもダメージカウンターが乗せられるってわけだ」
 コイルのHPバーがあっという間に底を尽き、急に力を失ったよう空中から地面に落ちた。
「サイドを引いてターンエンドだ」
 これで俺の残りサイドは四枚。相手とは二枚の差ぶん引き離している。決勝リーグってのに大した事ねえな。
「僕のターン。手札からグッズカード、プレミアボールを発動。自分の山札またはトラッシュからLV.Xを一枚手札に加える。僕はトラッシュからディアルガLV.Xを加えて場のディアルガをレベルアップさせる!」
「ディアルガLV.X……。二ターン前のか!」
(あのときにスージーの抽選で捨てたカード、やっぱりサルベージしてきたね)
 ディアルガのHPは90/90からレベルアップすることによって110/110まで上昇。ダメージイーブンで倒そうとするにもヨノワールの残りHPが10だけでなくてはならない。
「そしてサポーターカード、デンジの哲学を発動。手札を六枚になるようにドローする。また、ドローする前に手札を一枚トラッシュ出来る。僕は手札の鋼の特殊エネルギーをトラッシュ。これによって今の手札は0。なので六枚ドロー!」
「特殊鋼……」
 エネルギーはエネルギーでも、基本エネルギーはサーチやサルベージ手段が豊富であるが特殊エネルギーはその逆でサーチもサルベージもしづらい。そんな貴重なカードをトラッシュしてまで六枚引きたかったのだろうか。
「ベンチのレアコイルをジバコイルに進化させ、バトル場のディアルガLV.Xに特殊鋼エネルギーをつける!」
 ジバコイルに進化することによってHPが70/70から120/120へと大幅に上昇した。更にディアルガLV.Xについた特殊鋼エネルギーは、そのエネルギーが鋼タイプのポケモンについているなら受けるワザのダメージを10減らす厄介なものだ。
「ディアルガLV.Xのポケパワーを発動。その効果によって相手プレイヤーはコインを二回投げる」
「ふん」
 コイントスのボタンを押す。……裏、裏。二回とも裏か。
「ディアルガLV.Xでヨノワールに攻撃。メタルフラッシュ!」
 ポケパワーは発動されなかったのか……? 考える間もなくディアルガLV.Xの体が眩く輝きだし、視界が白で覆われる。その中でヨノワールLV.Xは両腕を使って目をかばうも、HPバーは順調に削られて0になった。
「メタルフラッシュの威力は80。だけどメタルフラッシュを使った次のターン、このワザは使えない」
「そんな程度知ったこっちゃねえ。だがたった今、お前は自分で地獄行きのチケットを切った。ヨノワールLV.Xのポケパワー発動。エクトプラズマー!」
「そんな、倒したはずなのに……」
「こいつのポケパワーは、こいつ自身がバトル場にいて相手のワザによって気絶させられた時に発動する」
 俺と沙村の周囲が一気にスタジアム状で紫色の何かに包まれる。観客の姿は見えなくなり、俺と沙村とそのポケモンしかモノが見えなくなった。上下左右前後全てが紫色で、足元までも紫色なので地面に立っている感じがしないでもない。
「その効果により、ヨノワールLV.Xはスタジアムカードとして扱われる」
 急きょ俺たちを包んでいた紫の景色にスゥっと切れ目がいくつも入り、それは開いた。目だ。人の目のような小奇麗なものではない。少し濁った白目の真ん中にあるその瞳孔は闇のように暗い。上下左右前後にウン百万、ウン千万もある目は丁度俺達の方を向いている。
 普通なら気分が悪くなる。あまりの不快感に吐き気を催すだろう。だが俺はこの程度じゃ何ともない、そのついでに沙村も戸惑いはしたが、やがて何事もないように俺をしっかり見据えた。なかなか根性があるじゃねーか。周りにいた観客共は嫌そうな顔をして俺らから離れるのが大半だ。
「このスタジアムの中ではポケモンチェックの度に『相手のポケモン全員に』ダメージカウンターを一つずつ乗せていく。ギリギリな寿命でファックしとけ。俺の次のポケモンはもう一匹のヨノワールだ」
「サイドを引いてターンエンド」
 沙村がターンエンドをすると同時にポケモンチェックが行われる。急に沙村のポケモンが苦しそうにのたうつ。HPバーが10ずつ減って行き、ディアルガは100/110。ジバコイルは110/120。ボスゴドラは120/130。どいつもなかなかタフそうだな。
「俺のターン、ドロー!」
「この瞬間、ディアルガLV.Xのポケパワー発動、タイムスキップ!」
「あぁ?」
「このポケパワーによって行ったコイントスで二回とも裏を出した場合、次の相手の番の最初に相手がドローした瞬間、そこで強制的にターンエンドとなる」
「俺のターンを……スキップだと!?」
 予想外の展開に驚かざるを得ない。まさか自分のターンが簡単に飛ばされるだなんて。だが。
「ポケモンチェックは行ってもらうぜ」
 再びポケモン達がのたうつ。苦しそうな悲鳴を上げる奴もいる。なかなかな情景じゃねぇか。ディアルガLV.Xは90/110。ジバコイル100/120。ボスゴドラ110/130。少しずつ。少しずつだが確実にダメージを負わせている。
「それじゃあ僕のターン、ドロー。特殊鋼エネルギーをボスゴドラにつけ、ディアルガLV.Xを逃がしてボスゴドラと入れ替える」
(そうか、ジバコイルのポケボディー、電磁波によってあの人のバトルポケモンに鋼エネルギーさえ乗っていたら逃げるエネルギーは必要なくなるんだ)
「ケッ、入れ替えるのは構わねえがそいつ(ボスゴドラ)には生憎まだエネルギーが一個しか乗ってねえぞ」
「僕は手札からエネルギー付け替えを発動。その効果によってディアルガLV.Xについている鋼の基本エネルギーをボスゴドラに付け替える」
 その辺も考えているのか。気に食わねえな。
「さらにスタジアムカード、帯電鉱脈を使う。新しいスタジアムが発動したことにより、前のスタジアムはトラッシュされる」
 紫色の空間は霧のように消え行き、一度元のホールに戻る。だが休む間もなくまた新たな背景へと変わる。今度は殺伐とした谷だ。その谷の底の部分にあたるところに立っているようだ。辺りからは紫電が飛び交っている。
「悪いが地獄はこの程度じゃ終わんねぇぜ。ヨノワールLV.Xはトラッシュされるとき、手札に戻ってくる」
 常に辺りに不快感を撒き散らしていた沙村だが、今回ははっきりと悪意のある目を向けて舌打ちをしてきた。
「帯電鉱脈の効果により自分の番にコインを一回投げることができる。表なら自分のトラッシュの雷または鋼エネルギーを一枚手札に加えることができる」
 なるほどねぇ。さっきから鋼エネルギーを簡単に捨てていたからどうかと思っていたが、リカバリー手段はあるんだな。
 沙村のコイントスの結果は表。ヤツはトラッシュから鋼の基本エネルギーを手札に加えた。この帯電鉱脈では鋼の特殊エネルギーもサルベージ出来るはずなのに、あえて鋼の基本エネルギーを選んだ。何かあるな。
「ココドラをベンチに出し、ボスゴドラで攻撃。山盛り」
 ボスゴドラは右腕で地面を殴りつけた。もちろん立体映像なので会場自体にヒビが入るわけもないのだが、ボスゴドラの腕は帯電鉱脈の地面に深々とめり込んでいた。そして力技で右腕を引っこ抜く。
 引っこ抜いた時に鉱脈がヒビ割れ、ヨノワールの足元までヒビが広がり、そのヒビから大量の土砂がヨノワールめがけて飛んでくる。しかし飛んできたのは土砂だけではない。土砂の中に鋼のシンボルマークがいくつも混ざっていた。
「自分のトラッシュにあるエネルギーを全てデッキに戻してシャッフルする。戻すエネルギーの中に鋼の特殊エネルギーがある場合、元の威力40に加え更に30ダメージ追加する」
 だから帯電鉱脈のときに鋼の特殊エネルギーを戻さなかったのか! 沙村は自分のトラッシュにある鋼の基本エネルギー二枚と鋼の特殊エネルギーを一枚デッキに戻した。これによってヨノワールが受けるダメージは70。HPも50/120と大幅に減った。
「ほう。行くぞ、俺のターン」
 今の沙村は勝ち急いでいる。俺に優勢をとられていたため、流れを持ち返そうとしていて、実際流れは沙村にあるように見える。
 が、実際は全然逆だ。その理由として先ほどのターンにディアルガLV.Xの効果を使わなかったのが挙げられる。もしこれでタイムスキップを発動すれば利率は大きい。しかしタイムスキップは相手が二回とも表を出した時にそこで自分のターンが終わってしまうというデメリットも存在する。沙村はそれを恐れたのだ。
「中々頑張ってる。と褒めてやりたいところだが、俺と戦(や)ろうってんならその程度じゃ困るな」
 沙村は再び悪意のある視線を送りつけてきた。感情的だな。ああ、感情的だ。こうも簡単に挑発に乗ってくれると助かるぜ。
「手札からミズキの検索を発動。手札を一枚デッキに戻し、俺はゲンガーを手札に加える。ベンチにいるゴーストを二匹ともゲンガーにし、ヨノワールをレベルアップさせる!」
 ゲンガーはのHPは二匹とも110/110と高水準に昇り、ヨノワールLV.Xは70/140となった。
「片方のゲンガーに超エネルギーをつけてネンドールのコスモパワーを使うぜ。手札を二枚デッキの底に戻して三枚引くぜ。これでターンエンドだ」
「僕のターン。スージーの抽選を発動。ドーブルと鋼の特殊エネルギーをトラッシュして四枚ドロー! 更にボスゴドラに鋼の特殊エネルギーをつける!」
 さっきまでおとなしい口調が、段々荒くなっている。語尾に力がこもってる。完全に冷静さを欠いているな。戦法も粗い。
「さあ、タイムスキップでもすんのか? またしょっぼいコイントスして裏二回出るといいな、ああ?」
 もはや脅しともとれるような声音でもう一段階挑発する。
「……。ボスゴドラでヨノワールLV.Xに攻撃! 山盛り!」
 再び地面にヒビが入り、土砂がヨノワールLV.Xを襲う。さっき捨てられたばかりの鋼の特殊エネルギーはデッキに戻ってシャッフルされる。ヨノワールLV.XはHPが尽きた。
「さあもう一度地獄の幕開けだ!」
 演出っぽく指をパチンと鳴らすと同時、殺風景な谷から元のホールへ。そして再びあの紫の空間に戻って行く。またもや空間のあちこちから目が現れて二人を、どちらかというと沙村を見つめる。
「俺様のお次は超エネルギー一個の方のゲンガーだ!」
「サイドを一枚引いてターンエンドっ!」
 もう一段階深い地獄を見せてやる。
 乾いた下唇を少し舐めて憤っている沙村を見つめる。



拓哉(表)「今日のキーカードはディアルガLV.X。
      特徴的なポケパワーはコイントス次第。
      だけど決まればすごいことになるよ!」

ディアルガLV.X HP110 鋼 (DP3)
ポケパワー タイムスキップ
 自分の番に、1回使える。相手プレイヤーは、コインを2回投げる。すべてオモテなら、この番は終わる。すべてウラなら、次の相手の番の最初に、相手プレイヤーが山札からカードを1枚引いた後、すぐにその番は終わる。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。
鋼鋼無無  メタルフラッシュ 80
 次の自分の番、自分は「メタルフラッシュ」を使えない。
─このカードは、バトル場のディアルガに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─
弱点 炎×2 抵抗力 超−20 にげる 2

───
翔の使用デッキ
「フレイムブースト」
http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-747.html


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