マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.803] 54話 昼時 投稿者:照風めめ   《URL》   投稿日:2011/11/03(Thu) 00:18:31   34clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
54話 昼時 (画像サイズ: 290×250 143kB)

「翔! 頑張って早起きして弁当作ったんだ、食ってくれ!」
 石川の元に戻ると、腕を引っ張られて展示ホールの外へ(展示ホール内での飲食はご遠慮くださいということらしかった)連れ出された。そして座れるところまで来ると、まるで飛んで跳ねるようなテンションで俺に弁当の入った包みを渡してきた。
「これで昼飯代は浮くな、ありがとう」
 とは口で言ったものの、包みを開ける手は化学の実験をしてるかのような慎重な手つきだった。偏見で悪いけど、いかにもご飯作れなさそうなタイプだもんね。
「おっ」
 水色の包みの中から可愛らしいくまさんのお弁当箱が出てきた。俺の予想ではこの辺ですさまじい臭いが襲いかかってくるはずだったのだが、そんなことはなさそうだ。
「よし、それじゃあいただきます」
 意を決して弁当箱を開けてみると、悪臭どころかむしろおいしそうな匂いが。予想はいい方向に外れたらしい。しかし、具を良く見ると。
「ハンバーグにからあげに肉団子にたこさんウインナー……」
「からあげと肉団子は冷凍のやつだけど、他は全部自分でやったんだぜ」
 野菜がどこにも見当たらん。
「あ、ありがとう……」
 そのときどこかからこちらを見つめる視線を感じた。慌てて視線の元へ顔を向けたが別段こちらを向いてるような人は見受けれなかった。
「翔」
「うん?」
「お口あけて」
「いや、ハンバーグを一口で食わせようとするのはどう考えてもあばばばばっ!」



「クソッ、本当なら百合ちゃんのお弁当をお口あーんでいただけたのに」
「ざまあ」
 蜂谷が口に含んだコンビニおにぎりをこぼしそうな勢いで笑いだす。イラっとしたので睨み返す。
「ていうか口の中にモノ入れながら喋るな」
 頭を少し叩いてやると、蜂谷は左手を俺の眼前に突き出した。止まれってこと?
 ようやく飲み込んだらしい蜂谷は左手を下ろす。
「なあ恭介、さっきから気になってるんだけどアレは何の騒ぎなんだ?」
 口の中がようやく開いたらしい蜂谷は、人だかりができてる一帯を指差す。
「行ってみるか」
 慌ててコンビニおにぎりを口の中にねじ込み、ゴミを捨てて人だかりの中に突っ込む。
 どうやらこの人だかりの何人かはカメラを構えているようだ。人と人の間を頭を無理やり突っ込んで先に進む。
「ぬおぅわ!」
 右の方から呑気な蜂谷の声が聞こえる。どうやら転んだようだ。一方で俺はようやく最前列までたどり着いたのだが、目の前の光景を見るとこれがまたとんでもない。
 なんとメイドさんがいたのだ。
「おおおおおおおおぉぉぉぉ!」
 どうやらこの人だかりはメイドさんを写真に撮ろうとしてるようだ。急いでポケットから携帯を取りだす。
 どうやらメイドさんは派手に転んだ蜂谷を労わっているようだ。蜂谷は後で肩パン。
「あの大丈夫ですか?」
「あいてて……、うん?」
 辺りを軽く見渡してようやく状況を飲み込めた蜂谷は、彼女の手を借り立ち上がる。服の砂埃を払った蜂谷は、俺に向かって
「恭介、写メ撮って俺の携帯に送って!」
「断る!」
「あの、一緒に写真撮ってもらってもいいですよね」
 聞けよ!
「え、いいですけどそれよりもお怪我は大丈夫なんですか?」
 メイドさんはどうすればいいか分からずはたまた蜂谷を気遣う。
「ええ大丈夫です。紳士ですから」
 意味がわからん。
「はいチーズ」
 二人がきちんとこちらを向く前に携帯カメラのシャッターを押した。
「まだ準備できてねーだろ! マジメに頼む!」
「お前といるからメイドさん困ってるじゃん! むしろ俺が一緒に!」
 あぁ、これはいつもの終わらない醜い言い争いのパターンだな……。メイドさんとの写真は諦めるべきか。
「あの……」
「はい?」
「それじゃあ三人で撮りましょう。それなら問題ないでしょう?」
 俺と蜂谷は急いで携帯をその辺の人に渡し、写真を撮ってもらうことにした。



 写真を撮ってもらった長岡君と蜂谷君は喜色満面の表情を浮かべながら肩を組んでホールの方へ走って行く。
「平和ねぇ」
「ですね」
 私こと松野藍はその様子を職場の部下である一之瀬和也(いちのせ かずや)と共に眺めていた。
「ずっとこんな状態が続けばいいのにねぇ」
「そうですね」
「それよりも能力者、か。いったい何でそんなのが現れたのよ」
 隣にいる一之瀬君にはっきりと聞こえるよう溜息をつく。
「とか口に言いながらアイコさんあんまり困った表情してませんね」
「どっちかっていうとめんどくさいって感じね。対応が」
「言いますね」
「こういうときに前の主任がいればなぁ」
「奥村昌樹さんでしたっけ」
「ええ、あの人にはお世話になったわ」
 奥村昌樹さんは奥村翔君の父親である。面倒見がいい人で、常に笑顔を絶やさない太陽のような人だった。……父親か。
「アイコさんがそんなに人を褒めるのはみたいことないなぁ」
「一之瀬君は会ったことないもんね。さて、私達もそろそろ戻るわよ。一之瀬君は別の業務よろしくねー」
「アイコさんも負けないで下さいよ」
「当たり前じゃない。むしろ負けるわけにはいかない、って感じよ」
 鞄からバトルベルトを取り出し、装着する。
「折角コーディネートしてきたのにバトルベルトのせいでブチ壊しね」



「拓哉! 飯は食ったのか?」
「あっ翔君。うん、ちゃんと食べたよ」
「そうか。……そろそろ決勝リーグの時間だな」
「僕と蜂谷くんの出番だね」
 バトルベルトは広い空間を要するため、スペース上の問題からか同時に四試合しか出来ない。そして決勝リーグのバトルシートに記載されてる番号が1〜8の選手が最初に戦う。
 拓哉は1番、蜂谷は5番である。うまくいけば三回戦(準々決勝)でぶつかることができる。一方で俺は27番なので一回戦をするのは最後(前に書いたとおり決勝リーグは32人)だ。
「しっかり行ってこいよ!」
「うん。……風見杯のときに迷惑かけたからさ」
「ん?」
「だから、PCCで少しでも役に立ちたいんだ。だから絶対負けない!」
「ああ、その心意気だ。絶対勝てよ!」
「うん!」
 先を行く拓哉の後ろ姿がいつもよりも大きいように感じられた。



風見「前回使ったキーカードだ。
   エネルギーはたくさん必要だが、威力は申し分ない」

カイリューLv.61 HP140 無 (DP5)
無無無  はかいこうせん 40
 コインを1回投げオモテなら、相手のエネルギーを1個トラッシュ。
無無無無  りゅうせいぐん 
 相手の場のポケモン全員に対して、それぞれ1回ずつコインを投げ、オモテが出たポケモン全員に、それぞれ50ダメージ。
弱点 無+30 抵抗力 闘−20  にげる 3


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