マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.570] 26話 初心者と熟練者の差 投稿者:照風めめ   投稿日:2011/07/06(Wed) 20:12:39   60clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

「あたしのターン!」
 風見のサイドは既に一枚だが、対して姉さんは二枚。ベンチの状況も伺えば、形勢は圧倒的に姉さんの不利だなんてのは火を見るよりも明らかだ。
「オーダイルに水エネルギーをつけて攻撃。破壊の尻尾!」
 それでも果敢に姉さんのオーダイルが尻尾を振りかぶってガブリアスに攻撃を続ける。強いテールスイングに弾き飛ばされたガブリアスは、そのままぐったり倒れてしまう。
「よし、ガブリアスはこれで気絶ね。サイドを引いて終わりよ」
「ならば俺はボーマンダをバトル場に出す。そして俺の番だ。ボーマンダのポケボディー、バトルドーパミンの効果によりオーダイルの最大HPが130なのでボーマンダのワザに必要な無色エネルギーは全て必要無くなる。ボーマンダに水エネルギーをつけてトドメだ。蒸気の渦!」
 ボーマンダが勢いよく口から吐き出した白い蒸気の塊がオーダイルの巨体を持ち上げて吹き飛ばしてしまう。オーダイルのHPが尽きたのを目視した風見が最後のサイドを取ると、試合終了のブザーが鳴り響く。
「ここまで、か」
 姉さんが苦虫を潰したような、今にも泣き出しそうな渋い顔を作るも、やや間を置いていつもの強気な笑顔に戻る。姉さんだってすごく悔しいのだろう。それでも無理に笑顔を作ってステージから戻ってきた姉さんは、まだぎこちない笑顔でそっと俺に呟いた。
「ごめんね、負けちゃった」



 翔の姉ちゃんと風見が早速ぶつかったように、やっぱり皆仲良く勝ち上がるのはさすがに無理だった。分かってた事だけど、いざ現実となると寂しいものがある。
 でも俺だって負けたくない。翔たちと対戦することになっても、勝ちに行きたい。負けたら悔しい、当たり前だ。
 召集の放送が鳴り、呼ばれるままにステージに向かう。二回線の俺の相手は坊主頭の小太りの男性である。ネームプレートを見れば名前は喜田敏光(きだ としみつ)とある。黒縁の眼鏡を支える鼻の頭で脂汗が僅かに光っているように見える。
「よろしくお願いします」
「よっ、よろしく」
 おれが挨拶をするのがそんなにおかしいのかと、キョドる喜田さんを見て考えた。
 悩んでる暇なく対戦が始まる。対戦前の抽選で俺は後攻と決まった。後攻上等! やってやろうじゃねえか。
 相手の最初のバトルポケモンはペラップ60/60のみ。対する俺のバトルポケモンはヒートロトム80/80に、ベンチポケモンのエレブー70/70。相手がどんなデッキか全然想像つかねえ。
「えっと、俺の番からだね。ペラップに超エネルギーをつけてワザの先取りを使わせてもらうよ。その効果で俺は山札からカードを一枚引く」
 まずはカードを積極的に引いてくる、か。風見はよく、「カード(手札)が多ければそれだけ戦略のパターンが増える」と言っていたような気がする。手札、ねえ。
「よし! 俺のターン。ヒートロトムに雷エネルギーをつけてトレーナーカード発動、ゴージャスボール。その効果で山札から好きなポケモンを手札に加える。俺はエレキブルを加えるぜ」
 ゴージャスボールはノーリスクでポケモンを選べる強力なサーチカードだ。しかしその分欠点もあり、ゴージャスボールがトラッシュにあるとき新しくゴージャスボールを使うことが出来ない。つまり基本的に一回だけしか使えないというカードになる。
 さて、ヒートロトムだ。ロトムの強みはなんといってもポケパワー。ヒートを含むそれぞれのフォルムによっていろんなタイプになることが出来るのだ。例えばヒートロトムのポケパワー、ヒートシフトを使うと自分の番の終わりまで炎タイプになれる。これで草タイプのポケモンの弱点を突くことが出来るのだけど、相手はペラップ。いちいちポケパワーを使わなくても相性が良いじゃん。
 早速攻める、と言いたいが、ヒートロトムがワザで攻撃するにはエネルギーが足りない。まずはチャージからだ。
「ヒートロトムのワザ、温める。自分の山札の炎エネルギーを一枚、自分のベンチポケモンにつける!」
 チン、と電子レンジ特有の心地よい軽い音がヒートロトムから放たれた。そして自らが宿る電子レンジの扉を開くと、炎エネルギーのシンボルマークがどことなく現れ、エレブー70/70に吸収されていく。
「俺の番。まずはラルトス(60/60)を場に出してラルトルに超エネルギーをつける。そしてサポーターカード、ミズキの検索を発動。手札を一枚山札に戻し、その後山札のポケモンを選んで手札に加える。俺はキルリアを手札に加える」
 かなり流暢な手つきでプレイを進めていく喜田さん。そのせいかかなり熟練していそうな感じがする。
「ペラップのワザ、先取りを発動。その効果で、俺はまたカードを引かせてもらうよ。っんしょ」
 再びカードを引いてくる。ペラップ60/60は無一つでもう一つある別のワザが使える。音痴というワザで、コイントスしてオモテなら相手を混乱させる厄介な効果だ。ただ、ワザの威力はたったの10。そう、10ダメージしか与えられないのだ。俺のヒートロトムは無色タイプに抵抗力をもっているため、いくら音痴を使われてもダメージはない。その点先取りしかしてこないのはなるほど確かに頷ける。
「俺のターン! よっし、まずはエレブーをエレキブル(100/100)に進化させて、ヒートロトムに雷エネルギーをつける。つづいてウォッシュロトムをベンチに出すぜ」
 ウォッシュロトム90/90もポケパワー、ウォッシュシフトで水タイプになることが出来る。しかし喜田さんのペラップの弱点は雷、ラルトスは超。このポケパワーが活きると考えるのは難しいか。
「俺はトレーナーカード、エネルギー付け替えを使うぜ。その効果でエレキブルについている炎エネルギーをヒートロトムに付け替える」
 これでヒートロトムで攻撃出来る。温めるは無で使えるワザだが、もう一つのワザは炎無無とエネルギーを三枚も要求しやがる。
「さあ、ヒートロトムで攻撃だ、熱で焦がす!」
 ヒートロトムが再び電子レンジの扉を開く。が、先ほどとは違って今度はそこから決して優しくない熱風がペラップ60/60を襲いかかる。翼を盾にして攻撃を防ごうとするペラップだけど、それでも十分翼が傷つくような気がする。
「このワザの元々の威力40に加え、ペラップは雷タイプが弱点なので10ダメージ追加で受けてもらうぜ。よって合計50ダメージだ! さらに熱で焦がすの効果によりペラップは火傷状態になる!」
「うっ……!」
 ペラップのHPはこれでわずか10/60。火傷はポケモンチェックでコイントスをしてウラなら20ダメージを与える状態異常だから、ウラを一度でも出すとあっという間にお釈迦になる。むしろなって欲しい。
「さあ、ポケモンチェックだ。ペラップの判定をしてもらうぜ!」
 今の所、俺のプレイングにミスはないはずだ。順調順調! このまま一気に上手く行けば……。
「……オモテなので火傷のダメージなしだ」
 くっそ、なんだよー。そこはウラが出て欲しいのに。まあどうせペラップがバトル場にい続けても、先取りで山札からカードを引くだけなんだし何の脅威でもない。
「俺の番。ラルトスをキルリア(80/80)に進化させ、手札の超エネルギーをキルリアつける。そしてトレーナーカード発動。ポケモン図鑑HANDY910is!」
「ポケモン図鑑はんでぃきゅういちぜろ? ……何だそれ」
「自分の山札のカードを上から二枚確認し、そのうち一枚を手札に加えてもう一枚を山札の下に戻す」
 なんだ、たった一枚だけ引くのかよ。それならもっといいサポーターとかでたくさんドローすれば良いと思うんだけどな。
「ペラップの超エネルギーをトラッシュし、ペラップをベンチに逃がす」
「なっ、しまった!」
 ベンチに逃げれば状態異常は消えてしまう。これじゃあペラップは火傷のダメージで気絶なんてことはなくなる。
「キルリアをバトル場に出し、サイコリサーチを発動。このワザの効果は自分のトラッシュのサポーター一枚と同じにする。俺はトラッシュのミズキの検索を選択する。その効果で手札を一枚戻して山札からサーナイトを加える」
 サーナイトを加えたということは次の番に進化させてくる可能性が極めて高い。
「くそっ、俺のターン」
 なんとかせめてあのペラップを倒せないものか。そのためのカードを! そう願って山札の一番上のカードを引く。
「お! よっしゃあ! まずそこのペラップから倒してやるぜ!」



翔「今日のキーカードはヒートロトム!
  なんと炎タイプにもなれる!
  相手の弱点を狙っていこう」

ヒートロトムLv.46 HP80 雷 (DPt2)
ポケパワー ヒートシフト
 自分の番に一回使える。この番の終わりまで、このポケモンのタイプは炎タイプになる。
無 あたためる
 自分の山札の炎エネルギーを一枚、自分のベンチポケモンにつける。その後、山札を切る。
炎無無 ねつでこがす  40
 相手をやけどにする。
弱点 悪+20 抵抗力 無色−20 にげる 1

───
石川薫の使用デッキ
「夢への願いと古代の化石」
http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-646.html


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