アスカとチヒロを始めとするポケモンレンジャーの一団は、セイゾウの指示のもと、バンギラスデパート駅の入り口からネットレール線内に降りていった。
「チヒロ、あたし達のまだ知らないポケモンが襲いかかるのは間違いないわ。注意しましょう!」
「うん!」
ホームからテレビコトブキ前方向を見ると、さっきのポケモンが多数群れをなして行動している姿がいやでも目に入った。あの奥に地下鉄、そして避難し損ねた乗客が残っているのだろう。
「あの妙な物体はポケモンと見て間違いない。キャプチャ・スタイラーを使えばキャプチャも可能だろう。だがエレキボールやちょうおんぱと言った技で私たちを混乱に陥れると見ていいだろう。気をつけるんだ!」
と、キャプチャ・スタイラーの光に引き寄せられたのか、そのポケモンが1匹、2匹と群れをなしてアスカ達のもとに近づいてきた。
「あのポケモンね!チヒロ、行くわよ!」
「うん!」
同時にほかのレンジャーもキャプチャの体制に入る。
「キャプチャ・オン!」
アスカ達は一斉にキャプチャ・ディスクを飛ばしてキャプチャの体制に入った。だがそのポケモンはエレキボールを放ってキャプチャを妨害にかかる。
本来であれば適当なポケモンをキャプチャしてポケアシストを放てばいいのだろうが、地下鉄構内にそう言ったポケモンはいない。ディスクを操って攻撃をかわしつつ心を通わせなければならないだろう。
未知のポケモンを相手に、レンジャー達も果たして無事にキャプチャできるのか、不安の色を隠せなかった。だがしばらくポケモンを囲んでいくと、いつもポケモン達をキャプチャしているときと同じく白い光の輪が描かれ始めた。やがて光の輪はそのポケモンに取り込まれていき、無事にキャプチャできた。
「キャプチャ完了ね。・・・だけどこのポケモン、やっぱりこれまで見てきたどのポケモンとも違うわ。」
アスカの言う通りだった。異様なまでに黒く光る外郭。そして大きな目に小さな目。さらに羽根までもが妙な生え方だった。これまでに存在が知られているポケモンの総数は600種類以上と言われているが、それらのどのポケモンとも構造的に違うものだった。いや、むしろポケモンと呼べるものなのだろうか。キャプチャ・スタイラーが作動したと言うことを考えると、やはりポケモンと言うことになるのだろうが・・・。
「そうね。明らかにあたし達が見たポケモンとは違うわ。落ち着いたらしっかり調べてもらわないとね!」
「うん。次はいよいよ地下鉄の車両に行くわ。みんな、気をつけましょう!」
アスカがほかのレンジャーに呼びかける。ばらばらに行動していてはさっきの警察隊と同じ運命をたどりかねない。ここはリーダーシップをとれる人間が必要だろう。
そしてアスカ達は乗客が取り残されていると見られる列車に近づいていく。果たして、このポケモン達に襲われた乗客は、無事なのだろうか。
<このお話の履歴>
2011年6月4日、ポケ書内ポケボード・ラティアス部屋にて掲載。