マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.559] Section-14 投稿者:あゆみ   投稿日:2011/07/01(Fri) 12:54:19   57clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

アスカやチヒロ達をはじめとするポケモンレンジャー達が地下鉄に取り残された乗客を救出するミッションに携わっている一方で、レンジャー達がキャプチャした未知のポケモンの研究と、その生態の解明が進められていた。
アスカがキャプチャしたポケモンは、キャプチャされたことからか幾分落ち着いており、人間やポケモン達に対して危害を加えようとはしていなかった。ポケモン研究員のコレキヨが地上で待機していたレンジャーにポケモンの搬送を依頼する。
「このポケモンはどう言った生態なのだろう。研究のためにポケモンを運んでもらいたい。」
「ですが、また暴れ出したら・・・。」
研究員が言うのも無理はない。キャプチャされたとは言え、地下鉄の乗客を襲撃したポケモンである。人体に危害をまた加えないとも限らないのだ。
「そうだな。マサゴタウンのナナカマド研究所に運ぶのは時間がかかりすぎる。このポケモンはコトブキ大学のポケモン研究室に運ぶことにしよう。私は生態を調べてみることにする。・・・あのポケモンと巨大な花はどうも何かしら関係がある風に見えてならないのだ。」
コレキヨの言うとおりである。件のポケモンが地下鉄を襲撃したのとほぼ同じ時刻にあの巨大な花が現れ、デパートを突き破ったのだ。無関係と考える方がおかしいだろう。
「分かりました。早速研究に回すことにします。コレキヨさん、どうかお気をつけて。」
そう言うとレンジャーの乗った車にあのポケモンが乗せられ、やがて車はコトブキシティ郊外にあるコトブキ大学に向けて走り出していった。

その晩、コレキヨが中心となってこの未知のポケモンの生態の解明が行われた。だが、それはあまりにも衝撃的な内容だったのである。
「報告によると、草体が出現して以降、デパート周辺の酸素濃度が上昇しているという情報が寄せられている。あの花が周辺の酸素濃度に何かしらの影響を与えているというのは間違いないだろう。」
普通、人間は呼吸することで酸素を取り入れ、二酸化炭素を放出している。逆に植物は二酸化炭素を取り入れて酸素を放出する、いわゆる「光合成」と呼ばれるシステムがある。これは植物系のポケモンにも言えることで、例えばフシギバナは太陽エネルギーを取り入れてあのような大きな花を咲かせるのである。事実、くさタイプのポケモンの多くはこうごうせいの技を覚えることができ、それで体力を回復することもできる。だが、酸素濃度の上昇はフシギバナや植物が放出する酸素の比ではないのだという。
「ここ数日の一連の活動を分析してみると、あの隕石がシンジ湖に落下して以降、周辺では緑色のオーロラが現れ、飲料工場の飲料用の瓶やコトブキシティ周辺の光ファイバーの消失などと言った怪現象が立て続けに発生していた。さらに今朝、コトブキネットレールがむしタイプとみられるあのポケモンに襲撃され、ほぼ同時刻、バンギラスデパートにあの巨大な花が出現した。私はこう思うのだが・・・。」
コレキヨはそう言って話を続ける。言っていることは事実ありのままなのだが、展開それ自体が衝撃過ぎるものなのである。
「あのポケモンと巨大な花は、明らかにシンジ湖に落下した隕石と一緒にこの星に到達したものとみていいだろう。そして、あの花は成長する過程で私たちの生態とは比べものにならないほどの酸素を必要とするのだろう。」
この星に生息している生き物は、人間・ポケモンを問わず、普段から呼吸しており、酸素濃度が薄すぎても濃すぎても生態に影響を与えるのである。
「草体は生育のために大量の酸素を必要としている。そのためには酸素の元となるものが必要になるだろう。ガラス瓶は元々は土からできている。そして土に含まれているケイ素、このケイ素、すなわちシリコンこそがあのポケモンの生態に大きな役割を果たしているのだろうと思う。」
ケイ素。それは半導体や光ファイバーにもよく使われている。コトブキシティ周辺で発生した光ファイバーの消失と突き合わせて考えれば、このポケモンがケイ素、すなわちシリコンを主食としているのは間違いないだろう。
「それで、このままあのポケモンがシリコンを摂取し続ければ、どうなるのです?」
机を囲んでいた研究員の1人がコレキヨに聞く。
「このまま進むと、あの巨大な花が放出する高濃度の酸素がこの星を覆うことになる。その高濃度の酸素の下では、私たち人間はもちろん、この星に生きるポケモン達もその大部分は生存できなくなるだろう。」
「人間やポケモン達が生きられなくなる!?」
それは文字通り死活問題だった。この星が滅びてしまうかもしれないという事態に直面していることを、今初めて思い知らされたのである。
「そうだ。シンオウリーグやレンジャーユニオンなどにも連絡を取って、今私たちが直面している危機を広く知らせなければならない。このまま手をこまねいていると、私たちは滅びる。」
「そして、あの花はどうなるのです?」
さらに別の研究員が尋ねる。だが、コレキヨが言ったことは、さらに驚くべき内容だった。

<このお話の履歴>
全編書き下ろし。


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