マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
このフォームからは投稿できません。
name
e-mail
url
subject
comment

[新規順タイトル表示] [ツリー表示] [新着順記事] [留意事項] [ワード検索] [過去ログ] [管理用]

  [No.509] 7、開催!ポケモンコンテスト! 投稿者:キトラ   投稿日:2011/06/08(Wed) 01:09:53   59clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 目を開けて入って来た光景は、白い天井と手足に巻かれているガーゼだった。少しの間ながめていると、桃色のラッキーが顔を覗き込んできた。
 ここは病院なのか。ザフィールが体を起こすと、ラッキーに止められた。まだ安静にしてろということか。どうやってここに来たのか聞きたかったが、ラッキーは赤いバンダナをきれいに折り畳んでベッドの側に置いていっただけだった。
 それを見て思い出す。ガーネットはどこにいったのかと。マグマ団の連中に手荒なことされてなければいいが。それで反撃してマグマ団を壊滅させてなければいいが。それよりも無事でトンネルを抜けたのか。そもそもここはどこなのだ。たくさんの疑問が浮かんでは消え、一つとして解決しない。
 横を向けば窓が開いてる。そこから見えるのは、新緑の美しい光景だった。ここはカナズミシティではない、きっとカナシダトンネルの向こう側。シダケタウンだろう。穏やかな風が入ってきて、ザフィールの髪をなでる。もうお昼頃だと思うのだが、あれから何日経ったのだろう。きっと何日も食べてない。だからか意識がはっきりとするにつれて空腹を感じた。

 カナシダトンネルは大騒ぎになっている。完成が長引いていた上に崩落と来た。責任者はマスコミに囲まれ、ずっと記者会見をしている。
 その原因たちはかなり離れた公園で座っていた。隣でミズゴロウのシリウスが日差しが気持ちいいのか昼寝している。ガーネットは持っていたミックスオレの缶を開ける。冷やされたそれは喉のかわきを潤した。そしてため息をつくと、横のミズゴロウを見る。
 マグマ団に突き飛ばされたところまでは覚えている。そして気付いたら全身びしょぬれ、そしてミズゴロウが服をくわえていた。隣にはザフィールがいて返事がなかった。
 なんで濡れてるのかもわからなかったが、とりあえず彼を病院につれていった。そしてそのままでは熱が出てしまいそうだったから、濡れた服を乾かした。ポケモンたちを休めたかったし、乾燥機もあるポケモンセンターに行った。
 じっとしていると、揺さぶっても返事一つしなかったザフィールを思い出しそうで、ずっとポケモンセンターをうろうろしていたのである。このままだったらどうしよう。そうはっきり思った瞬間、それを否定した。
 考えても仕方ないと、今日は外に出て来たのである。
 シダケタウン。カナズミシティとトンネルを通していた小さな町。穏やかな風と、恵まれた緑で作られている町だった。
 話す相手がいないと思考がどうも負の方向に向かってしまう。けれどミズゴロウ相手にしたってあまり変わらない。誰でもいいから話したい。来たばかりの地方で、知り合いなんていないけれど。トレーナーなら少しくらい話せるに違いない。次にポケモンセンターから出てくる人に話しかけよう。軽く考えてポケモンセンターに足を運ぶ。
「あれ、こんにちは」
話しかけてきた人物。緑色の短い髪と、足元のラルトス。トウカシティで会ったミツルだ。引っ越すと言ってたけど、シダケタウンだったとは。しかもこのタイミングで。良く聞けばポケモンコンテスト会場に行くというので、ついていくことに。
「今日はどうしたんですか?何か変ですよ」
「うん、まぁ、その、知り合いがね、ちょっと今は治療中で」
「行ってあげなくていいんですか?」
「まあ面会は午後からだし、それからでも大丈夫だから、うん」
暗い表情を読み取ったのか、ラルトスも下を向いている。ミツルはそれ以上詮索しようとはしなかった。ただ一言「回復したら僕もお見舞い行きますね」とだけ言って打ち切る。無言で歩いた。その間の話が見つからない。コンテスト会場までずっと黙りっぱなしだった。

 ポケモンコンテストは、ポケモンの魅力を最大限に引き出すものが勝つというもの。その種類は5種類に分けられ、かっこよさ、たくましさ、うつくしさ、かしこさ、かわいさとなっている。ミツルが見たいといったのはかっこよさ。ラルトスがお気に入りのようで、何度もかっこよさコンテストを見に来ているのだとか。
 チケットを手に会場に入る。多くの人が始まるのを今か今かと待っているようだった。舞台の幕はまだ上がっていない。まっすぐ見ることのできる席を取った。座ったのと同時に会場がどよめく。開演アナウンスが入り、幕が上がった。
「さぁ始まりましたポケモンコンテストノーマルランク!今回はかっこよさを競うコンテストとなります!出場されるトレーナーとポケモンの皆さんはこちら!」
会場がさらにざわめく。司会と審査員の後ろに4人のトレーナーが後ろに構えている。
「エントリーナンバー1番、ゲンキさんのぽちです!かっこよさは吠える!」
拍手がかかる。ボールからポチエナが出てきて、さらにボリュームは上がる。かっこよさをアピールするかのように立つ。
「エントリーナンバー2番、ノブヒロさんのライガンです!えーと、かっこよさはばちばち、だそうです」
ラクライだ。ボールから出た瞬間、静電気をまとってアピールしている。会場のあちこちから感嘆が聞こえる。
「エントリーナンバー3番、アキヒロさんのプンプンです!かっこよさは空手チョップ!」
少しもり下がったようだが、そんなことは気にしていないようだ。マクノシタが出て来て腕を振り回す。
「エントリーナンバー4番、ミズキさんのアーチェです!かっこよさは竜巻!」
あれ、とガーネットは思った。同じくミツルも。ラルトスを捕獲した時、ミツルが起こした喘息を沈めたあの女の人だ。
 ポケモントレーナーで、しかもカイリューを持っているとは。他のポケモンが小さいため、カイリューの大きさが目立つ。会場は盛り上がり、嬉しいのかカイリューは小さく羽ばたく。
「さあポケモンの紹介が終わりました!1次審査に入りましょう!会場のお客様によるポケモンの人気投票です!お手元の投票用紙のエントリーナンバーに丸をつけるだけ!終わったら係員が順次まわりますので入れてくださいね!では、早速始めましょう!」
会場は一瞬静かになる。どれにいれるか真剣に悩んでいるようなのだ。どれもかっこよく見える。悩みに悩み、ガーネットは一つのポケモンに入れる。ミツルは何かとても心に残ったように記入している。
「さあ!今、投票が終わりました!集計をしている間に2次審査に移りましょう!2次審査はいよいよお待ちかねのアピールタイム!ポケモンたちの技によるアピールです。では張り切ってどうぞ!レッツ!アピール!!」
司会と審査員が舞台の横に移動する。出場者たちがよく見えるようになった。そしてスタートの合図と共に、アピールが始まる。最初は緑のライオン、ラクライのライガン。思いっきり吠えた。審査員は次の順番をどうするか迷っているようだ。会場はそのかっこよさに盛り上がる。
「次の順番が解りません!これはコンテストにどうつながるのか楽しみです!」
次はコロコロとした体格のマクノシタ、プンプン。気合いパンチだった。その気合いパンチは次のアピールのための準備。一番最後に持って行くようにアピールする。
「おっとここで次のアピールはプンプンが一番最後というのは確定しました!」
黒い犬のようなポチエナのぽちは前に出ると上を向き遠吠えを始めた。その調子はばっちりで、次からのアピールが上手く行きそうだった。かっこいい遠吠えに会場は再び盛り上がる。
「あの人、何で来るのかな」
ミツルはつぶやく。すぐに会場のざわめきに消されてしまった。アーチェは大きな体で巨大な炎を作り上げる。竜の怒りだった。最後にアピールすればするほど目立つというもの。その通り、ほとんど注目もされてなかったアーチェが一気に脚光を浴びる。
「おおっと!さすがドラゴン、威力も派手さも違います!」
審査員が一度止めた。次のアピールの準備だ。次はアーチェから。竜の舞で会場を盛り上げる。かっこよさに会場は味方し、最高のアピールポイントをもらえたのである。ところが、次のライガン。スパークを放ち、驚かそうとしたのである。アピールに成功していたアーチェは思わず飛び上がってしまった。次のぽちは何事もなく体当たりでアピール。そしてプンプンもアピールして2つ目のアピールは終了する。
「ねえミツル、これって何回アピールできるの?」
「えっと、確か通算で5回できます。その間に技の組み合わせとか技の持ってるアピールポイントを稼いで、最後に1次審査と2次審査が勝っていた人が勝ちです」
3回目のアピールに移る。会場はそこそこ盛り上がっていた。プンプンは体当たりをはじめる。アーチェが竜巻を起こした。審査員は再び次の順番が狂う。ぽちはおかまい無しに遠吠えをした。会場がもりあがってきた。テンションがマックスに近い。そんなとき、ライガンはかみなりでアピール。
「おおっと、コンボを決めてきたライガン!かっこよさが引き立ちます」
2回目のアピールとコンボになっていた。そのかっこよさ、アピールのコンボ。会場のテンションは一気に突き抜ける。一瞬にして最も注目されているポケモンに変化した。
 4回目、アーチェが先頭。激しい竜の舞を踊る。調子をあげたのだ。プンプンは地球投げで驚かそうとした。アーチェは驚いて声をあげる。いい気味だ、とプンプンは思っていたようだが、次のライガンが見事に電磁波を行なったためにプンプンのアピールはマイナスに。しかもライガンのアピールがかっこよく、会場は盛り上がる。ぽちといえば、体当たりでアピールし、3回目とコンボとなり、大量の得点を稼いでいる。
「ねえ、もう最後?」
「そうですね、次で勝負が決まります。」
ぽちが吠える。会場がもりあがった。調子がよかったのでかなりの得点に。そして次のライガンは雷でアピール。その為にぽちは驚いてポイントが減ってしまった。ライガンはしてやったりという顔をしている。しかしここでアーチェが予想外の行動に出た。
「逆鱗だぁ!」
みんなのアピールをジャマしまくる技、げきりん。そのかっこよさは他と比較するまでもなかった。審査員も会場も逆鱗にテンションが上がる。上がるだけではなかった。会場が全てアーチェの味方をしたのである。一気に会場の目を引きつけたアーチェ。その後のプンプンの起死回生はがんばったのだがほぼ盛り上がらず。
「はぁい、そこまでぇ!アピールタイム終了です!みなさん素晴らしいアピールでした。おつかれさまでした!」
惜しみない拍手が送られる。その拍手に囲まれ、ポケモンたちはみな満足したような顔をしていた。ガーネットもミツルもそのかっこよさに気分はとても盛り上がっている。できれば自分の応援していたトレーナーとポケモンが優勝して欲しいが、それよりもとてもかっこいいポケモンたちを見ることが幸せだったのだ。
「さて、残るはドキドキの結果発表ですね。発表は審査員の方から行なわれます」
審査員がマイクを通し、結果を読み上げる。マイクを持った手がそのままであれば。審査員がその方向を見上げる。黒いローブを来た何かが宙に浮いてる。一斉に会場はパニックになり、非常口の方向へ押し寄せる。黒いローブのそれはポケモンたちを狙っていた。特に大きなカイリューのアーチェに。
「アーチェ、翼でうつ!」
近寄ってきたそいつを翼で叩く。思わぬ反撃に一旦身を引く。そして構えるとアーチェに向かって最大限の力を放出する。その力は圧倒的。それらの強さに怖いのかガーネットもミツルも動けない。
「やっと姿を現しましたね!」
黒いローブの放出した力を簡単に受け止め、消失させる。ステージの上に、一人の男性が乗って黒いローブの人に食ってかかろうとしている。勝機がないと解ったのか、黒いローブは帰ろうと向きを変える。そして会場にとけ込むようにして消えた。


- 関連一覧ツリー (★ をクリックするとツリー全体を一括表示します)

- 返信フォーム (この記事に返信する場合は下記フォームから投稿して下さい)
おなまえ※必須
Eメール
subject 入力禁止
Title 入力禁止
Theme 入力禁止
タイトル sage
URL 入力禁止
URL
メッセージ   手動改行 強制改行 図表モード
添付ファイル  (500kBまで)
タグ(任意)        
       
削除キー ※必須 (英数字で8文字以内)
プレビュー   

- 以下のフォームから自分の投稿記事を修正・削除することができます -
処理 記事No 削除キー