マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.552] 17、流星の滝 投稿者:キトラ   投稿日:2011/06/27(Mon) 14:16:42   56clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 黒いズボンにロゴの入った赤い服、そして赤いフード。これを着ればマグマ団と主張しているようなもの。というか主張している。同時に気が引き締まる。白い髪を隠すようにしてフードを深くかぶる。
「よぉ、聞いたぜ」
後ろから頭を乱暴になでてくる。幹部のホムラだった。年齢が離れてるけれど、ザフィールの感覚的にはお兄さんのようだった。見た目も実年齢の割にはそんなにいってないこともあり、学生に見られることもしばしば。
「お前、アクア団の支部だけどアジト一人で乗り込んで友達助けたんだろ?よくやるなー!!」
ザフィールの気分などおかまい無しに頭を何度も叩いてくる。ほめてるつもりなんだろうけど、今の彼には全く素直に喜べない。
「なんだよー、ノリが悪いなあ」
「いや、そうじゃなくてですね、なんていうか、努力を無にされたというか・・・はぁ、ホムラさんに言っても仕方ないんですけど、嫌われたのか好かれてんのか、そもそもなんで怒るのか解らないし、なんで俺こんなにへこむのかも解らないし、まじ女って意味解らない」
「なに、友達って女の子なわけか?うひょひょ、これはまた面白い!」
「おもしろがらないでください!これでも置いてくるの毎回苦労してるんですよ!」
「なんだ、ずっと張り付いてんのか、好きなんじゃねえの?お前のこと」
それだけはあるわけがない。そう否定するけれど、ホムラはそれが面白いのかずっと笑ってる。いい時はいい人なんだけど、どうしてツボに入ってしまうと中々放してくれないかな。
「じょーだんじょーだん。それは置いといて、マグマ団って知ってるのか向こうは?」
「まだ言ってないです。指摘されましたが、否定したら素直に納得したようで。気づいてないみたいですし」
「その子とどうなろうと、それだけは隠し通すか早めに言った方がいいぜ。何せ俺たち、世間じゃ悪役だしな。ほらほら、もう一つの悪役が見えてきましたよーっと」
「本当だ。行きますかホムラさん」
「おうよ。ガキには負けねー」
目の前に見えるのは青いバンダナ、アクア団。昨日でくわしたばかりだ。ザフィールはキーチのボールを構える。隣のホムラはグラエナのボールを構える。向こうもこちらをみつけたようだった。二つの勢力がぶつかり合う。


 下っ端など結構あっさりと倒せてしまう。アクア団を伸した後、二人はさらに流星の滝へと近づく。何を目的としているのか知らないが、よからぬことを企んでいるのは事実。倒れてる下っ端をおいて、走り出そうとした。目の前を何かが塞ぐ。白いからだに赤い模様、ザングースだった。傷だらけになりながらも、必死で二人の侵入を拒む。
「どうします?」
「うーん、傷ついてる野生のポケモンをわざわざ倒す程、いい趣味してないけどなあ」
ボールから出たグラエナが一瞬にしてザングースに噛み付く。それが致命傷となったのか、ザングースはその場に倒れる。背後には、ザングースの巣らしきものがあり、そこにはタマゴが2個置かれていた。
「親か・・・ここら辺はザングースの巣なんだ」
「ほら行くぞ、先にいったやつらの援護しなければな」
ホムラに急かされてザフィールはその場を後にする。見えてくるのは青いバンダナばかり。他の人たちはどうしたのか解らないくらいに。もしかしたら来てないのか。そう疑問を持ち始めたがそれは違う。マグマ団と衝突を始めたという連絡を受けたアクア団の援護に来たやつらなのだ。それが解るのは、流星の滝がある洞窟に入った時。
「ええええ!?」
ザフィールは思わず言ってしまった。もう乱戦なのである。着ているものでどうにか味方と敵が解るくらいの。ホムラに背中を押され、その中に入る。
「ゆけ、スバッチ!」
ボールが開く。紺色の翼がその中へ突っ込んで行く。すごいスピードで突っ込んでは避ける間もない攻撃を繰り出す。つばめがえし。剣技の一つに例えた攻撃は、誰も避けることが出来ない。
「ホムラ?ザフィールも来たか、下っ端はいい、そいつを止めろ!」
マツブサの声がはっきり届く。そいつと言われたのは、アクア団のボスであるアオギリだった。その体格はプロの格闘家を思わせる。実力行使ならば間違いなく負ける。
「マツブサも耄碌したのか、こんなガキに俺が止められるかよ」
その通りだった。向かい合っただけでわき上がる恐怖。足が動けないのだ。ボールを選択する手も震える。そんな彼に気づいたか、ホムラが前に立つ。
「おっさん、こっちは俺もいるんだぜ」
「・・・マツブサの片腕か。お前とやり合うのは得策じゃなさそうだな」
アオギリはモンスターボールを投げる。そこから出たのはモンスターボール。に見えた。それはビリリダマというポケモン。見た目がそっくりでよく間違えた事故が起きることで有名だ。そのビリリダマは電気をためたかと思うと、その電気を光に変えてその場に放った。光に目がくらんでいる隙に、アクア団は全員消えていたのである。
「ヤバい、逃がしたな」
ホムラも目の前が蒼く光ってるらしく、何度もまばたきをする。ザフィールも同じでまともに見えてない。
「お前ら、大丈夫か!?」
残ったマグマ団に声をかけているマツブサ。負傷したのもいれば、まだ元気なものもいる。
「動けるものは今すぐエントツ山へ向かえ。アクア団は、ここにあった隕石で火山を噴火させる装置を作ったらしい。それが発動したら大変だ、さすがにそれはバランスが崩れる」
洞窟にマツブサの声が響く。ザフィールは周辺の地理を思い浮かべ、嫌な予感しかしなかった。そう、来たばかりなのだから強制的にエントツ山へ行くことになる。
「ほら行くぞ」
ホムラに言われ、エントツ山へと向かう。この長い距離は、走ってもおいつくものではない。かなり恥ずかしいが、カゼノ自転車を使うとしよう。鞄から出すと組み立てを始める。
 そうして思い出すのは、何も言わずおいてきてしまったガーネットのこと。何か言わないとまた後でどやされる。スバッチに手紙を持たせ、届けるように指示した。青空へと向かってスバッチは飛び立つ。
「よし、行くかエントツ山。アクア団を止めに!」
ペダルを踏む。加速をはじめ、すぐに最大速度に乗った。


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