マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ
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  •   [No.3333] 入稿しました。 投稿者:No.017   投稿日:2014/08/05(Tue) 08:49:58     49clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    入稿しました。 (画像サイズ: 1000×516 295kB)

    入稿しました。
    結局あまりチラ見せできなかったよ。
    ごめんね。

    表紙絵の一部


      [No.3331] Re: 俺はシビルドンに恋をした 2 投稿者:焼き肉   《URL》   投稿日:2014/07/28(Mon) 21:32:24     55clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     全体的に景色の描写が丁寧で、ポケモン世界の生活感が出てました。読んでいて、いったいどういう結末になるのかがわからず、文章量多いのに読みふけってました。主人公自身の感情の答えが出た時や、シビルドンの若干病んでるようなフェイント描写が出た時はああバッドエンドなのかなあと思ったけれど、二人にとってはハッピーエンド寄りで良かったです。

     小さいクラブとか、ペラップの描写が普通に怖いですね。単純に読んでて面白かったです。


      [No.3330] バイバイ 投稿者:奏多   投稿日:2014/07/27(Sun) 21:57:28     70clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     初めてのポケモンをねだったのは、ほかの子供たちよりも少し遅かった。たしか、小学校六年生の九月だったと思う。その年の自由研究に選んだのは、「ポケモンの寿命の違い」というもの。来年には中学生になるのだから少し難しいことを調べなさい、と母に言われて悩んだ結果、その内容に決めたのだ。

     進化前のポケモンは短命なものが多い。
     進化させることで寿命が延びるポケモンがいる。
     もともと長生きなポケモンは何百年も生きる。
     トレーナーよりも先に死んでしまうポケモンもいる。

     調べることで、色々な寿命があることを知った。家には父親のポケモンのオオスバメがいたから、彼にもいつか寿命が来るということは分かっていた。平均的なオオスバメの寿命は25年ほど。父は大学の頃に出会ったといっていたから、彼はもうそろそろ……。
     それまでポケモンの死というものに直接立ち会ったことの無かった自分に、この自由研究は「死」について考えさせてくれた。そして、自分がもし、ポケモンを持ったのなら、自分はパートナーの死ぬところは見たくないと思った。

     自由研究の内容は先生にとても褒められた記憶があるが、実際になんと書いたのかはほとんど覚えていない。ただ、その自由研究がきっかけでポケモンが欲しいと思ったのは確かだ。自分よりも長生きなポケモンを。
     両親にねだったのは、キュウコンだった。
     ロコンは野生のものを捕まえた。炎の石は、タマムシシティに父が出張があるときに買ってきてもらうことにして、要求はすんなりと通った。
     その年の冬、キュウコンのボールを両親から手渡された。
     美しい金の毛並、気高いその姿。
     彼女を見た時、あぁ、出会えてよかったと、そう思った。


     中学生になってバトルの訓練をした。
     高校生になって夏休みに短い旅をした。
     大学生になって自分の夢をたくさん話した。
     社会人になって辛い時に涙を拭いてもらった。
     結婚をして新しい家に一緒に住んだ。
     子供が出来て子守を手伝ってもらった。


     彼女はずっとそばにいた。 
     自分の周りの人が一人、また一人といなくなっていっても、彼女は私のそばに居続けた。
     だが、その自分にもそろそろ迎えが来ていると感じ取っていた。
     悩むのはただ一つ、キュウコンのことだ。最後の時まで彼女と共にいたいと思うが、そのまま彼女がボールに閉じ込められてしまうのはいただけない。
     それならば、と私は彼女を逃がすことを決めた。

     自分の体調が少しいい日、私は近くの森に頑張って歩いていった。苦しそうに歩いていると、彼女は心配そうに見ていた。その度に、「大丈夫」と声を掛ける。そして、ようやく着いた時、彼女を一度ボールに戻す。そして、彼女に語り掛ける。

    「ありがとう、一緒に生きてくれて。そして、さようなら」

     ボールの中で激しく彼女は動いている。それを見ないことにして、モンスターボールを投げ、彼女を逃がした。青い光の中から現れた彼女を目に焼き付ける前に、後ろを向き家に向かって歩き出した。
     ずっとそうしようと思っていて出来なかったことが、ようやくすることが出来た。これで自分の役目は本当に終わったのだ。彼女は野生に戻って、きっと幸せに暮らしてくれる。ずっと一緒に暮らして、最後の瞬間に彼女と居られないのは寂しい。だが、自分手で彼女を逃がすことを決めたのはまぎれもない自分なのだ。
     それから体調はみるみる悪化していった。もうベットから起き上がることもできなくなっていた。
      
     ――あぁ、もうそろそろなのだ。
     
     そうわかった途端、自分の中にさまざまな感情が渦巻いた。

     本当は誰かにそばにいてもらいたい。
     一人は寂しい。
     彼女に会いたい。

     自分の頬に一筋の涙が落ちるのが分かった。
     さようなら、などといって彼女と別れても、本当はそばにいて欲しかったのだ。なんて、自分は身勝手な人間なのだろう。自分のために、彼女を選んで、そして勝手に逃がして、それでまだそばにいて欲しいなんて願うなんて。
     次々に涙が溢れてきた時、その涙がなめとられるのを感じた。
     驚いて目を開けると、そこには逃がしたはずの彼女の姿があった。

    「どうして……」

     彼女は優しく、驚く私を見ていた。
     そして、寄り添ってくれる。顔を私に擦り付けて。
     それが本当に嬉しくて、嬉しくて。

    「ごめんね、ありがとう。大好き、よ」

     最後にそういい、キュウコンを撫でていた老婆の手はベットのシーツの上に落ちた。
     一匹残されたキュウコンは、老婆の手をそっとなめていた。


      [No.3328] よくわかる世界の仕組み 投稿者:焼き肉   《URL》   投稿日:2014/07/27(Sun) 20:36:06     78clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:マメパト

     ──基本的にポケモンは草むら、洞窟、湿地、廃屋など、とにかくあまり人の手の入っていないところ、もし
    くは入らなくなったところに生息する。

     と、どこぞの偉い博士は言っていた。

     なーんて偉い人の言葉をあざ笑うように、今日もガーディの散歩をさせるどっかのお父さん、チョロネコを連
    れた着飾った貴婦人、コラッタにナッツをあげる男の子なんかがいっぱい外をうろついているわけだけど。

     まあその言い方はオレの揚げ足取りで、偉い博士が指しているポケモンというのは野生のポケモンであって、
    人と一緒にいるポケモンは例から漏れる。というオレのフォローをもコケにするように、オレの座っている広場
    のベンチ前には、オレが投げたパンクズをつつくマメパトたちがいるのだった。

     マメパトは人になれやすい種族とされている。そのせいか、いろんな人が集まってくる広場に、おれたちも混
    ぜてくれよう、と言う感じにパタパタ羽を羽ばたかせてよくやってくる。珍しい光景でもない。ここでも偉い博
    士は笑われる。まあ、「基本的に」だからこれもオレの難癖でしかないんだけどね。

     このパンクズはただのパンクズじゃない。さっきベーカリーのおばさんから買った焼きたてホヤホヤふわふわ
    のおいしいパンの破片なのだ。だからマメパトの食いつきも最高である。これはオレなりのポケモン愛である。
    あんまり広場にいるマメパトにエサをやると居着いてしまってよくない、と異議を唱える人も多いけど、そこは
    まあ、間違った方向に行く人もいるものの、ポケモンには基本的に甘いこの世の中、あんまり大きな問題にはな
    らない。

    「おっと、品切れだ」

     考え事をしながらもずっとまいていた、マメパトたちが食いやすいように小さくちぎったパンクズも底を尽き
    た。もうないよ、と空っぽの紙袋の中身をマメパトたちに見せてやると、理解したのかマメパトたちは空へと去
    っていってしまった。このあたりのドライさも、マメパトにエサをやることがあまり問題にならない理由の一つ
    だろう。

     基本的に、マメパトたちは広場や公園に遊びに来るだけで、そこに移住することはないのだ。

     ドライと言ったけど、マメパトのフレンドリーさを配慮すると、友達と遊んでも夜になったらじゃあまたねで
    お別れするのが近いかもしれない。理由はともかく、とにかく定住することがないから、街で野生のマメパトと
    バトルするという例もあまりない。

     ところがどっこい、とっくに全員飛び去ったと思っていたはずのマメパトが、たった一匹一羽だけ、まだ広場
    に残っていた。どうもくいしんぼうらしくて、パンの残りをくちばしでつっついては食べつっついては食べにい
    そがしい。

     一段落して、羽づくろいをしてから、マメパトは自分をじっと見ているオレに気がついたようだった。なーに
    ? って感じで首をかしげてから、マメパトはオレのところへ飛んできた。

     そいつはオレの肩を止まり木みたいにして、そのままひとやすみするようにじっと動かなくなった。しかたな
    いからしばらく待ってみたけれど、飛び立つ気配もない。

     いい加減にじっとしているのも飽きて、ベンチから立ち上がると、ようやくマメパトは目をさました。だけど
    家へと戻るオレの後ろにパタパタと翼をはためかせて、当然のようについてくる。

    「・・・・・・」

     そのマメパトを追い払うでもなく、オレは家に帰る道すがら、また偉い博士が本の中で言っていた言葉を思い
    出していた。

     ──基本的にポケモンは、バトルをしかけて弱らせて、それからモンスターボールを投げて捕まえる。



     バトルもモンスターボールもなしにマメパトを連れて帰った日の翌日は、偶然にもオレの十歳の誕生日だった




     ──基本的に、トレーナーになりたての子どもたちは、近くの研究所やブリーダーの施設で、地方ごとのポピ
    ュラーな初心者用ポケモンをもらう。

     オレのすぐ近くを飛ぶマメパトと一緒に、街の外を歩きながら、オレは偉い博士の言った言葉をまたまた思い
    出していた。

     エサをやったらなついてしまった、桃太郎について行ったガーディやケンホロウやヤナップたちもびっくりな
    マメパトをゲットしたオレは、結局ポケモンをもらうのを断った。

     たしかにツタージャとかミジュマルとかボカブとか、うらやましいといえばうらやましかったし、元々仲のよ
    かったポケモンとは別に、十歳を機に新しくポケモンをもらうトレーナーもいる。でもまあ、それはそれとして
    、今は別にいいかな、と思ったのだ。

     ツタージャたちみたいないわゆる御三家はその辺で捕まえられるポケモンでもないけど、交換でも入手困難な
    ほどレアというわけじゃない。だから欲しくなった時に誰かから交換してもらえばいいかな、という気持ちが、
    なんとなくあった。強さがステイタスのひとつであるトレーナーという人種にしては、のんびりしすぎかもしれ
    ない。

     だけど、一番最初になついたのが、草むらではなく広場で会ったマメパトであるオレには、そんなちょっぴり
    変わったスタートが似合っている気がしたのだ。

     マメパト自体はめずらしいポケモンじゃないけれど、バトルもボールもなくパンクズひとつでなついたオレの
    マメパトは、たったひとつの、めずらしいポケモンだと言えないだろうか。

     微妙に型破りなマメパトには、微妙にズレたオレみたいなトレーナーが、案外ベストパートナーなんじゃない
    かな。強く育つかとか、そういう問題とは別の意味でね。





     ──ここまで「基本的に」と頭につけたのは、ポケモンというのが、いつ、どこで、我々のはめた型を破り、
    別の行動を取るのかが全くわからない、未知の生き物だからである。また、そのような生き物に対するポケモン
    と行動を共にする、ポケモントレーナーたち、いや、人間そのものもまた、型を破る未知の生き物と言えるかも
    しれない。



     オーキド・ユキナリ著『よくわかる世界の仕組み』ポケモン研究出版 より抜粋


      [No.2492] 絵画『悲しい少年』 投稿者:神風紀成   投稿日:2012/06/30(Sat) 14:18:35     113clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    ※アテンション!
    ・BW2に登場する『ストレンジャーハウス』のネタバレを多少含みます
    ・捏造バリバリ入ってます
    ・毎度のことながらアブノーマルな表現があります
    ・苦手な方はバックプリーズ










    ――――――――――――――――――――

    火山に近い田舎町。植物は特定の種類しか育たず、赤い岩石や土、独特の暑さが訪れる人間を拒む。雨が降る日より火山灰が降る日の方が多い、とはこの土地に昔から住む人間の談である。そこは活火山に面した場所であり、訪れる人間を選ぶ場所であった。
    だがそういう土地なわけで、学者やバックパッカーはひっきりなしに訪れる。彼らが落としていくお金でその交通も何もかも不便なその町は成り立っていた。

    「暑いし、熱い」

    不機嫌そうな声で郊外を歩く一つの美しい人影。夜になると白い仮面で片面が隠れるその顔は、今は深く帽子を被ることで顔を隠している。腰まである長い髪は、頭の高いところで一つにまとめている。こうでもしないと辿り着く前に倒れてしまいそうだったからだ。
    彼女――レディ・ファントムは地図を取り出した。フキヨセシティからの小さな旅客機にのって四十分と少し。同乗していた客はこぞって火山に向かったが、彼女はこんな暑い日にそんな熱い場所に行くほど酔狂な人間ではなかった。
    行く理由があったのは、とある廃屋だった。

    『たぶん霊の一種だろう』

    体の両サイドを大量の書物に囲まれながら、マダムは煙管をふかした。執事兼パシリであるゾロアークが、淹れた紅茶にブランデーを数滴垂らし、レディの前のミニテーブルに置く。一口飲む。本場イギリスのアフタヌーンティーでも通用する美味しさだが、イライラはおさまらない。
    今日はゆっくりホテルの一室で過ごそうと思ったのに、突然現れた男(ゾロアークが化けた姿)に無理やりここ……黄昏堂に連れて来られたのだ。
    モルテが側にいないことも入れておいたのだろう。ポケモン、しかもマダムの我侭を全て聞くことの出来る者の力は凄まじかった。
    あれよあれよと椅子に座らされ、苦い顔で無言の抗議をしたが全く効かない。ふと横を見れば、ゾロアークが疲れた顔をしていた。相当こき使われているのだろう。なんだか哀れに思える。

    『ここ最近、ある廃屋となった屋敷で怪奇現象が起きているという噂がある。入った者の話では、昼間だというのに家具がひとりでに動いたり、別の部屋から入ってまた出た時では家具の位置が違ったりしていると』
    『で?』
    『そんな事が起きているということは、何らかの力は働いているんだろう。まだ幽霊の類の目撃情報はないが』

    ほら、と渡された地図に示された場所は見たことの無い町の近くだった。ドが付く田舎すぎて、認識していなかったのだろう。説明文を読めば、活火山のふもとにあり、その熱で作る伝統的な焼き物が有名だという。
    そしてその屋敷は、悲しい事件があったとされ、誰も寄せ付けないと言われている。異邦の家―― 通称、『ストレンジャーハウス』。
    紅茶をもう一口啜る。地図を机の上に投げ出す。

    『行ってやるよ』
    『よろしい。原因解明とその源を持って来てくれ』
    『幽霊捕まえんの』
    『ゾロアーク、お前も行ってこい』

    そんなやりとりがあったのが数時間前。今レディは土壁で造られた、ここらの土地独特の家の前に立っている。他の家は皆町にあるというのに、ここだけ離れた場所に建てられていた。
    ふとゾロアークを見ると、不思議な顔をしていた。苦い顔、とでも言うべきだろうか。こんな顔を見るのは初めてだ。

    「どうしたの」
    『いや…… どうも気分が優れなくてな』
    「ああ、確かにこの家からは変なオーラが漂ってくる。何かいることは間違いないだろ」

    さび付いたドアノブを捻る。耳を塞ぎたくなるような音が響く。数センチあけて中を確認。よく見えない。
    そのままドアを半分ほど開け、持参した懐中電灯のスイッチを入れた。灯に照らされ、埃が漂っているのが見えた。
    どうやらしばらく誰も入っていないらしい。床に降り積もった埃には、足跡は無かった。

    「よくこんな所取り壊さずに放っておいたな」
    『取り壊せないらしい。何度か試みた会社もあったようだが、そうする度におかしな事故が起きる』
    「ありがち」

    今レディ達が立っている場所が、リビング兼玄関。家具はソファ、テーブル、ランプ、観賞用の植物。どれもこれもひっくり返ったり倒れていたりして乱雑なイメージを与えてくる。
    向かって両サイドが二階へと繋がる階段になっていた。ソファが倒れていたが、これくらいなら飛び越えていける。
    地下へと続く階段は、図書室へと繋がっているらしい。本好きなレディが目を輝かせた。

    「ここっていつから建っているんだろうね」
    『はっきりしないが、二十年は経っているだろう。建物の痛み方から大体の時間が推測できる』
    「ふーん。……とりあえず二階に行こうか」

    ソファを飛び越え、階段を上ろうとした時何かの視線を感じた。振り向くと、どうやって飾ったのか一枚の人物ががこちらを見ている。いや、『見ているように』見えるだけだ。ゾロアークも気付いたらしい。技を繰り出そうとする彼を、レディはとめた。流石にこんな辺鄙な場所に近づく物好きはそうそういないだろうが、万が一気付いて近づく一般人が出てきては困る。
    絵の中にいたのは男だった。自画像だろうか。年齢は二十代前半。そう描いたのか本当にそうなのかは分からないが、女とも取れるくらい美形だ。
    ふと、気付いたことがあってレディはゾロアークに話を持ちかけた。

    「ここに住んでいた人間って?」
    『さあ……。マダムは知っているかもしれないが、俺は知らん。ただ、空き家になってからの時間の方が長いことは確かだ』

    絵からの視線は消えない。どうやら本当にここには何かいるらしい。それも相当に高い力を持った物。自分だけでなく『あの』マダムに仕えるゾロアークも見えていないのだから、そこらの未練がましく街をさ迷っている普通の霊とは違う。
    モルテの顔が浮かんだ。彼は今日も、このクソ暑い中で魂の回収を行なっているのだろうか。そういえばこの時期は海難事故や熱中症で特定の年代の魂が多くなるって言ってたな。特に彼らは自分が死んだことを気付いてない場合が多いから、説得にも苦労すると――

    『レディ』

    ゾロアークの声で我に返った。三つある入り口のうちの一つ。真ん中。そこで彼が手招きしている。

    『ここから気配を感じる』
    「確かにね。……でも」
    『ああ。さっきの絵画とはまた違う気配だ』
    「やだな。まさか別々の霊が同じ家に住み着いてんの」

    ありえない話ではない。だがそうなると厄介なことになる。同じ屋根の下にいても、同じ考えを持つ霊などいないのだから。そこらは生前と同じである。
    そっとドアノブに手をかける。特に拒絶うんぬんは感じない。そのまま開ける。

    「!」

    流石に驚いた。ドアを開いてまず目に入ったのは、キャンバスに描かれた少年の絵だったからだ。台に立てかけられ、その台の前には椅子がある。床には木製のパレットと絵筆。ただし埃が降り積もっていて、絵の具も乾いていた。
    美術室のような匂いがする。長い間開けられていなかったのだろう。様々な匂いが混じった空気が、一人と一匹の鼻をついた。
    ハンカチで口と鼻を押さえ、ドアを全開にして中に入る。キャンバスの中の少年は美しかった。美少年、という言葉が正に相応しい。イッシュ地方では珍しい、黒い髪と瞳の持ち主。少し寂しげな、悲しげな瞳がレディを見つめている。

    『……美しいな』
    「やっぱ君でもそう思うか。マダムが見たら絶対欲しがるだろうね」

    いささかもったいない気もするけど、という言葉をレディは飲み込んだ。マダムが美しい物や人に並々ならぬ関心があるのは、以前の『DOLL HOUSE』の件で分かっている。というか、分かってしまった。あまり知りたくなかったが、知ってしまったものは仕方がない。
    ぐるりと部屋内を見渡す。描きかけのキャンバスが積まれていた。今まで使っていたであろう油絵の具のセットもある。その中の一つのキャンバスを手に取り――声が詰まった。

    『どうした』
    「……なるほどね、そういうこと」

    こほんと咳払いをする。彼女の常識人の一面が現れた瞬間だった。裏返しにして、ゾロアークに渡す。少々訝しげな視線を送っていた彼の顔色が変わった。
    その少年の絵であることに変わりはない。だがそこに描かれた少年の下書は、裸だった。別室だろう。ベッドの上でシーツにくるまり、妖艶な笑みを向けている。そこまで細かく描けるこの作者にも驚いたが、少年がそんな顔を出来ることが驚きだった。
    何故――

    「天性の物か、調教されたか。いずれにせよ、この絵の作者は相当その少年に御執心だったみたいだな」
    『……』
    「どうする?マダムにお土産に持って帰る?」
    『冗談だろ』

    レディが笑った。それに合わせて、もう一つの笑い声が聞こえてきた。部屋の窓際。その少年が笑っていた。同じ黒髪に黒い瞳。身長はレディの胸にかかるくらい。一五〇といったところか。
    白いシャツにジーパンをはいている。視線に気付いたのか、こちらを見た。

    「こんにちは」
    『こんちは』

    少年が歩み寄ってきた。美しい。絵では表現しきれないほどのオーラを纏っている。どんな人間でも跪きそうな、カリスマ性。プチ・ヒトラーとでも呼ぼうか。
    少年が横にあった絵を見た。ああ、という顔をしてため息をつく。

    『この絵、欲しい?』
    「くれるならもらいたいかな。私の趣味じゃないけど、知り合いにこういうの好きな奴がいるんだ」
    『ふーん。ねえ、アンタ視える人なんだね』
    「だからこうして話してるんだろ」
    『それもそうだね』

    飄々としている。ゾロアークは二人の会話を見つめることしかできなかった。比較的常識を持ち合わせている彼は、彼女のように『視える者』として話をすることが出来ない。おかしな話だが、この少年が持ち合わせているオーラに圧倒されていた。

    「名前は?私はレディ・ファントム。そう呼ばれてる」
    『綺麗な名前だね。俺は特定の名前はないよ』
    「どうして?」
    『分からない?その絵を見たなら分かると思ったんだけど』

    ゾロアークの持っている絵。それを聞いて彼は確信した。おそらく、この少年は――

    『娼婦、のような立場だったのか』
    『そーだよ。地下街で色んな人間を相手にしてた』
    「両方?」
    『うん。物心ついた頃にはそこにいた。昼も夜も分からない空間でさ。唯一時間が分かることがあったら、お客が途切れる時だよ。今思えばあれが朝から昼間だったんだろうね。皆地上で仕事してくるんだから』

    昼と夜で別の顔を持つ。街だけでなく、人も同じらしい。聞けば、彼はある一人の男に見初められてここに来たらしい。その男は画家で、また本人も大変な美貌の持ち主だったという。
    そこでレディはあの肖像画を思い出した。この家は、あの男の家だったようだ。

    「で、何で君は幽霊になったの」
    『ストレートだね……まあいいや。あの人は一、二年は俺に手を出さなかった。毎日のように絵のモデルにはなってたけど、それもそういう耽美的な絵じゃない。色々な場所に連れて行ってもらったよ。向日葵が咲き誇る高原とか、巨大な橋に造られた街とかさ。そこでいつもキャンバスを持って絵を描いてた』
    「その絵は?」
    『そこに積み重なってるキャンバスの、一番下の方』

    ゾロアークが引っ張り出した。向日葵の黄色と茎の緑、空と雲のコントラストが美しい。その向日葵の中で、彼は微笑んでいた。
    絵によって服装も違った。春夏秋冬、季節に分けて変えている。相当稼ぎはあったようだ。

    『二年半くらい経った頃かな。あの人が親友をこの家に連れてきたんだ。同い年らしいんだけど、全然そんな雰囲気がなかった。むしろ二十くらい年上なんじゃないの、っていう感じ』
    「老け顔だったの?」
    『うん。でもとってもいい人だった。頭撫でられてドキドキしたのはその人が初めてだったよ』

    色白の頬に少しだけ赤みが差した。年相当の可愛らしさに頬が緩みそうになるのを押える。一方、ゾロアークは嫌な空気を感じていた。何と言ったらいいのだろう。嫌悪感、憎悪、歪んだ何か。そんな負の感情を持った空気が、何処からか流れ込んでくる。
    レディも気付いていた。だが彼を不安にさせないため、話を聞きながらも神経はその空気の方へ集中させている。

    『それで、時々その人に外に連れて行ってもらうことが多くなった。その人が笑ってくれる度に嬉しくなった。――今思えば分かる。俺、その人が好きだったんだ』
    「……」
    『気持ち悪い?』
    「ううん。誰かを好きになるのは素敵なことだと思う。だけど」
    『分かった?その通りだよ。その時期からあの人の様子がおかしくなった。今までとは違う絵を描くようになった。当然、モデルとなる俺にも――』

    思い出したのか、肩を少し震わせる。裸でシーツを纏い、妖艶に微笑む絵。だがその心の中は何を思っていたのだろう。想像できない。

    『痛かった。熱くて、辛かった。でもあの人の顔がとんでもなく辛そうで、泣きたいのはこっちなのに拒めなかった。そのうち外に出してもらえなくなって、ただひたすらあの人の望むままになった』
    「……」
    『この絵』

    悲しげな光を湛える瞳。その瞳は、今レディが話している少年がしている目と同じだった。

    『この絵は、俺が死ぬ直前まで描かれていた。あの日、俺はものすごい久しぶりに服を着せられてそこに立っていた。あの人の目はいつになく真剣で、何も喋らずに絵筆を動かしてた。
    俺はどんな顔していいか分からなくて、ずっとこの絵の表情をしてた。
    そして何時間か経った後――」

    彼は立ち上がった。そのまま自分の方へ近づいてくる。ビクリと肩を震わせる自分を彼はそっと抱きしめた。予想していなかったことに硬直し、自分はそのままになっていた。
    首にパレットナイフが押し付けられていたことに気付いたのは、その数分後だった。悲鳴を上げる前に彼が耳元で呟いた。

    『――愛してるよ、ボウヤ』


    「……歪んだ愛情の、成れの果て」
    『その後は覚えてない。ただ、俺が死んだ後にあの人も死んだ。それは確かだ。ただ何処にいるのかは分からない』
    「……」
    『レディ』

    ゾロアークの声が緊張感を纏っていることに気付く。と同時に、空気が重くなった。ずしりと体にかかる重圧。少年も気付いたようだ。
    火影を取り出す。そのまま部屋の入り口に向ける。彼は自分の後ろに庇う。
    入り口から吹き込む風。その感覚に、レディは覚えがあった。

    「……『あやしいかぜ』」

    突風が吹いた。不意をつかれ、そのまま後ろにひっくり返る。一回転。体勢を立て直して前を見据えれば、何か黒い影がこちらを見ているのが分かった。さっき肖像画から感じた物と同じだ。ということはやはり――

    「しつこい男は嫌われるよ」

    ゾロアークが『つじぎり』を繰り出した。相手はポケモンではない。だが攻撃しなければまずいことを本能が察知していた。効いているのかいないのか、相手は怯まない。
    念の塊。そう感じた。死んで尚、この少年への執着を捨てきれない、哀れな男の――

    「こいつの本体って何処」
    『肖像画じゃないのか』
    「……」

    分かってるならやれよ、とは言えなかった。この塊が邪魔なのだ。レディはカゲボウズを連れてこなかったことを後悔した。彼らにとってはさぞ甘美な食事になっただろう。彼らの餌は、負の念。恨み、憎悪、悪意。挙げればキリがない。人の思いというのは、奥が深い。深すぎて自分でも分からなくなることがある。
    おそらくこの男も――
    レディが駆け出した。塊が一瞬怯んだ隙をついて斬りかかる。真っ二つに割れ、また元通りになる。本体を倒さなくてはならないようだ。
    そのまま二階の踊り場へ。肖像画の顔が醜く歪んでいるように見えるのは気のせいではないだろう。

    「ゾロアーク、その子頼んだよ!」
    『ああ!』

    肖像画との距離は約五メートルというところ。躊躇いはない。手すりに飛び乗り、右足を軸にして左足を前に出す。そのまま斬りかかって――
    ガシャン、という音と共に一階の床に落ちた。痛む腰を抑えて一緒に落ちてきた肖像画を見つめる。裏返しになっているのを見てそっと表へ返す。そして寒気がした。
    思わずその目に一の文字を入れる。

    「……」
    『レディ!』

    塊が消えたのだろう。ゾロアークと少年が降りてきた。もう澱んだ空気は消え去っている。少年の顔も幽霊にしては血の気があった。目を切られた肖像画を見て、なんとも言えない顔をしている。
    この絵どうしよう、という言葉に答えたのはゾロアークだった。

    『こんな出来事を引き起こすほどの絵だ。まだ怨念が残っているかもしれない。これこそ持って帰ってマダムに預けた方がいいだろう』
    「受け取るかな」
    『修正は不可能だろうな。これだけザックリやられていては……美貌も台無しだ』
    「言うねえ」

    その時の感情で動いてしまう。それが本人も自覚している、レディの悪い癖だった。直さなくてはならないと分かっている。現にカクライと遭遇するとそのせいで余計なトラブルを招いてしまうことも多い。今回もそれが発動してしまい、思わず火影を手に取ってしまった。
    あの時、最後の視線が自分を貫いた。哀しみに良く似た、憎悪。可愛さ余って憎さ百倍とはよく言ったものである。彼に触るな、彼と話すな。そんな言葉が聞こえたような気がして、レディは口を押えた。
    ふと彼を見れば、思案気な顔つきになっている。どうした、と聞く前に向こうから話を切り出した。

    『あのさ……』

    マダムは上機嫌だった。ゾロアークの声も聞こえないくらいに。そしてレディの蔑みの視線も全く気付かないくらいに。黄昏堂の女主人の威厳も形無しである。
    その少年が提案したこととは、二階にある自分をモデルに描かれた絵を全て渡す代わりに、あの最後の絵を修正してくれないか、ということだった。何故とゾロアークに彼は頬をかきながら言った。
    その絵を、見てもらいたい人がいる―― と。
    そんなわけで恨みの肖像画を回収ついでにそのキャンバスを黄昏堂に持ち帰って来たのである。ちなみに少年本人は『行かなくちゃいけない場所がある』と言ってそのまま屋敷を出て行った。聞けば肖像画が自分がいる部屋の目の前に壁にあったせいで、その怨念が邪魔して外に出られなかったのだという。
    絵を見たマダムはなるほど、と頷いた。

    「相当長い間念を込めて描いていたらしいな。ほら、この赤黒い部分。自分の血を使ってる」
    「ゲッ」
    「それで、この絵は私が貰っていいんだな?」
    『おそらくは』
    「新しく飾る部屋を用意しないとな。名前は……」

    浮かれたマダムなんて滅多に見られるものではないが、別に目に焼き付けておこうとは思わない。ため息をついて再び最後の絵を見つめる。悲しげな顔。おそらく二つの意味で悲しんでいたのだろう。一つは、主人の痛みを知った悲しみ。もう一つは―― いや、やめておこう。他人のことに干渉するのは愚か者のすることだ。
    自分が出来ることをするだけ。それだけだ。

    そしてこれは、後日談。
    ある街の小さな美術館に、一枚の絵が寄贈された。添付されていた手紙には『よろしければ飾ってください』と書かれていたという。
    一応専門家を呼んで鑑定してみると、それは若くして亡くなった有名な画家の物であることが分かり、すぐさまスペースを取って飾られることとなった。
    だが一つだけ分からないことがある。
    それは、一度描かれてから十年以上経った後にもう一度修正されていたのだ。てっきり他人が直したのかと思ったが、タッチや色使いは全て本人の物であり、首を傾げざるをえない。それでも本物には違いないということで、その絵は今日も美術館で人の目に触れている。
    その絵のタイトルは――

    『幸せな少年』

    ―――――――――――――――――――
    神風です。久々のレディです。モルテじゃなくてゾロアークと組ませるのは初めてですね。
    やっぱこのシリーズが一番書いてて楽しい。
    私の趣味が分かります。


      [No.2489] ノストロ 投稿者:Tom Walk   投稿日:2012/06/28(Thu) 22:20:08     94clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    第一部、町

    「町だ」と彼は言った。
     乾燥した荒野を風が吹き抜ける度に砂埃が舞う。地表には背の低い雑草が這って稀少な緑を添えたが、それさえもが僅かな潤いを奪って旅路を困難にするようで憎々しく映った。そしてその道なき道を踏破した先に、果たして、町があった。
     それは幾らか風の穏やかな午前。まだ日は南天に達していなかったが、しかし目に映る全方位が陽炎に揺れていた。件の太陽は後方からじりじりと背中を焼いた。ぽたりと汗が落ちれば、瞬く間に地に吸い込まれ、何の足しにもならないと雑草さえもが無関心であるようだった。そんな孤独な命の現場に、不釣合いな黒い影が見えたのだ。そこから最も暑い時刻を迎えるころまでに、僕らは巨大な城門の前に立っていた。
    「町ね。」彼女はオウムがえしのように呟いた。
     僕は言葉もなく、ただ圧倒する巨大な城壁と、そして開かれたままの城門を見上げた。
     どうすると訊ねることもせず、彼は歩みを進めた。僕と彼女も、一呼吸と遅れず彼に続いた。何よりもこの日差しを避けられる場所に潜り込みたいという本能が、論理的な判断過程を超越して足を動かした。
     門をくぐって振り返れば、城壁は一メートルを超える厚さを持ち、高さは周辺の小屋から比して十メートルはあるだろうと推し量れた。あまりにも強固に過ぎる。いったい何から町を守ろうとしているのだろうか。少なくとも僕らが旅してきたこの数日、あの惨めな雑草以外の命を目にしなかったというのに。
     門から先は何の手も加えられていない土が剥き出しの道で、二列の轍がくっきりと跡を残していた。画家志望という彼はイーゼルや画材をキャリーカートに縛って引きずっており、それが轍や自然の凹凸に引っかかる度に立ち止まった。僕と彼女はやはり同じように立ち止まって彼を待ち、また歩いた。
     通りの左側の建物に寄り、なるべく日陰を選ぶ。先ほどまで背後から照らしていた太陽は、正午を過ぎて左前方へと傾いていた。僕らがくぶったのは東門で、そしてこちら側は貧しい階層の地域なのだろう。僅かな日陰を提供する平屋は土を塗り固めた粗末なものだった。中には窓もなく、戸の代わりに編んだ藁をかけただけの小屋もある。そしてどの家からも、何の気配も感じられなかった。
    「誰もいないわね」と彼女は言った。
    「町が荒らされた様子はないから戦争や暴動じゃないな」と僕は続けた。「変な病気が流行ってなきゃいいけど。」
     彼は露骨に嫌そうな視線を僕にぶつけ、荷物から適当な布を引っぱり出すと口に当てた。彼女は溜め息を付き、開き直ったように胸を張って歩いた。
     五分もすると風景に変化が起こった。家は石造りのものが建ち、道もまた粗雑ながら石を敷いて整えられ、幾らか歩きやすくなった。間もなく二階層以上の立派な屋敷とその向こうに広場が見えてきた。
     僕らは通りの角で立ち止まり、用心深く広場を観察した。これまで歩いてきた道とは比べものにならないほど滑らかな石畳が敷かれ、取り巻く建物はどれも綺麗な白壁で、中には商店のように広い間口を持ったものもある。そうした建物には看板が下がり、例えば果物屋なのだろう真っ赤に塗られたリンゴの形をしたものや、開いた書籍のような形のものがあった。そして広場の中央には噴水が見て取れた。建物よりもいっそう鮮やかに白い女神の像が肩に抱えた壺から水が流れ落ち、日差しを眩しく弾いていた。
    「水だ!」
     言うが早いか、僕らは噴水へと駆け出した。先刻までの警戒を、再び本能が凌駕していった。彼は両手で掬っては飲み、また先ほどまで口に当てていた布を濡らしてベレー帽の下の汗を拭いた。彼女は気丈に貼った胸の勢いそのままに、頭から噴水に飛び込んだ。僕もまた掬うのが面倒で、石造りの縁から身を乗り出して水面に口付けた。
     あまりにも勢いよく飲んだために幾らか気持ち悪くなったりはしたが、それは毒や病の類ではなさそうだった。少し冷静になってその不安が蘇ってきたが、変わらず男勝りに振舞う彼女に倣って僕らも開き直った。
     再び周辺を見渡すと、広場の反対側、西の通りの入り口で何かが動く気配がした。目を凝らせば、薄い青の庇を持った商店の前にあるベンチの陰で、鳩が何かをついばんでいる。それは僕らを除く、動く生命との久しぶりの邂逅だった。
     なるべく驚かさないようにと静かに歩いたつもりだったが、幾らも近づかないうちに鳩は飛び立ってしまった。羽音を立てて広場の上を旋回すると、鳩は北の方角へと去っていった。それを追うように視線を送ると、町の北部は丘陵になっていて、そこには緑の木々が豊かに茂り、ときどきその隙間から巨大な屋敷の屋根が頭を出していた。
     視線をおろしてベンチに目をやると、地面にはポップコーンが落ちていた。彼は一粒つまむと、まだ新しいね、と言った。
    「僕は人間以外にポップコーンを炒る生物を知らないよ。」
     この町は廃墟にしては荒れていない。そしてまだ新しい生活の痕跡。
    「どうして彼らは姿を消したんだろう。」
     彼は言って、つまんだポップコーンを放り捨てた。
    「別にかくれんぼをしている訳じゃないんだ。探さなくても、そのうち向こうから出てくるさ」と僕は答えた。
     彼女はどうでもよさそうに欠伸をしながら体を伸ばし、ベンチに上って今度は丸くなった。
    「私、ちょっと休むわ。」
     彼はベンチの背に荷物を凭せかけ、自身もベンチに腰かけた。僕は彼に目配せをして、ひとりで広場を見て歩いた。

    __

    はじめまして。(嘘)
    ぜんぜん続きを書かないまま放置していたので、何かきっかけになればと投稿します。
    「第二部、図書館」のクライマックスのアイデアを思い付いたので、まあ、暇になったら書くんじゃないかな。


      [No.2488] 今日も明日も 投稿者:名無しでありたい   投稿日:2012/06/28(Thu) 20:14:13     68clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     
    >  まさか、自分の誕生日にこのような作品と出会えるとは……!(ドキドキ)
    >  タグを見た瞬間、目が丸くなりましたです、嬉しいです、ありがとうございます。
    よく言えばもう一歩大人に。
     悪く言えばいっこ人生の終わりに向けt
    ( ま、まぁ、その、お誕生日おめでとうございます
     
    >  出会えたあの日が
    >
    >  君と僕との
    >
    >  もう一つの誕生日

    >  このフレーズ大好きです。
    >  その人やポケモンにとって特別な日。
    >  色々な出会いがあるんだろうなぁと想像が膨らんでいきます(ドキドキ)
     人それぞれ、いろいろな出会いがあると思います
     それは生まれて死ぬまでずっとです、たぶん……
     
    >  自分の場合は、小1の頃におじいちゃんとおばあちゃんが送ってくれたゲームボーイポケットと同梱されていたソフト……それがポケモンとの出会いでした。
     私も、DS買う前にDSソフトのポケダン青かったりしてわくわくしてました、7年前( 
     出会い……は良く覚えていませんが、ずっと昔にアニメをテレビで見たときでしょうかね

    >  その出会いをくれたおじいちゃんとおばあちゃんにもありがとう。
     みんなにいっぱいありがとうって言ってくださいね
     それだけ、あなたもほかの人からありがとうって思われているはずです 

    >  それでは失礼しました。
    >  本当にありがとうございました!
     またどこかでお話ししましょう
     こちらこそ、よんでいただき、ありがとうございました

    > 【めでたく23歳になりました。ピカチュウの番号まで後(以下略)】
     また来年も時期が来たらですね……何かするかもしれません


      [No.2487] 出会えたあの日にありがとう。 投稿者:巳佑   投稿日:2012/06/28(Thu) 19:13:23     79clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     
     まさか、自分の誕生日にこのような作品と出会えるとは……!(ドキドキ)
     タグを見た瞬間、目が丸くなりましたです、嬉しいです、ありがとうございます。


    >  出会えたあの日が
    >
    >  君と僕との
    >
    >  もう一つの誕生日

     このフレーズ大好きです。
     その人やポケモンにとって特別な日。
     色々な出会いがあるんだろうなぁと想像が膨らんでいきます(ドキドキ)

     自分の場合は、小1の頃におじいちゃんとおばあちゃんが送ってくれたゲームボーイポケットと同梱されていたソフト……それがポケモンとの出会いでした。

     その出会いをくれたおじいちゃんとおばあちゃんにもありがとう。

     それでは失礼しました。
     本当にありがとうございました!


    > [みーさんがお誕生日と聞いて]
    【めでたく23歳になりました。ピカチュウの番号まで後(以下略)】


      [No.2486] Re: 黄色いアイドル>>>>>美和 投稿者:巳佑   投稿日:2012/06/28(Thu) 17:41:32     101clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    反応遅くてすいません(汗)
    コメントありがとうございます!
    ラストの展開に鳥肌が立ったとか……とても嬉しいでございます。(ドキドキ)

    > そうか!ピカチュウがあんなに強いのは先に出来たからなのか!!
    >
    > ・・・・と妙な納得をしました(笑)

    いかに美和さんでも黄色いアイドルを超えることができないというタイトルに、こちらも思わず笑ってしまいました。>の数がそれを物語っている(笑)


    > ドーブルの「スケッチ」は確かに謎いですね。レベルが上がると描写能力が上がるから?と考えてみたのですが・・・。どうなんだろう。

     本当はレベルに応じての技しかスケッチできないとかというのも面白そうですよね。描写能力が低いからこの技までとか、描写能力が高ければ高い分、会得できる技の範囲が増えるといった感じで。  


    それでは失礼しました。

    【ドーブルはイケメンですね!】


      [No.2485] 出会えたあの日 投稿者:名無しでありたい   投稿日:2012/06/28(Thu) 16:05:52     100clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     目を覚まして
     一番最初に受ける言葉
     おはよう
     
     ご飯を食べて
     歯を磨いて
     出かける前の
     いってきます

     何事もない一日
     いつも通りの朝
     
     いつも通りの毎日の中に
     一年に一度の 
     特別な日

     きみの
     ぼくの

     この世界に生まれた
     大切な日

     君とこうして出会えたのも
     
     ぼくが
     きみが
     
     何年も前の
     この日に
     あの日に

     生まれたから

     きみの誕生日はわからないけれども    
     こうして一緒にここにいる

     出会えたあの日が

     きみとぼくとの

     もう一つの誕生日
      

     ―――


    タマゴから孵したポケモンはしっかりお誕生日解りますが
    野生ポケモンはどうなのでしょう?
    若々しい全盛期なのか、生まれたてなのか、はたまたよぼよぼのお年寄りなのか
    全くわからない……わからないからこそ、出会った日
    出会った日もまた、誕生日
    かもしれませんね
    どこぞの誰かさんがお誕生日と聞いてかきかきしてみましたです。
    心から、おめでとうございます



    [みーさんがお誕生日と聞いて]


      [No.2484] Re: なにこれかわいい 投稿者:ねここ   投稿日:2012/06/28(Thu) 14:26:14     84clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


    はじめまして。ねここです。

    コメントありがとうございました!
    こんなんでいいのかなあ、と思っていたのでとても嬉しいです。(初投稿だったので)

    メタモンはかわいいんだぞ!ということが少しでも伝わったのなら、本望です。
    あの反応に鈍そうな感じが何とも癒やしですね。
    ずっと手持ちに入れておきたいです。

    メタモン好きがもっと増えてくれたらいいなー。


      [No.2483] なにこれかわいい 投稿者:砂糖水   投稿日:2012/06/27(Wed) 22:50:06     78clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    ねここさんはじめまして。

    うーんやはりメタモンのつぶらな瞳はかわいいですねえ。
    メタモンの優しさ、というか

    >  怖がっているということは、他のポケモンに伝わるんだと思う。だからこれまで、ポケモンたちは「怖くないよ」と伝えるために、後ろをついてきたりしていたんだ。

    というようなこの話全体に漂う優しさがなんだかとっても好きです。

    それにしてもメタモンってかわいいですね。


      [No.2482] Ditto 投稿者:ねここ   投稿日:2012/06/27(Wed) 08:41:28     138clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


     今日、お兄ちゃんが帰って来るらしい。

     お兄ちゃんは、私が住んでいるタマムシシティよりももっともっと遥か遠くの、キンセツシティなるところに住んでいる。昔っからポケモンが大好きで、よくお母さんの言い付けを無視して、ポケモンを連れ帰って来ていた。そんなお兄ちゃんも、今や名の知れたポケモントレーナー。聞くところによれば、ポケモンとシンクロするかのような魅せるバトルをするらしい。私自身、お兄ちゃんのバトルを見たことはないのだけれど。

     でも、妹である私は、彼とは正反対だった。ポケモンに対する苦手意識が心の中で、ぐるぐるとめぐっている。もちろん、私はポケモンを一匹も持っていない。でも、ピカチュウは可愛いと思うし、バンギラスだって格好良いと思う。触ってみたいとも思う。けれど、苦手だった。それなのに、外をのんびりと散歩するポケモンは、そんな私を癒そうとでもするように、わらわらと群がってくる。この前なんて、学校帰りに出会った野生のベロリンガが家まで着いてきた。薄ピンク色の可愛い子だったけれど、私はこれまでにないくらい緊張した。お兄ちゃんは、そんなにポケモンが集まってくるなんて羨ましいと言ってくれるけれど、私はちっとも嬉しくない。

     だって、怖いから。

     たとえば、家の周りによくいるガーディなんかをゲットするとしよう。でも、そのガーディはひのこを吐く。家のキッチンのガスコンロから出る火と同じ火が出るのだ。そんなの、怖すぎる。学校の友達は皆、ほのおポケモンがかっこいいだのみずポケモンがかっこいいだのとわいわい話をしているが、私に言わせてもらえればノーマルポケモンが一番ましだと思う。ゴーストポケモンは幽霊みたいだし、かくとうポケモンは威圧感がすごいし、こおりは寒そうだし、ひこうポケモンは勝手にどこかに飛んでいっちゃいそうで、心配になる。

     結局、そんな考えがある限り、私にポケモンは合わないと思う。

     でも、お兄ちゃんのポケモンは別だ。お兄ちゃんによくなついているし、礼儀正しいし、とても可愛い。野生のポケモンに対してよりも、ずっと心の壁が薄い気がする。お兄ちゃんのポケモンだったら、私でも仲良くできるかもしれない。けれど、やっぱり心のどこかで恐怖を感じているのだろう。と、何故こんな話をしているかと言えば、お兄ちゃんはどうやら、私にポケモンをプレゼントしたいらしいのだ。お母さんは、お兄ちゃんがくれるポケモンなら大丈夫よと笑っていたけれど、私の頭はどうしようを繰り返している。

    「行ってきまーす」
    「お兄ちゃん、お昼くらいに帰ってくるって」
    「……うん」

     でも、その前に学校だ。玄関の扉を開けると、晴れ晴れとした青空とぴかぴかの太陽が私を照らす。見上げると、そこでは登校中やお出かけ中の人たちが、自分のポケモンに乗って空を走っている。本当は、ちょっとだけだけど、私も空を飛んでみたい。でも、もしもらえるのが飛べるくらい大きなポケモンだとしたら、きっと外に出る時以外はモンスターボールの中に入れておかなければならない。でも、そんな窮屈な思いはさせたくない。ボールの中がどうなっているのかは、分からないけど。

     とにかく、私も遅刻しないように行かなきゃ。

    「え、ナツナ、ポケモンもらうの!?」
    「うん……」
    「何? 何もらうの?」
    「分かんない」
    「えー。じゃあ、もらったら明日学校連れてきてよ」
    「……怖くなかったら」
    「あのナツバさんが、妹の怖がりそうなポケモンをプレゼントしてくるわけないじゃない」

     お昼時。授業のほとんどはもう終わり。私も、ご飯を食べ終わったらもう帰る。今頃、お兄ちゃんは帰ってきているのだろう。私の心は、ドキドキでいっぱいだ。お兄ちゃんが帰ってくるよりも、どんなポケモンを選んでくれたのかが気になる。もし、あんなポケモンだったら、こんなポケモンだったら、と、空想は家の前に帰ってくるまで止まらなかった。結局、何だかんだ言いながらも、楽しみにしている私だった。

    「ただいま」
    「ん、おかえり。ナツバ」

     久しぶりに見たお兄ちゃんは、少しだけ日焼けをしていた。そろそろ夏真っ盛りだし、空を飛ぶ人なら当たり前なんだけど。でも、優しい笑顔は変わらなかった。ふんわりとした雰囲気からしても、強いポケモントレーナーには思えない。だから、強いのかな。なんて考えていると、お兄ちゃんはポケットから一つの青いボールを取り出して、私に差し出した。

    「青が好きだったよね。ほら、プレゼントだよ」
    「あ、あ……うん。ありがと……」

     あっさりと渡されたそれを、恐る恐る受け取る。その瞬間、この小さなボールの中にポケモン一匹が入っていることの重さを感じた。どういう構造なのだろう。変なことに感動している最中も、お兄ちゃんは嬉しそうに、楽しそうにこちらを見つめていた。出してみてもいいかな、と視線を合わせると、彼は鷹揚に頷いた。ここで出せるのなら、きっとそんな大きくないポケモンなのだろう。もし怖かったら、お兄ちゃんがなんとかしてくれるだろうし、そんなに心配することもない、と自分に暗示をかけ、もう一度ボールに目を向けた。でも、どうやってポケモンを出すのだろうか。ボールを手に持ちながら、考える。くすくす、と笑い声が聞こえた。

    「投げてみて」
    「え、投げるの?」
    「うん」

     そんなことしたら、中にいるポケモンが酔っちゃうんじゃ。そんなことを思った。でも、これじゃますます投げられない。どうしよう。どうしよう。おろおろする私。笑う声が大きくなる。そんなに笑わないでよ、ボールから出すの初めてなんだから。すると突然、怖いのと緊張とで手にかいていた汗がするん、とボールを滑らせた。床に、落ちる。そう思った瞬間、世界は、スローモーションになったみたいにゆっくり動いた。

     気付いた時には、ポケモンがそこにいた。

    「……このポケモンは?」

     ピンク色の体で、うにょうにょとスライムみたいに床をのびのび移動している。これが本当にポケモンなんだろうか。他のポケモンは動物みたいにしっかり体があるのに、このポケモンはそれがない。液体のようだ。思わず、恐怖を忘れてまじまじ見つめていると、黒々としたつぶらな、つぶらすぎる瞳と目が合った。にー、と口らしきものが笑みを見せて、ぺたりと手のようなところが、私の足に触れた。冷たくもあたたかくもない、のんびりとした温度と、何とも形容しがたい微妙な感覚が伝わる。でも、なぜか全く怖くなかった。むしろ、優しい感じがする。しゃがんで、その体にゆっくりゆっくり手を伸ばすと、そのポケモンはにこにこと笑いながら、体のほとんどを手の形にして、握手をしてくれた。ぐにょん。

    「そのポケモンは、メタモンっていうんだよ」
    「メタモン……」
    「ちょっと見てて」

     お兄ちゃんは、まだ握手をしたままの私たちのすぐ横に、金色に輝くサンダースを出した。いきなりで少しびっくりしたけれど、今はメタモンが傍にいるから、なんとなく大丈夫だと思えた。そう言われているような気がしたから。すると、メタモンはいきなり白っぽい光に包まれて、次の瞬間にはサンダースになっていた。手はまだ繋がれたまま。

    「……サンダースに、なった?」

     大きさも色もおんなじ。でも、一つだけ違うのは、その目だった。サンダースになったメタモンの目は、可愛らしくもそのままのメタモンの目。サンダースの大きな目と比べると、その差は歴然だ。それにしても、凄いものを見た。メタモンはきっと「へんしん」という技が使えるのだろう。前に聞いたことがある。ポケモンの中には、相手のポケモンに「へんしん」してしまうポケモンがいると。でも、そのポケモンは「へんしん」しか使えない。きっと、メタモンはそのポケモンなのだ。

    「ね、気に入ってくれた?」
    「うん。なんか……怖くない、ね」
    「よかった。あ、なら名前つけてあげなよ」
    「……この子、男の子?」
    「ううん、性別はないんだ」

     出会った瞬間から、止まった時計が動き出した気がしていた。これから、この子は私の家族になるんだ。そう思うと、何だか嬉しくなった。この前の私からは考えられないような、進歩。
     怖がっているということは、他のポケモンに伝わるんだと思う。だからこれまで、ポケモンたちは「怖くないよ」と伝えるために、後ろをついてきたりしていたんだ。でも、もう平気。私は、もうポケモンを怖がったりはしないはず。そんなことを考えている私を笑わせようとでも思っているのか、メタモンはふにふにと楽しそうに踊りながら、時々リアクションを伺うかのように、ちらっとこちらを見た。思わずその動きに笑うと、どこまでも伸びるような口を横に細く伸ばし広げた。

    「……じゃあ、」

     私は、これから始まる新しい世界に期待を込めて、可愛い相棒に名前を付けた。





    メタモンってかわいいですよね。さいきんのポケモンわからないのでなんかアレかも……。

    【書いてもいいのよ】
    【描いてもいいのよ】


      [No.2480] エリートトレーナーテスト 投稿者:ことら   《URL》   投稿日:2012/06/22(Fri) 22:01:41     98clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     僕の恋人はポケモントレーナーだ。その実力は僕をも凌ぐ。はっきりいって嫉妬している。年齢の割に開花した才能。長いこと頂点にいたとはいえ、僕の才能が開いたのは時間をかけてのことだ。
     その嫉妬に気付いたのは、彼女に負けた時だった。
     チャンピオンとしてトレーナーの頂点に長いこといた僕は、トレーナーのやる気や見た目である程度の強さは解る。会った時になんとなくいつか追い越されるかなと感じていたけど、まさか本当に負けるとは思ってはなかった。彼女は僕と真っ正面から挑んできて正面突破していったんだ。
     勝負がついた時はなんだかチャンピオンとしての重荷が終わって嬉しいような清々したような気分だった。彼女はすっごい複雑そうな顔してたけど、これでやっと自由だと家に帰ったんだ。
     でもだんだんと悔しさが出て来た。だって、何となく解ってたとはいえ、あんな年下の女の子に負けるなんてさ……そう思ったらなんか一矢報いるためイタズラを仕掛けてもいいかなと思った。
     初めて会った時、彼女の尊敬する肩書き「ジムリーダー」を一蹴した。だから、それより強いチャンピオンになったのだから、絶対に僕に何か言いに来るに決まってる。だったら僕の家で何か仕掛けてその反応を見て、大人に反抗するなんて早いと言おうと、仕掛けるまでは楽しかった。何を言うのか、どんな反応をするのか想像しただけで楽しいじゃない?
     そしてもうその時の顔といったら……大泣きされてしまった。
     僕に会いたいと涙を流して叫ぶ彼女は予想外だった。素直になりきれないクセに僕にあの手この手でかまってもらおうと画策して大抵失敗している。そのことは解っていたけど、僕の見ていないところではあんな素直になるなんて。
     やっぱり、と思った。会った時に負けるとも思っていたけど、なんとなく僕を見る目が言ってた。僕のことを好きだと。でもその後はずっと反抗的な態度しか取ってないんだから、気のせいだとは思っていた。僕は確信した。
     僕はこの子に嫉妬していたのではない。好きだけど素直になってくれないことにイラついていたんだ。隠れてる僕が見てることも気付かずダンバルを抱きしめて泣き続ける彼女を後ろから唖然と見ていた。もうイタズラだと言い出すタイミングを見失いすぎた。
     だから敢えて明るく、冗談めいた声で話しかけた。多分今までだったら容赦なく叩いたり蹴ったりしてきてもおかしくない。それなのに泣いたままの顔で僕をじっと見て、目をこすって何度も見てた。僕の存在を確認してたね、あれは。
     僕が幻ではないと解ったら、元の彼女に戻ってかわいくない態度をとっていた。さっきまでの大泣きが嘘みたいだね。もう一回からかってみた。今度は引っかからないかなと思った。
     そこは子供だったね、僕が買いかぶってたかも。また引っかかって。僕に張り付いてじっと見ている。言いたいことが言えないんだろうね。さてどうやって僕を止めるのかな。
     そうかと思えば、僕にポケモンを教えてくれと大胆な行動に出てきた。まさかこんなことを言われるとは思わなかった。強さは彼女のが上なのに、何を教えることがあるのだろう。そう言ってわざと突き放してみた。予想通り食い下がってきた。
     いいだろう。僕もこの才能がどこまで通じるものか見届けたい。こんなかわいらしい女の子から繰り出されるポケモンたちの共演をずっと見守り続けるよ。


     ダイゴは仁王立ち。ハルカは腕を組んでそっぽを向く。その間にはメタグロスが申し訳なさそうに立っている。
    「絶対に炎技を耐える調整がいい」そう主張するのはダイゴ。
    「炎受けはラグラージがいる。ならコメットパンチの威力を少しでもあげるから攻撃に全振りする」そう主張するのはハルカ。
     ハルカがダイゴにポケモンを教えてほしいと頼んだ。その関係はもう長いこと経った。
     そして二人が今、目標にしているのはエリートトレーナー試験。そう呼ばれているが、正式名称はポケモン訓練士1級である。これに受かるとポケモントレーナーとして施設で働くことも出来るし、ジムリーダーを勤めることができる。なお、これはリーグとは別なので例えチャンピオンとなっても資格がなければ働くことができない。プロスポーツと同じように登録してもらえない。登録のための資格である。
     将来、ハルカはジムリーダーになりたいと言う。才能もあるし、夢を現実にするには申し分ない。だが、資格が必要だよ、とダイゴが案内したのがきっかけである。
     筆記試験の勉強はいいとして、問題は実技だ。これは受験者同士の戦いである。勝てばいいというものではない。どのように勝つかが問題となっているので、勝ったところで落ちる可能性もある。
     どのように勝つのかと言えば、全く普通である。ポケモンをいたわって命令しているか、命令に無茶はないか。上に立つポケモントレーナーほど、倫理が強く求められる。そのことはダイゴが何度も話しているし、筆記試験でもマナーやポケモン勝負禁止の範囲などが出される。賠償や保険、責任の所在など子供には難しい話ばかりだ。けれどこれを理解しなければ次に進むことができない。
     今、両者真っ向から対立しているのは、明日の実技試験で使うメタグロスのことだ。瀕死にさせられる前に技を出さなければならない。メタグロスはそんなに素早いポケモンではない。下手したら何もできないのにノックアウトしてしまう可能性だって高い。そうダイゴは主張し、少しは耐えるようにと話した。
     対するハルカは、メタグロスの高すぎる攻撃力と技でがんがん押すと主張する。確かにコメットパンチの破壊力は素晴らしいものだ。そうして乗り切ると話す。
     二人とも主張は一向に曲げない。そうするとお互いにイライラしてくる。そしてついに。
    「わかったよ。好きにしたらいい! 君が落ちる姿をちゃんと見といてあげるから!」
    「ええ好きにします! それでダイゴさんに言われるまでもなく受かりますから!」
     決裂。その後はずっと無言。お互いに一言も声をかけない。
     ただの試験とはいえ、エリートトレーナー試験の試合は全国ネットで中継されている。地域ごとに試験日が違う。本気の人は、その試験日の違いを利用して全て受けるほどだ。
     そしてその試合の解説に呼ばれたのがダイゴ。試合をリアルタイムで見守る中継席にいるのだ。だからこそ教え子に無様な負け方をして欲しくない。目の前で大好きな子の負け方を解説するほど惨めなものはない。
     しかし受けるハルカは全く違う意見を持っていた。負けても仕方ない。そして落ちたらまた来年があると。
     無言でハルカは出て行く。家に帰るのだ。攻撃系統に最終調整したメタグロスと共に。
    「自分が教えてくれって言ったんじゃないか」
     誰も聞いてない空間にダイゴは言った。

     実技試験の日。筆記試験を通った強そうなトレーナーたちがわんさか集まっている。受験票をなくさないようにハルカは会場に入っていく。
     プレッシャーと、昨日のダイゴとの意見の相違が尾を引いている。ハルカの心は怒りでざわついていた。
    「ダイゴさんは私が意見もったポケモントレーナーだって思ってくれてない」
     つい心の声が音声になってしまった。だけど他のトレーナーたちはそんなこと微塵も気にしていない。もし耳に入ったとしても、自分の試験のことで頭がいっぱいで、すぐに忘れてしまう。
     ハルカは試験に集中する。ダイゴが思考を中断しにくる。何度も昨日の「落ちる姿を見ておく」という言葉が刺さる。それは同時に絶対に落ちないとハルカを決意させた。
    「それでは、番号1002番の方から1021番までの方から始めます」
     係員の声が届く。10人ほどのトレーナーが立ち上がった。

     試験開始から何試合目。大きなスタジアムの中継席から双眼鏡を覗き込み、マイクに向かって解説を続ける。これが意外にハードなのだ。なぜその技か、なぜそのポケモンなのか。特性から技からタイプから、全国のポケモンに全く触らない人にも解るように話さなければならない。つい使ってしまいそうになる略語や専門用語を避け、誰でも知ってる言葉を瞬時に選ぶ。
     試合のインターバルにダイゴはため息をつく。喉を休ませる貴重な時間だ。
     昨日はあんな喧嘩をしてしまったが、ハルカのことは気になる。順番はまだ来ていない。
     今日は快晴だ。炎タイプの威力が上がる。それを利用したトレーナーたちは多い。天候を変えようとしても、それは一時的なものだから、すぐに干上がってしまう。
     炎技が上がる。それはすなわち使う予定のメタグロスの弱味を増やすことだ。そして炎を受けるといったラグラージは水タイプ。こんな天気では水タイプの技は威力が下がってしまう。
    「では、次の試合です。大物ですよ。なんと解説のチャンピオン、ツワブキダイゴさんに勝ちながら年齢や資格がないのでなれなかったという経歴の」
     アナウンサーの話を聞いて、ダルい体が一気に起き上がる。ハルカだ。
    「ではツワブキさん、彼女と戦ったのですよね?」
    「え、ええ。彼女は強かったですね。初めて見る相手にも、ラグラージの特性を巧みに使う。トレーナーは軍師のようでなければなりませんが、彼女は策士といったところでしょうか」
     何をやっている。ラグラージを出して、相手がロゼリアなら逃げるしかないだろう。何を聞いていたんだ。
    「ツワブキさん? では解説を……」
    「え、ええ。そうですね、ラグラージとロゼリアは基本的に相性が悪い。そしてこの天候からして、ソーラービームをためなくても使えます。それにギガドレインがある可能性だってありますね。大抵はこの状況なら交換を……」
    「なるほど。おや、ロゼリアはソーラービームのようですね。対するラグラージは、交換しない!」
     何をやっている!!! ダイゴは実況席から身を乗り出した。ガラスに頭を打ったが本人はそれどころではない。
    「ツワブキさん、これはどういうことでしょうか」
    「いやー、私もこういう展開はあまり見た事がないので」
    「おや、ラグラージの様子がおかしいですね。耐えましたラグラージ。ロゼリアのソーラービームを耐えて……ミラーコート!?」
     全てを反射するような光にロゼリアは耐えきれなかった。助かった、とダイゴは大人しく着席する。
    「ミラーコートは特殊技を2倍にして返す技ですね。ラグラージはタマゴから生まれる場合のみ覚えることができます」
    「なるほど。知識の量も実力もチャンピオンを破ったトレーナーということですね」
     それもダイゴが全部教えたことである。しかしこのソーラービームを耐えるとは思わなかった。
     いや、それはダイゴが見落としていたこと。違うラグラージとはいえ、メタグロスの攻撃を何度か耐えた種族だ。あっさりさようならということはないのだろう。
    「次のポケモンは、キュウコンですね」
    「とても素早いでしょうから、ラグラージの減った体力では……」
     ダイゴの解説を待たず、ラグラージはキュウコンの電光石火で倒される。
     次をどうするかが不安だ。今の天候のメタグロスは危険だ。そしてもう一匹は攻撃を受けるということを考えていない。なぜならそれは翼を欲しがる青い竜。ボーマンダだ。
    「おや、ボーマンダですね! これを持っているとはやはりレベルが」
    「ドラゴンは炎タイプに相性がいいですからね」
    「キュウコンがこれは炎の渦! ボーマンダを閉じ込めるつもりですね。対するボーマンダは、踊ってる?」
    「あれは竜の舞ですね。攻撃力と素早さを上げます。遅めであるボーマンダの技としては最良ですね」
     しかし火傷しないとは限らない。火傷をすると攻撃力が下がってしまう。攻撃を上げるボーマンダとは相性が悪い。
    「おや、ここで、ボーマンダが」
     ボーマンダはキュウコンを見据え、飛び上がった。空を飛ぶという技にも思えたが違う。着地の瞬間、大きくフィールドを揺らした。
    「さすがボーマンダの地震となると、ここまで揺れますな」
    「そうですね。キュウコンはもっと食らってると思いますが」
     スタジアム全体が揺れた。後ろで指示しているハルカ自身も揺れに耐えられず手をつく。キュウコンがそこに倒れていた。
    「さあ、最後のポケモンは、チャーレムだ!」
    「相性は悪いですね。ボーマンダの攻撃力と素早さが上がっていますし、ボーマンダは……」
    「おっとボーマンダを引っ込めたぞ。そして出て来たのはメタグロス!」
     ダイゴの心は許す限り叫んだ。けれど音声が全てマイクに拾われる今、そのまま素直に出すわけにはいかない。
     なぜそのままいかない。そのまま押せば勝てたし、無理をさせた試合ではない。トレーナー倫理に引っかかる試合でもない。なのになぜそこでメタグロスを敢えて出した。格闘技を半減するボーマンダと違って、メタグロスはそのままダメージが通ってしまう。
    「チャーレムの飛び膝蹴りがメタグロスに入りましたね。急所に入ったようで痛そうです」
    「メタグロスは防御力が高いポケモンですからね」
     そこまで言いかけて、自分のメタグロスと違うことを思い出した。ダイゴのメタグロスならばもう一度チャンスがあったかもしれない。けれどハルカのメタグロスは……
    「チャーレムの飛び膝蹴りがまたもや入る! メタグロスの足元がふらついてますね。もうダウンでしょうか」
     ポケモンもポケモンでトレーナーに似るんだから! もしそこでメタグロスが倒れなければ試合は続行し、ハルカは瀕死の状態のメタグロスを戦わせたということで、落ちる可能性だってある。倒れろメタグロス、倒れろ!
    「おっと、メタグロスの足が光りました。これはコメットパンチ!」
     試合は盛り上がる。チャーレムの急所をメタグロスのコメットパンチがとらえた。チャーレムは倒れた。多いかぶさるようにメタグロスも倒れる。
    「コメットパンチは反動がないはずですが」
     余計なことを実況が言ってしまった。瀕死状態をかばってメタグロスは攻撃したのだ。これでは審判も見逃せない。
     試合は終了となり、審判が難しい顔をして話し合っている。
    「ツワブキさん、どうなるでしょうね」
    「解りませんね。メタグロスがコメットパンチをするだけの元気がないサインをトレーナーに見せていたかも判断になりますが」
     この頃にはすっかりダイゴはイスにだらけていた。落ちた。落ちてしまった。あそこでなぜメタグロスにした。なぜだ。メタグロス!

     夕方になり、全ての試験が終わった。結果はその場で受験番号で公表される。スタジアムの電光掲示板が光った。
    「合格者の番号がつきます」
     アナウンスが入った。そして番号が順番に光っていく。ハルカは受験票を握りしめた。

    「1019、1023、1024、1026」
     ああ、まだだ。まだまだ。まだ順番にならない。
     受験票は原型を留めてない。ハルカの手汗で文字はにじみ、もとの番号がかろうじて読める。

    「1045、1056、1058、1060」
     緊張で心臓の音が聞こえる。こんなに緊張しているのは初めてだ。

    「1081、1083……」
     次だ。次のランプが点灯しなければハルカは落ちたことになる。








    「1084……合格だ……」






     
     ポケモン訓練士一級。通称エリートトレーナーに合格した。あまりに嬉しくて、思わず叫ぶ。
    「やった、やったよ!!!」
     正しかった。メタグロスの攻撃力があったから、チャーレムは一撃で倒すことできた。これでよかったのだ。ハルカの試合は、ハルカの読みが当たったのだから。
     
     発行されたばかりの一級免許を持って、会場の外に行く。
     すっかりお祭り騒ぎで、屋台も出ていた。その中で報告のためにポケナビを鳴らす。まずは家に。母親が出て、合格したことを伝えるとおめでとうと帰って来た。その場で父親が取り次ぐ。
    「ハルカおめでとう。ジムリーダーはこれからが大変だが、まずは一歩だ」
    「うん、お父さんありがとう! これから帰るから遅くなるね!」
     ポケナビを切る。そして次にかけたのはダイゴだった。もう仕事終わっていて、今はどこにいるのだろう。
    「もしもし」
     ほら私の言う通りだった。あそこでメタグロスがチャーレムを倒せたのは私の意見が正しかった。さてそのことをどう言ってやろうか。その時どんな返事をするのか楽しみで仕方ない。
    「ハルカちゃん、君は何をしたか解ってる?」
     ポケナビの相手を確認するまでもなく、ダイゴの第一声はこれだった。
    「あのままボーマンダで押し切れば、メタグロスは不要に傷つかずに済んだ。トレーナー倫理審査も行なわれることなく、君は勝てた。相手も合格しただろう。それなのに君はあえてメタグロスに交換した。そして急所に当たり、瀕死なのを庇ったメタグロスのおかげで勝てた。それ解ってる?」
     早口でまくしたてられ、ハルカは状況が解らない。解るのは、ダイゴがひどく怒っているということ。
    「ダイゴさん? なんで怒ってるんですか?」
    「君はあと少しで倫理審査で落ちるところだったんだ。それを解っているのかと聞いている」
    「なんでですか? そもそも瀕死になったらポケモン動けないじゃないですか」
    「だからメタグロスは君に遠慮してコメットパンチをしたんだろう。チャーレムに攻撃した後にすぐ倒れたのが何より証拠だ」
     通話が切れる。その必要がなくなったから。目の前に声と同じく表情が怒ってるダイゴがいる。
    「おいで。君のしたことを教えてあげる」
     手を引かれ、スタジアムから遠ざかる。楽しげな声が彼方まで来た。
     するとダイゴは突然ハルカを突き飛ばす。今までこんなことをされたことがなかったので、ハルカは驚くばかりだ。地面に手をついたままダイゴを見上げる。
    「ジムリーダーって何だろうね。チャンピオンってなんだろうね。君は結局、中身を伴わない肩書きだけのエリートトレーナーだよ」
     ダイゴの隣にはエアームドがいる。そしてダイゴは命じた。ハルカに向けて鋼の翼と。なぜそんな仕打ちを受けなければならないのか解らない。とっさにハルカは手で顔を庇った。
     何があったのだろう。なぜこんなダイゴは怒っている。そして今まで怒ったことはあっても、こんなことされたことがなかった。それなのにどうして。
     怖い。こんな言葉が通じないダイゴはダイゴじゃない。
    「ハルカちゃん。顔をあげて」
     穏やかなダイゴの声に、ハルカは顔をあげる。エアームドはボールに戻っていた。
    「怖かったかい?」
    「……はい」
    「無駄に攻撃を受けたメタグロスはこうだった。痛かったと思うよ、急所だったし。もしボーマンダがそのままいけば、怖い思いをしなくて済んだだろう。君は無駄にメタグロスを痛めつけただけだ」
     ダイゴはハルカを抱き起こす。彼女はようやく彼が怒ってる理由が解って来たようだ。試験合格の高揚感が抜けて、冷静になってきた。
    「調整なんかは後でいくらでも何とかなる。でもジムリーダーやチャンピオンに求められているのは、違うことじゃないかな」
    「ごめんなさい。私、昨日ダイゴさんに言われたのが悔しくて、絶対メタグロスで勝ってやろうって。だからボーマンダに戻ってもらったんです」
    「その負けず嫌いがハルカちゃんのいいところだけど、ポケモンを傷付けるのだけは気をつけて。それと謝るのは僕じゃない。メタグロスに謝りなさい」
     ハルカはボールを開いた。回復してすっかり元気になったメタグロスが出て来る。夜のライトに反射して眩しい。
    「ごめんねメタグロス。無駄な攻撃されないようがんばるから、もう少しいてくれる?」
     メタグロスは答えない。そのかわり、ハルカの足元にしっかりと寄り添った。主人と認めたトレーナーにする行動だ。いつでも命令が聞けるように待機するのだ。
    「メタグロスの調整、確かに攻撃もありかな」
     ダイゴは言う。今までメタグロスは防御力で防いできたから、ほとんどそれしか知らないのだ。
    「僕も完全に固定観念にとらわれてたよ。そういう戦い方もある。僕も勉強になった」
    「もし防御にしてたら、急所うけても瀕死にならなかったかもしれないし、防御もありですね」
     ダイゴと目が合う。そして彼の胸に飛び込んだ。苦しいほど抱き返してくれる。
     師匠といっても解らないことだってあるんだ。そしてそれについていくだけが弟子じゃないんだ。解らないことがあれば試していけばいいんだ。それで二人で進んでいけばいいんだ。
    「エリートトレーナーおめでとう」
    「ありがとう、ございます」
     ジムリーダーなんて名前だけ。私の夢をけなした彼に訳の分からないまま惹かれて、反抗して。
     世界が干上がるかもしれない時に、私を信じて最後まで応援してくれた。待っててくれたからがんばることができた。
     チャンピオンとして戦った時、なんで名前だけなんて言うのか解らなかった。何手も先を読んでるような目だった。お金やコネで何とかなる実力じゃないのに、不思議だった。 こういうことなんだ。実力のある人ほど、自分がそれに相応しいか不安なんだ。
     ダイゴさん大丈夫だよ。実力は私よりかなり上の、そして私の師匠は、チャンピオンなのだから。




    ーーーーーーーーー
    ポケモン世界の資格ってどーなってんのか気になる。
    なんだかポケモンもったらポケモントレーナーみたいな感じではあるけど、その前に講習とかないのかね。普通ありそうな気がする。一日でも出ないと、ポケモンきっちり管理できないと思うし
    しつけ教室なんてのもあると思う
    エリートトレーナーは上級資格の一種、ベテラントレーナーは要経験という解釈でダイハルぎみに書いてみた。
    バトル廃人みたいなところがあるので攻撃に調整するとか防御に調整するとか言ってる。解らない場合は雰囲気で読み取ってください。

    【好きにしていいのよ】【他にもポケモン関係の資格試験あったりするのかしら】


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