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はじめまして。ねここです。
コメントありがとうございました!
こんなんでいいのかなあ、と思っていたのでとても嬉しいです。(初投稿だったので)
メタモンはかわいいんだぞ!ということが少しでも伝わったのなら、本望です。
あの反応に鈍そうな感じが何とも癒やしですね。
ずっと手持ちに入れておきたいです。
メタモン好きがもっと増えてくれたらいいなー。
ねここさんはじめまして。
うーんやはりメタモンのつぶらな瞳はかわいいですねえ。
メタモンの優しさ、というか
> 怖がっているということは、他のポケモンに伝わるんだと思う。だからこれまで、ポケモンたちは「怖くないよ」と伝えるために、後ろをついてきたりしていたんだ。
というようなこの話全体に漂う優しさがなんだかとっても好きです。
それにしてもメタモンってかわいいですね。
今日、お兄ちゃんが帰って来るらしい。
お兄ちゃんは、私が住んでいるタマムシシティよりももっともっと遥か遠くの、キンセツシティなるところに住んでいる。昔っからポケモンが大好きで、よくお母さんの言い付けを無視して、ポケモンを連れ帰って来ていた。そんなお兄ちゃんも、今や名の知れたポケモントレーナー。聞くところによれば、ポケモンとシンクロするかのような魅せるバトルをするらしい。私自身、お兄ちゃんのバトルを見たことはないのだけれど。
でも、妹である私は、彼とは正反対だった。ポケモンに対する苦手意識が心の中で、ぐるぐるとめぐっている。もちろん、私はポケモンを一匹も持っていない。でも、ピカチュウは可愛いと思うし、バンギラスだって格好良いと思う。触ってみたいとも思う。けれど、苦手だった。それなのに、外をのんびりと散歩するポケモンは、そんな私を癒そうとでもするように、わらわらと群がってくる。この前なんて、学校帰りに出会った野生のベロリンガが家まで着いてきた。薄ピンク色の可愛い子だったけれど、私はこれまでにないくらい緊張した。お兄ちゃんは、そんなにポケモンが集まってくるなんて羨ましいと言ってくれるけれど、私はちっとも嬉しくない。
だって、怖いから。
たとえば、家の周りによくいるガーディなんかをゲットするとしよう。でも、そのガーディはひのこを吐く。家のキッチンのガスコンロから出る火と同じ火が出るのだ。そんなの、怖すぎる。学校の友達は皆、ほのおポケモンがかっこいいだのみずポケモンがかっこいいだのとわいわい話をしているが、私に言わせてもらえればノーマルポケモンが一番ましだと思う。ゴーストポケモンは幽霊みたいだし、かくとうポケモンは威圧感がすごいし、こおりは寒そうだし、ひこうポケモンは勝手にどこかに飛んでいっちゃいそうで、心配になる。
結局、そんな考えがある限り、私にポケモンは合わないと思う。
でも、お兄ちゃんのポケモンは別だ。お兄ちゃんによくなついているし、礼儀正しいし、とても可愛い。野生のポケモンに対してよりも、ずっと心の壁が薄い気がする。お兄ちゃんのポケモンだったら、私でも仲良くできるかもしれない。けれど、やっぱり心のどこかで恐怖を感じているのだろう。と、何故こんな話をしているかと言えば、お兄ちゃんはどうやら、私にポケモンをプレゼントしたいらしいのだ。お母さんは、お兄ちゃんがくれるポケモンなら大丈夫よと笑っていたけれど、私の頭はどうしようを繰り返している。
「行ってきまーす」
「お兄ちゃん、お昼くらいに帰ってくるって」
「……うん」
でも、その前に学校だ。玄関の扉を開けると、晴れ晴れとした青空とぴかぴかの太陽が私を照らす。見上げると、そこでは登校中やお出かけ中の人たちが、自分のポケモンに乗って空を走っている。本当は、ちょっとだけだけど、私も空を飛んでみたい。でも、もしもらえるのが飛べるくらい大きなポケモンだとしたら、きっと外に出る時以外はモンスターボールの中に入れておかなければならない。でも、そんな窮屈な思いはさせたくない。ボールの中がどうなっているのかは、分からないけど。
とにかく、私も遅刻しないように行かなきゃ。
「え、ナツナ、ポケモンもらうの!?」
「うん……」
「何? 何もらうの?」
「分かんない」
「えー。じゃあ、もらったら明日学校連れてきてよ」
「……怖くなかったら」
「あのナツバさんが、妹の怖がりそうなポケモンをプレゼントしてくるわけないじゃない」
お昼時。授業のほとんどはもう終わり。私も、ご飯を食べ終わったらもう帰る。今頃、お兄ちゃんは帰ってきているのだろう。私の心は、ドキドキでいっぱいだ。お兄ちゃんが帰ってくるよりも、どんなポケモンを選んでくれたのかが気になる。もし、あんなポケモンだったら、こんなポケモンだったら、と、空想は家の前に帰ってくるまで止まらなかった。結局、何だかんだ言いながらも、楽しみにしている私だった。
「ただいま」
「ん、おかえり。ナツバ」
久しぶりに見たお兄ちゃんは、少しだけ日焼けをしていた。そろそろ夏真っ盛りだし、空を飛ぶ人なら当たり前なんだけど。でも、優しい笑顔は変わらなかった。ふんわりとした雰囲気からしても、強いポケモントレーナーには思えない。だから、強いのかな。なんて考えていると、お兄ちゃんはポケットから一つの青いボールを取り出して、私に差し出した。
「青が好きだったよね。ほら、プレゼントだよ」
「あ、あ……うん。ありがと……」
あっさりと渡されたそれを、恐る恐る受け取る。その瞬間、この小さなボールの中にポケモン一匹が入っていることの重さを感じた。どういう構造なのだろう。変なことに感動している最中も、お兄ちゃんは嬉しそうに、楽しそうにこちらを見つめていた。出してみてもいいかな、と視線を合わせると、彼は鷹揚に頷いた。ここで出せるのなら、きっとそんな大きくないポケモンなのだろう。もし怖かったら、お兄ちゃんがなんとかしてくれるだろうし、そんなに心配することもない、と自分に暗示をかけ、もう一度ボールに目を向けた。でも、どうやってポケモンを出すのだろうか。ボールを手に持ちながら、考える。くすくす、と笑い声が聞こえた。
「投げてみて」
「え、投げるの?」
「うん」
そんなことしたら、中にいるポケモンが酔っちゃうんじゃ。そんなことを思った。でも、これじゃますます投げられない。どうしよう。どうしよう。おろおろする私。笑う声が大きくなる。そんなに笑わないでよ、ボールから出すの初めてなんだから。すると突然、怖いのと緊張とで手にかいていた汗がするん、とボールを滑らせた。床に、落ちる。そう思った瞬間、世界は、スローモーションになったみたいにゆっくり動いた。
気付いた時には、ポケモンがそこにいた。
「……このポケモンは?」
ピンク色の体で、うにょうにょとスライムみたいに床をのびのび移動している。これが本当にポケモンなんだろうか。他のポケモンは動物みたいにしっかり体があるのに、このポケモンはそれがない。液体のようだ。思わず、恐怖を忘れてまじまじ見つめていると、黒々としたつぶらな、つぶらすぎる瞳と目が合った。にー、と口らしきものが笑みを見せて、ぺたりと手のようなところが、私の足に触れた。冷たくもあたたかくもない、のんびりとした温度と、何とも形容しがたい微妙な感覚が伝わる。でも、なぜか全く怖くなかった。むしろ、優しい感じがする。しゃがんで、その体にゆっくりゆっくり手を伸ばすと、そのポケモンはにこにこと笑いながら、体のほとんどを手の形にして、握手をしてくれた。ぐにょん。
「そのポケモンは、メタモンっていうんだよ」
「メタモン……」
「ちょっと見てて」
お兄ちゃんは、まだ握手をしたままの私たちのすぐ横に、金色に輝くサンダースを出した。いきなりで少しびっくりしたけれど、今はメタモンが傍にいるから、なんとなく大丈夫だと思えた。そう言われているような気がしたから。すると、メタモンはいきなり白っぽい光に包まれて、次の瞬間にはサンダースになっていた。手はまだ繋がれたまま。
「……サンダースに、なった?」
大きさも色もおんなじ。でも、一つだけ違うのは、その目だった。サンダースになったメタモンの目は、可愛らしくもそのままのメタモンの目。サンダースの大きな目と比べると、その差は歴然だ。それにしても、凄いものを見た。メタモンはきっと「へんしん」という技が使えるのだろう。前に聞いたことがある。ポケモンの中には、相手のポケモンに「へんしん」してしまうポケモンがいると。でも、そのポケモンは「へんしん」しか使えない。きっと、メタモンはそのポケモンなのだ。
「ね、気に入ってくれた?」
「うん。なんか……怖くない、ね」
「よかった。あ、なら名前つけてあげなよ」
「……この子、男の子?」
「ううん、性別はないんだ」
出会った瞬間から、止まった時計が動き出した気がしていた。これから、この子は私の家族になるんだ。そう思うと、何だか嬉しくなった。この前の私からは考えられないような、進歩。
怖がっているということは、他のポケモンに伝わるんだと思う。だからこれまで、ポケモンたちは「怖くないよ」と伝えるために、後ろをついてきたりしていたんだ。でも、もう平気。私は、もうポケモンを怖がったりはしないはず。そんなことを考えている私を笑わせようとでも思っているのか、メタモンはふにふにと楽しそうに踊りながら、時々リアクションを伺うかのように、ちらっとこちらを見た。思わずその動きに笑うと、どこまでも伸びるような口を横に細く伸ばし広げた。
「……じゃあ、」
私は、これから始まる新しい世界に期待を込めて、可愛い相棒に名前を付けた。
*
メタモンってかわいいですよね。さいきんのポケモンわからないのでなんかアレかも……。
【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】
僕の恋人はポケモントレーナーだ。その実力は僕をも凌ぐ。はっきりいって嫉妬している。年齢の割に開花した才能。長いこと頂点にいたとはいえ、僕の才能が開いたのは時間をかけてのことだ。
その嫉妬に気付いたのは、彼女に負けた時だった。
チャンピオンとしてトレーナーの頂点に長いこといた僕は、トレーナーのやる気や見た目である程度の強さは解る。会った時になんとなくいつか追い越されるかなと感じていたけど、まさか本当に負けるとは思ってはなかった。彼女は僕と真っ正面から挑んできて正面突破していったんだ。
勝負がついた時はなんだかチャンピオンとしての重荷が終わって嬉しいような清々したような気分だった。彼女はすっごい複雑そうな顔してたけど、これでやっと自由だと家に帰ったんだ。
でもだんだんと悔しさが出て来た。だって、何となく解ってたとはいえ、あんな年下の女の子に負けるなんてさ……そう思ったらなんか一矢報いるためイタズラを仕掛けてもいいかなと思った。
初めて会った時、彼女の尊敬する肩書き「ジムリーダー」を一蹴した。だから、それより強いチャンピオンになったのだから、絶対に僕に何か言いに来るに決まってる。だったら僕の家で何か仕掛けてその反応を見て、大人に反抗するなんて早いと言おうと、仕掛けるまでは楽しかった。何を言うのか、どんな反応をするのか想像しただけで楽しいじゃない?
そしてもうその時の顔といったら……大泣きされてしまった。
僕に会いたいと涙を流して叫ぶ彼女は予想外だった。素直になりきれないクセに僕にあの手この手でかまってもらおうと画策して大抵失敗している。そのことは解っていたけど、僕の見ていないところではあんな素直になるなんて。
やっぱり、と思った。会った時に負けるとも思っていたけど、なんとなく僕を見る目が言ってた。僕のことを好きだと。でもその後はずっと反抗的な態度しか取ってないんだから、気のせいだとは思っていた。僕は確信した。
僕はこの子に嫉妬していたのではない。好きだけど素直になってくれないことにイラついていたんだ。隠れてる僕が見てることも気付かずダンバルを抱きしめて泣き続ける彼女を後ろから唖然と見ていた。もうイタズラだと言い出すタイミングを見失いすぎた。
だから敢えて明るく、冗談めいた声で話しかけた。多分今までだったら容赦なく叩いたり蹴ったりしてきてもおかしくない。それなのに泣いたままの顔で僕をじっと見て、目をこすって何度も見てた。僕の存在を確認してたね、あれは。
僕が幻ではないと解ったら、元の彼女に戻ってかわいくない態度をとっていた。さっきまでの大泣きが嘘みたいだね。もう一回からかってみた。今度は引っかからないかなと思った。
そこは子供だったね、僕が買いかぶってたかも。また引っかかって。僕に張り付いてじっと見ている。言いたいことが言えないんだろうね。さてどうやって僕を止めるのかな。
そうかと思えば、僕にポケモンを教えてくれと大胆な行動に出てきた。まさかこんなことを言われるとは思わなかった。強さは彼女のが上なのに、何を教えることがあるのだろう。そう言ってわざと突き放してみた。予想通り食い下がってきた。
いいだろう。僕もこの才能がどこまで通じるものか見届けたい。こんなかわいらしい女の子から繰り出されるポケモンたちの共演をずっと見守り続けるよ。
ダイゴは仁王立ち。ハルカは腕を組んでそっぽを向く。その間にはメタグロスが申し訳なさそうに立っている。
「絶対に炎技を耐える調整がいい」そう主張するのはダイゴ。
「炎受けはラグラージがいる。ならコメットパンチの威力を少しでもあげるから攻撃に全振りする」そう主張するのはハルカ。
ハルカがダイゴにポケモンを教えてほしいと頼んだ。その関係はもう長いこと経った。
そして二人が今、目標にしているのはエリートトレーナー試験。そう呼ばれているが、正式名称はポケモン訓練士1級である。これに受かるとポケモントレーナーとして施設で働くことも出来るし、ジムリーダーを勤めることができる。なお、これはリーグとは別なので例えチャンピオンとなっても資格がなければ働くことができない。プロスポーツと同じように登録してもらえない。登録のための資格である。
将来、ハルカはジムリーダーになりたいと言う。才能もあるし、夢を現実にするには申し分ない。だが、資格が必要だよ、とダイゴが案内したのがきっかけである。
筆記試験の勉強はいいとして、問題は実技だ。これは受験者同士の戦いである。勝てばいいというものではない。どのように勝つかが問題となっているので、勝ったところで落ちる可能性もある。
どのように勝つのかと言えば、全く普通である。ポケモンをいたわって命令しているか、命令に無茶はないか。上に立つポケモントレーナーほど、倫理が強く求められる。そのことはダイゴが何度も話しているし、筆記試験でもマナーやポケモン勝負禁止の範囲などが出される。賠償や保険、責任の所在など子供には難しい話ばかりだ。けれどこれを理解しなければ次に進むことができない。
今、両者真っ向から対立しているのは、明日の実技試験で使うメタグロスのことだ。瀕死にさせられる前に技を出さなければならない。メタグロスはそんなに素早いポケモンではない。下手したら何もできないのにノックアウトしてしまう可能性だって高い。そうダイゴは主張し、少しは耐えるようにと話した。
対するハルカは、メタグロスの高すぎる攻撃力と技でがんがん押すと主張する。確かにコメットパンチの破壊力は素晴らしいものだ。そうして乗り切ると話す。
二人とも主張は一向に曲げない。そうするとお互いにイライラしてくる。そしてついに。
「わかったよ。好きにしたらいい! 君が落ちる姿をちゃんと見といてあげるから!」
「ええ好きにします! それでダイゴさんに言われるまでもなく受かりますから!」
決裂。その後はずっと無言。お互いに一言も声をかけない。
ただの試験とはいえ、エリートトレーナー試験の試合は全国ネットで中継されている。地域ごとに試験日が違う。本気の人は、その試験日の違いを利用して全て受けるほどだ。
そしてその試合の解説に呼ばれたのがダイゴ。試合をリアルタイムで見守る中継席にいるのだ。だからこそ教え子に無様な負け方をして欲しくない。目の前で大好きな子の負け方を解説するほど惨めなものはない。
しかし受けるハルカは全く違う意見を持っていた。負けても仕方ない。そして落ちたらまた来年があると。
無言でハルカは出て行く。家に帰るのだ。攻撃系統に最終調整したメタグロスと共に。
「自分が教えてくれって言ったんじゃないか」
誰も聞いてない空間にダイゴは言った。
実技試験の日。筆記試験を通った強そうなトレーナーたちがわんさか集まっている。受験票をなくさないようにハルカは会場に入っていく。
プレッシャーと、昨日のダイゴとの意見の相違が尾を引いている。ハルカの心は怒りでざわついていた。
「ダイゴさんは私が意見もったポケモントレーナーだって思ってくれてない」
つい心の声が音声になってしまった。だけど他のトレーナーたちはそんなこと微塵も気にしていない。もし耳に入ったとしても、自分の試験のことで頭がいっぱいで、すぐに忘れてしまう。
ハルカは試験に集中する。ダイゴが思考を中断しにくる。何度も昨日の「落ちる姿を見ておく」という言葉が刺さる。それは同時に絶対に落ちないとハルカを決意させた。
「それでは、番号1002番の方から1021番までの方から始めます」
係員の声が届く。10人ほどのトレーナーが立ち上がった。
試験開始から何試合目。大きなスタジアムの中継席から双眼鏡を覗き込み、マイクに向かって解説を続ける。これが意外にハードなのだ。なぜその技か、なぜそのポケモンなのか。特性から技からタイプから、全国のポケモンに全く触らない人にも解るように話さなければならない。つい使ってしまいそうになる略語や専門用語を避け、誰でも知ってる言葉を瞬時に選ぶ。
試合のインターバルにダイゴはため息をつく。喉を休ませる貴重な時間だ。
昨日はあんな喧嘩をしてしまったが、ハルカのことは気になる。順番はまだ来ていない。
今日は快晴だ。炎タイプの威力が上がる。それを利用したトレーナーたちは多い。天候を変えようとしても、それは一時的なものだから、すぐに干上がってしまう。
炎技が上がる。それはすなわち使う予定のメタグロスの弱味を増やすことだ。そして炎を受けるといったラグラージは水タイプ。こんな天気では水タイプの技は威力が下がってしまう。
「では、次の試合です。大物ですよ。なんと解説のチャンピオン、ツワブキダイゴさんに勝ちながら年齢や資格がないのでなれなかったという経歴の」
アナウンサーの話を聞いて、ダルい体が一気に起き上がる。ハルカだ。
「ではツワブキさん、彼女と戦ったのですよね?」
「え、ええ。彼女は強かったですね。初めて見る相手にも、ラグラージの特性を巧みに使う。トレーナーは軍師のようでなければなりませんが、彼女は策士といったところでしょうか」
何をやっている。ラグラージを出して、相手がロゼリアなら逃げるしかないだろう。何を聞いていたんだ。
「ツワブキさん? では解説を……」
「え、ええ。そうですね、ラグラージとロゼリアは基本的に相性が悪い。そしてこの天候からして、ソーラービームをためなくても使えます。それにギガドレインがある可能性だってありますね。大抵はこの状況なら交換を……」
「なるほど。おや、ロゼリアはソーラービームのようですね。対するラグラージは、交換しない!」
何をやっている!!! ダイゴは実況席から身を乗り出した。ガラスに頭を打ったが本人はそれどころではない。
「ツワブキさん、これはどういうことでしょうか」
「いやー、私もこういう展開はあまり見た事がないので」
「おや、ラグラージの様子がおかしいですね。耐えましたラグラージ。ロゼリアのソーラービームを耐えて……ミラーコート!?」
全てを反射するような光にロゼリアは耐えきれなかった。助かった、とダイゴは大人しく着席する。
「ミラーコートは特殊技を2倍にして返す技ですね。ラグラージはタマゴから生まれる場合のみ覚えることができます」
「なるほど。知識の量も実力もチャンピオンを破ったトレーナーということですね」
それもダイゴが全部教えたことである。しかしこのソーラービームを耐えるとは思わなかった。
いや、それはダイゴが見落としていたこと。違うラグラージとはいえ、メタグロスの攻撃を何度か耐えた種族だ。あっさりさようならということはないのだろう。
「次のポケモンは、キュウコンですね」
「とても素早いでしょうから、ラグラージの減った体力では……」
ダイゴの解説を待たず、ラグラージはキュウコンの電光石火で倒される。
次をどうするかが不安だ。今の天候のメタグロスは危険だ。そしてもう一匹は攻撃を受けるということを考えていない。なぜならそれは翼を欲しがる青い竜。ボーマンダだ。
「おや、ボーマンダですね! これを持っているとはやはりレベルが」
「ドラゴンは炎タイプに相性がいいですからね」
「キュウコンがこれは炎の渦! ボーマンダを閉じ込めるつもりですね。対するボーマンダは、踊ってる?」
「あれは竜の舞ですね。攻撃力と素早さを上げます。遅めであるボーマンダの技としては最良ですね」
しかし火傷しないとは限らない。火傷をすると攻撃力が下がってしまう。攻撃を上げるボーマンダとは相性が悪い。
「おや、ここで、ボーマンダが」
ボーマンダはキュウコンを見据え、飛び上がった。空を飛ぶという技にも思えたが違う。着地の瞬間、大きくフィールドを揺らした。
「さすがボーマンダの地震となると、ここまで揺れますな」
「そうですね。キュウコンはもっと食らってると思いますが」
スタジアム全体が揺れた。後ろで指示しているハルカ自身も揺れに耐えられず手をつく。キュウコンがそこに倒れていた。
「さあ、最後のポケモンは、チャーレムだ!」
「相性は悪いですね。ボーマンダの攻撃力と素早さが上がっていますし、ボーマンダは……」
「おっとボーマンダを引っ込めたぞ。そして出て来たのはメタグロス!」
ダイゴの心は許す限り叫んだ。けれど音声が全てマイクに拾われる今、そのまま素直に出すわけにはいかない。
なぜそのままいかない。そのまま押せば勝てたし、無理をさせた試合ではない。トレーナー倫理に引っかかる試合でもない。なのになぜそこでメタグロスを敢えて出した。格闘技を半減するボーマンダと違って、メタグロスはそのままダメージが通ってしまう。
「チャーレムの飛び膝蹴りがメタグロスに入りましたね。急所に入ったようで痛そうです」
「メタグロスは防御力が高いポケモンですからね」
そこまで言いかけて、自分のメタグロスと違うことを思い出した。ダイゴのメタグロスならばもう一度チャンスがあったかもしれない。けれどハルカのメタグロスは……
「チャーレムの飛び膝蹴りがまたもや入る! メタグロスの足元がふらついてますね。もうダウンでしょうか」
ポケモンもポケモンでトレーナーに似るんだから! もしそこでメタグロスが倒れなければ試合は続行し、ハルカは瀕死の状態のメタグロスを戦わせたということで、落ちる可能性だってある。倒れろメタグロス、倒れろ!
「おっと、メタグロスの足が光りました。これはコメットパンチ!」
試合は盛り上がる。チャーレムの急所をメタグロスのコメットパンチがとらえた。チャーレムは倒れた。多いかぶさるようにメタグロスも倒れる。
「コメットパンチは反動がないはずですが」
余計なことを実況が言ってしまった。瀕死状態をかばってメタグロスは攻撃したのだ。これでは審判も見逃せない。
試合は終了となり、審判が難しい顔をして話し合っている。
「ツワブキさん、どうなるでしょうね」
「解りませんね。メタグロスがコメットパンチをするだけの元気がないサインをトレーナーに見せていたかも判断になりますが」
この頃にはすっかりダイゴはイスにだらけていた。落ちた。落ちてしまった。あそこでなぜメタグロスにした。なぜだ。メタグロス!
夕方になり、全ての試験が終わった。結果はその場で受験番号で公表される。スタジアムの電光掲示板が光った。
「合格者の番号がつきます」
アナウンスが入った。そして番号が順番に光っていく。ハルカは受験票を握りしめた。
「1019、1023、1024、1026」
ああ、まだだ。まだまだ。まだ順番にならない。
受験票は原型を留めてない。ハルカの手汗で文字はにじみ、もとの番号がかろうじて読める。
「1045、1056、1058、1060」
緊張で心臓の音が聞こえる。こんなに緊張しているのは初めてだ。
「1081、1083……」
次だ。次のランプが点灯しなければハルカは落ちたことになる。
「1084……合格だ……」
ポケモン訓練士一級。通称エリートトレーナーに合格した。あまりに嬉しくて、思わず叫ぶ。
「やった、やったよ!!!」
正しかった。メタグロスの攻撃力があったから、チャーレムは一撃で倒すことできた。これでよかったのだ。ハルカの試合は、ハルカの読みが当たったのだから。
発行されたばかりの一級免許を持って、会場の外に行く。
すっかりお祭り騒ぎで、屋台も出ていた。その中で報告のためにポケナビを鳴らす。まずは家に。母親が出て、合格したことを伝えるとおめでとうと帰って来た。その場で父親が取り次ぐ。
「ハルカおめでとう。ジムリーダーはこれからが大変だが、まずは一歩だ」
「うん、お父さんありがとう! これから帰るから遅くなるね!」
ポケナビを切る。そして次にかけたのはダイゴだった。もう仕事終わっていて、今はどこにいるのだろう。
「もしもし」
ほら私の言う通りだった。あそこでメタグロスがチャーレムを倒せたのは私の意見が正しかった。さてそのことをどう言ってやろうか。その時どんな返事をするのか楽しみで仕方ない。
「ハルカちゃん、君は何をしたか解ってる?」
ポケナビの相手を確認するまでもなく、ダイゴの第一声はこれだった。
「あのままボーマンダで押し切れば、メタグロスは不要に傷つかずに済んだ。トレーナー倫理審査も行なわれることなく、君は勝てた。相手も合格しただろう。それなのに君はあえてメタグロスに交換した。そして急所に当たり、瀕死なのを庇ったメタグロスのおかげで勝てた。それ解ってる?」
早口でまくしたてられ、ハルカは状況が解らない。解るのは、ダイゴがひどく怒っているということ。
「ダイゴさん? なんで怒ってるんですか?」
「君はあと少しで倫理審査で落ちるところだったんだ。それを解っているのかと聞いている」
「なんでですか? そもそも瀕死になったらポケモン動けないじゃないですか」
「だからメタグロスは君に遠慮してコメットパンチをしたんだろう。チャーレムに攻撃した後にすぐ倒れたのが何より証拠だ」
通話が切れる。その必要がなくなったから。目の前に声と同じく表情が怒ってるダイゴがいる。
「おいで。君のしたことを教えてあげる」
手を引かれ、スタジアムから遠ざかる。楽しげな声が彼方まで来た。
するとダイゴは突然ハルカを突き飛ばす。今までこんなことをされたことがなかったので、ハルカは驚くばかりだ。地面に手をついたままダイゴを見上げる。
「ジムリーダーって何だろうね。チャンピオンってなんだろうね。君は結局、中身を伴わない肩書きだけのエリートトレーナーだよ」
ダイゴの隣にはエアームドがいる。そしてダイゴは命じた。ハルカに向けて鋼の翼と。なぜそんな仕打ちを受けなければならないのか解らない。とっさにハルカは手で顔を庇った。
何があったのだろう。なぜこんなダイゴは怒っている。そして今まで怒ったことはあっても、こんなことされたことがなかった。それなのにどうして。
怖い。こんな言葉が通じないダイゴはダイゴじゃない。
「ハルカちゃん。顔をあげて」
穏やかなダイゴの声に、ハルカは顔をあげる。エアームドはボールに戻っていた。
「怖かったかい?」
「……はい」
「無駄に攻撃を受けたメタグロスはこうだった。痛かったと思うよ、急所だったし。もしボーマンダがそのままいけば、怖い思いをしなくて済んだだろう。君は無駄にメタグロスを痛めつけただけだ」
ダイゴはハルカを抱き起こす。彼女はようやく彼が怒ってる理由が解って来たようだ。試験合格の高揚感が抜けて、冷静になってきた。
「調整なんかは後でいくらでも何とかなる。でもジムリーダーやチャンピオンに求められているのは、違うことじゃないかな」
「ごめんなさい。私、昨日ダイゴさんに言われたのが悔しくて、絶対メタグロスで勝ってやろうって。だからボーマンダに戻ってもらったんです」
「その負けず嫌いがハルカちゃんのいいところだけど、ポケモンを傷付けるのだけは気をつけて。それと謝るのは僕じゃない。メタグロスに謝りなさい」
ハルカはボールを開いた。回復してすっかり元気になったメタグロスが出て来る。夜のライトに反射して眩しい。
「ごめんねメタグロス。無駄な攻撃されないようがんばるから、もう少しいてくれる?」
メタグロスは答えない。そのかわり、ハルカの足元にしっかりと寄り添った。主人と認めたトレーナーにする行動だ。いつでも命令が聞けるように待機するのだ。
「メタグロスの調整、確かに攻撃もありかな」
ダイゴは言う。今までメタグロスは防御力で防いできたから、ほとんどそれしか知らないのだ。
「僕も完全に固定観念にとらわれてたよ。そういう戦い方もある。僕も勉強になった」
「もし防御にしてたら、急所うけても瀕死にならなかったかもしれないし、防御もありですね」
ダイゴと目が合う。そして彼の胸に飛び込んだ。苦しいほど抱き返してくれる。
師匠といっても解らないことだってあるんだ。そしてそれについていくだけが弟子じゃないんだ。解らないことがあれば試していけばいいんだ。それで二人で進んでいけばいいんだ。
「エリートトレーナーおめでとう」
「ありがとう、ございます」
ジムリーダーなんて名前だけ。私の夢をけなした彼に訳の分からないまま惹かれて、反抗して。
世界が干上がるかもしれない時に、私を信じて最後まで応援してくれた。待っててくれたからがんばることができた。
チャンピオンとして戦った時、なんで名前だけなんて言うのか解らなかった。何手も先を読んでるような目だった。お金やコネで何とかなる実力じゃないのに、不思議だった。 こういうことなんだ。実力のある人ほど、自分がそれに相応しいか不安なんだ。
ダイゴさん大丈夫だよ。実力は私よりかなり上の、そして私の師匠は、チャンピオンなのだから。
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ポケモン世界の資格ってどーなってんのか気になる。
なんだかポケモンもったらポケモントレーナーみたいな感じではあるけど、その前に講習とかないのかね。普通ありそうな気がする。一日でも出ないと、ポケモンきっちり管理できないと思うし
しつけ教室なんてのもあると思う
エリートトレーナーは上級資格の一種、ベテラントレーナーは要経験という解釈でダイハルぎみに書いてみた。
バトル廃人みたいなところがあるので攻撃に調整するとか防御に調整するとか言ってる。解らない場合は雰囲気で読み取ってください。
【好きにしていいのよ】【他にもポケモン関係の資格試験あったりするのかしら】
正直言ってこの仕事は辛い。と俺は一人、埃っぽい部屋で思う。
絶え間ない権力争い、終わりの見えない研究作業、次から次へと舞い込む不確実なデータ、おべっか買い、妙な誤解、それを巡る果てしない論争…
よほどのバカか物好きでない限り、この職業は勧められないと俺はいつも思う。
じゃあもし、俺が俺に仕事を勧める機会があったとして、俺は自分にこの仕事を勧められたか、と聞かれると、答えは『ノー』になる。正直言って、何故今もここにいるのか俺自身が一番良くわかってない。
…惰性?それを言っちゃ何もかもおしまいだろう。
実の所、その「答え」は出ているのかもしれない。
ドアの向こうから誰かが走ってくる音がする。
その音はだんだんこちらに近づいてきて、バン、と部屋の扉が乱暴に開かれて止まった。
「カイドウ室長!こちらにいらっしゃったんですか!」
「あーなんだようるせいな…もうちょっと静かにこれないのかよ」
両手一杯に資料を抱え込んだ部下は、俺の机にカッカッと歩み寄ってきた。明らかに機嫌が悪いが、おおかた俺を捜して小一時間歩き回ってたんだろう。俺が部屋に居るなんて普段なら考えにくいことだろうから。
「静かに、ってこの状況でどう静かに開けろっていうんですか」
「言葉のアヤだ」
「アヤ過ぎます」堅物に定評のある部下は、器用に眼鏡を直した。それくらい器用ならドアだって開けられただろうにと思うが、心内にとどめておく。
「あーもうそこはどうでもいいよ…それより何だ本題は。お前だってヒマじゃないだろ?」
不機嫌そうに俺を見下ろしていた部下の顔が、ワンテンポおいてにやりと笑った。そして、抱えた紙の束からガサガサと一枚の紙を俺の前に差し出した。「今日はどうしても室長に見せたいものがありまして」
紙にはずらずらとした外国語の文章と、一枚の写真が載っていた。
「・・・・なんだこれは?」俺は答えを知りながらそれを聞く。
「今日付けで出された新個体の情報です。今度のはかなり面白そうですよ」
俺の口が、にやりと曲がったのが分かった。
「場所は?」
「ten.イッシュです」
ten.― tentative、つまり仮称。
「…要するに新しいポケモンって訳か」
「まだ学内では確定的な意見は出されていませんが、研究者間での非公式見解では十中八九そうだろうと」
「…よしわかった」
俺は勢いよく机から立ち上がった。
「カシワギ!」「はい!」「今ある資料はこれだけか?」俺は部下から資料を全てひったくる。ざっと目を通していくが、まだしっかりとした根拠は出揃っていないらしい。
「はい。資料科から取れるだけもってきました」
「もっかい行って探してこい。まだρ-DNA関連のデータがあるはずだ」
「それは僕も探しましたが、まだ出てないようで…」部下の視線が少し泳ぐ。そこに俺は紙の束を叩きつけた。
「そんならうちで出すしかないだろ?遺伝子解析室の割り当て見てこい。あとこの公開試料」さらに資料を部下に押し付ける。
「こいつの個体データも。この辺りだと…イカリ辺りが専門か?」俺は普段おぼろ気な研究員のリストを脳内で引っ張りだす。
「じゃあρ-DNAについては僕とイカリでまとめておきます」
そう言って部下は机から離れた。
「おう、そうしてくれ」俺は資料を漁りながら片手を上げた。部下のいう通り『取れるだけもってきた』らしく、信憑性の高いデータから関係ないジャンクまでよりどりみどり。これをより分けて裏付けするのだけでも一週はかかりそうだ、と何となく見当をつけてみる。
まぁ学内のレジギガスとまで揶揄される俺のカンだから、果たして当たっているのかどうかはわからないが。
「…あとカイドウさん」扉の方から、部下の声が聞こえた。
「なんだ?」俺は手を休めず答えた。
「…こちらのサポート人員も集めてきます。データの裏付けだけなら外の人間でも平気ですよね?信頼できるツテがあるので辿ってみます」
俺は首だけなんとか扉に向けた。
「…悪いな、カシワギ。いつもいつも」
部屋から出ようとしていた部下も、首だけでこちらを振り返った。
「だって室長が本気で動くのを見られるのは、こんなとき位ですから。こちらだって数少ないチャンスを無駄にはできませんよ」
では、失礼します。そう笑いながら、部下は扉の向こうに小走りで消えた。
「…ったく、よく出来た奴だよ」
また一人になった部屋で、俺は紙の山から一枚をつまみ上げた。
蛍光灯の安い光に透けて映るのは、見たこともないポケモンの姿。これから俺達が出会う、まだ見ぬ誰かの"仲間"の一匹だ。
「…へへっ」
俺はその輪郭を指でなぞる。
果たしてこいつは本当に新しいポケモンなのか、それを調べるのが俺達研究者の一番の仕事だと、この世界の片隅に居る俺は少なくともそう思っている。
こいつを、こいつの仲間たちを、生涯一緒に過ごせるパートナーに出会わせるための仕事。
星の数ほどの出会いのいくつかが俺の手から、汗から、涙から、生まれる。それだけで、その喜びだけでこの世界にいるだけの価値があるってもんだ。
…誇大妄想?それを言っちゃ何もかもおしまいだろう。
「………さて、と」
俺は紙を山の上に戻す。
これからこの部屋も忙しくなってくる。多分この手柄を狙って、全ての研究室が動きだすだろう。こういう競争主義な所が俺は一番嫌いだが、まぁこの世界に身を置く以上仕方ない。
案ずるより生むが易し。
「…さぁ旅立つとしますかね」
俺は紙の山をかき分けた。
****
「・・・・ん」
珍しく新聞を読んでいたら、珍しく友人の名前を見つけた。
『カント―学会カイドウ博士・新個体を発見か』『「ファーストコンタクター」またもや快挙』
地方紙にも関わらず四分の一の紙面を割かれたその記事には、友人が見つけたらしいポケモンの詳細と、友人の研究がすこし誇張された文体で書かれていた。
「ファーストコンタクター、か」
まぁ確かにポケモン図鑑はポケモンとの出会いのきっかけにはなるけれど、それにしても凄いあだ名だと少し笑ったとき、後ろからヨノワールが覗き込んできた。
「?」
「あぁ、これか?俺の昔の友達だよ。大学で一緒だったんだ」
窓の向こうには広い空。
今日もどこかで、あいつの作ったファーストコンタクトが生まれてるんだろう。
"Contacter" THE END!
[あとがきのようなもの]
初めましての方は初めまして。
また読んで下さった方、ありがとうございます。aotokiと申すものです。
何が相棒との出会い?こっちゃ先に会ってるんだよ!!というポケモン学者のお話。
作中の単語は全て創作です。スイマセン。
現代のポケモン図鑑はきっとたくさんの研究者さんが関わってできていくのかな〜とか思っています。
安全なポケモン・危険なポケモン・生態・能力・習性・・・・それが分かって初めて素敵な出会いが成り立つ。
縁の下は大事。そんな作者の妄想なのでした。
ちなみに最後の「俺」は、「日曜は(ry」のお父さん・・・・のつもりです。
コメントありがとうございます!
銀は初見の印象でチコリ―タを選んだクチなので後々苦労しました・・・・
あぁ、バクフーンえらんどきゃよかったなぁ・・・・(遠い目)
ここは花香る街、タマムシシティの一角に建つレストラン“すばくらめ”。所々を燻したような赤レンガの趣ある外観で、ちょうど梅雨入り時という事もあってか、辺りを囲う生垣のアジサイは黄緑色から紫へ、うっすらと変わりつつあるところであった。ぴかぴかに磨かれたショーウィンドウに並ぶのは、いかにもおいしそうなオムライスやスパゲティ。きっちりと整った店内は、洒落た絵柄の大皿や異国の絵画、ジョウロ型の花瓶に生けられた薄桃色の花々等、実にさまざまなものが落ち着いた雰囲気を醸し出している。
一見普通に見えるこの店だが、実は今、街でちょっとした話題を呼んでいるのである――
アヤメは皿を拭く手を休め、外を眺めた。
窓越しに降る雨は、無数の斜線がいくつも重なっているように見える。それは依然として止む気配はなく、店に客が来る気配もない。
「暇だね、ジョン」
足元で寝そべっていたグラエナは、同意するようにあくびをした。
休日の昼下がり、せっかくのかき入れ時だというのに肝心の客足はさっぱりだった。一応、来店する客もいたことにはいたのだが、それもせいぜい三、四組で、さっさと昼食を済ませると満足して帰っていった。
店内はすっかりがらんと静まり返り、一人厨房を任されている口数少ないコックのサエジマは、時間潰しでもするかのようなのんびりとした手つきで壁にこびりついた油だの、水周りだのの掃除をやり出した。店長にいたっては「ちょっと寝てくる、何かあったら起こしてくれ」と、頭をかきかきあくびを残して店の奥へと引っ込んでしまった。
かくしてまるっきり活気のないホールには、アルバイトのアヤメと、店長のポケモンで接客もこなせる利口なグラエナ、ジョンだけが取り残された。
いつお客が来てもすぐに迎えられるよう、入り口をちらちら見ながらの作業はすっかり身に染み込んではいるが、ちっとも開かない扉を見つめていると何とももどかしいような歯痒さに苛まれる。腕時計に目をやると、最後に時間を確認してからまだ五分と経っていない。
アヤメはため息をついた。
まるで拷問である。果たしてこのひどく退屈な時間に、自分はどこまで耐えられるだろうか。それもこれも、朝からずっと降り続くうっとうしい雨のせいだ。
「せめてもう少し小降りになってくれればいいのにね」
ジョンは黒毛の豊かな尻尾をぱたりと一振り、それから尖った顔を先までしっかり床につけて目を伏せた。
アヤメはつい苦笑した。
ポケモンはトレーナーに似るとは、全くうまいこと言ったものだ。もっとも絵的に違うのは、店の奥で同じように寝ているであろう彼の主人は、きっとまたお子様用の椅子に体育座りで眠りこけている、というところか。
初めてその図を見た時は、幅の足りない小さな椅子の上に、サンドみたいに丸くなって仮眠をとる姿があまりにも滑稽で吹き出しそうになったものだが、後に狭い店内で休憩をとるにはそれしかないことを知った。店長という多忙な肩書きは、どこでも寝れるという特性を自然と身につけさせるのだろうか。
それにしても、と再び窓の外へと視線を移す。
変わらぬ様子で降り続ける雨は、アヤメの記憶が確かなら、昼頃には止むという予報だったはずだ。それなら少しぐらい雨足が落ち着いてもいいだろうに、一向に収まる様子は見られない。
アヤメはすっかり憂鬱になって、窓から目をそらそうとした。が、ふいに思い止まって、もう一度店の外に視線を戻す。
やはり、何かおかしい。店から十数メートル離れたところを歩く人は、誰一人傘をさしていない。店の前はざあざあ降りのままなのに、だ。
「まさか……」
アヤメは拭きかけの皿を置いて、店の外へと飛び出した。ぽたぽたと水の滴る屋根の下で、かすかな予感が確信に変わる。アヤメは急ぎ店内へ踵を返すと、何事か、といった風に顔を上げたジョンを通り越し、そのまま奥へと駆け込んだ。
「店長っ! 大変です、この雨、うちの店の周りにしか降ってませんよ!」
「んぁっ……? ……あ? 何だってぇ?」
案の定、店長は小さな椅子の上で不恰好に丸まって眠っていたが、アヤメに揺すられると間抜けな呻き声をもらしながら目を覚ました。目元をごしごし擦りつつ、上擦った声で急かし立てるアヤメに腕を引かれるままに表へくりだすと、店長はあんぐりと口を開けた。
店の周りはけたたましく降り続く激しい雨天、道路を一つ挟んだ向こう側は、雲の隙間から澄み切った青空が顔を覗かせ、陽射しきらめく見事な晴天である。よくファンタジー映画なんかで、悪の帝王が待ち構える城だか屋敷だかが厳かにそびえていて、その周りにだけ不気味に雨が降っている、という演出があるが、まさにこの店がそんな状況だったのだ。
そりゃ、客も寄りつかねぇわな、と店長が呟いた。
もっとも、待ち構えているのは掴みどころのないひょうひょうとした独身男性と、冴えない女子大生アルバイターだけれども、とアヤメは思った。
「でも、どうしてここだけ……まるでこの道路が雨の境界線になってるみたいじゃないですか」
「まるでじゃなくって、まさに境界線なんだよ。んー……そうだな、多分アレかな。おーい、ジョン!」
主人に名を呼ばれたグラエナは、心得たと言わんばかりにガウと吠えると、雨もいとわず屋根から飛び出し地面に鼻面を押しつけた。
「この天気じゃあ、匂いも薄れて嗅ぎ分けにくいだろうが、絶対近くにいるはずだ。頼むぞ」
ジョンは掃除機みたいに首だけを動かしながら、ふんふんと盛んに濡れた地面の匂いを嗅いでいる。すると、何かを感じとったのだろう。突然火のついたように走り出し、店の生垣に生えたアジサイの群に向かって激しく吠え立てた。
ぎざぎざ縁の艶やかな葉っぱや、薄い色した小さな花の丸い束が、驚いたように大きく揺れた。
アヤメが事の成り行きを呆然と見つめていると、店長にちょいちょいと肩をつつかれ傘を持ってくるよう仕草で指示された。慌ててレジ横にかけてあった従業員用のビニール傘を手渡すと、店長は何も言わずに手早く広げ、真っ黒なたてがみを炎のように逆立てているグラエナの後ろについた。アヤメももう一本を手に取って、それに続いた。
ジョンは鼻にしわを寄せて牙を唸らせ、今にも飛びかかりそうな勢いだ。
その威嚇の対象に目を向けて、アヤメはあっと声をもらした。
まだ咲きかけの、薄紫色をしたアジサイの花の固まりのすぐ下に、青いしずくのようなものがまん丸の小さな目でじっとこちらを見つめている。
「ポワルンか。やっぱりな」
店長が苦々しげにため息をついた。
「最近、ゲームコーナーの景品に追加されたって噂を聞いたんだ」
ポワルンというポケモンはアヤメも知っていた。確か、天気によって姿やタイプが変わるという不思議なポケモンだ。
天候を操る技を使えるポケモンは数多くいるものの、それを自力で習得できる種類はさほど多くない。ポワルンはそのうちの一種で、日本晴れや霰など、数々の天気技を覚えることができると、昔本で読んだことがある。だが、その明確な生息地は分かっておらず、なかなか珍しい種類であるらしい。
アヤメは店長が意外に博識だったことに驚きつつも、それを顔に出したら失礼だろうなとか思いながら、もう一度アジサイの中で息をひそめる青いしずくをじっと見つめた。
「じゃあ、この子がずっとここで雨乞いしてたってことですか。何でだろう」
「知るかよ。やれやれ、とんだ迷子のお知らせだ」
店長が言うと、その迷子はびくりと身動ぎした。青く透き通る体が、ぷるぷるのゼリーみたいな動きで小刻みに震えている。
その様子を見つめながら、アヤメは頭の中でじっと考え込んでいた。
食べ物目当てで店にちょっかいを出してくる野性ポケモンはちょくちょく見かける。その大半は力づくで店に入り込もうとするため、いつも少々荒っぽいやり方でお引取り願っているものだ。
だが、このポワルンは明らかに様子が違う。食料につられてやって来たのかは分からないが、これだけ敵意をむき出しにされてもいっかな攻撃してくる素振りは見られない。
一体なぜだろう。
「全く、立派な営業妨害だ。ジョン」
ジョンはぐっと姿勢を低くした。次に主人が何か言えば、すぐにでもポワルンに飛びかかるだろう。
その声を聞いたアヤメの脳裏に、不意にさっき店長が呟いた言葉がよみがえった。
そうか。この子はゲームコーナーの景品として連れて来られたところを、逃げ出してきたんだ。
胸にちくりとするものを感じて、アヤメは店長の腕にすがりついた。
「ちょっと待ってください! ジョンも、威嚇を止めて!」
店長は驚いたようにアヤメを見た。突然の制止の声に、ジョンも戸惑った様子で主人とアヤメとを見比べている。
「なんだよ、いつも通りに追っ払うだけだろ……」
「この子はおびえているだけですよ。知らないところに迷い込んでパニックになってる。このまま追い払ったとしても、きっとまたどこかで同じことが起こります!」
「だからって、このままにしておくわけにも……あ、おい! アヤメ!」
アヤメはずいと進み出て、対峙しているグラエナとポワルンの間に割って入った。
危ないぞ。後ろで店長が叫んだが、アヤメは聞こえないふりをした。
アジサイの中のしずくが潤んだ瞳でこちらを見上げた。
「大丈夫。怖くないよ」
アヤメは驚かさないよう気をつけながらゆっくりとしゃがみこみ、ポワルンと同じ目線になった。それから目だけはポワルンを捉えたまま、指先でポケットの中のつるつるした感覚を探す。手にしたそれを取り出すと、しずくが恐れたようにたじろいだ。アヤメはしずくに笑いかけ、大丈夫、と言い聞かせながら、ボールのスイッチを押した。
「セリア、アロマセラピー」
赤白二色の球から光が放たれ、勢いよく飛び出したベイリーフはすぐさま首巻く葉っぱを振るわせた。とたんに華やかなよい香りが辺りに広がり、緊張した空気が薄れていく。
アジサイの中のしずくは、始め、呆然としたようにベイリーフを見つめていた。が、やがて見る見るうちに表情が和らぐと、ゆっくりと身をひそめていた葉っぱから滑り出た。その時にはもう、しずくの形はしていなかった。
アヤメはにっこり微笑んで、傘を閉じた。
いつの間にか顔を出した太陽が、軒先から滴り落ち、アジサイの葉を弾いた水をきらきらと輝かせた。
「じゃあ、つまりこいつは、自分の身を隠そうとして雨乞いをしてたってことか?」
「ええ。多分そうだと思います。前に、そういう話を聞いたことがあるんで」
アヤメはすっかり懐いた様子で手のひらに収まったポワルンを撫でながら、店長にうなずき返した。
通常のポワルンはまん丸の体が雲のように真っ白で、つぶらな瞳に、ねぐせがついた前髪みたいなものがついている。
アヤメはその前髪もどきをくすぐりながら、かつて読んだ本から得た知識を店長に披露した。
ポワルンは戦いを好まない温厚な性格のために、その時々の天気によってさまざまな姿に変化することで敵の目を欺いているらしい。また、自ら天候を変えることでよりその場に適した姿になって隠れたり、更にはそれで仲間に感情を伝えることもあると言われている。
「だから、あれはこの子なりのSOSでもあったんです。怖いよ、助けて、って」
「ほぉぉ、なるほどな。さすがよく知ってるな」
店長が腕を組んで感心したように言うと、アヤメはつい苦笑した。
「小さい頃から、ずっと、ポケモンが好きでしたから」
「まあお前の場合、それだけが取り柄みたいなもんだしな」
「ちょっとそれ、ひどいじゃないですか」
アヤメはむっとして言い返したが、店長はただ笑って流しただけだった。
とことんデリカシーのない人だ、アヤメは心の中でこっそり毒づいた。
「で。どうするんだ? こいつ」
店長は腕組みをしたまま、アヤメの手の中のポワルンを顎でしゃくった。
「どうするって……?」
「ゲームコーナーの景品だったんなら、お返しにあがるのが筋ってもん……」
「えーっ! 店長のオニ! 悪魔! それ本気で言ってるんですか!」
店長の言葉を遮って、アヤメは盛大に声を張り上げて抗議した。
ゲームコーナーにはいろいろと黒い噂がある。そもそもポケモンを景品にしていること自体気に食わない上に、やたら珍しい種類ばかり並んでいるのも不気味である。経営者の裏にマフィアがついているという噂も聞くし、店に入り浸っているのも強面の人間ばかり。
この手の中に大人しく収まるポケモンが、アジサイの葉に隠れて潤んだ瞳でじっとこちらを見つめていた様を思い出せば、よほど怖い目に遭ったとしか考えられない。
アヤメは両手にポワルンを包んだまま店長から遠ざけるように背中へ回し、早口でまくし立てた。
「せっかく逃げ出してきたのに、また檻の中に戻すような真似しろってことですか。そんなの絶対あり得ないですって! フリーザーもびっくりの冷徹人間ですよ!」
「だああぁぁぁ! いいから最後まで聞けよ面倒な奴だなー! それが筋だけど、そうするわけにはいかないだろって話をしたかったのに。俺だけ悪者かよ」
「えっ」
「えっ、じゃねえよ。いい加減傷つくぜ、全く。デリカシーのない奴だな」
店長が訳知り顔でにやつくのを見て、アヤメは凍りついた。
まさかこの人は読心術でも使えるのだろうか。
「んで、デリカシーのないお姉さん」
「放っといてくださいよ」
店長はからから笑い、アヤメの手の中から窮屈そうに顔を覗かせたポワルンを見つめた。
「ちょっと相談なんだが……こいつは臆病みたいだけど、人懐っこくて聞き分けも良さそうだ。……なあ、お前さ」
店長はしゃがみ込み、ポワルンの顎の辺りをくすぐった。
「うちの店で働かないか?」
ポワルンは目をぱちぱちさせた。
アヤメも驚いて店長の顔を見た。先程までの冗談めかした様子はなく、どうやら本気の申し出らしい。
「いいんですか? だって、さっきまでは追い払おうとしてたのに」
「いつもいらっしゃる食料泥棒どもとは違うみたいだしな。ちょうど人手不足だし。なかなか平日の昼間に入れる奴がいなくてさ、ニャースの手も借りたいってな。もちろん。どこまで仕事を任せられるかはこいつ次第だけど」
長年店を手伝ってきたジョンですら、できる事とできない事ははっきりしている。お客を席まで案内したり、メニューや伝票を運ぶことなら訳はないが、どんなに仕込んでもオーダーテイクは覚えられなかったらしい。毛が入るとまずいので、料理提供もタブーである。
店長は、まだきょとんとした顔で自分を見上げているポワルンの頭をぽんぽん叩いた。
「週六日勤務で、給与は……そうだな、ポフィン食べ放題ってのはどうだ? お前の好きな味の木の実で作ってやるよ」
店長がポフィン食べ放題、と言った辺りから、ポワルンはいかにも嬉しそうにきらきらと目を輝かせた。それから途端にアヤメの手のひらから飛び出して、こくこくとうなずいて見せたのだった。
その様子があまりにかわいくて、アヤメはつい笑ってしまった。
「本当にそれでいいの? だって、週六日勤務だよ? 割に合わないよ」
それでもよほど給与が魅力的に思えたらしい。ポワルンはぷるぷると首を振り、考え直すつもりはないと訴えている。
「よし。じゃあ決まりだな! ジョン、後輩にしっかり仕事教えてやるんだぞ」
ジョンはガウと一吠えすると、先程までの態度とは打って変わって親しげに尻尾を振り振りポワルンの顔をぺろんと舐めた。
「良かったね、ライちゃん」
「ライちゃん?」
「この子の名前です。ライチの皮をむいたみたいな色だから」
「ふぅん。それでライチ、ライちゃんか。え? てか、こいつメスなの?」
「店長、気づかなかったんですか?」
呆れたように言うアヤメの隣で、ポワルン改めライチが不満げにぷくっと頬っぺたを膨らませた。店長はその両頬を手で挟み、きゅっとしぼませた。
「悪い悪い。ま、今日からよろしくな。ライチ」
店長の見込んだ通り、ライチは物覚えが良くて徐々にその才能を露にした。ちょっと教えただけで簡単な接客の他、単純なオーダーも承ることができるようになったのだ。
何品もあるような複雑なオーダーはさすがにお手上げのようだが、一、二品程度ならば何とかこなせるらしい。もちろん人間の言葉を話せる訳ではないので、まず他のホールスタッフにメニュー表を指し示して注文を伝え、それからそのスタッフがキッチンに通すという方式になるため手間はかかるが、それでも珍しさからかお客の評判も上々で、彼女目当てに来店するファンもちらほら現れ始めた。
かくしてライチは、ジョンと並んで早くも店の看板ポケモンとしての地位を獲得したのである。
「それにしても店長。あの時、よく一目見ただけでポワルンだって分かりましたね」
今日も立派に繁盛して、そろそろ客足落ち着くお昼過ぎ。
桃色のポフィンをおいしそうにもぐもぐやっているライチの頭を撫でながら、アヤメは店長にずっと気になっていたことを聞いてみた。
「私、ポワルンってノーマルタイプの姿しか見たことなかったから全然分かりませんでしたよ」
「あぁ……そうだな。お前、ホウエン地方って知ってる?」
「えっと、カントーの南西にあるところですよね? 緑豊かな野生の王国だっていう……」
「そうそう。そこに天気研究所ってのがあってさ。ガキの頃社会科見学で行ったんだ。そこにめちゃたくさんいた。やっぱ、進化でもないのに姿が変わるってのが子供心に印象的だったからな」
「……って、店長。ホウエン出身なんですか?」
「なんだよ、その意外そうな顔は」
「いや……何ていうか、ホウエンの人って、ばいとか、ごわすとか言うものだと思ってたから……」
「イメージ古風だな」
からんからんと入り口のベルが鳴り、ジョンとライチが競うように迎えに行く。
ここはレストラン“すばくらめ”。寡黙なコックが作り出す数々の料理と、人当たりのいい店長、そして度々訪れる珍客、珍事がちょっとした評判を呼んでいる、今話題の店である。
―――――――――――――――
6/22追記
【ポケライフ】つけるの完全に忘れてました……
あと誤字一箇所修正。ちゃんと推敲してないのがモロバレル。
とりあえずBW2発売までに書き上げられてよかったです。
そしてせっかくタマムシ舞台なお話のはずなのに、カントー勢が一匹も出ないというパターン。
どうしよう、店にカビゴンが来襲する話でも書いてみようかな(←
はじめましてaotokiさん。
寄り添ってくれるバクフーンが愛おしいです。
それでいて、やっぱり悲しい。なんというか、ぎゅうっと抱きしめてあげたい。
両親の仲が悪いのは子供にとって本当に嫌なものですよね…。
それでもバクフーンが傍にいてくれるなら、少しはそんな気持ちが和らぐような…。
とりあえず何が言いたかったのかというと、バクフーン萌えです。
そうか!ピカチュウがあんなに強いのは先に出来たからなのか!!
・・・・と妙な納得をしました(笑)
ドーブルの「スケッチ」は確かに謎いですね。レベルが上がると描写能力が上がるから?と考えてみたのですが・・・。どうなんだろう。
ともかくラスト展開には鳥肌が立ちました。
創造神より手前で世界を作るドーブル・・・かっこよかったです。
【ドーブルはイケメンなのよ】
おいかぜ、その手段があるのをすっかり忘れていました。
フワンテがちょうどおいかぜ覚えているので一緒に飛んでもらおうと思います。そういえばフワライドの特性が軽業だったので、それも発動させて飛んでみたいと思います。きっと鳥ポケモン真っ青のそらをとぶをみせてくれるはずだと信じています。さっそく、バイト先に空から颯爽と舞い降りようと思います。
ご回答、ありがとうございました!
☆★☆★☆★
意気揚々とおいかぜかるわざのフワライドそらをとぶで空から颯爽と登場しようとしてあまりの速さに目を回して落下していく姿が思い浮かんだのです。注意書きには注目しなきゃだめですね。
回答、ありがとうございます!
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